hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Emery, Opinion, Player, Tactics

アーセナルをトップ4クラブに戻すため。エメリがしなければならない5つのこと

アーセナルのオフィシャルパートナーである、BETFAIR。彼らのサイトにあるアーセナル情報をしばらくフォローしていた。今回はなかなか興味深い記事がアップされていたので、紹介したい。

Premier League: Five things Emery should do to turn Arsenal into top four challengers

「エメリがアーセナルをトップ4チャレンジャーにするためにすべき5つのこと」

書いているのはAlex Kebleというスポーツ・ジャーナリスト。彼の意見がわりとファンのマジョリティの希望をよくまとめていて興味深いと思った。もちろん反対意見だってあるだろうが、トレイラやレノを使えなんて意見に反対するひとはあまりいないんじゃないだろうか。



エメリがアーセナルをトップ4チャレンジャーにするためにすべき5つのこと

ウェストハム戦の3-1勝利はドタバタしていた。新シーズンに入って3週間、エメリの戦術的変更についてはまだおっかなびっくりという感じだ。トップ4に入れるクラブになるにはまだ道は遠い。アーセナルのトップ4フィニッシュについて、Betfairの現在のオッズは5/2。

皮肉なのは、エメリの戦術フィロソフィはアーセン・ヴェンゲルとはかなり違うのに、ここまでのパフォーマンスはヴェンゲル時代の最後の数シーズンにとても似ていることだ。オープンにプレイしすぎるし、ファイティング・スピリットのあるチームに対して脆弱すぎる。

エメリがやりたいことは、ハイ・プレッシングにダイレクトで素早いブレイク、ファイナルサードへの縦パスと、グアルディオラというよりはクロップのリヴァプールに近い。しかし、そこにたどり着くには、いくつかの彼のフィロソフィや原理を妥協することと、選手の交代が必要だ。

以下に、アーセナルがトップ4クラブになるための5つのことを挙げてみよう。

1. フルバックの後ろをカヴァーするために、ジャカをトレイラに変える

現時点でもっとも明らかな戦術上の欠陥は、相手にカウンターのためのスペースを与えすぎることだ。両方のフルバックが高く上がり、ウインガーが相手のフルバックとセンターバックの間にあるチャンネルを占領する(そのときフルバックは後ろを気にしない)。そして、残された後ろのCBふたりはハーフウェイラインあたりに陣取るが、グラニト・ジャカはその前をカヴァーしない。

フルバックの一方だけを上げること(いつも2CB+1FBでいること)は、エメリがやりたいことからすると正しい解決とはいえない。エメリの攻撃戦術においてはコンスタントに両フランクから脅威になることがキーになっているから。代わりに、ジャカに替えてルーカス・トレイラを使うべきだ。トレイラはポジショニングの賢さがあるし、ピッチを上下動する脚もある。危険を察知して火消しもできる。ジャカのほとんど正反対だ。

ジャカはターンが遅くて先に危険を察知することは稀だ。だからカウンターアタックを発動した際にはよく捕まってしまう。アーセナルはこのスイス代表をチームからはずすまでは成長曲線を描くことはできないだろう。

2. チェフとミキタリアンをスターティング11からはずす

ヘンリク・ミキタリアンもまた大きな問題だ。彼は不用意に敵の領域をふらふらして、ヘクタ・ベレリンのサポートを怠る。フルバックはもっとも頻繁にファイナルサードに侵入していく必要があるのに。トレイラが右にいればベレリンをサポートできるかもしれないが、エメリはアーロン・ラムジーを右サイドに戻せば利益を得られるかもしれない。

この変化はアーセナルの攻撃にも貢献しうる。エメリがさせたがっているように、ずっとバックからのパスをやろうとしているが、これはショートパスシステムを満たすものではない。アーセナルは相手を前に引き出そうとしており、相手が前がかりになったら彼らの後ろを狙う。エメリのようなカウンタープレッシングをやるマネージャーは高い位置でボールを奪うだけではない。ラムジーが右からボールを受けるためにすぐに顔を出せればプレスの裏をかき、素早く攻撃にシフトできる。それはミキタリアンではできないことだ。

