BBC Sportsのデイヴィッド・オーンステインによるジョッシュ・クロンキのインタヴューが、AFCオフィシャルサイトでも公開された。
‘We made very decisive and aggressive decisions’
ジョッシュは、AFCオーナーのスタン・クロンキの息子として知られる人物で、本人もKSE(Kroenke Sports & Entertainment)のヴァイス・チェアマン。まだ39才と若いが、彼が次期KSEのリーダーシップを執るとも云われ、このところは高齢のスタンリーに代わり現場での存在感を高めつつある。
そんなジョッシュのインタヴュー、ぼくが知る限りオフィシャルサイトに掲載されたインタヴューとしては、最も長いもののひとつと思われる。
あの、もう衝撃的ですらあった夏の移籍ウィンドウのあとということもあり、いまあらためてアーセナルのオーナーシップにファンの注目が集まっている。この充実ぶりには、そういったファンの要望に応えるという背景もあるだろう。
ぼくらファンが、彼がアーセナルのオーナーとしていまどのようなことを語るか、知っておくことは無駄ではない。
がんばって訳してみるので、アーセナルのファンのみなさんもがんばって読んでくだされば幸い。
(長いのでエントリをふたつに分けます)
ジョッシュ・クロンキ インタヴュー by David Ornstein
(新しいシーズンです。ワクワクしてるみたいですね?)
ジョッシュ:わたしは、われわれのグループ、組織全体、すべてのチームにこう伝えているんだ。いまのわれわれは、まだあの最後の試合(※ELファイナル)程度のものでしかないとね。バクーでの最後の45分、あれは残念ながらわれわれのベストではなかった。あのときは、かなりフラストレイションがたまったものだ。しかしもうこんなことを繰り返さないようにしなければならないという決意があった。わたしたちは何度か大きな会議も行い、この夏にチームを改善しようと決めた。そして、われわれはより強いクラブとして新しいシーズンに戻ってきたんだと思っている。
(あの夜、あなたとお父さんはどれほど傷つきましたか?)
ことばではとても云い表せないね。たったひとつのことにすべてを賭けるようなことはしたくない。だが、ヨーロピアンのファイナルまでたどり着いたら、まさしくそういった気持ちになってしまうものだ。だからあんなふうに最後まで手が届かずに終わってしまったことは、フラストレイションなんだ。完全なフラストレイションで失望だ。
しかしあの夜、わたしは同時にポジティヴでもあった。わたしはピッチに降りていったときのことを思い出す。ウナイを捕まえてこう云ったんだ「We’ll be back」。。。それと何人かの選手には「この気持ちを忘れないよう」伝えた。夏のトレイニングに向けてそれをモチヴェイションに利用しようとしたんだ。わたしはいつどんな状況でもポジティヴなことを見つけようとするタイプなんだよ。それで失望の最初の波を乗り越えた。わたしの仕事はリーダーとしてみんなをあらためて奮い立たせること。わたしたちは新しいシーズンにワクワクできるし、そこからよくリバウンドしたと思う。
(あなたはリーダー役を喜んで受け入れようとしているようです……)
わたしにとってそれはしっくりくるものなんだ。思うに、周囲にグレイトなひとたちがいなければリーダーにはなれない。いまクラブではたくさんの変化がある。この12-14ヶ月はとくにそうだ。フットボール・オペレイションの部門だけでも50人以上を新しく採用した。
わたしが夏のはじめ頃に「be excited」と云ったのは、まったくそのとおりなんだよ。短期的な雇用の話しではなく、興奮しているのはこれからのクラブの未来についてなんだ。なぜなら、重要な部署でリーダーシップをとるグレイトな人材を得ることができたから。彼らには仕事を遂行してもらえるよう裁量を与えているし、よくやっている。
(バクーでの敗戦が変化の必要性を浮き彫りにさせたのでしょうか?)
