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アーセナルのスクワッド管理2018夏

おととい獲得の公式発表があったマテゥ・ゲンドゥージィ(Matteo Guendouzi)で、すでに今夏は5人の補強となった。

これで現在のアーセナルのファーストチームには32人がいることに。

プレミアリーグもヨーロッパリーグも登録できるスコッド人数は25人ということで、誰もがプレミアリーグでの出場を望むなか、この現状のスクワッド・サイズはチームが抱えるには大きすぎるものだ。

32人のうちタクマ・アサノがドイツのハノーファーへローンに出ることが決まっている以外では、当落線上にいる選手たちの去就はまだ決まっていない。

しかしこの夏、確実にこのうちの何人かはローンあるいは放出となるはずだ。誰がその対象となるのか。

また今年アカデミーからファーストチーム入りする選手もいるかもしれない。

現在のアーセナルにとっての重要度、エメリにとっての重要度、それと残り契約年数から、どの選手が来シーズンには新天地を求めるのか、また誰がユースからファーストチームに上がってくるのか、占ってみたい。



アーセナル・ファーストチーム32人の顔ぶれ(2018.7.12現在)

意外にも公式サイトがページを最新に更新していた。

このなかで、ローンが決まっているアサノとワールドカップに出場していたジョエル・キャンベルだけが、スコッドナンバーを与えられていない。

※キャンベルは今年の6月末で契約が切れているはずだが(TMでもカレントコントラクトの欄がブランク)、いまだに公式サイトに名前が載っているし、ワールドカップ期間中も公式がガナーのひとりとしてコスタリカでの活躍を伝えていた。どういう状況なのか、詳細は不明である。

残り契約年数

https://www.transfermarkt.co.uk/arsenal-fc/kader/verein/11/saison_id/2018

TMでアーセナルのスクオッドについて契約が切れるタイミングをまとめて確認できる。契約したばかりのソクラティスとチェンバースなどがブランクになっている理由はわからない。単に更新が間に合っていないだけだと思うので気にしないでおこう。

気になるのは、契約が終わりそうな面々である。

このなかで、2019年6月に契約が切れる(今夏で残り契約1年となる)選手が以下の6人である。

  • アーロン・ラムジー
  • ダニー・ウェルベック
  • ナチョ・モンレアル
  • ペトル・チェフ
  • ステファン・リヒトシュタイナー
  • チュバ・アクポン

昨シーズン、契約更新をしぶるエジルとサンチェスを、残り契約1年を切ってもフリー移籍のリスクを覚悟でチームに残すというウルトラCをやってのけたアーセナルながら、ふつうに考えてあまりにも大きなギャンブルであった。ヴェンゲルさんの最後のわがままだったかもしれない。

いまもっとも注目されているのは、来シーズンのチーム・キャプテン候補といわれるラムジーだ。が、もし彼が新契約を受け入れないことがわかれば、アーセナルはいそいで彼の放出先を探し、またその代役を確保しなければならない。とくに代役の確保について考えれば、その決断は早ければ早いほどいい。

アーセナルもラムジーに関心のある他のクラブも、いまのところ彼がアーセナルとの契約を更新しないとは誰も想像していないかもしれないが、何が起こるかわからないのがこの世界である。

誰が来季アーセナルを去るのか?

GK

オスピナの退団が濃厚だ。過去数シーズンに渡ってずっと退団が有力視されてきたが、ベルント・レノの獲得は決定打だろう。彼の加入でまた一歩ファーストが遠のいたわけで。

本人もワールドカップが終わってから去就を考えると語っており、今夏での退団はほとんど間違いないだろう(毎年いってんなこれ)。

彼にはトルコのいくつかのクラブやボカ・ジュニアーズから関心が伝えられているが、本人はヨーロッパでキャリアを続けたいという意向があるようだ。

来シーズンは、ファーストがレノ、セカンドがチェフ、サードがマルティネスという布陣になるか。

一時はナポリからの関心が伝えられたチェフについては、あくまでもアーセナルでレノとファーストを争うとコメントしている。彼も残り契約1年でアーセナルが今後どのように彼を扱うのか気になるところだ。