しかし、短いゴールキックはエメリがペトル・チェフを落としてベルント・レノを使うまではうまくいかないだろう。36才がいまさらプレイを変えられるとは期待されていないし、マンシティが昨シーズン証明したように、ゴールキーパーがポゼッションをリサイクルできるようになることには劇的なインパクトがある。配球がよくなると、突然ラムジーとメスト・エジルがスペースで生きるようになるだろう。

3. エジルを中盤の深い位置で使う

開幕戦のシティに2-0で負けた試合、エジルは3MFのひとりとして配置されていた。ヴェンゲル時代でやっていたよりもより深い位置でプレイした。エジルはエメリにとっては深い位置でのプレイメイカーとして理想的で、動きのなかのもっと早いタイミングで鋭いスルーボールを出せる。ピエール・エメリク・オバメヤンのような選手たちのための急速なカウンターアタックを生み出せる。

それ以来エジルはその位置でプレイしていないが、そろそろこの役割でセカンド・チャンスを得るころだ。彼はみんなが思っているよりもハードワーカーで、真ん中にいても喜んでプレスに加わるだろう。それに彼の正確な配球は敵のハイプレッシングを無効化することもできる。

エメリはゴールに向かって徐々に組み立てていくよりは、正確な縦のロングパスを欲している。それはエジルのNo.10ポジションの使い勝手を制限してしまう。深い位置にポジションを変えることで、彼のアーセナルでのキャリアを復活させることができる。

4. ディフェンスラインを10ヤード下げる

SKY SPORTSのMNFで、ギャリー・ネヴィルは、ジェイミー・キャラガーが結果のために深く守ったほうがよいという提案を「わかってない」と切り捨てた。それはつまり、短期間で結果が出ないからといった理由で、エメリは自分のコアになる信念を捨ててはいけないということだ。このふたつの意見の間には、これらを両立できるハッピーな意見がある。

アーセナルのハイラインには明らかに問題がある。センターバックが遅すぎるというだけでなくサポートが欠けている(すでに述べたとおり)。ガナーズのシェイプは圧縮が十分じゃない。なぜなら彼らはチームとしてプレスができていないのに高いディフェンスラインを維持しているからだ。これは誰かの助けなくして実現することはできない。敵が上に浮かせたパスを通す時間がある限りはボールにプレスをかけるべきじゃない。そうでなければ、ラインの圧力は無効化され、チーム全体がトラブルに陥る。

エメリは、たとえラインを下げるのがたったの10ヤード(※約9メートル)だって、彼の原理原則を捨て去りはしないだろう。それがセンターバックにもう少し反応する時間を与えるにしても。そして、敵が敵陣から簡単なランでこちら側に入ってくるのを防げたとしても。

アーセナルの守備の脆さは、エメリが変化をいかにたくさん、いかに早急に行っているかの証である。ちょっとでもこれを緩和するために、選手たちがエメリの戦術に慣れるまではちょっとずつラインを上げていくほうがいい。

5. 新しいレフトバック、センターバック、そしてライトウインガーを探し始める

彼らの問題のすべてを現在いる選手たちで解決できるわけではないかもしれない。アーセナルのファンの多くは、トップ4フィニッシュするには、ライバルの5チームに比べて技術的に劣ったスクワッドであることは認めるだろう。だから、エメリは1月に向けて新しいリクルートを探さなければならない。

最初の数試合が示唆しているのは、アーセナルにはよりダイナミックなレフトバックが必要ということ。ナチョ・モンレアルはそういったシステム上の要求に応えられるほど機動性が十分じゃない。センターバックのペイスはマストで、もしエメリがラムジーを重要なCMだと考えているなら、アーセナルはまた新しい右ウインガーも必要になる。

以上。

ツッコミどころはなくはないが、界隈で指摘されている問題がだいたい含まれているのではないだろうか。

この筆者の希望フォーメーションはこのようになるはずだ。左っかわヤベエな(笑い)。

エジルとゲンドゥージが、シルヴァとKDBみたいになるのだ。やったね!