思うに、わたしたちはいつもそれを目指さなければならないし、いつもそうするようにしているが、できるだけ物事を進歩させようとアグレッシヴにトライすること。ピッチのなかでも外でもね。しかしあの試合のセカンドハーフに起きたことを見て、自分たちがいまいるポジションが理解できたし、移籍ウィンドウにおいて夏に向かうべき何人かのターゲットについてもわかった。あの最後の45分で、われわれの戦略基盤のいくつかを再考せねばならなくなった。
われわれにはCLフットボールがなく、最高のタレントを惹き付けるのはそういうCLクラブだ。まさに彼らがそういう選手を狙っている。だからわれわれの考えていることのいくつかは再考する必要がでてきた。しかし、飛行機での帰路でわたしがヴィナイ(ヴェンカテシャン)とラウル(サンレヒ)におもに伝えたことがある、えらいロングフライトだったけど。その翌日にも1日中やっていた会議のなかでヴィナイ、ラウル、それとウナイに伝えたのは、「夏に向けていこう、アグレッシヴにいこう、可能性を見出していこう」ということ。
それで彼らは市場に入っていった。そして、彼らのコネクションを使ったり、アーセナルの舞台裏にいるファンタスティックな新しいチームを通して、アーセナルFCでプレイすることを望んでいるタレント選手を見つけていった。
(クラブは「金欠」と見られていましたが、いつのまにか「アーセナルがウィンドウの勝者」です……)
(プリシーズンで)アメリカにいたとき、その件についてわたしは何人かの仲間たちにジョークを云っていたよ。5月6月の試合に勝ちたかったのに、7月にジョークを云っていた。だからそういう会話があったということが大事なことなんだと思う。しかし、わたしたちが努力をどれだけ大声で訴えようと、ネガティヴに見られたりしようと、わたしたちはクラブにとり正しいと思えることをやりたいだけで、クラブはとても力強い夏を過ごしたと思う。
われわれは今シーズンや数年先を見て、ピッチ上で(補強が必要な)エリアを特定した。そしていま、われわれが探していた年齢層がある。CLフットボールがないことは完全には想定していなかったが、わたしはフットボールオペレイションの部署がアグレッシヴなことに勇気づけられたし、それにアーセナルFCが選手のドアをノックするとき、それは違ったノックになるということだ。
この夏、われわれはバクーの結果のおかげで力強いポジションにはいなかったが、アーセナルFCにはまだオーラがあり、アーセナルにならガードを下げるひとたちがいたということだと思う。いまプッシュしつづけていること、これからも未来に向けてプッシュしていることにワクワクしているんだ。
(あんな制限された予算でどうやってやってのけたので?)
そこの詳細についてはあまり云うつもりはないよ。でも思うにメッセージはシンプルなんだ。アグレッシヴであること。何度も同じことを云っているとわかっている。しかし「アグレッシヴであれ」というのは、いろんな意味があるんだ。
それは外へ出て何ができるか見つけること、なぜならバクーの試合のあとわれわれはいくつか再考せねばならなかったから。詳細についてシェアする気はないが、夏に向かっていくにあたり、アグレッシヴになれるやり方があるのは知っていたということ。選手の売却に頼らないやり方があるとね。
担当者がそこへ行き、彼らのマジックを使った。彼らが味方でよかったよ。
(KSEからの投資はありましたか? あるいはすべて自律モデルのなかでやりくりしたので?)
詳細は話さないよって。(なにかを話せば)アグレッシヴの話しだって行間を読まれるからね。そういった質問にはこう答えることにしているんだ。それはクラブ内でのことでわれわれのプライヴェイトマターになる。しかしわたしがファンに理解してほしいのは、アグレッシヴであるということは、まさに今のわれわれなんだ。
(ファンの不安があなたたちにマーケットでの活動のきっかけになった?)
わたしはこう云うよ。もしクラブレコードの選手契約がファンの意見に基づいていたり、そのリアクションだったとするなら、クラブとしては大して先には行けないだろうね。わたしたちはこの夏リアクティヴではなかった。じつにプロアクティヴ(※積極的)だったよ。
残念だったのは、夏にいくつかのサポーターズグループが公にやったことだ(※#WeCareDoYouキャンペーン)。わたしは、彼らがわたしたちの能力の限界に感じている懸念について応えようとした。しかし、われわれはその舞台裏においては、このウィンドウでアグレッシヴにやることはわかっていた。受け身であろうとしたことはない。積極的であろうとしていた。
移籍市場というものは進化していて、生きていて、息づいているものだ。ときに応じてものごとは起きる。いくつかのことはすぐだし、いくつかのことは時間がかかる。いくつかのキーターゲットを特定し、契約が完了できるようその取引に時間をかけて取り組む。
ファンにはわたしと同じように新しいシーズンにワクワクしてほしい。なぜなら何人かの才能ある新しい選手は、これから輝く年齢層で、この8-10ヶ月のあいだにピッチで成長する選手たちだ。未来の選手たちだ。これはアーセナルのサポーターとしてエキサイティンなときだ。
(ワクワクしている(be excited)以外にもなにかありますか……)
いくつかの取引をまとめることができたのは幸先がよかった。置いてきぼりになることは楽しくないだろ。
わたしが「ワクワクしている」発言をしたとき、いくつかの出来事が表に出始めたんだ。実際にそれが完全にまとまるかどうかわからないでいたとき、わたしはそれがアグレッシヴに物事を進めるいいチャンスだと思ったんだよ。幸運にもそれらをまとめることができて、アーセナルファンにとって喜ばしいことの兆しでもあった。それは移籍市場においてファンが知ることのない裏側でのことであり、出てきた名前が驚くべきものだった。しかし、われわれはアグレッシヴに物事を進めたし、それはすべてにおいて短期・長期で考え抜いた結果だ。
(過去には必要なポジションの補強がないという批判がありました。いまはもう断固としたアーセナルになったのでしょうか?)
