ジダンの突然の辞任には驚いた。しかしいいときに辞めるというのもひとつの辞め方よな。
さて、そしていまヨーロッパフットボール世界ではレアル・マドリッドの次のマネージャーがいったい誰になるのか、後任についての議論が非常に盛り上がっている。
そんななかで、われわれアーセナルサポーターにとっても他人事じゃないのは、なんと元ボスのアーセン・ヴェンゲル氏が次期マドリッド監督の有力候補に挙げられているからである。えー。日本に来るんじゃなかったのかよ!!!
ヴェンゲル氏とレアル・マドリッドの関係
今回この件でヴェンゲル氏とマドリッドの関係が改めて注目されている。
昨日のSKY SPORTSの記事を引用しよう。
Arsene Wenger tells suitors: I need to be tested
アーセン・ヴェンゲルはかつてレアル・マドリッドから複数回のオファーを断っていたことを明かし、次の仕事については「テスト」されるものでありたいと話している。
この68才のフランス人は、アーセナルでの22年間を終えたあともマネージャーとしてのキャリアを続けたいという気持ちをすでに表明している。
ヴェンゲルは想像以上に多くのオファーを受けているというが、イージーなオプションは選ぶつもりはないという。
「またテストされるなんてエキサイティンじゃないか。それこそがわたしが人生でもう一度ほしかったものだよ。わたしという人間は基本的に、つねに試されるべきコンペティター(競争者)なんだ」
「いま何が起こっているのか完全には理解していないよ。でもいまは真っ白なページを前にしているし、次のチャプターを書かなければならない」
「レアル・マドリッドのオファーは、たしか2回か3回は断ったことがあると思うよ。彼らはわたしが子どもの頃好きだったチームのひとつだ」
「そのオファーがあったときはアーセナルFCにとってとてもセンシティブな時期でね。われわれがエミレーツ・ステイディアムを建てるとき、銀行から5年は辞めるなといわれた。最初のオファーはたしかその5年以内だったんだ。だからそのオファーは受けられなかった。クラブを裏切ることになるしね」
やっぱりオファーはほんとにあったんだなあ。
ちなみに今世紀に入ってからの歴代のレアルの監督を並べると、以下のような顔ぶれになる。(Wikipediaより)
ビセンテ・デル・ボスケ | スペイン | 1999.11-2003.6 |
カルロス・ケイロス | ポルトガル | 2003.6-2004.5 |
ホセ・アントニオ・カマーチョ | スペイン | 2004.5-2004.9 |
マリアノ・ガルシア・レモン | スペイン | 2004.9-2004.11 |
ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ | ブラジル | 2004.12-2005.12 |
フアン・ラモン・ロペス・カロ | スペイン | 2005.12-2006.6 |
ファビオ・カペッロ | イタリア | 2006.7-2007.6 |
ベルント・シュスター | ドイツ | 2007.7-2008.12 |
ファンデ・ラモス | スペイン | 2008.12-2009.6 |
マヌエル・ペレグリーニ | チリ | 2009.6-2010.5 |
ジョゼ・モウリーニョ | ポルトガル | 2010.5-2013.5 |
カルロ・アンチェロッティ | イタリア | 2013.6-2015.5 |
ラファエル・ベニテス | スペイン | 2015.6-2016.1 |
ジネディーヌ・ジダン | フランス | 2016.1-2018.5 |
うーん。アンチェロッティにベニーテス。その並びならヴェンゲルでも納得感はあるか。
2009年のテレグラフの記事では、フロレンティーノ・ペレス会長がフアンデ・ラモスの後任にヴェンゲルを推していたことを認めている。
Arsenal’s Arsene Wenger had talks with Florentino Perez regarding Real Madrid job
ペレス:わたしたちは彼のことが大好きでね。彼ともたくさん話したよ。
でも彼はアーセナルでのいまのプロジェクトにとても責任を感じているようだ。彼が手塩にかけたクラブから離れたがらなかったよ。
ヴェンゲル氏はマドリッドのオファーを受けるか
これはどちらも考えられる。
