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【ワールドカップ】ラカゼットのフランス代表落選前のインタビュー【2018ロシア】

なんでこのタイミングで……

おれたちのアレクサンドル・ラカゼットが、「2018ワールドカップ・ラッシャ」フランス・スクワッドの23人から漏れたのはご存知のとおり(※怪我人等がでたときに繰り上がるリザーブで登録されている。ドビュッシーも)。

フランス代表23人からは、2014年WC、2016年EUROに続きこれで3回連続のメジャートーナメントでの選外ということで、今回もまた本人にとっては非常に受け入れがたい結果となった。

このタイミングでどういうわけか「GetFrenchFootballNews」が、WCスコッド発表前の『レキップ』での独占インタビュー全文英訳版を掲載。ラカゼットのインタビューはあまりこのブログでも紹介したことがなかったと思うので、ありがたく引用させてもらおうと思う。

Alexandre Lacazette’s heart-breaking interview ahead of the WC squad announcement: “I would be very, very happy!”



WC2018スクワッド発表前のラカゼットのインタビュー

(膝の手術前後のスタティスティクスを見ると、あの手術がシーズンのターニングポイントだったように見えますね……)

ラカゼット:そうだね。まったくそのとおり。手術の前には痛みがあったが、自分はまだ続けられるっていい聞かせてたんだ。ラフな期間を過ごしていたね。うまくプレイできなかったし得点もできなかった。でもどんないい訳もするつもりはない。最終的にぼくの膝は動かなくなってしまって、シーズン終了までプレイできそうになかったし、とてもあんな状態ではワールドカップにも行けなかっただろう。

(もう自信を取り戻しましたか?)

もう痛みはどこかへ行ってしまったようで、開放感を感じてるよ。試合に出ていない時間は、最近ぼくに起きていたことすべてを分析する時間にすることができた。

(10試合も得点がなかったですね……)

そんなの経験したこともなかったよ。夜に家に帰るだろ、それでこう繰り返すんだよ「カモン! つぎは絶対入れる!」。でもダメだった。それで5試合か6試合たったあとにやっとそれに気付いたんだ。突然のように自分を疑い始めた「あれ? 最後にゴールしてからどれくらい経った?」。そしてぼくはそれに苛まれ始めた。

ほかのストライカーたちがどうやってそういうことに折り合いをつけているのかわからないけど、でも個人的には、それについて考えすぎてしまうんだ。ぼくは誰かを責めることはできなかった。全部自分のせいなんだから。監督だって責められなかったよ。だって出場の機会を与えてくれていたしね。チームメイトだって責められない。チャンスはつくってもらっていたんだから。全部自分のせいだった。

(アーセン・ヴェンゲルはあまり多くを語らない人ですね。でもそのとき彼はあなたに何か話しましたか?)

イエス。彼はそのときに一度か二度話してくれたよ。それはどんなストライカーにも起こりうることなんだって。そしてついにカムバックすることができたんだ。

(ゴールがなかった間、何が助けになりましたか?)

ゴールをすること以外に助けになるものなんてないよ。毎日の生活はもちろんだし、試合のある日には、それだけが問題だ。手術のあと、ぼくはすぐにゴールをし始めてすべてが戻ってきたんだ。よりたくさんプレイに絡んでいけたし、自信を取り戻すことができた。怪我のあいだもフランスの代表チームのスタッフがぼくの状況をチェックしていて、それはすごくうれしかったね。

 

(あなたはアーセン・ヴェンゲルの最期のシーズンで17ゴールとチームでベストのゴール・スコアラーでした。ヴェンゲルについて忘れないと思えることはなんですか?)

彼がクラブに残していったイメージとリスペクトだね。エミレーツでの最期の試合、みんなが彼を讃えて歌っていて(5/6、5-0で勝ったバーンリー戦)、彼のなかにあったクラブ像を感じたし、22年間を過ごして去っていくのは悲しそうだった。最期の試合でも彼は泣かなかった。それがとてもパワフルだったし、そして彼のエモーションを感じた。ドレッシングルームのチームトークでも、いくつかのジョークを飛ばしていたくらいで、それが彼のエモーションの隠し方だった。最期の数日間は、いつもよりリラックスしていたくらいだね。

(受け入れがたいのは、アトレチコ・マドリッドがファイナルに進んだことですか? それともマルセイユがリヨンでファイナルを戦うことですか?(訳注:リヨンとマルセイユはライバル関係))

