試合の論点
ワトフォード v アーセナルのトーキングポインツ。
個人エラーは個人エラーか? 守備のタクティクス・ストラクチャ・オーガナイズにシリアスな問題を残す
この試合をアーセナル目線でごく短くまとめると、ディフェンダーの個人エラーが試合を決めたということになるのだろう。2-0から追いつかれた2点ともに、ふたりのCBの明白なミスが直接の原因になったのは間違いない。
が、今回ばかりは、ふたりだけを責めたところでアーセナルの根深い個人エラー問題は解決しないと強く思った。いい加減選手たちだけを責めるのにも限界がある。
象徴的なのは試合後に話題になっていたルイスのあるデータだ。これはESPNのツイートから拝借したグラフィックだが、ダヴィド・ルイスはチェルシーの160試合で3回しかペナルティを与えたことがないのに対し、アーセナルへ来て4試合ですでにふたつめのペナルティを与えた。このことが意味することとはなんだろうか?
ソクラティスのミスの場面は、この試合中ずっと見られたアーセナルのバックからのプレイの不安定さがそのまま反映されたものと考えられるし(致命傷にはならなかったが、前半にもゲンドゥージがボックス際でボールを奪われるミスをやっているので、大きなエラーが出るのは時間の問題だったとも云える)、ルイスのペナルティになってしまったチャレンジにしても、あのようにカウンターで逆サイドに振られて一対一の状況をつくられれば、ああいったことは絶対起きないとは云えない。サラーのシャツを引っ張ったときよりは同情できる。
もちろんふたりの過失はある。うまいDFならあんな愚かしいミスはめったにやらない。優秀なCBにアップグレイドすればてきめんに効果も出るだろう。
しかし、近年のアーセナルではやらかさないディフェンダーのほうが珍しいという事実を考えるに、いくら優秀な選手が来たところで、このままなら新しく来るその優秀な彼もまた多かれ少なかれやらかすのではないだろうか。来年サリバが来てもやらかすだろうし、もうすぐ復帰するホールディングやベレリン、ティアニーもきっとぼくらをがっかりさせることがあるに違いない。こころの準備をしておこう。
ということは、この守備の個人エラーについて、やはりスキルや適性といった個人能力・素質に問題の原因を矮小化させるよりも、それが起きた状況やコンテキストのほうに目を向けないとこの問題は終わりがないのかもしれない。それはつまりアーセナルの個人エラーは戦術の問題であり、守備のストラクチャ(構造)の問題であり、守備のオーガナイズ(組織)の問題であるということ。あるいはそれがとてもとても大きく関与しているということ。
そしてその個人エラーを個人エラーたらしめているものの責任は誰が負っているのか。それはウナイ・エメリなのである。
個人のエラーはチームで解決すべきものとは、エメリが今回の試合後の会見でもまったく同じことを云っているが、にも関わらずそれが深刻なのは、彼はまさに当事者であり責任者でありながら、それに1年以上取り組んでいてまったく改善できていないばかりかさらに悪化させているからだ。
今回の試合で何がショックだったかといえば、戦術・ストラクチャ・オーガナイズに改善の兆しはおろか、劣化さえしていることが誰の目にもはっきり見えたからだろう。しかも相手はリーグ最下位のワトフォードである。
エメリはいったいどこに向かってハードワークしているのだろう。そして選手たちはちゃんと彼についてきているだろうか?
自分たちのやり方(our way)、取り組み(work)、進歩・改善(improvement)、会見等のコメントで彼はだいたい毎回同じことを主張しているのだけど、もしかしたらクラブは、そもそも彼が考えている「進むべき方向」が間違えている可能性についても検討したほうがいいかもしれない。いくらハードにワークをしたって、方向が間違えていればどこにもたどり着けないのだから。
彼はあくまで現場監督だ。より高いレヴェルでのディレクションはサンレヒやエドゥがきっちりと与えてあげなければならない。手遅れになる前に着手すべきだ。
バックからのプレイ+ビルドアップの悪化
さしあたっての改善課題はバックからのプレイだろう。
ゴールキックからショートパスでつないでいく理念は誰も疑っていない。人数をかけたプレッシングがきつければきついほど、その裏にはスペイスがあるのだからリスクをかける価値はある。バックからのプレイはモダンゲイムの基本ですらある。そこを進歩させるためなら、これからも続けるべきチャレンジだろう。
しかし、エメリのアーセナルはそれが十分に訓練されているようにはまるっきり見えない。この練度でこのまま続けるのは自殺行為かもしれない。去年チェフにそれをやらせていた(結局あきらめた)時期みたいにおっかなびっくりだった。あまりに脆弱だ。