受けない理由:リスクが高い/成功の可能性が低い
まず受けない理由としては、どんなに素晴らしいマネージャーでももうこれ以上レアルを進歩させるのは大変に困難だからだ。
今季ラ・リーガのタイトルこそ逃したとはいえ、CLを史上初3連覇するようなチームの「成功」のハードルは世界一高い。来季のマドリッドの目標は当然リーグ制覇とヨーロッパ制覇だろう。アーセナルのリーグ4位に入ればひとまず成功などといわれるような生ぬるい環境とは次元が違う。
また金も使い放題だ。銀河系を抱えてプアなスクワッドだから勝てなかったなんていい訳は一切できない。120をかけて100を目指すというやり方は、ヴェンゲル氏がアーセナルでやってきた50で70を目指すみたいなこととはほとんど正反対のアプローチであり、果たしていきなりそのような環境で結果を残せるだろうか。
つまりヴェンゲル氏にとって限りなくリスクが高い。チャレンジングすぎる。ここで失敗の烙印を押されるようなら、自身のキャリアに大きな傷をつけるだろう。
受ける理由:チャレンジしたい/攻撃フットボール
このチャレンジングな仕事を請けるとしたら。これはもう野心しかない。いまだにみなぎっている。ビンビンである。
ヴェンゲル氏はこのSKYの記事(beIN Sportsのインタビュー)でも述べられていたように、まだまだ競争の世界に身を置きたい、トップレベルの環境でマネージャーをやりたいと考えている。「もし失敗したら」というリスクを考慮しなければ、世界一のクラブからのオファーは願ってもないものだとは思う。
もっとも「もし失敗したら」というリスクを案じているくらいなら、ヴェンゲルがマネージャーをやる現実味があるもっとレベルの低いクラブ(たとえばモナコとか)での失敗のほうがダメージが大きいかもしれない。
それにアプローチは違えど、クラブの野心はヴェンゲルを大きくサポートするものでもある。湯水のように金を使えるし、チームにはすでに世界最高峰の選手たちが揃っている。守備だって盤石だ。自分が本当にやりたかったフットボールを実現できるとヴェンゲル氏が考えてもおかしくはない。世界最高のチームを率いるのはどの監督にとっても夢であることに違いない。
そしてもちろんレアルといえば、アタッキング・フットボールを標榜する世界でもっとも有名なチームのひとつだ。ただ勝つだけじゃ誰も満足しない。カペッロとかいうしょぼいフットボールしかできないような監督は即解任である。望むところじゃないか。フットボールは芸術であるべきと考えるマネージャーとの相性はたしかにいい。
レアル・マドリッド、次期マネージャーオッズ
SKY BET6/1時点でのオッズ。
https://m.skybet.com/football/manager-specials/event/21775248
おうふ。トップである。就活中だしな。
AWとせっているのは誰あろうポッチェティーノ。ポッチェティーノが取られたらToTは悪夢だろうなあ。新スタお披露目シーズンで。契約更新したばかりなのに。笑える。
3番めにいるグティはあのグティで、現在はユースチームのマネージャーをやっているようだ。
以上。
ヴェンゲルさんがほんとにマドリーの監督をやるなんてことになったらまた週末に観なきゃいけない試合が増えちゃうなあ。
PS
このタイミングで。
Real Madrid v Arsenal Legends LIVE stream
ここ数年だったらアーセナルの方が金使ってんじゃないの?
たしかに。湯水のように使うって表現はおかしいか。
調べたらここ2シーズンのRMはアーセナルの1/3くらいしか使ってないな。
でもそんだけそもそもの戦力が充実してるって話でもある。
TransferMarktのスクワッドバリューだと
アーセナルがこんだけ散財して補強してまだ472Mポンドに対して
RMは857M ポンドとそれでも倍近い。
こんにちは。
ジダン辞任には驚きましたが、そんな時にちょうど無職なヴェンゲル(笑)
もしホントにレアル率いちゃって、さらにCL獲っちゃったりしたら、アーセナルとしては複雑ですね。結局金があって良い選手がいれば勝てるってことになっちゃうんで。
ビッグイヤー掲げるボスも見てみたいですけど…
こんにちは。
ぼくはヴェンゲルさんがビッグイヤーを掲げるところは見たいっすね。
アーセナルとRMじゃ全然環境もちがいますし。悔しくもならない。はず。。