新監督に対してアーセナルから与えられる補強予算が50Mポンドであるという件。
ファンからの落胆が伝えられるなかで、単純に移籍金に使う予算ではなく、幅広く解釈できる予算だと指摘したブログが議論を呼んでいる。
Arsenal’s “£50m budget” explained
シティやマンUが毎年たっぷり200Mも補強にぶっこんでいるときに、アーセナルの今夏の補強予算はたった50Mポンド(※売却分含まず)という報道にがっかりした人も多いと思う。アーセナルだってここ数年はビッグクラブらしい投資をしてきたからなおさらだ。
だが、もしかしたらこれは間違いで、実際はアーセナルはもっと使えるのではないかという。
「予算50Mポンド」の解釈
※最初に断っておくと、ぼくがこの議論にはついていけてない部分も多いことを告白しておく。英語力だけでなく経理の話が大の苦手だからである。貸方借方とか聞くとじんましんが出る。以下アバウトな理解でお送りするのであしからず。
まず、この「予算50Mポンド」を単純に移籍金に費やす予算と解釈するのは間違いであるかもしれないという指摘。
何人かのジャーナリストはそれが「移籍金」のための予算だとはいっていないそうで、50Mポンドは単純な「トランスファー・バジェット」ではなく、アーセナルがこの夏に費やすつもりの「総予算(選手給料+移籍金の償却)」であるのではないかと。
この「移籍金の償却」というのがポイントで、要するに50Mポンドの選手を5年契約で買ったとき、10Mポンド/年の償却とカウントする。みたいな話。
例として、噂になっているジャン・ミシェル・セリのリリースクロースが40Mポンドということで、彼を4年契約で獲得した場合、今回の予算50Mポンドのうちの10Mポンドを使ったという解釈をする。
そうなると、当然ながらアーセナルはわれわれが思っていたよりもだいぶ多くの予算を補強に使えるということになる。
仮にその償却という考え方を踏まえて50Mポンドをまるまる移籍金に費やせるとすると、例えば
- 50mポンドの選手(5年契約)で10M
- 40mポンドの選手(4年契約)で10M
- 25mポンドの選手(5年契約)2人で10M
- 20mポンドの選手(4年契約)で5M
と、そこそこの価値ある選手5人を獲得してなお15Mポンドのお釣り。償却という考え方をしなければ今夏の補強に160Mポンドを使ったことになる。こういうことがありえると。
ちなみに、この50Mポンドの予算のなかには、
- 移籍金(契約年数で償却)
- 移籍代理人手数料
- 選手の報酬
といったコストが含まれるので、償却費用だったとしても50Mまるまるを移籍金として使えるわけではない。
選手のサラリーもここに含まれるということは、退団する選手や放出する選手の給料も使える予算のなかに入ってくることになる。引退するメルテザッカーはもちろん、カソルラ(ヴィジャレアル?)やもしかしたらウィルシャー(PSG行きのゴシップが……)あたりのファーストチーマーも退団するとなるとそれなりに大きな予算が浮くことになる。
ラムジーとは契約延長に向けて交渉中ということだが、彼の新契約の報酬もこの50Mポンドのなかに入ってくるということで、大きな活躍を送ったシーズンだったにも関わらず、サラリーの大幅アップは望めないのかもしれない。
いくら重要な選手だからとはいえ、残り契約を1年切っても残すというサンチェスやエジルのような特例を、ラムジーに対しても行うとは思えない。報酬の大幅アップというカードのないアーセナルはタフな交渉を迫られている。17/18シーズンのプレイヤーオブザイヤーをこの夏に手放さざるを得ない状況はやってくるのだろうか。
「償却」と解釈していいのか?議論
Amortisation – 50m is a decent budget
この件、真実であってほしいという意見も多いが、このロジックについてそのまま納得することは出来ないという人も多い。たしかにこの解釈が正しいなら、いうほど50Mポンドも悪くはないし、逆にちょっと都合が良すぎるという気はする。アーセナルがこの夏に160Mポンドの買い物をするだろうか? レマールやフェキル、マーレズに行くならそれくらいは必要になるかもしれないが。
そもそもこの50Mポンドは公式発表でもなんでもないし、いったい誰がいい始めたんだといいたくなる。誰なの? テレグラフ?
ちなみにこの元のブログポストについては、BBCオーンスタイン氏もLIKEしているとのこと。……それなりの信憑性があるのか。
AFTVのロビーに教えてやれよというコメントが一番ウケた。観てないけど50Mの件で彼らは怒り狂ってたに決まってるからね。。
いずれにせよ、アーセナルが本格的に移籍市場で動き出せば真実が判明することだ。しかも、50Mなんてどうせすぐに使ってしまうのだから(パパスタソプーロスとソユンチュでもう50Mだ)、意外に早く真相がわかるかもしれない。
※追記
2010年にUEFAが導入したFFP(ファイナンシャル・フェア・プレイ)ルールのために、クラブが編み出したコストの償却の考え方が、2年前にアップされたこちらの動画でも説明されている。まさにこれだ。