思ったよりBATEは強かった。そしてアウェイであそこまで積極的に来るとは思わなんだ。ホームのときより攻撃にかける人数は明らかに多かったしぐいぐい来てた。
プレヴューでは10000回戦って9999回勝つ相手なんて云ってしまったけどとんでもない。10回やったら2-3回はいい勝負になるんじゃないかってくらいにはがんばっていた。
Arsenal 3-0 (3-1) Bate Borisov: Gunners ease into Europa League last 16
ということでエジルがNo.10で久々にスタートした今回のホームマッチは、ファーストレグの悲惨で恥ずべきパフォーマンスからはいくらか改善して、見事クリンシート。われらはラスト16へコマを進めたのであった。
終わってみればアーセナルがこのラウンドで勝ち抜けることはまったくの順当ながら、BATEレヴェルのチームにたびたび攻め込まれるなど、本来持っている力をなかなか出せないなあと思わずにはいられなかった。
PLのトップ4もELの優勝も、これからの熾烈な争いを考えれば、たぶんアーセナルが本来の力を出すだけではだめで、加えてさらにプラスアルファが必要になってくるのだと思う。その域にたどり着くまで、まだ道のりは遠いなあとしみじみ感じた試合でもあった。
エメリの試合後のコメント
プレス会見より。
(パフォーマンスについて……)
エメリ:グッドイーブニン。アウェイでの初戦は結果があまりに良くなかったし今日はかなりの努力を要することは明らかだった。それにもし失点でもしようものならこちらは3点を入れなければならなかったのだから注意深くならなければならなかった。90分間よくやったしいい集中もあった。たくさんのチャンスもつくらせなかったしね。
(コシエルニですが……)
大事を取っただけだと思うが、(容態は)明日まで待つことになる。わたしは日曜にプレイできることを願っているよ。筋肉の問題で骨折や断裂ではない。彼があまり良くないと感じ始めたということなので大事を取っただけだ。
(アキレスでしょうか……)
何かがだめになったということじゃないと思う。ただの予防だと思う。
(ELについて……)
とても重要だ。どのコンペティションも。PLでも目標を達成できるし、ELでもそうだ。最初のアウェイマッチのあと、カンバックすることはとても重要だった。そしていつものようにつぎの試合のことを考えることになる。日曜のサウサンプトン。そこに集中する。
(試合への挑戦とメンタリティ……)
今日いいテストになったしいいチャレンジになった。初戦でわたしたちにはもっといい試合がふさわしかったが、チャンスを決めることができずああいう結果になった。相手はいい時間で効率的だった。そして今日、同じことが起こったが、コーナーや自分たちのボックス近くでフリーキックは与えなかった。そこからプッシュして続けていった。
こちらが2点目、3点目を入れてメンタリティは良好だと思った。この試合では失点したら危険なことになっていたからとくにね。それが、わたしたちが試合前に話していたことだ。いいチャレンジになるし、いいテストになる。プレイへの集中することで反応した。
今日のこの結果には満足できるし、どんどん難しさが増していくなかで少しづつ、自分たちのアイディアを続けていく。
(CL出場のベストな道……)
このコンペティションを勝つことはとてもとても難しい。わたしはこのコンペティションで何度も勝っているが、たとえば、過去3回はマンU、アトレティコ、セヴィーリャで、セヴィーリャは3年前リヴァプールと戦った。CLでプレイできないチームだってたくさんある。わたしたちのように。みんながこのコンペティションでその道を探っているし、タイトルはビッグチームと争うことになる。
(エジルのパフォーマンス……)
よかったよ。わたしは彼に継続していくことと今日のように準備ができていることについて話した。この2週間はトレイニングを続けていた。今日わたしはハッピーでこれが彼とともにやりたいやり方だ。
(グウェンドゥージについて……)
彼の成長はわたしたちが望んでいるものだね。彼には大きな野心がありクオリティがあり、ときにはもっとクオリティを要求するし、ときに中盤で力強さがほしい。それは状況による。チームのなかでの彼の成長はとても重要で、継続性をもってプレイしている。彼は進歩していると思うよ。彼のフットボールのクオリティはチームにとってもわたしにとっても重要だ。
(ELで優勝することについて……)
できると思うし、あるいは16チームができるとも云える。しかしたくさんのチームがそれを狙っているのだからとても難しい。われわれにはこのコンペティションにおいてもサポーターたちがビッグアトモスフィアをつくってくれることが必要だし、それがわれわれにチームとしてのキャパシティとクオリティを与えてくれる。サポーターの後押しで力強く感じられるようにしたい。
(セットピースでの進歩……)
今日はわたしのクロスじゃなかったが、選手はうまくやった! ヴィデオのなかでは得点しなかったが、今日はうまくやった。クロスが良かったからだね!
(エジルはもっとプレイタイムを必要としている……)
イエス。彼は準備ができている必要があるし続けていく必要がある。彼がしたかったことを今日彼は見せてくれた。もし彼が準備できているなら、この2週間のように、わたしたちはこの先もたくさんの試合があるので、ときにはスターティング11に必要になるし、ときにはベンチからになるだろう。われわれにはチームを助けてくれる選手がたくさんいるからね。
今日の彼のスピリットはよかったし、彼のクオリティとキャパシティと何人かの選手たちとのコンビネイションもよかった。アタッキングサードでのゲンドゥージやミッキ、それにイウォビといった選手たち。わたしはどの選手も必要だと思っているし、今日メストがプレイしたことは重要だしポジティヴだった。
ウナイのクロスはこれですね? うほいいクロス。
📍 Arsenal Training Centre
Getting set for the #UEL 💪 pic.twitter.com/0ksJNdNktO
— Arsenal FC (@Arsenal) February 20, 2019
エジルに関しては、引き続きローテイションで使うということで特別扱いするつもりはないようだ。
個人的にはエジルの扱いに関する落とし所はそれでいんじゃないかと思う。適材適所で。ヴェンゲルさんのように完全に固定化する必要はないし、かといってどの試合にも出さないのは間違っている。
BATEのような試合には絶対に彼は必要だった。エジルもしっかり存在価値を示した。
イウォビのコメント
エジルについてのコメントが。
ぼくらはメストがどんな選手か知ってる。毎日トレイニングで彼を見ているんだから。彼はワールドクラスだよ。彼のいるチームがたくさんのチャンスをつくると知っているでしょう? だからチャンスを得点に結びつけたい。今日みたいにね。彼がプレイを続けられることを願うよ。
これはマネージャーに対するメッセージでもあるよね。
試合について
アーセナルのファースト11
驚きのメストNo.10スタート。そしてラムジーは最後まで使わず。まあでも今回はチームセレクションの異論はほぼないな。とくに混乱に陥るような場面もなかったし。
RBだけはちょっとなあ。。
マッチスタッツ
BATEのコーナーはゼロだったか。
Arsenal vs BATE Borisov xG pic.twitter.com/sUxnUuOuby
— Scott Willis (@oh_that_crab) February 21, 2019
xGもとくに危ないところはなし。BATEの最初のビッグチャンスだけ防げたのは大きかった。アレ入ってたら全然違う試合になってたろう。
試合の論点
アーセナルの一貫性
この試合でアーセナルはWLWLWLWLWという直近の成績だそう。
ウソだろ?と思って調べた。
マジだった。
てことはつぎのサウサンプトンは……。
最近エメリはエジルについて”consistent”とか”consistency”ということばをよく使っているのだけど、アーセナルはある意味とってもconsistentだったというジョーク。
メスト・エジルが久しぶりのスタートで存在感を示す
ぼくは予想していなかったけど、エジルがNo.10でスタート。コシエルニが負傷で退いてからはキャプテンマークもつけた。
ゴールもアシストもなかったしMOTMクラスのパフォーマンスだったとは思わないが、本人的にも久しぶりのプレイは楽しそうで、なかなかの充実感はあったのではないか。
Such a good feeling to stand on the pitch again 🙌🏽🔥 Great performance from the whole team overall 👊🏽#YaGunnersYa #UEL #M1Ö @Arsenal pic.twitter.com/94248wa2uf
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) February 21, 2019
エメリがエジルを継続的に起用しない理由のひとつにインテンシティがあり、エメリのコメントからするときっとそれは本人にも伝わっている。
ぼくはこの久しぶりに起用された試合でエジルがエメリにどれくらいがんばっているところをアピールするのかと注目していたが、ぶっちゃけそこはいつもエジルだった。
淡白なプレス。ボールを持っていないときのゆるゆるのラン。ミキタリアンやイウォビのボールを持っていないときのしつこさやねちっこさと比べるとまるで淡麗辛口な味わい(褒めてない)。