個人的な雑感

1について(ジャカをトレイラに)

まず、ジャカをトレイラに変える。これは現在かなり多くのファンが熱望していることでもある。

このリーグ3試合で、ゲンドゥージやトレイラといった新加入の、しかもだいぶ若い選手たちのプレイの安定性に比べて、ジャカはとても優れているとはいえないパフォーマンスに終始している。

ジャカについてはこれまで擁護派の意見として、成長途中であるとか、システム(ポジション)自体が合っていないだとか。プレミアリーグへ適応している最中だといった意見が聞かれたが、ゲンドゥージやトレイラがいきなりフィットしていることと比べると、どうしたって使い勝手の悪さが際立ってしまう。

もちろんジャカのストロングポイントはわかっていて、エメリはそれに期待して使い続けているわけだけれど、これ以上フィットするまでに時間がかかるようなら、エルネニーのお株がゲンドゥージにすっかり奪われてしまったように、ジャカのお株をトレイラに奪われてしまいかねないのではないだろうか。

2について(チェフとミキタリアン)

チェフとミキタリアンについてはどうだろう?

まずミキタリアンは、この記事ではフラフラとポジショニングが安定せず、ベレリンのサポートができていないと指摘しているが、そこまで悪かっただろうか。

たしかにウェストハム戦でもプレイは安定しなかったけれど、彼はここまでリーグ3試合で7つのチャンスをつくっており(リーグ1位タイ)、攻撃での貢献を考慮すれば同情の余地はある(少なくともエジルよりはある)。そこはどちらかといえば、本文にも書いてあるとおり、トレイラなど後ろの選手にフォローしてもらいたいところだ。

チェフについては、チェフがどうこうというより、20Mポンド近い大金を使ったGKをベンチに置いておくのは不可解ではある。本人は「いずれチャンスは必ず来る」と殊勝な姿勢でいるようだが、バックからボールを短くつないでいくというコンセプトにこだわるのに、そのために取ったと思われるレノを使わないのはちょっと納得がいかない。ウェストハム戦では、そのコンセプトを諦めてチェフがロングボールを蹴るシーンが何度も見られた。試合の状況に合わせて違うプレイを選択するのは賢い判断ながら、選手の素質と戦術のミスマッチというモヤモヤは残る。

3について(エジルを深い位置で)

エジルについては、いまエメリとの確執(まあガセだと思うけど)が取りざたされていたし、エメリのシステムに本格的に合わないのではないかという議論も熱を帯びている。ふたりが表立っていい合いになったとは思えないが、エメリがエジルの現状のハードワークを認めつつ、彼により多くのハードワークを求めているというのはたしかだ。

ところで、最近興味深かったエジル論としては、トニー・アダムスの「エジルはケーキのお飾りみたいな選手だが、アーセナルにはそもそもケーキがない」(The Sun)と、「エジルの最大の問題は彼がアーセナルにとって良すぎる選手だということ」(The Goal日本語版あり)。ここでは奇しくも似たような指摘がされていて、おおまかにいうと、どちらも、エジルがポテンシャルを発揮できない、あるいはエジルがトッププレイヤーとしてチームを勝たせることができないのは彼のせいではなく、アーセナルの環境、ほかの選手たちのクオリティやパーソナリティのためだという。バスケットボールとフットボールの違いで論じた後者は一読の価値あり。

しかし、そもそもエジルのような選手に、ほかの選手たちと同じレベルでプレッシングや味方のサポートなどのハードワークを求めることが正しいかどうかも、議論の余地がある。選手にはそれぞれ得意分野があり長所がある。90分ハイインテンシティでハイプレスを求めるというのなら、エジルよりシンジ・オカザキのほうが絶対優れいている。エジルの長所を最大限伸ばそうとしたときに、プレッシングをやりたいエメリのシステムのなかでは非常に扱いが難しい。ファイナルサードでの自由が保証されたヴェンゲル時代のほうがまだ問題が少なかった。

そのような議論のなかで、エジルを、より守備での貢献が要求される3MFの一角に入れるというアイディアは果たして有効なのか。

アタッカーで使っていた選手をMFで使い成功した事例では、まっさきにサンティ・カソルラが思い起こされるが、カソルラのリンクマンやゲームメイカーとしての能力、ボールキープ能力はそれはもうハンパじゃなかった。アルテタだって深い位置に仕事場を移しても輝けたのは、もともと適正があったからこそ。

エジルにそのような役割がまるで務まらないとはいわないが、深い位置からのゲームメイキングならジャカのほうが上手だろう。広く知られているエジルの最大の持ち味はといえば、いうまでもなくフィニッシュをお膳立てすることで、ゲーム全体の大局を見てチームを司令することではないのだから。