来年のフリー移籍を防ぐために短期で契約を延長するのか、あるいは36才という年齢を考えればそのまま引退ということも考えられる。アーセナルとして美しいシナリオは契約満了かつクラブにコーチとして残るというものだが。

DF

カール・ジェンキンソンことジェンコの退団が濃厚だ。

彼はローン先のバーミンガムではブラモールとともにレギュラーに定着することができず、不本意なシーズンを過ごしてしまった。そして、今夏RBのリヒトシュタイナーを獲得したことは、彼にとっては最後通告となった。

リヒトシュタイナーを獲得したことで、フルバックは、RB、LBともにふたりがポジションを争うという健全な人数になった。ドビュッシーの退団以来、ベレリンのバックアップを獲得できたことは大きい。

モンレアルが残り契約1年で、レアル・ソシエダからの興味が伝えられている。

32才という年齢を考えればまともな移籍金を期待できる最後のタイミングかもしれない。だが、彼はこの夏ワールドカップメンバーに選ばれたり、もちろん昨シーズンのアーセナルでの活躍ぶりを見れば、年齢に不相応なほどのパフォーマンスを見せており、チームのなかでもっともいいシーズンを過ごした選手のひとりである。本人がスペイン移籍を望むようなことがなければ多くのファンが彼の契約延長を望むだろう。

問題はCBで、エメリがバック3を好んで使うコーチでもないこともあり、ふたつの席を争うには現状では少し人数が多すぎる。コシエルニが冬に戻るまでは実質5人で、3人が控えになる。

  • ソクラティス
  • (コシエルニ)
  • ホールディング
  • ムスタフィ
  • チェンバース
  • マヴロパノス

いま、ユヴェントスがムスタフィの獲得を望んでいるといわれ、あらためて彼の去就が注目されている。

弾数的には、ムスタフィが抜けるとちょうどいいくらいだが、ただし彼はこのなかではPLのトップレベルの経験を持った唯一のシニア選手であり、経験あるソクラティスを獲得したとはいえ、現時点で彼を放出するのは非常にリスクが高い。少なくともソクラティスや彼とコンビを組むほかの選手の様子を見るはずで、今夏の放出はないのではないか。

ムスタフィはステイで、ホールディングあるいはマヴロパノスが経験を積むためにローンに出るというのがリアリティがありそうだ。

MF

MFだけでなく現状のアーセナル最大の懸案がアーロン・ラムジーの去就である。

来年で契約が切れる選手のなかでは、おそらくダントツで市場価値の高い選手が彼である。現在27才でフットボーラーとしてピークにおり、経験・実績ともに申し分ないことはいうまでもない。

昨シーズンに残り契約1年のオックスレイド・チェンバレンが40Mポンドで売れたということは、いま彼を売ればそれに近い金額は当然見込まれる。

それでもアーセナルも彼の残留を望んでいるといわれているが、いまだ契約更新の報せが来ないのはやはり条件面でのすり合わせが続けられているということだろうか。

いずれにせよ、アーセナルはフリー移籍のリスクを犯してまで彼を留めることはしないだろう。もちろん最悪のケースを考えて水面下では彼の代役も探しているはずだ。しかし、代役にも代役がいなければ相手クラブが手放すことはできないはずで、これはもう時間との戦いである。さっさと決着してほしいものだ。

現状のMFの顔ぶれのなかで、当落線上にいる選手は強いていえばジェフ・レイヌ・アドレイドことザ・ジェフだろうか。層の厚いアーセナルのMFで彼こそはプリシーズンでエメリにアピールをしなければならない立場かもしれない。

FW

ジョエル・キャンベルアクポンは放出の可能性が高い。

キャンベルはワールドカップでのいくらかよいプレイを見せていたものの、残念ながらアーセナルのFWとして定着できるレベルではなかった。

またアクポンも17/18シーズンは1月からのローンでベルギーに活躍の場を求めたものの、FWとして誰もが驚くような結果を残すことはできなかった(16試合G6A1)。彼もまたすでに22才(今年23才)で期待の若手としては時間切れかもしれない。

