シーズンが始まったどさくさであまり注目されなくなってしまったが(ラムジー以外)、引き続きアーセナルFCは何人か今後の契約について不透明な選手がいる。
今季放出対象の選手については、すでにエメリが具体的に言及しているのでそこはいいとして、問題は今後来シーズンやその次のシーズンを見据えて契約を延長するかどうかという選手たちである。
契約が残り少なくなっている選手たちを見ていこう。
残り契約が1年未満の選手(2019年夏に契約切れ)
※データは以降、TMより。
ナンバー順に、
- ペトル・チェフ
- アーロン・ラムジー
- ステファン・リヒトシュタイナー
- ナチョ・モンレアル
- ダニー・ウェルベック
- ジョエル・キャンベル
このなかで、エメリも今夏に放出の可能性があるとコメントしたうちのひとり、キャンベルは、現在イタリアのFrosinoneというクラブが獲得にかなり近づいているらしい。アーセナルに移籍したことはクラブにも本人にもまったくの失敗であったことは残念だった。グッドラック。
アーロン・ラムジー
ラムジーはエメリが契約の延長を熱望しているというが、いまだに交渉の進展は伝えられていない。
アーセナルはサンチェス・エジルの同じ轍は踏まないと思われていたため、ラムジーサイドがこのまま契約更新を渋るなら、彼の現実的な移籍先であるプレミアリーグクラブに売るため先日のデッドラインデイまでに放出するかに思われたが、結局残っている。
それはクラブがラムジーの慰留に成功のきざしを見ている証拠だとも受け取れるが、果たして安心はできるだろうか。
テレグラフは来年にスポンサーとの複数年契約が正式に決まるまではアーセナルは選手給与に苦しめられると指摘している。それが週給200-300kを要求しているというラムジーの交渉にも影響していることは十分考えられる。
契約更新がされないなら今月末(?)までになんとか外国のクラブに売却したいところだが、その可能性については限りなく低いだろう。彼が望んでいる高給を払えるクラブはプレミアリーグの外にはいくつもなく(マドリー、バルサ、ユヴェントス、バイエルン、PSGくらいか)また彼らはいまのところラムジーを欲しがっていない。
このまま契約延長なしの状態で夏の移籍市場が完全に閉じれば、1月には選手は自由に他クラブと交渉できるため、とくに争奪戦にもなっていないラムジーが来年フリーエージェントで移籍する可能性はとても高い。
ラムジーについてはキープがかなわなかったらどうするつもりなのか。AFCの方針がいまいち見えてこない。
ダニー・ウェルベック
ウェルベックについては、エメリから退団の許可が出たという報道もあったように、エメリのプランには入っていない。少なくともレギュラーではないため、ジャックと同様、フットボーラーとしてピーク年齢にある彼に退団を許したというのは親心もあるのかもしれない。
一方で、先日AMNがスタートしたシティ戦では、コラシナツが長期離脱とモンレアルのフィットネスが足りないという突然陥ったLB危機のなかで、エメリはウェルベックはLBでもプレイできると仰天発言。仮にそれがほんとうでウェルベックがLBのプレイに順応するようなら、放出対象から一気に大事なスクワッドプレイヤーになったも同然である。AMNも怪我してしまったのだし。
じつはぼくはウェルベックのフルバック適正はこれまでに考えたことがことがあった(だからエメリのその発言を聴いたときは、ちくしょー先にブログに書いときゃよかった!と笑)。彼のフィジカル、スピード、スタミナといった能力や献身的プレイはフルバックにとても向いているし、得点力のなさはフルバックなら要求されない。彼にとってはいいことずくめである。マンUのヴァレンシアがいい例だが、ウェルベックも同様に後ろにコンバートして輝けるタイプかもしれない。
ウェルベックにはイングランドのクラブ以外では、スペインのヴァレンシアが関心を抱いているというが、LBはともかく、ハイプレスをやるプレイスタイルではウェルベックはまだまだチームに貢献できるとぼくは思う。
