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ダニー・ウェルベックの契約更新について考える

先日のELスポルティング、アウェイ・ポルトガルの地で不運にも足首を骨折するという大けがを負ってしまったダニー・ウェルベック。

今シーズンに入ってからは、プレミアリーグでのサブ出場やカップ戦を主な活躍の場としながらも精力的に動けるアタッカーとして存在感を見せていたし、ファンからは「プレミアリーグ最強のサードチョイスストライカー」との呼び声高く、本人のプレイにも充実感が現れているように思えたので、余計に残念なタイミングだった。

そして、もちろん彼はアーセナルとの契約更新がされないと決まったラムジーと同じく、クラブとの現行契約は今シーズンかぎりとなっているため、今回の大けがで去就があらためて注目されているところだ。

アーセナルとウェルベックは果たして契約を更新するだろうか。



ウェルベックの契約更新をめぐる現状

後述するようにどうもウェルベックサイドは、クラブに契約条件の要求を明確に伝えていないという状況らしい。

(もう残り契約一年を切っていて、これまでに何度も交渉はあっただろうにそんなことがあるんだろうか?)

けがをする以前には、クリスタル・パレスが1月の獲得に動くという報道があったり、アーセナルとの交渉の進展が伝えられないなかでは、今シーズンで売却の線もありえるのかと思われた。しかし、おそらくは今回の大けがでウェルベックの獲得を希望するクラブはなくなってしまった。

もちろん今後の経過によっては6月までにふたたび手を挙げるクラブが現れないとは限らないが、それが1月までとなればそのようなクラブはまず現れない。いずれにせよ足首を骨折という大けがで、もともとけががちな選手が以前と同様の状態で復帰できるかどうかわからないあいだは、それに賭けることはリスクが高すぎる。

ということで、ウェルベックサイドはアーセナルFCとの契約更新交渉においては、すっかり立場が弱くなってしまったと見るべきだろう。交渉の主導権はAFCに移ってしまい、(現状維持の週給とか)それなりの条件でも受け入れざるを得なくなってしまった。

もしウェルベックサイドが契約更新に前向きだったのだとしたら、契約が成立する前にキャリアを左右しかねない大けがをしてしまったことはタイミング的にも最悪だったといわざるを得ない。

ファンのさまざまな意見

Emotions aside, and on purely football grounds, do you give Welbeck a new short/long term contract or not? from Gunners

Redditのガナーズ板では、先日このようなサブ(スレッド)が立っていた。

「同情とかそういうのはさておき、純粋にフットボールの観点からウェルベックに新しい短期/長期の契約を与えるべきだと思う?」

ここではウェルベックとの契約更新を検討するためのポインツをいくつかまとめていた。われわれにとってもそれを考えるための要点になるいいまとめと思う。

  • ネルソンとエンケティアがウェルベックの不在で台頭するチャンス。ファーストチームに入るにはまたとないチャンス
  • これはウェルベックの3回めの長期離脱になるけが。多すぎるけがをどう考えるべきか
  • ウェルベックは成熟したプロフェッショナル。チームに戻ればどんな役割でも勤勉にこなす漢
  • アーセナルの給与体系はちと混乱気味。リセットするための放出もアリか
  • 過去にはサンティのように見返りを求めず復帰のチャンスを与えた選手もいる。ウェルベックを同様に扱っても大した出費にならない
  • ウェルベックが復帰したとしても以前と同じ状態(フィジカルやモチヴェイション)に戻る保証はない。短期の契約にすべきかも

多数派の意見としては、サンティ・カソルラのように、多くの見返りを期待せずに短期契約を与えるというものがある。

功労者に報いるというビッグクラブとしてのモラル(センチメンタルではない)を見せつつ、最低限選手として使えなかったときのリスクは考えておくというもの。

長期契約は明らかにリスクが高いことがわかっているうえに、ウェルベックという選手に少しでもリスペクトがあるなら、この意見に反対することはなかなか難しい。

しかし、「彼のようなジェネラリスト(ヴァーサタイル)プレイヤーより、スペシャリストプレイヤーが必要なのでは」という意見にはなるほどと思わされた。

前者がたとえばウェルベック、後者がたとえばネルソンのような選手というわけだ。さまざまなポジションで使える選手をことさらに重用するのは、まるでヴェンゲル時代のようじゃないかと。