とはいえ、カソルラやピルロの例を出すまでもなく、パスの上手な選手が加齢にともなってポジションを下げるということは往々にしてある。現在29才のエジルのキャリアパスを考えると、年齢的にはポジションを下げて新境地を拓くステージに入ってきたことも否めない。

もっとも、いまでもエジルが深い位置まで下がってボールをもらいに来るような試合もあるし、それはそれで決して悪い試合ではなかったりする。まあうまくいくかどうか、見てみたい。

4について(ディフェンスラインを徐々に上げる)

これはそのとおり。異論なし。チェルシー戦の前半のやられ方を思い出すたびに腹が立つ。

ところであの試合のあと、このハイラインについてはいろんなところで批判を浴びたけれど、各所でムスタフィとソクラティスが”too slow”とかいわれていたのは、ちょっと納得がいかない。ムスタフィはともかく、ソクラティスという選手はブンデスリーガでも足が早いことで有名な選手だったのだ。むしろハイラインをやるから取った選手だと思っている。

先日バメヤンが暴露したチーム内でのスピードテストでも、ソクラティスはバメヤン、ベレリンに次ぐスピードだった。ふたりがこの世界でも指折りのスピード☆スターだと考えると、やっぱり今でもソクラティスのスピードはそれほど衰えていない。ムスタフィだってその次の次だ。単純な足の速さなら、たぶんライバルチームのCBにも負けないどころか、おそらくもっと速いんじゃないだろうか?? 判断が遅いっていう意味でいってんのか? それならしょうがないか。ぎゃふん。

5について(LB、CB、RWの補強)

これは指摘されるまでもなく、クラブもちゃんとプランがあると思う。

LBは先日も伝えたとおり、シャルケに移籍したリールの若いモロッコ人を獲得しているはずだったし、CBはホールディングやマヴロパノスが今シーズンに劇的に成長しない限りは、ソクラティスでダンとは考えていないだろう。第一、30才のソクラティスは長期的なプランのなかでは、どちらかといえば一時的なオプションの意味合いのほうが強いはず。年齢的にキャリアの終わりが見えているのだから。

ここではRBについては指摘されていないが、リヒトシュタイナーが1年契約なので、RBこそ1月か遅くとも来夏には補強の必要がある。

それと個人的にはこの1年でベレリンの成長が見られないようなら、高く評価されているあいだに放出も検討すべきだと思っている。彼はブレイクしたシーズンに見せたポテンシャルを4年たっても越えていない。明らかに伸び悩みの兆候がある。エメリの一年目だからと守備の軽さを大目に見ているとあとで痛い目に合う気がする。

RWについても、ファンが熱望しているだけじゃなく、チームも当然考えているだろう。ぼくはバルセロナに持ちかけたというウスマン・デンベレへのオファーもガセネタだったとは思っていない。

以上

ここまで3試合見て、エメリはここを変えるべきじゃねっていうアイディアがあったらコメントください。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “アーセナルをトップ4クラブに戻すため。エメリがしなければならない5つのこと

  1. ウエストハム戦の後半からジャカ、トレイラになった時のジャカは良かったと思うんでジャカ、トレイラをスタメンで試して欲しいです。

  2. マヴロパノス君をもっと使って欲しい。ムスタフィはちょっともう。。。

  3. ラムジーのサイド起用なつかしいです。彼が不満を言いそうな気もする。

    戦術面(DFのラインなど)に関しては、今はまだエメリの自由にやらせてみたいので特にいうことはありません。
    しかし、メンバーに関してはスタートからトレイラとオバメ・ラカを起用して欲しいです。たまにでいいので。

    ジャカはゲームキャプテンの一人でもあるので外しづらいのかな、
    なんて思いましたがエジルの交代などをみると、そこは分けて考えているようでもあるし、
    ジャカからトレイラに変えてほしいなあ。

    それにしてもゲンドゥージがここまでやるとは。

    あと、バスケの例えやケーキの飾りの件、かなりしっくりきました。
    アーセナルにはケーキがない、なるほどな。

    カップ戦とかが始まれば、他の選手も見れるのでこういった内容の記事が白熱しそうですね。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *