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【マッチレビューその2】18/19UEL LAST8 2ndレグ ナポリ vs アーセナル(18/Apr/2019)成熟した大人のパフォーマンスで完璧な勝利。ELはラスト4へ【マッチスタッツと論点】

激戦が予想されたELクオーターファイナルは、終わってみればアーセナルが格の違いを見せるかのようにナポリに完勝。

去年と同じくELセミファイナルへ進出した。

コメント集にひきつづき、マッチスタッツと論点を。試合を振り返っていこう。



試合について

アーセナルのファースト11

ムスタフィとエジルを使わなかったこと、2トップを採用したことはぼくの予想外だったが、あのインテンシティならエジルよりラムジーを使うのは納得だった。

マッチスタッツ

今回ほど数字(スタッツデータ)が試合の本質を反映していない試合もない。

この試合アーセナルが文字通り完全に試合を支配した。これは間違いない。相手に7割ボールをもたれても倍以上の20本もシュートを打たれてもだ。

ボールを持っても持たなくてもすべて掌の上という感じで、つねに相手の先を行く成熟した大人のフットボールだった。らしくない。むしろナポリのほうがアーセナルっぽかった。

xGはナポリの1.7に対し、アーセナルが0.78。

アーセナルのスコアはともかく、ナポリはあれだけボールを持って20本もシュートを打って90分で1.7点しか見込みがなかったって、どれだけの機会を浪費させられていたのか。

試合の論点

ナポリのプレイの幅のなさ、迫力のなさ

セカンドレグだけでなく、この2試合でぼくが真っ先に指摘したいのは、アーセナルの良さよりもナポリのダメさ。ナポリたんダメすぎっしょ。

2レグを通して彼らの攻撃はほとんど裏抜けを狙うだけというワンパターンっぷり。攻め手のヴァリエーションのなさに逆に驚いた。

とにかくボールを持つことと、サイドアタッカーがディフェンスの後ろのスペースを狙うという。ほんとにそれだけ。

きっと普段どおりの彼らなら、ちょっとバルサみたいな、テクニックとスピードで相手を圧倒するみたいなそんなプレイがイージーに通ってしまうことがなんとなく想像できたんだけど、あれだけワンパターンだとさすがにどうなんだ。しかもパスやボールキープのクオリティだって云うほどじゃない。

それとも、今回アーセナルがそうさせたってことなんだろうか。

ぼくは彼らがホームでサポーターの大声援をバックに、フィジカルを使って死ぬほど高いインテンシティでスタートからガツガツくるのかと思っていた。アーセナルがそれを苦手にしてることはみんな知ってる。

ファーストレグの不甲斐ないパフォーマンスからバウンスバックしようとするなら、絶対ホームでやり返してやるってふつうは思いそうなものだ。クリバリは自分たちに腹が立つって云ってたくらいなのだし。

それが、アウェイチームに逆にハイプレスをかまされてあたふたしてるって。どんだけハートがないんだよ。

勇気、インテリジェンス、ハート。試合前アンチェロッティがチームに要求するといったすべてを見ることができなかった。

リヴァプールやPSG相手に彼らがどれだけいい試合をやったか知らないが、だとしたらアーセナルに対してリスペクトがなさすぎなのではないか。あの程度のクオリティでアーセナルをやり込めると思ったのも間違いだし、あの程度の闘争心で試合をひっくり返せると思うなんて、へそで茶が沸く。

ファーストレグのプレビューで書いたように、やはり彼らとわれらでこの試合にかけるモチベーションの差はあったのかもしれない。彼らはどうもリーグでも不調のようだが、それでもさすがに来季CLを逃すことはないだろう。

そんなぬるま湯の彼らに対し、こちらはPLトップ4も瀬戸際で悲願のCL出場のためにはELも絶対に落とせない。

セリエAで2番めにつよいという彼らのこの180分にわたる低調さを説明するには「やる気」くらいしか思いつかない。普段の彼らを知っているナポリサポーターの解説を聞いてみたい。

今シーズン、ナポリがホームで敗けた相手はユーヴェとアーセナルだけなんだそうな。やっぱり普段の彼らじゃなかったんだな。

 

ところで今回DAZNのコメンタリが前半でナポリがとてもいいと連発していて、なんか違う試合でも観てるような気分になったのだけど、それをHTにツイートしたら反応もわりとあったのでみんなそう思うよなあと。