(ためらいつつ)両方だ。どちらにもぼくはいないし。かたや、マルセイユがそこまでいったのはフレンチ・フットボールにとってはいいことなんじゃないの。リヨンとマルセイユは仲悪いけどね。

(アトレチコと戦うのは変な感じだったんじゃないですか? あなたが一年前に入団直前までいったクラブです)

いや。変だったのはアントワン・グリーズマンと戦ったことだ。それにたしか、彼と戦うときはいつでも勝てないんだ(過去2試合)。キツかったのは、ローラン・コシエルニが負傷退場したアウェイレグだよ。彼が倒れたときどれくらい悪いかわかったしね。ローランがあんなふうになるところなんて初めて見た。彼は強い漢だよ。キツいことがあったとしても、普段の彼ならなんでもないっていうはずだ。でもあんなふうに泣き叫んでいる彼を見て、彼にはワールドカップがあったから本当にむごいと思ったよ。今回のワールドカップは彼にとってラストチャンスで彼には重大な意味があった。

(アーセナルでは、リヨンみたいに自然にボールが集まりません。我慢することを覚えなければならなかったか、あるいはセンターフォワードとしてボールが来るようチームメイトを納得させますか?)

(スマイルで)リヨンでキープレイヤーみたいな選手だったのは、自分が理由だったと思うんだ。ここではそうじゃない。それは、そういった存在になれるようもっとハードワークが必要なんだと気づかせてくれるものだ。リヨンではチームメイトがいつもぼくを見てボールをくれる。1回か2回呼べばたいていはボールを受けられる。ここでは違うんだ。

(つまり自信の問題ですか? それとも時間が必要ということですか?)

他者を納得させる時間は必要だ。それはいつも……、(スマイルで)ぼくが重要な攻撃の要素だってことをみんなに理解してもらうためには客観的でいることだ。

(6ヶ月プレイ禁止を避けるためにアトレチコに行かなかったのは、ナショナルチームのためでもありましたか?(※訳注:アトレチコはCASの制裁で16/17シーズンに獲得した選手を6ヶ月使えなかった))

イエス。もちろん。

(木曜の夜8時(※WCフランススクオッド発表)はどこにいますか?)

リヨンにいるよ。家でTVの前にいる。

(あなたは心配性ですか?)

そうだね。だって2014と2016どちらもリザーブだったんだ。フランス代表チームに関わっていることは、いつも最高ってわけでもないと悟ったよ。

(攻撃の選手の名前を紙に書いてみたり、あたまのなかで描いたりしたことはありますか?)

友だちとそれについて話したりはするよね。みんな友だちだからぼくをそのなかに入れてくれるけど、それがバッドラックにならないといいな!

(どんなふうに予想してますか? ポジションを保証される? どこでプレイしそう? 可能性のあるポジションは?)

(考えて)どこでプレイするかって? ドイツ戦の2ゴールが助けになるかも!

(あの試合はナショナルチームでのその後のキャリアに影響を与えましたか?)

そうだね。そう思う。なぜならぼくが得点したのは強豪チームだから。それに団結して試合に貢献できたと感じている。それ以前にはぼくが批判されていた部分だ。

(3月にWissam Ben Yedderが選ばれたことに心配してますか?)

いいや。スクワッドの発表前にオールド・トラフォードでマンU相手に2ゴールした選手が考慮されるのは自然なことだろう。ぼくのドイツ戦の得点は11月のことで、フットボールの世界ではもうだいぶ過去のことになる。もちろん、Wissamの得点やハットトリックがあれば、ぼくも穏やかではいられないかもしれない。しかし自分自身が、膝の手術後でも走れるし、シーズン終了までに自分の価値を見せることができると思うんだ。

(どうやら、ドイツ戦の前にはディディエ・デシャンがあなたにだいぶプレッシャーをかけたとか……)

そうだよ。彼からそうされた。基本的にぼくの将来がかかった試合だといわれたよ。彼はぼくにこんなことをいった。「今夜おまえはたくさんのことを証明する必要がある。ビッグマッチでスタートからチャンスを与えるつもりだ。チャンスを掴んでわたしに見せろ!」ってね。

(ほかの選手よりもたくさん要求されているということですか?)