ナチョ・モンレアル
一時は、放出対象という噂もあったが、新しい選手獲得もできないなかでのLB危機で、とてもそんな余裕はなくなった。チェルシー戦に間に合ってくれることを願ってやまない。
彼は現在32と高齢であり、売っても移籍金もさほど高くならないことから、契約延長なしで今シーズンいっぱい使うということは十分ありえるだろう。
そして来夏にフリーエージェントとなり、スペインクラブあたりに円満移籍。
ペトル・チェフ
チェフはナポリやチェルシーとリンクされていたが、残留を宣言し、なんだかんだ初戦のスタートを勝ち取ってしまった。また、賛否両論あるものの、ぼくは彼のパフォーマンスは決して悪くなかったと思う。ショットストップが苦手なレノがあの試合に出ていたら、2失点ではすまなかった可能性もある。
そして一部では、チェフが起用されたのは、プリシーズンでのレノのパフォーマンスにエメリが満足していなかったという話もある。
いずれにせよ、大方の予想を裏切ってチェフが今シーズンのアーセナルで存在感を見せることになりそう。
彼もモンレアルと同様、すでに36と高齢であるため契約延長なしでこのまま行くのかもしれない。
ステファン・リヒトシュタイナー
ぼくだけかもしれないが、じつは彼のことをかなり侮っていた。というよりよく知らんかったので、ロートルのサブとかまじかよと思っていた。
しかし、プリシーズンと初戦を見た限りでは、彼は34才と高齢ながらベレリンとスタートを争えるクオリティがあるし、また若手へのコーチングも期待できる。うれしい驚きだった。
彼の契約はもともと1シーズンのみというテンポラリなものだが、チームにいい影響を与えるようなら、もしかしたらシーズン終了後、あるいはシーズン中に契約の更新もあるのかもしれない。
残り契約が2年未満の選手(2020年夏に契約切れ)
続いて、再来年に契約が切れる選手。
- ローラン・コシエルニ
- ダヴィド・オスピナ
- カール・ジェンキンソン
オスピナとジェンコは、エメリが今夏放出する可能性があるといった3人のうちに含まれる。時間の問題だろう。
ジェンコが海外クラブに行くとかちょっと想像できないけど、もしかしたら単に解雇(契約解除)というのもあるんだろうか。。
ローラン・コシエルニ
この冬の復帰を目指してリハビリ中。
ただし、復帰してもまたトップレベルで戦えるなど過度な期待はできない。アキレス腱の怪我は治りにくい(再発しやすい)ともいうし、この怪我はそもそもコシエルニにとって単発の怪我でもない。慢性的に故障を抱えていたのだ。
もともと彼はここ数シーズンはずっと調子を落としており、フットボーラーとしては明らかに下降曲線を描いていた。スピードや対人対応を武器に戦ってきたCBなら、加齢による衰えもやむを得ないだろう。
カソルラ化が懸念されるのもそのためで、セットバックを繰り返し、いつ復帰になるのかわからない蟻地獄に陥る可能性すらある。
いつか書いた気もするが、おそらく復帰は予定よりだいぶ遅れ、リーグの趨勢も決した今シーズン終わりごろにトリビュート的に起用され、その後世界中のグーナーに惜しまれながらいくばくかの移籍金を残しフランスに帰る。というのが、一番ありそうなシナリオな気がしている。
おまけ:残り契約が3年未満の選手(2021年夏に契約切れ)
ここまで来ると、いま契約期間について気にする必要はないが、顔ぶれを見ると近い将来アーセナルもだいぶ変わるかもしれないことが想像される。
エジル、ミキタリアン、オバメヤン、ムスタフィ。契約が切れる時点での年齢はムスタフィを除いたアタッカーの主力3人とも32才。
今後、エジルに契約延長を求めるような気が全然しない。。下手すると3人ともいない可能性も。
ピークを過ぎつつある選手を多く抱えるクラブの未来とはこんなものである。
エメリは3年後、まだアーセナルを率いているだろうか。