もちろんどちらのタイプの選手もスクワッドにいればいいとは思うが、現在の右ウイングで輝く選手が欠けていて、多くのファンがそこに「ピュアウインガー」を求めている状況を考えれば、そのような視点も重要だと思えた。そういう意味でウェルベックは本人の意向とは無縁に便利屋扱いされている側面があることは否めない(LBやらせるという話しもあったしなあ)。

純粋にフットボールの観点から、ウェルベックの契約更新に反対のひともいる。

ウェルベックはアーセナルのなかでは、ほとんどサードチョイスで評価が定まってしまったところがあるが、若い可能性に満ちた選手を代わりに使ったほうがいいという意見。それもわからないでもない。

ホームグロウンプレイヤーの価値がさらに上がる?

ところで、今週こんなニュースがあった。

Brexit plan to limit players from abroad at Premier League clubs

イングランド国内はもちろんEUとのあいだでいまも混乱がつづいているというBrexitの影響で、FAがプレミアリーグのスクワッド登録の半分をホームグロウンにしたい意向だという。

これによると、現行ルールのPL登録スクワッド25名のうちホームグロウン8名(+17名の外国人)を、ホームグロウン13名(+12名の外国人)とスクワッドの約半分をホームグロウンにすることを画策しているという。

どうも、PLがこれに反対するなら今度はEU内選手にEU外選手と同等のワークパーミット基準を設けるなどと、PLはFAからプレッシャーをかけられているというような状況らしい。

この件については、FAは以前から自国選手を優遇することについて積極的でこれまでにも何度か似たような件が伝えられていた。

PLでは若手選手の出場機会が非常に少ない

これはこれで非常に興味深い件であるが、ひとまずこちらの是非はともかく、イングランドがEUから離脱すると、もともと高かったホームグロウン・プレイヤーの価値がさらに高まる可能性がある。

このことは、もちろんウェルベックの去就にも影響を与えないとはいえないだろう。

デイヴィッド・オーンステインの見立て

昨日、Arseblogのポッドキャスト(Arsecast)EP502に、アーセナル情報Tier1の「ゴッド」ことBBC Sportsのデイヴィッド・オーンステインがゲスト出演していた。

流し聞きでさっぱり頭に入っていなかったが(ちゃんと聴いてもぼくのリスニング力だと半分くらいしかわからないんだけど……)、Redditにオーンステインのコメントの要点をまとめてくれた神がいた。過去のArsecastにオーンステインが出演したときも同じようにまとめているひとらしい。まじネ申。

トークのトピックは、サンチョとネルソンのBBCインタヴューの件やAFCの新体制やクロンキとKSE、それとアーセナルの未来まで多岐にわたっており(手前味噌ながらぼくのTwitterでいくつか翻訳してツイートした)、そのなかにウェルベックに関するコメントがある。それが以下。

  • アーセナルはもともとネルソンが戻ってくる夏に合わせてウェルベックは放出しようとしていたようだが、けがで状況が変わった可能性がある
  • これまでウェルベックの契約更新については非公式の話し合いがつづいているが、双方にとって都合のよい数字だけ(すり合わせてない)
  • AFCのオファーはセンチメンタルなものにはならないだろうが、ウェルベックはAFCで非常に高く評価されている
  • ウェルベック本人は新契約の希望条件についてあまりはっきりさせていないので、オーンステインもウェルベックが契約更新したがっているかどうか不明な部分もある
  • しかし、ウェルベックは非常に賢い人間で、代理人であるふたりの兄弟もとても思慮深いので、ウェルベックの状況と現実は理解している
  • AFCはウェルベックに新契約を与えるつもりはあるが、エモーションを切り札にすることは許さず、クラブから選手への忠誠は見せつつ、契約締結にはまだ双方にたくさんやり残したことがある
  • おそらく契約条件はウェルベックが望んだものにはなりそうもないが、そもそもウェルベックサイドの希望が明らかになっていない部分もある
  • 今回のけがはウェルベックのプレイの充実を見ればとくに気の毒なタイミングだった
  • 彼はけがをする前よりもアーセナルに残る確率が高まった
  • ウェルベックはスクワッドのなかでもかなりの人気もの。ウェルベックはたくさんのサポートが必要な状況