いや、みんながチャンスを得ていたわけじゃなかったから。もしぼくがプレイするなら、彼がぼくを信頼してくれたからだし、それに報いる必要があった。彼の要求が大きいのは理解できることだ。ぼくは、彼がうんざりするほどうまくプレイしなきゃならなかったんだ。

(ふつう、うんざりする前に気づきますよね)

(スマイル)まさにそれだよ!

(あなたのボディ・ランゲージはいつも役に立っているわけでもないですね……)

役立つ可能性はあるよ。監督はそれをとてもよく見ているし。ぼくがそれに対して無頓着に見えることがあるのは知ってる。必要じゃないときでもね。それにピッチ上で簡単なタッチミスを何回かすれば、ボディ・ランゲージとタッチは何の意味もない。

(チーム全体の歯車として動くこと、あるいはプライドがそれを許さないことについて考えたりしますか?)

いやそれはプライドの問題というわけじゃない。しかしそう簡単に変えられることでもない。注意深くある必要があるとはわかっている。とくにチームメイトたちに関してはね。たとえば5回もいいランを見せているのにボールがいっこうにこないときでも。しかしひとついいランがあってボールを受けられなかったとしても怒ったりはしないよ。たくさんいいランをすればいいだけだ。

(ときどき、あなたのファイトが足らないんじゃないかと考える人がいますね。あなたががんばっているときでも……)

そうだね。そう考える人もいる。でもその点でスタティスティクスは役に立つ。スタッツはぼくがどれだけの量のボールを奪い返しているか、どれだけランをしているか、どれだけスプリントしているかが反映される。要するに、ボールを奪い返すことよりボディ・ランゲージを優先することだって出来たわけだ。だからそこにはちょっとしたトレイドオフがあるんだ(スマイル)。

(ドイツ戦での発奮は、あなたを安心させたり解放的な気分にしたりしましたか?)

あれは救いだった。フォワードというものは、ゴールやチャンスクリエイトでジャッジされるものだ。ぼくは2015年のデンマーク戦以来ゴールがなかった。あの2点は本当に必要なものだった。非常に役に立つゴールだったよ。あれが23人に入るに十分だったかって? さあね。でももしそうならとてもうれしいね。ベリベリハッピーだよ。

ベリベリハッピーとか。まじ泣ける。まさにハートブレイキング。彼の謙虚さがそれに拍車をかける。

ラカゼットというストライカーのしぶとさ

このインタビューを読むと、彼がいかにリヨンで王様だったかがわかる気がする。そしてアーセナルにやってきたらエジルが王様で、サンチェスが王様で、走っても走ってもまるでボールが来ない。彼にとっては、プレミアリーグへの適応というよりは、自分が最重要プレイヤーではない新チームへの適応のほうがもっと大変だったのではないだろうか。

デヴューシーズンのラカゼットを総括すれば、いい序盤、悪い中盤、いい終盤があったといえる。

とくに手術後の終盤にフォームを取り戻すまでは、彼が何度ディフェンスラインの裏を狙ってランを繰り返しても、チームメイトに見逃されがちで、とても彼がチームのなかで活きているようには見えなかった。そんなことはきっとリヨンでは考えられなかったんだろう。

これはチームの問題でもあるし、彼の問題でもあった。その後、ついにはチームのプレイスタイルへの「適応」がカギだとラカゼット自身が成功の極意を発見し、才能の片鱗を見せ始めるという。いいね。

シーズンの中頃は膝の怪我もあり、ファンの期待に反してまたたく間にスランプに陥ってしまったのはかわいそうだった。ノースロンドンダービー、アウェイで試合終了間際にビッグチャンスを逃して戦犯扱い、そして怪我が発覚し手術で離脱と、明らかにあそこが彼のシーズンでどん底にいた瞬間だった。ぼくは彼があのままフェードアウトしてしまうんじゃないかとすら思った。

自信をつけることに失敗しどんどん悪循環に陥っていくというニューカマーにありがちなスランプではあったが、彼が非凡なのはちゃんと最後には帳尻を合わせてきたことだ。

手術からの復帰後、とくにオバメヤンとのコンビネーションがうまくいったことは、アーセナルにとってももっけの幸いだとしかいいようがない。ヴェンゲル監督は彼らの活躍を見て「予想どおり」とニヤリ笑ったかもしれないが、ぼくにいわせればあれはまぐれ当たりだ。

