バルサFWのウスマン・デンベレの移籍の噂が加熱している。
なかでも移籍先として注目されているのがわれらがアーセナルFCである。
昨シーズンに世界最強バルセロナがドルトムントから115Mユーロとか135Mポンド(日本円で150~200億円くらい)とかいわれる大金で買った21才のヤングプロスペクトを、ワールドカップ優勝メンバーを、シブチンのアーセナルが買えるわけない。そんなの当たり前じゃないか。
でもいま、ちまたではアーセナルが彼を獲得するという噂がまことしやかに囁かれていて、少なくともバルセロナの監督がプレス会見で突っ込まれるくらいまでに話しが大きくなってしまっている。
なぜ、ここまでこのゴシップが盛り上がっているのか。そこにはこの話しを単なる与太話では片付けたくないグーナーのファン心理をくすぐるようなさまざまな理由があった。
ざっくりとまとめてみよう。
アーセナルにとって理想のウインガー、ウスマン・デンベレ
まず大前提として、今夏積極的な補強を見せたアーセナルながら、移籍市場が閉まるまでにあと1人か2人をさらに補強する意向があることはエメリも認めている。
そして、そのうちのひとりは「足の速いダイレクトウインガー」だといわれている。
このブログでも何度も言及しているように、チェンバレンやウォルコット、サンチェスといった選手が退団したアーセナルでは、このサイドで輝くタイプの攻撃的な選手が圧倒的に不足しているという事実がある。
(そもそもそういったタイプの選手がほんとうにアーセナルに必要なのかという議論もあるが、トップ6にも「ウインガー的」選手のいないチームが存在しないことを考えると(存在しないどころかほとんどのチームで攻撃のキーマンですらある)、アーセナルにそういったタイプの選手が必要ないとはいえないだろう)
今夏の移籍市場で注目されているこの手の選手としてはマンUのマルシャルやクリスタル・パレスのザハなどがいるが、デンベレもまさにアーセナルにとっては理想のウインガーのひとりといえる。移籍金さえ考えなければ、アーセナルがこの若いフランス人アタッカーにとりわけ興味を示したとしてもおかしくはない。
なおアーセナルはすでにバルセロナとデンベレの移籍について交渉中という噂もある。
Arsenal transfer news: Barcelona contacted over Ousmane Dembele deal – Kike Marin
El alemán Sven Mislintat tiene en el @Arsenal a tres ex jugadores del @BVB Aubameyang, Sokratis y Mkhitaryan. Si Dembelé, enfadado, quiere salir del Barça tras el fichaje de Malcom, es lógico que piense en una cesión al #Arsenal y Mislintant ya se la planteó al Barça antes. pic.twitter.com/IADRSunXGq
— Kike Marin** (@Kike_Marin_) 2018年7月25日
スヴェン・ミズリンタットはすでに3人の元BVBプレイヤーを獲得している。もしデンベレがマルコムの獲得に怒ってバルセロナを去りたいとなったら、彼をアーセナルに連れてこようとするのも不思議ではない。彼をバルセロナに移籍させたのもミズリンタットである。
では、アーセナルがデンベレを獲得するかもしれない根拠について、ひとつづつ確かめてみよう。
根拠1:バルセロナにおけるデンベレの重要度が低下?
バルセロナがデンベレを手放すなんて、獲得時の巨額の移籍金や獲得したタイミング(つい去年)を思えばありえない話だ。
ところが、バルセロナは先日アーセナルとの噂もあったボルドーのウインガー、マルコムを36Mポンドで獲得。マルコムは右サイドの選手であるがゆえにデンベレと直接競合する選手だ。なぜバルセロナはデンベレを取ったばかりだというのにさらにマルコムを取ったのか。
(余談ながら、アーセナルがマルコム獲得を止めたのは本人の素行に問題ありとの判断だったそうだから、そう考えるといかにも「チームの和」を大切にするいかにもアーセナルらしい判断だった)
それは彼の昨シーズンの出場時間にヒントがあるかもしれない。
バルセロナにおける初年の17/18シーズン、ラ・リーガでは17試合で930分の出場にとどまった。930分ということは、およそ10試合分ほどである。
インジャリーヒストリーをみると、怪我も大きく影響しているようだが(計4ヶ月程度の離脱期間)、それにしても17試合(サブからの出場が5試合)で平均出場時間が60分を下回るということは、ポジションを獲得したとはいいにくい。競争の激しいバルセロナとはいえ、この実績は鳴り物入りで入団した選手としてはいかにも物足りないものだ。
そしてマルコムである。
Malcom vs Ousmane Dembele
Who would you rather see start for Barcelona next season?