でも彼を使うときはそれでいんじゃないだろうかとも思った。淡麗辛口を補ってあまりあるクリエイティヴィティ。
アーセナルのファイナルサードは、エジルがライン間でボールを受けてさばいて、またスペイスに動いて、受けてさばいてを繰り返しリンクプレイでリズムをつくっていった。そしてチームメイトもボールを持ったらエジルを探すようになる。この試合では、そういった場面ばかりではなかったが、エジルにボールが偏りすぎず、これはこれでいいバランスを保っていたように思う。
こういった敵陣での「指揮」こそがチームがエジルに求めるもので、今回はまだ100%だとは思えなかったが、それでもファーストレグでのあの極端なアイディア不足に悩まされていた状況は改善されていた。この試合のチームパフォーマンスにおけるエジルの貢献度はかなり高かった。
今後、エジルがどういった頻度でどういった試合に起用されていくのかわからないが、やっぱりエジルが出ている試合はおもしろいのでできるだけ出てほしいなと思った。
プレイの相互作用・リラックスの伝播
ところで、あれは後半だったか、エジルのヒールパスのあとにイウォビがそれを真似て(?)ヒールパスをやった件。
コメンタリ(粕谷秀樹氏)は「エジルに触発されたのかな?」なんつって笑ってたけど、おれはあれこそいまのアーセナルにとって重要なシーンだと思った。試合中の選手同士の意識の伝播っていうか。敵味方に限らず誰かのプレイに触発されるって、フットボールの試合ではたまに見かけるのだけど、じつはアーセナルのチームプレイにとってすごく重要じゃないかと思っており。
最近のアーセナルはああいう遊びみたいな意表を突くようなプレイが全然見られなくなっていると思わないだろうか。
ここしばらくのアーセナルでもジャックだってジルーだってロシッキーだって、ここぞの場面でやるああいったプレイが大好きだった。ロナウジーニョ的というのか(古い)。いまのチームのなかでは唯一そんなプレイを期待できるのがエジルやラムジーだった。
たしかに失敗するとひんしゅくを買いやすいプレイなので、練習ならともかく本番でやる勇気はかなりいるだろう。
でもああいったプレイを誰かがやればやるほどそれに触発されて、違う誰かがチャレンジングなプレイを試みる。そしてそれを見たほかの誰かがそれをやる。そうしてインタープレイのフィードバックが起きてフットボールがどんどんおもしろくなってゆく。音楽で云うならジャムってやつだ。
だいたいああいうプレイができるときというのは、気持ちがリラックスしていてすごくいい集中ができているときなのだから、アーセナルでああいうプレイが見られるときはかなり調子がいいときだということになる。
逆に失敗を恐れずにああいったプレイに積極的に挑戦できるような空気があれば、それをもっとやっていけば自ずとチームの調子は上向いていくんじゃないだろうか。
ああいった軽いプレイが大嫌いというコーチもなかにはいるようだが、エメリがヒールパスやナツメグやノールックパスなんかを嫌いだとは思えない。どんどんやったらいい。
そのためにもやっぱりエジルには試合に出てほしいと思う。なんなら彼のクリエイティヴなプレイを間近に見ることができるとか、一緒にプレイするなんてことは若い選手には一生の財産になるのだろうから。
マテオ・ゲンドゥージの成長
Sky SportsのMOTMはゲンドゥージ。この試合ではどの選手もなかなかいいパフォーマンスを見せていたが、なかでもかなりいいパフォーマンスを見せていたのがこの19才である。
先日はゲンドゥージがユース時代を過ごしたPSGが、獲得に動くというゴシップがあり笑ってしまった。
でも今後はこういった報道も増えるだろう。今シーズンからイングランドへやってきてそれだけ印象的なパフォーマンスを見せている。
まだ19才らしさのある雑で軽いプレイを見せることもあるが、あのパスセンスは尋常じゃない。
ちなみに現時点で彼は今季PLで最多時間をプレイするティーンネイジャーだそうである。エメリの重用っぷりもパない。
The 50 most exciting teenagers in English football
『FouFourTwo』のイングリッシュフットボールのもっともエキサイティンなティーン50人にも選ばれている。さて何位でしょう。ヒント:ESRが10位、リース・ネルソンが3位です。
鉄人コシエルニ
この試合を見ながら、彼があの再起不能レヴェルの重症から復帰してこのレヴェルに戻っているのはほとにすごいなあと改めて思っていた。そうしたらその後すぐに離脱してしまったのだけど。
エメリの口ぶりからすると、ほんとにそれほど悪い感じではないようだから心配はしなくてもいいかもしれないが、それにしても彼はすごい。ぼくは正直なところ、今季は復帰してもバックアップになるものだとばかり思っていた。