CB、FB、CM、ボールを受けた選手がことごとく次にボールを預ける選手を探しているうちにプレッシングに詰め寄られる。ボールを受ける味方のフォローが足りていないし、自動化されていない証拠だ。しかもサイドエリアでプレッシングに窮してセンターエリアに苦し紛れのパスを送るなんて目を疑うようなプレイすらあった(ゲンドゥージ)。それは相手の思うつぼだから絶対やっちゃダメと「べからず集@バックからビルドアップ編」に書いてあるだろうに。
PLのルールが変わってゴールキックの際にCBがボックス内にいてもいいことになったが、それが有利に働いているようには見えず、それどころかGKの両脇すぐ近くにCBがいることで、よりボール回しがもっと窮屈に見えたのは気のせいだろうか。
なんなら昨シーズン、1st GKがレノに変わって以降よりもクオリティが悪化している印象がある。
アーセナルのゴールキックからのビルドアップに問題があることがわかるスタッツがある。(期間はわからないが今季かあるいは昨季から今季だろう)
このデータによれば、ボールを奪われる場所ランクでアーセナルはPLワースト5位。上にいけばいくほど自陣深くでボールを奪われているということで、それだけアーセナルはビルドアップの最初の段階に問題を抱えているということ。当たり前ながら、高い位置でボールを奪われれば、ボールを前に運ぶことができないだけでなく、失点の機会が増える。
ビッグ6ではもちろん最下位で、このランキングのトップにシティやリヴァプールがいることを考えれば、バックからのプレイ(ビルドアップ)の精度は、強いチームのクオリティそのものだと云えるし、だからアーセナルは弱いのだろう。もっともシティやリヴァプールは相手がハイプレスを諦めているという側面もあるだろうが、ということはアーセナルはハイプレスでボールを奪えると相手からめちゃくちゃなめられているということだ。
今シーズン、シティは新ルールを使った新しいビルドアップの方法を編み出しているそうだが、一方のエメリは単純にふたりのCBをGKの近くに寄せただけに見える。そしてプレッシングにとてもあたふたしている。彼らはプレイのやり方を全然知らないみたいだ。
これはどういうことだろう??
GKからのビルドアップについてはアーセナルでは去年からの課題であるし、改善の優先順位も高いはずだ。
基本的にはいつだって数的優位なのだし、それでもボールを回せないのならアーセナルでプレイする資格はない。もし相手が同数以上でボールを奪おうとしてくれば、その後ろには必ずフリーの選手が出てくるのでそこを使えばアタッカーまで着実にボールを運べるチャンスが増える。ほかのエリアの360度全方向で考慮せねばならないシステマチックな動きに比べて、状況や選手のポジションはある程度決まっているのだからバックからつなぐときのエメリのインストラクションはよほどシンプルになるように思える。
もちろんインテンスなハイプレッシングをかいくぐることは云うほど簡単じゃない。しかし、これは明らかに最優先課題のひとつなのだ。アーセナルのレヴェルのチームがここまで苦労していていいはずがない。このエントリのコメント集でノリッチのビルドアップの動画を貼り付けたが、シティのプレスは鬼だった。今回ワトフォードのプレスはそこまでタイトじゃなかった。
エジルのあのパス褒めて欲しかった笑笑
エメリ体制で間違いなく最低の内容の試合でしょうね。
昨シーズンからビルドアップのまずさは分かってたけども、一向に改善の兆しがありませんね。今まではエメリ擁護派でしたけど、あの試合を見てかなりグラつきました(今シーズンに結果が出ないと解任されるだろうとは思ってましたけど、シーズン途中でもあるかも)。
アウェイフォームが去年からひどいことは分かってたんだから、アウェイではビルドアップを放棄して、後半からは4-4-2ブロックや3CBで守備的に守ることは全然否定しないですが、エメリが取った策はスカスカの中盤をトレイラにハードワークで全部カバーしろというような感じでしたね(エメリの思惑とは違ったのかもしれませんが)
2失点目は個人的には個人エラーだと思ってます。数的には同数程度だったし、ルイスが右サイド寄りに位置して中央を空けてしまったこと、ファウルで止めるならエリアの外ですべきとベテランなら理解しておいてほしいと思いますけどね。PKを逃れたとしても最終的にゴールされたかもしれませんが、PKよりは失点の確率は低いと思いました。
最後にレノがビックセーブしてくれないと負けてた試合ですから、2ポイントを失ったというより、1ポイント得たという方がいい試合でしょうね。
PEAの2得点目はエジルがいい位置で受けて、ナイルズがうまい動きで裏に抜けて、いい攻撃でしたね。
ペペもいまいちハマってないし、今シーズンも胃が痛い戦いが続くかもしれませんね。
去年からずっと思ってて、いつか改善されるかなと淡い期待を抱いてましたけど、もういい加減キツイですね…。
エメリのやるディフェンスってゴール前に駒をいっぱい置いたら守れるんじゃね?っていう組織力皆無の戦術にしか見えない。