Read @BenMcAleer1‘s article on the duo now — https://t.co/uKqMJn6MHO pic.twitter.com/UL5HfQzKRQ
— WhoScored.com (@WhoScored) 2018年7月27日
ワールドカップを戦っているあいだに、クラブが自分のポジションに丸かぶりのかなり優秀な選手を連れてきていた。とくにバルセロナで不本意な17/18シーズンを過ごしたデンベレがこのことに気を悪くしてもおかしくはない。クラブから信頼されていないのかと。
なお、このマルコム獲得とデンベレの去就の騒動に関してバルセロナもオフィシャルにコメントしている。
監督のバルベルデ「チーム内に競争がほしかった。それはわれわれが目標を達成するために重要なもので、今シーズンは彼(デンベレ)のシーズンにしてもらいたいと思っている」
SDに就任したアビダル「デンベレには落ち着いてほしい。これからもハードワークしてほしい」
Trotz Malcom-Transfer: Ousmane Dembele bleibt beim FC Barcelona
そうはいっても、同年代の即戦力であるマルコムを獲得したいま、バルセロナにとってはウスマン・デンベレはチームに絶対にいなくてはならない選手ではなくなったと見ることはできる。
もちろん、マルコムとデンベレの両方がチームにいればそれはバルセロナにとっては素晴らしいことだ。
だが、今季も17/18シーズンの状況が改善されなければ、いずれにせよふたたびデンベレの去就が騒がれる未来がやってくるに違いない。
根拠2:デンベレとアーセナルのつながり
じつはデンベレとアーセナルは関係が深い。
デンベレとミズリンタット
ドルトムントがウスマン・デンベレをスタッド・レンヌから獲得したのは2016年1月のことで(移籍金は15Mユーロ)、この取引を成立させたのが、もちろん現在はAFCでリクルート部長を務めるスヴェン・ミズリンタット。
その翌年には彼をバルセロナに100Mユーロを越える移籍金で売却したということで、BVBにもたらされた利益も莫大なものだった。未来のスターを発掘することにかけては超一流というスーパー・スカウトの面目躍如といったところ。
デンベレ本人にとってもBVBからバルセロナへの移籍は大きなステップアップだったに違いない。つまりデンベレにとってミズリンタットは、彼のキャリアにおける恩人だった。うん。そうに違いない。
デンベレとBVBコネクション
元BVBのデンベレは、元BVBのアーセナルの3人、ミキタリアン、オバメヤン、ソクラティスとも友人関係であるといわれている。
ファンのあいだでも、デンベレがアーセナルの選手たちのインスタグラムにしばしばLIKEやコメントがつくことが指摘されており、いまでも彼らの関係は良好であることがうかがえる。
昨日アップしたミキタリアンについてのエントリで、彼が選手をアーセナルに来るように説得したりするというくだりがあった。もしかしたら、すでにデンベレもエイジェント・ミッキーにアーセナルのことを聞かされているかも?
デンベレとフレンチ・コネクション
デンベレとアーセナルといえば、フレンチ・コネクションでもある。アーセナルはイングランドのクラブというよりはフランスのクラブである(暴論)。
インスタでは元BVBメンたちだけでなくラカゼットと絡むことも多い。
そして何より本人にアーセナル・ファンである疑いがある。こちらのワールドカップ期間中のフレンチスクワッドに密着した公式?ビデオ冒頭では、彼が移動中にFM(Football Manager2018)をプレイしている様子が映されている。どうもアーセナルを使っているようだ。
ちなみにとなりに座っているグリーズマンともども、FMをプレイするために車中にわざわざラップトップを持ち込んでいる。後半にもグリーズマンがFMの画面を見せてカメラマンに見せながらアツく語っている。どんだけFMが好きなんだと。。
もともとヴェンゲル監督がフランス人だったことや、アンリ・ピレス・ヴィエラといったアーセナル最強時代の中心選手がフランス人だったことなどもあり、一般的にもフランスでのアーセナル人気は非常に高い。
今年ちょうど20年ぶりにフランスがワールドカップを優勝したということで、20年前にフランスで生まれた20才前後の、アーセナルファンの大人たちに囲まれて育った彼らが、とりわけアーセナルに好感を抱いていたとしても不思議はないじゃないか。
というわけでデンベレはアーセナルに来たいと思っているのである(白目)。
ウスマン・デンベレがこの夏アーセナルに来るとすれば……
デンベレの市場価格はTMによると、現在80Mユーロ。TMだとバルセロナが獲得したときの市場価格も80Mユーロという評価だったようなので、去年バルセロナが115Mユーロ(TM調べ)で獲得したということはかなり割高だったんだろうか。
いずれにせよ去年以降、彼の評価額は上がりも下がりもしていない。
一説によれば、バルセロナがデンベレを手放すとなれば少なくとも90M程度は要求されるとみられている。
この先、ルーカス・ペレスやウェルベックといった選手を売却する可能性があるとはいえ、全体で70Mポンド(いつの間にか世間では50Mが70Mになっている)といわれていた夏の予算は、トレイラ、レノ、ソクラティス、ゲンドゥージなどの獲得でほぼ費やしてしまっている。バルサの要求する移籍金がアーセナルの手が届く範囲にないことは明白である。
したがって、アーセナルがこの夏にデンベレを獲得できるすれば、各所で指摘されているようにローンしかないだろう。
アーセナルが提案するローン条件をバルセロナに飲ませる。これはミッション・インポッシブル。
一縷の望みがあるとすれば、前述したようにデンベレとアーセナルのつながりに期待するか、あるいはミズリンタットのタフ・ネゴシエイション。
それっきゃない(死語)。
まあアーセナルが選手をローンで獲得すること自体も稀だし(誰か来たっけ? ベナユン?)、来るわけないんだよ。来るわけないんだけどさ、来たらうれしいよね。
以上、デンベレがアーセナルに来るという与太話でした。
PS
PCゲーム「Football Manager 2019」の発売日は今年の10月とか11月になるとの噂。