むしろ、コシエルニがレギュラーで彼のパートナーがソクラティスかムスタフィで競っているような状況ではないか。
フランスの選手は去年ワールドカップを取ったことで、今シーズンはややモチヴェイションを失っているという指摘があるが、その論法からすればコシエルニはケガの前と変わらぬフットボールへの情熱をいまも持っていると云えるのかもしれない。
ぼくはコシエルニは今年アーセナルでベンチで過ごし、来シーズンは古巣のロリアンなどフランスのチームでキャリアを締めくくるのかと勝手に想像していた。
この調子だと来シーズンもアーセナルでプレイするのだろうか。契約は2020年6月までだから、ちょうど来季いっぱいである。
フレブのメッセージ
この試合のためにリタイヤを延期したというフレブ。彼とプレイするのもこれが最期だろう。AFC公式がアーセナルファンへ向けたフレブのメッセージをツイート。
“This is unbelievable… thank you very much for the support. I’ll never forget this – Arsenal is always in my heart!” 😍
❤️ Alex Hleb pic.twitter.com/qqspq32uNx
— Arsenal FC (@Arsenal) February 21, 2019
ぼくはわりとフレブはファン一同でまるまる歓迎ムードかと思っていたら、フレブのことをあんまり懐かしく思ってないファンもけっこういるんだということに気づいた。
いまだにアーセナルを辞めたときのことを許してないらしい。たしかに彼はバルサからの関心があってからすぐに移籍してしまったんだよね。
でもぼくは彼がバルサに移籍したことは失敗だったと述懐したり、いまだにこうしてアーセナルへの愛を語るところなんかを見ているといっとき憎かったことなんか忘れてしまえるけど。
去年BATEボリソフと対戦する際にこんなエントリを書いた。
【なつかしみ】アレクサンドル・フレブの思い出【BATEボリソフ記念】
試合については以上。
ヨーロッパリーグ・ラスト16のドロー
今日のUK時間12:00に抽選があるそうで。
アタリとハズレの差がかなりあるな……。とりあえず避けたいのはチェルシー、インテル、ナポリ、スペインの3つあたりかな?
強者同士あたってわれらのライヴァルが一気に減りますように……なむなむ。
以上。
つぎの試合は日曜のサウサンプトン(H)。こっちも絶対勝たないと。
まあなにはともあれ、EL敗退しなくてよかったよかった。ではまたサウサンプトンのプレヴューで。COYG。
今日の試合は久々に少しだけ面白かったですね。
エジルもゲンドゥージも良いんですが、結局オーバとラカの2トップはどうなんでしょう。
なんかうまくいってるような、いってないような。相思相愛なのは良いんですが、苦戦するようになった時期と2トップの時期が重なってるような気がするのは気のせいでしょうか。
疲れてる?と言われているトレイラはどう使うのか?負けられない戦いが増える中でトレイラ外すのはあまりにリスキーだと思うのですが、ゲンドゥージの成長は確かに素晴らしいし、でも真ん中3枚にするとチームに必要なクリエイティビティを与えられるラムジーとエジルの場所が。。
エメリさんはフォーメーション固定はしないんでしょうが、各フォメの現段階における最適解はそろそろ結論出して欲しいなと。
ホールディングとベジェリンがシーズンアウトになったこと、コラシナツの後ろ側の貢献がほとんど貢献できないことが、問題を難しくしてるんでしょうか。
このままのチームレベルでは3月に目標を見失いかねないなぁと。
何とか復活して欲しいです。シーズン序盤以上に。
僕はフレブ駄目ですね。
セスク・フレブ・ソング・フラミニの仲良し4人組は。
まあ実際はチーム事情とかあったんでしょうけど、あの時代のメンバーが定着してれば、第2次黄金時代があったんじゃ
ないかと・・・。
今でも悔しいですね。
ラウンド16の組み合わせが決まったとともに、ラカの追加処分も決まってしまいましたね…。
でもこれは決してネガティヴにとらえる必要はないかと。ラカ抜きでもそれなりに戦えることは証明できたし、休養日と思えば。
エジルの使い方ですが、適材適所ってやつですよね。サポーターも毎試合使えと思ってはないし、必要なときに使わないってパターンが多過ぎたから色々言ってるだけで。だから今まで通り使わない日も当然出てきていい。けどベンチには入れておいてほしいかな…笑
久しぶりにある程度まともに攻撃できて、少しホッとしました。