しかしそれがなんだというのか。2000%結果オーライである。

オバメヤン+ラカゼットの破壊力。来シーズンに期待

オバメヤンとの共存に対する不安は杞憂だった。

ボックス内ストライカーというキャラが丸かぶりの彼らふたりが、2トップでもない同時起用でここまで成功するとは誰も予想していなかったと思う。歯車が噛み合うというたとえがぴったり。

そして、これはアーセナルの来シーズンあるいはその後においても決定的に重要であるはずだ。当初は多くの疑問が投げかけられた大枚はたいて補強したビッグストライカーふたりが失敗どころか大成功なんて、ほとんど大逆転みたいなものである。

もし彼らが今季終盤のフォームを維持して来シーズンに入っていこうものなら、本当にふたりで40点くらいはあっさり取ってしまいそうだ。それくらいの破壊力はあった。

ラカゼット、オバメヤン、エジル、ミキタリアン、そしてラムジー。彼らがリーグ屈指のアタッキングユニットになる可能性も夢じゃない。なんてこった。シーズン前でしかも補強の前だというのにこんなに期待が膨らむなんて。

ワールドカップ2018・仏スクワッド落選

彼がワールドカップ出場を逃したことについても。

インタビューを読む限り、ワールドカップでプレイできると恐らく信じていたであろうラカゼットには本当に残念で、ジャックの落選と合わせて、ぼくもワールドカップを観る楽しみが減ったのが悲しい。

しかしながら、ここ数年のフランスはスコッドの充実ぶりが著しく(とくに中盤)、この23人に入るには相当な激戦があったのも事実である。アーセナルで終盤は持ち直したとはいえ、怪我で不調の時期がしばらく続いたことはダメージとなった。

改めて2018ワールドカップロシアのフランススクワッドのフォワードを確認すると、

  • Kylian Mbappe
  • Olivier Giroud
  • Antoine Griezmann
  • Ousmane Dembele
  • Florian Thauvin
  • Thomas Lemar
  • Nabil Fekir

となる。世界一強いレアル・マドリッドのFWベンゼマも落選である。まあ彼の場合別の理由があるみたいだけど……

このなかの誰かと替えてラカゼットを選ぶのは、きっと日本代表に中島翔哉を選ぶくらい難しかったんだろう(難しさが伝わらない)。

ジルーがこのなかで彼にしかできない仕事があるのと比べて、ラカゼットにしかできないことは何かと考えると、ほかの選手たちとの組み合わせ的にも彼はなかなか選びづらかったのかもしれない。当たり前ながら優秀な選手を上から順に選んでいくわけじゃない。残念だが致し方ない。

しかし、選手本人には気の毒ながら、われわれにとって選手がワールドカップで消耗せずに新シーズンを迎えられるというメリットは小さくない。

アーセナルのファーストチームでワールドカップを戦うのは、エジル、イウォビ、ウェルベック、エルネニー、ジャカ、ムスタフィにオスピナ。しかも大会に長くとどまりそうな本命のチームに属しているのはエジルとムスタフィだけ。その他多くのメインメンたちが来季に備え、ゆっくりリラックスしてシーズンオフのバケーションを楽しめる。それもまた素晴らしいではないか。

ラカゼットにもジャックにもこれをバネにしてこれからの活躍を期待したい。やつらの見る目がないってことを証明しないと。

ということで、ラカゼットのインタビューをお届け。

ぼくは来シーズンの彼にはかなり期待してる。

おまけ

おれたちの元ボス、ヴェンゲルさんがワールドカップではbeIN SPORTSのパンディットを務める模様。アーセナルを辞めてからの初仕事になるとか。

Arsene Wenger back in work just weeks after leaving Arsenal… as he’s announced as World Cup pundit for beIN Sports

どっかで観られるといいなと思いつつ、よく考えたらおれフランス語全然わかんなかった。



4 Comments on “【ワールドカップ】ラカゼットのフランス代表落選前のインタビュー【2018ロシア】

  1. ラカゼットの代表落ちはとても残念でした。
    しかし来シーズンは豪華な攻撃陣をどう並べて戦うのかが今から楽しみです。
    ムスタフィも代表落ちしちゃいましたね。

    1. ありゃ。ムスティもダメでしたか。あのパフォーマンスじゃしょうがないっすね。

        1. あらほんとだ。これはもしかして最大のサプライズ……

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