やはり、オーンステインもけがの前後でウェルベックの契約更新をめぐる状況はかなり変わったと見ている。

そして、ウェルベックはおそらくアーセナルと契約を更新するだろうと。

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5 Comments on “ダニー・ウェルベックの契約更新について考える

  1. いやー、ダニーには残ってほしいですね。
    ラカゼットとオーバメヤンがいる中、さらなる点取り屋よりジェネラリストのほうが良い気がするのは俺だけ?
    プレーも何だかんだ今シーズンは良かったし、問題は故障グセだけかと…まぁ、それが辛いところなんですが。
    あと、これは戦術詳しくない私からの疑問なんですが生粋のウインガー来たらベジェリンと渋滞起こしませんか?俺がうちに切れ込むぞって見せかけて上手くベジェリンにパス出すようなクレバーな人ならいいんですが。
    どうしても生粋ウインガーっておのれで勝負ってイメージが強いです。なので、冬の補強はジルーとコクランとセスクで(笑)

    1. いまのアタッカーの構成だとやっぱり偏りがあって(CFタイプと10番タイプしかいないみたいな)、そういう意味じゃ本来はウェルベックを外すよりも、キャラがかぶっているラカゼットとPEAのどちらかを外すほうがバランスはいいかもしれない。

      でも彼らのうちどちらかを選ばないなんてそんなのありえない(笑)。

      もとを正せばラカゼットとPEAというワールドクラスのピュアCFがふたり同時にスクワッドにいるってことがそもそもの偏りの元凶なんだよなあ。。どういうプランなんだと。

      生粋ウインガーはまさにおのれで勝負なんじゃないですか。単独で打開してくれることが期待されてる。

      もし右ウインガーを取ったらベレリンとどういう連携になるか考えるのはなかなか楽しいです。ウインガーとフルバックがいいコンビを築くなんてよくあることで。べつにバッティングするってことはないでしょうと。

      いまは右サイドの攻撃はベレリンの比重がとても大きいけど(だから今季アシストが多い)彼とコンビで右を崩すような戦い方ができるならそれはすごくいい。

      夢がふくらむなあ。

  2. ワールドクラスのCFが二人いて、片方はSTもできそうなラカゼット。
    じゃあ442やればいいじゃない、最近はハイラインの攻撃型442もトレンド化しそうだし……
    残念! エジル君がいーまーすー!

    もうめんどくせえな、このスカッド。

  3. 面倒なのはファンにも多い「コシェルニーが復帰すれば、ビルドアップも守備もよくなる……」
    アキレスやった怪我持ち33歳にどんだけ期待してるんだ。どんだけー。

    「ホールディングとマヴロパノスのコンビで来シーズン以降……」
    まだトップで全然活躍してない19歳に期待かけ過ぎ。ホールディングなんてカウンターでぶち抜かれまくりじゃねーか。同じタイプ置いてどうすんだよ。ちょびひげー。

    「ジャカとトレイラのコンビが……」
    もう何年目だよ。諦めろよ、長期契約しちゃったけど。怪我でトレイラが離脱したら、プレスでオロオロレッドカードマンに元通りかい?(最後だけ氷室京介風)

    ウィルシャー、そしてラムジーの「こいつらいない方がバランスいいんじゃね?」コンビがいなくなるも、依然、エジルオバメヤンムヒタリアンの主役が多すぎ問題、使う言い訳をしないといけないジャカ、失点数多いのになぜか大丈夫と思っているCB……スクラップビルドしたいとポジションが多すぎる。

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