より決定的になったかどうかについては云えないね。単にストラクチャの違いだと思うんだ。
アーセン・ヴェンゲルがいたとき、わたしもミーティングでメンバーだった。そしていまでは、ヘッド・オブ・フットボール、マネイジング・ダイレクター、ヘッド・コーチ、新しいテクニカル・ダイレクターが参加するミーティングのメンバーだ。そこには違ったアプローチがある。
過去にやっていたことと違ったことをやっているというわけではないが、思うに、もし違う意見があれば、その意見をとてもダイレクトなやり方でシェアすることになる……。そのなかで賛成できないようなこともあるかもしれない。しかし部屋を出るとすぐに考えをまとめて戻ってくる。これがこの夏に見られたようなとても断固としてアグレッシヴな決断がつくることができた理由だと思う。
(外国のウィンドウが閉じるまでにまだ退団はありますか?)
フットボール・オペレイションのスタッフにはさらに仕事をつづけてもらう。しかし今シーズンにプレイタイムが限られるかもしれない何人かの選手だけだ。だからローンになるにせよパーマネントになるにせよ、交渉中の案件があることは知っている。それはフットボール・オペレイションのスタッフに任せているよ。
(あなたの父君はこの夏のビジネスとクラブの方向性に満足していますか?)
父も興奮していたよ。何人かの新選手を見る機会があって、父も個人的にそこにいたときがあった。彼はただもう興奮していたよ。この夏はかなり疲れたが、わたしはとくに、でもみんなとても興奮していた。キツかったのは、我慢強くしていなきゃならなかったことと、われわれの計画がこのあと数年に渡って明らかにされていくこと。われわれはこれを北米のチームでもやってきたし、アーセナルでもそういうタイプの人材と意思決定を取り入れていきたいと思っているんだ。思うに、この夏はいまここにいる人材クオリティのすばらしい例だね。
これでまだ半分くらいとか。やべえくらい長い。
つづきは追って。。
ブログエントリとはちと違いますが、エジル襲撃事件について教えてほしいです。
エジルがトルコ大統領を訪問したから(欧州系の人に)襲われたというのが現地の見方なんでしょうか?
実は今度トルコにいくのですが、そのときにアーセナルのユニを着てぶらついても問題ないのかどうなのか気になりまして。
別に変に煽りたくないですし。
なにか記事などあればご教示いただきたいです。
Twitterはやっていないのでここにコメントさせていただきました。
こんにちは。
エジルの襲撃事件はぼくもよくわかんないんですよね。
前にこのブログに少し書いたですが、真犯人の予想として
・トルコ政府がらみの動機
・ただの泥棒(腕時計+高級車)
・最初の泥棒の復讐
etc
これらはじつはArseblogの記事の一節だったりしていて、ぼくら日本人だけじゃなく、みんな結構よくわからないという状況なのではないかと。日本ではどういう報道なんですかね。
ちなみにエジルの家のまわりをうろうろして逮捕されたふたりの名前はトルコ人ぽい名前でした。
真相はわかりませんが、この事件がこれだけ引っ張っているということは、やはりトルコ政府(エルドアンと親しい)がらみのトラブルだという気がしますよね。エジルの嫁さんはミスターキーだとからしいですが、それは関係ないかw
記憶がおぼろげですが、ずいぶん以前にredditでトルコのひとが、国内ではエジルがさんざんな云われようだと漏らしていたことがあって、そんなこともある可能性も考えると、トルコの路上でアーセナルのシャツを着て歩くのは控えたほうがいいかもですね。
ご安全に。。
ご返信ありがとうございます。
なるほど。よくわからん事件ですね。
安全第一で渡航します。
関係ない話失礼しました。
思うに、オーナーのお金を使わなくても回るくらい、アーセナルが稼げばいいんだよね
ユナイテッドやレアルマドリーくらい
そのためのブランド価値を上げる必要はあるけど、そのための努力(投資)すれば良いよ
ファンも今回、オーナーに対して過剰に攻撃的なアクションがあったと思う
実際、移籍シーズン途中まで、自分も腹が立ってたし
時折インタビューに出てきた「魔法」はいわゆる分割払いというただの借金なんで、持続的な成功を思えばあまり多用する手段じゃない
時折、クラウドファウンディングで選手購入予算をファンで集めようみたいなアホ話もあるけど、それならシャツやグッズやスタジアムでお金を使えば同じだよね
クロエンケグループにオーナーとしてのポケットマネーは期待しないので、世界中の応援する企業やファンを拡大して、世界一のクラブにしてくれよっていう
そうすれば金はたくさん使えるし、クロエンケさんの資産価値はさらに上がるし、株主配当をちょっととっても許してやるんだから