アクポンはベルギーのクラブからの関心もあり、契約を1年残していることから今夏売却でいくらかの移籍金を残していくことだろう。

ルーカス・ペレスはこれまでのアーセナルで冷遇されてきた経緯を鑑みれば当然放出対象と思われていたが、ウナイ・エメリがヘッドコーチに就任したことで一転して、アーセナルでのキャリア継続を望んでいるという。

FWで気になるのは、ダニー・ウェルベックの去就だ。

彼は今回ワールドカップメンバーに選ばれながら、結局セミファイナルまで1試合しかもたった11分の出場にとどまった。

彼も残り契約が1年になるが、現在のアーセナルのスコッドのなかで自分が絶対のレギュラーであるとは当然認識していないはずだ。

アーセナルにとってハードワークをいとわないウェルベックは素晴らしいバックアップメンバーだが、契約更新を望むなら、27才と年齢的にピークにあるウェルベックをサブで納得させるだけのオファーを出せるかどうか。

もちろんアーセナルはホーム・グロウンでもある彼の慰留に努めるだろうが、ジャック同様、自分のフットボーラーとしての将来を考えた彼がもし契約延長を拒否したとしても驚きはない。

トップクラブでレギュラーを取れるかどうかは微妙だが、プレミアリーグの中位クラブでレギュラーでプレイできるくらいのクオリティはある。要するにアーセナルで契約更新するかどうかは彼の野心次第である。

ユースからファーストチームに上がる選手

これは少し難しい。今回ファーストチームのプリシーズントレイニングに帯同している若手を見ても、現状のファーストチーマーを退けてまで入ってこれるような選手は限られているからだ。

  • エミル・スミス・ロウ(AM)
  • ジョルディ・オセイ・トゥトゥ(RB)
  • リース・ネルソン(AM)
  • ジョー・ウィロック(CM)
  • エディ・エンケティア(FW)
  • マット・メイシー(GK)

強いていえば、このなかではネルソンエンケティアが一歩抜きん出ているが、彼らをカップ戦要員でチームにとどめておいていいのかどうか。

現状のファーストチームの充実ぶりを見れば、これまでのアーセナルのユース・プロスペクトたちが歩んできた道のとおり、ネルソンかエンケティアのどちらかはローンでトップレベルの経験を積ませるのではないだろうか。

25人をまとめてみよう

プレミアリーグの登録25人を仮に埋めてみよう。

GK(3人)

  • レノ
  • チェフ
  • マルティネス

DF(8人)

  • ムスタフィ
  • ソクラティス
  • チェンバース
  • ホールディング
  • モンレアル
  • コラシナツ
  • ベレリン
  • リヒトシュタイナー

MF(9人)

  • エジル
  • ラムジー
  • ジャカ
  • トレイラ
  • ミキタリアン
  • エルネニー
  • AMN
  • JRA
  • ゲンドゥージ

FW(5人)

  • ラカゼット
  • オバメヤン
  • ウェルベック
  • イウォビ
  • ルーカス・ペレス

これで25人。エンケティアやネルソンの入る余地はなかった。

ここでユース選手と入れ替わる余地があるとすると、やはりJRAやゲンドゥージのあたりだろうか。

ゲンドゥージはファーストシーズンでカップ戦要員となるだろうことが濃厚だし、JRAはまだアーセナルで確固とした立場を確立したとはいえない。

まとめ:アーセナルの夏の補強は終わった

ここで確実にいえそうなことは、今夏の補強はほぼ終わったということである。

いまも毎日のように誰かしらアーセナルが取るのではないかとメディアを騒がせているが、これ以上誰かを取るということはここにいる誰かが外れるということだ。

アーセナルは伝統的に若い選手にチャンスを与えるクラブだし、こうして眺めてみればみるほど、それが起こりそうな気がしない。

ラムジーを売ってディバラを取るとかなったらそりゃあアリだけど、天地がひっくり返るよね。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

11 Comments on “アーセナルのスクワッド管理2018夏

    1. そうですね!