ぼくは何度もこのブログでも書いているとおり、基本的に日本語の実況は気に入ってないんだけど(聞いていてあんまり感心することがないし、ちょこちょこ挟まれるアーセナル情報についてはぼくのほうが詳しかったりするという理由もある)、この日「そもそものリーグのレベル」について言及していたのは珍しくそうかもなと思った。

やっぱりイタリアンリーグはイングランドよりもレベルが低いんだろうか? 今回のナポリを観ていてとてもそう感じてしまった。トップ6はおろか、エヴァートンのほうが強くね?っていう。

まあこんなのはいくらやっても不毛な議論なんだけども、今年はイングランドのクラブがヨーロッパでだいぶ躍進していることもあって、PLのファンとしてはやっと本当の実力が反映されてきたのかなと思っている。だってこれだけ人と金が集まっているリーグのクラブが弱いわけないんだから、ずっとおかしいと思ってたことだ。

エメリの戦術マスタークラス。アーセナルの大人な試合運び

「戦術マスタークラス」ってのはBBC Sportsの見出し(Emery’s tactical masterclass)。でもまさにそんな感じだった。

おそらくこのセカンドレグは、中立のファンにはまったくもって退屈極まりない試合だったと思う。とくに後半は。

しかしアーセナルのファンからすると、選手たちのプレイやパフォーマンスだけじゃなく、試合プランニングで相手を上回ったことが見ていてもっとも楽しかった部分ではなかっただろうか。エメリはファーストレグのリードをきっちり活かすシナリオをいくつも用意していたと思う。

ナポリとの2試合で何がすばらしかったかって、ヘッドコーチのやりたいことやプランが見えたし、それをしっかりチームが遂行したということ。

この試合が始まってすぐに明らかになったのは、エメリは試合前に云っていたようにあくまで積極的に前へ出ていったことだ。まるでファーストレグのホームと同じテンションでハイプレッシングを敢行。

アウェイらしく注意深く慎重に相手の出方を見るやり方もあったが、引くどころか、アタッカーと中盤をプッシュアップしてはなから試合を押し切ろうという大胆な積極策に出た。

そしてこれがボールを持つことにこだわるナポリにハマった。

ナポリの選手たちは、アウェイのアーセナルがあそこまで積極的に前にくるとはイメージしていなかったのかもしれない。

もちろんクリバリなどクオリティの高いディフェンダーもいたので、ハイプレスがことごとくハマったとは云わないが、迷わずロングボールを選択してくるチームなどよりはむしろアーセナルにとってはやりやすかった。

ぼくはこの試合のジャカの守備貢献はかなりよかったと思うが、彼らがミドルサードでボールを奪うシーンが何度も見られたのは、パスコースを限定されて苦し紛れのボールを受けたMFをアーセナルのMFたちがうまく囲うことができたからだろう。

そしてそんななかで35分にラカゼットのお見事なフリーキックが決まると、彼らに4得点が必要になり、ほとんど試合が終わってしまった。もっともぼくはそれでもまだ1失点がきっかけでひっくり返されるんじゃないかとドキドキはしていたけど(今年もヨーロッパで劇的な試合は何度かあるし)。

1-0で迎えた後半、もうアーセナルは完全に成熟した大人だった。横綱相撲であった。

ぼくはプレビューエントリで、アウェイでの工夫が見たい、守ってカウンターというやり方もあるのではと書いたけれど、まさにエメリはアーセナルに来ておそらく初めて完全に「守ってカウンター」をやった。

システムは5-2-3あるいは5-3-2で、69分にラカゼットに変えてイウォビが入ってからはPEAだけトップに残した5-4-1に。

ディフェンスラインの5枚とその前でブロックをつくってゴール前のスペースを消す。どうぞどうぞという感じでボールを持つことも放棄。ナポリはいくらボールを持っても、もうほとんどブロックの前でボールを回すしかできなくなった。

それと中継では見えなかったが、おそらくボールを奪ってからの攻撃(カウンター)も前の3人だけに任せて、あとはカウンターのカウンターに備えて後ろにずっと控えていたと思う。

あとは4点くらわなければ勝ち抜けなのだから当然の作戦だ。

結局ナポリは延々とボールを回し続け、たまに遠目から可能性の低いシュートを打つだけとなった。シュート20本でSoTが2本てどんだけ。彼らも試合が早く終わってほしいと思っていたんじゃないだろうか。

この日のナポリの最大のチャンスはモンレアルのシュートだったのが笑える。

当たり前のことを当たり前にやる。きっちりやる。そんな試合運びだった。

ウナイ・エメリはこの試合で、アーセナルでの最初の50試合で史上もっとも勝ち数の多いマネージャーになったのだとか。わりとダントツ。まさにマエストロ。

選手について

ラカゼットはMOTMの活躍。あのフリーキックはGKのミス疑惑もあるけど(あの方向に反応すらできないなんてヘンよね)、ゴールはゴール。

ヨーロッパでのフリーキックでのゴールは、アーセナルでは02/03のティエリ・アンリ以来だそうな。アーセナルってあんまり直接ぶち込んでるイメージないけど、16年前てどんだけ。

試合後にはフランスのメディアに対して途中交代されたことが不満だとコメントしていたようで、もちろんそういった不満を公言するのもあまりいいことではないけど、自分がチームを絶対勝たせたいという気持ちの強さの現れでもある。来シーズンはキャプテンだな。間違いない。

オバメヤンはまたBCを外した。。

ジャカはとってもよかった。でも彼はこの試合でヒップをやってしまったようだ。ラムジーもそうだけど、ちょうど調子を上げている中心選手がいなくなるのはキツい。

気になるラムジーについては、ハムストリングをやって復帰まで2-3週間の見込みということで、もしかしたらシーズン最後のほうでプレイできるかもとのこと。これで終わりはやめてほしいからよかったね。

それとこの試合の半分は守っていたということで、ディフェンスの選手も称賛されている。

とくにコシエルニとソクラティス。このふたりがCBでプレイするようになってしばらく、アーセナルの守備はかなり改善されてきているようだ。

コシエルニはこの調子だと来シーズンもアーセナルでプレイしているだろ。アキレスの断裂をやったのはちょうど去年のセミファイナル、アトレティコだった。あそこから脅威的なカムバック。ケガの前よりむしろ良くなってる。すごいおひとだよ。

試合については以上。



18-19UELセミファイナル、アーセナルはヴァレンシアと

アーセナルの相手はヴァレンシア。フランシス・コクランとガブリエルがいるチームだ。

ファーストレグはエミレーツで行われるが、コクランはサスペンデッドらしい。残念。

5月が楽しみだ。

以上。

つぎの試合は明日4/21(日)のPLクリスタル・パレス(H)。ホームなんだけど選手がいない。。大丈夫か。

またこのブログのプレビューでお会いしましょう。COYG

勝ったどー。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “【マッチレビューその2】18/19UEL LAST8 2ndレグ ナポリ vs アーセナル(18/Apr/2019)成熟した大人のパフォーマンスで完璧な勝利。ELはラスト4へ【マッチスタッツと論点】

  1. ワトフォードやエバートンの方がはるかにやり難い相手だったと思う。
    裏抜けのカウンターで一対一なんて、強くて速いCFが多いプレミアリーグが一番得意とする戦術だと思うし、そのためエメリは3バックを採用したくらい。
    ただ、日本語解説が褒めていたので、欧州屈指のナポリアーセナルの守備が完封したかのように思っている人もいるらしい
    完封して、DF陣含めチームも頑張ったけどけれど、ナポリも褒められたもんじゃないと思うんだけどなあ……

    次のリーグ戦はホームなので圧勝間違いなしとして、その次のウルバーハンプトン戦でもクリーンシートを期待したい
    そのアウェイ戦は正直、ナポリよりハードで厳しいんじゃないかと思う

  2. ブログ更新おつかれ様です。
    DAZNの実況どうにかなりませんかな
    あのクソ具合

  3. 勝ちましたね、しかもなんの心配もなくあっさりと。まさにビッグクラブの試合運びで後半はけっこう寝てしまったほどです。
    実況の件は人材不足なんでしょうね、レギュラー陣はほぼCLでやってますし。でもアーセナルってほかのヨーロッパのクラブの中でも日本人のファンは多いと小間生のでもう少しひいきにしてくれてもいいと思います。
    日曜の夜にはまた試合ですね。見てるこっちもけっこう疲れるけど、やってる選手や監督、スタッフなんかもっとたいへんなんだろうな。だからこそ結果をだしてもらいたい。
    COYG

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