      でも、ものすごい「高待遇」だったりするとそれはそれで複雑っすね。

      高待遇がなければ引き止められないクラブって。。

  1. ネルソン君とかはU21だから、25人枠に登録しなくてもPLには出れるんじゃないですかね?
    まぁ、残ってもそんなに出番はないだろうからローンで試合経験を積んでくれる方がいいと思いますが…

    1. 単に都度登録みたいな感じ(ネルソンが入るなら誰か外れる)だと思ってたんですが違うんスかね。

      そのへんのレギュレーションて詳しくないんですが、EPLのサイトとかに書いてあるのかな?

  2. U21は枠関係ないっすね~~ 
    数年前とかU21の選手大量にいれてたから枠16、7人のときとかもありましたし
    まあもちろん試合ごとのベンチメンバーまで含めた人数は登録枠ありますよ~~

    GKはマルティネスがさすがに残ってくれなそうな気がするけどな~~ 
    DFはエメリが若手3人衆をどう評価するのか気になりますね~ 
    チャンバースが一個ぬけてそうだけど、はてさて? 3人全員に不満あればソユンクあたりにいくかもだし。
    MFはラムジーが残らなくてもトレイラ(底)エジルorムヒタリアン +ジャカ (前)
    ここにエルネニー、イウォビ、ナイルズと一応の面子はいるという。。
    ラムジーを高額契約で残しても優先的に起用!までいかなそうな感じで。。
    まあラムジー怪我するから、ちょうどよさそうだけど。。

    FWはウェルベックが残るのかルーカスペレスが残るのか。。
    もしかしてラムジーかウェルベックの2択みたいになってたりして?

    1. こんばんは。

      うーんどうもぼくは「登録」ってことの意味が根本的にわかってないですね。

      EPL公式サイトに17/18のEPLクラブのスクワッドというのがあるんですが、これを見るとシニア選手25人とU-21選手がずらっと並んでますと。
      https://www.premierleague.com/news/465277

      ぼくのイメージでは、

      まずシーズン最初にそのリストをFAに提出してそれが登録選手になる。
      怪我で選手が離脱したりしたときには、登録選手の変更が可能。
      U-21の選手も試合に出るにはこのシニア25人枠に含まれる(←これが間違いか?)

  3. あってますよ~~
    シーズン開始(期限ある)のときに提出するスカッド登録が25人
    そのときにU21の選手も同様に登録する(ようはトップチームで出場する機会ありそうな選手みんな登録しとく)
    ただ、U21の選手は数字として25人とは関係ない別口のはなし~

    >>Under-21 players are eligible over and above the limit of 25 players per squad.
    >>Each club squad list is below as well as an additional list of each club’s registered Under-21 players who are eligible over and above the squad limit of 25 players

    ↑上記に書いてあるadditional list ってのがU21の別口枠ですね

    以前からの記憶によるもので、特に変更なければこんな感じですね

  4. ようは
    25人の登録枠+U21の登録枠→そこから毎試合ベンチ入り含む18人選出→先発11人

    ってことですね
    連投失礼しました~~

  5. U21の選手は25人枠とは別口です。
    ただ25人枠の内、8人はホームグロウンである必要があるので、U21以外の選手で8人に足りない場合はU21の選手を25人枠にあえて登録することもあると思います。
    最新のレギュレーションを確認してないので間違ってたらごめんなさい。

  6. ↑これってよくある勘違いなんですけど、
    正式には非ホームグロウン枠17人+ホームグロウン枠8人=25人 っていう数式なんで
    ホームグロウンが足りなくてもU21をホームグロウン枠として追加登録することはありえないんですよね。ホームグロウン枠を埋めなければ罰則ということはないですんで。
    足りなければそのまま。

    じゃあ強引に埋めてたのはなにか?っていうと
    CLなどのUEFA管轄のやつでの自国育成選手、ならびに自クラブ育成選手の奴ですね。
    その場合に対してこちら側での枠が足りなければU21の選手を登録したりしてましたね。
    Aリスト、Bリストで重複してたのが記憶にあります

  7. みなさま詳しいっすね。。
    φ(..)メモメモ

    この辺のレギュレーションがまとまってる資料(FAとかUEFA)ってあるんですかね?

    ぼくも含めてわかってない人もけっこういそうなんで、ひとつブログネタになりそうだなと。

    あとで調べてみます。みなさまありがとう。

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