小学生のウイイレじゃないんだから…。
終盤にカウンター食らった時に、中盤人っ子一人いなくてゴール前にワラワラ選手が集まってるの見た時、乾いた笑いが出ましたね笑
スペースを使うという考えはこのチームにはないらしい…。
最低の試合。ショック。試合前にノリッジ対シティ戦を観たんで尚更。ビルドアップはもちろんですが守備はヒドいってもんじゃなく無。全てにおいて秩序がなく無。何も無い。よく勝ち点取れたなー
試合通して修正出来ず酷すぎたエメリには不信感しかないですが100歩譲ろうかなと。ホールディング、ティアニー、ベジェリンが帰ってきてから判断しようかなと。
・ゴールキックからの攻撃
・カウンター狙いのリスキーな守備
・リードした後のゲームコントロール
などの、もともと抱えていた課題がこの前の試合でも出てしまっただけなので、
結果にはがっかりですが驚きは少なかったです。
個人的にはセバーヨスを変えたのがよりそれを加速させてしまったように感じました。
エメリは現状のやり方で質を高めていく方針みたいなので、ファンも最終ラインの面々もまだまだ辛抱ですね。
この試合、自分でブログしてたら更新する気力はなかったと思います。お疲れ様。
しかしひどい試合だった。
個人的には、奇をてらったダイヤモンド型を採用したが選手にそれを実行する能力がなかった、というふうに見えた。
特にゲンドゥージはもともとビルドアップが課題で、ダイヤモンドの右に入れて効果があるとは思えない。
全体に今の中盤メンバーはビルドアップや戦術眼はそれほど期待できず、チャンスは個人技で作ってる感がある。
中盤の底3枚をフラットに並べるのはその打開策なのかも知れないが、ワトフォード相手に完全に支配されるようでは(以下略)。
個人的な意見としては、素直に4-2-3-1にしてサイドにネルソン(かセバージョス?)だと思う。
今ネルソンの出来は悪いが、ネルソンにサイドのボールをずっと競り合わせて相手を後退させておくのが、結局のところ一番リスクが少なくて全体が安定するんじゃないかと思う。
こちらのかけたプレスはさらっとかわされて攻め上がられ、相手からかけられたプレスはかわせずセカンドボール拾われまくるっていうのが、もはや見慣れた風景になりましたね…。
5-4で勝つチームなら点取られても応援するけど、今のままではボールをすぐ失うから4点なんて取れないし、何よりボールが全然繋がらないアーセナルなんて悲しくてたまらない。
まだアッレグリ空いてます。いまならまだ間に合います!
セバージョス下げた時から嫌な予感しかしなかった。
ぺぺ下げて中盤一枚増やすか、この日あまり良くなかったゲンドゥージかジャカを下げてトレイラを後半頭から入れても良かったと思う。
素人の自分からしてもこの試合エメリの采配には本当にガッカリした。
ジャカを評価してトレイラを評価できないエメリにはもう限界かもしれない
エメリ監督には既に期待してない自分は、昨シーズン後半からトップに飾られたハーマイオニーのような心持ちです。
今は早く解任されないかなという気持ちが半分、
でも解任したとして次の人材探しも難しいんだろうなぁという心配が半分。。。
2失点目のPKに関して、
あれはコラシナツが全くディレイせず距離空けてズルズル下がり、
その後ルイスがPA外での2人での対応に持ち込まずに
何故かコラシナツをサイドに行かせて1人でペレイラに対応した結果です。
ドゥクレに対してトレイラも緩かったけど、
恐らく届かない位置関係。
コラシナツがほぼ何もせずズルズル下がった時点でかなり厳しいので、2人絡んだ個人エラーであって組織云々と話を広げるのはちょっと違うと思いますよ。
コラシナツがディレイしながらジリジリ外に追い出しつつサイドに展開しようとする敵の右足に左足で合わせて切るのがベストで、そこでファウルでも悪くない。
彼の守備力はほぼゼロです
2失点目のシーンはできる限りのディレイはしていたでしょ、サイドに運ばせるとか言ってるけど、サイドからは上がってきてるんだから、どんなにサイドに行かせようとしたってパスを出す
あの状態になった前の組織を言っているわけで
話を広げてるわけではない
粗末な批評
コラシナツはディレイは出来ていない。
敵は前進出来ているし間合いは広い。
完全に逃げ腰で全ての選択肢を与えている。
ペレイラはコラシナツを前にしながらサイドへのパスもドリの継続も中へのリターンパスも可能な万能状態が続いているし、コラシナツに突つかれる心配も皆無。
その中で減速せずPAに直接侵入されるのが最も危険で、最悪の選択肢を選ばせた。
そもそもコラシナツは42分に数的優位の状況で雑な暴力的タックルで不要な下らない警告を受けている。
本来ならより危険で苦しい被カウンター時にファウルで止めていいところで、何も出来ずズルズル下がったのはレッドを恐れていたから。
いずれも下らない自滅と言える酷いプレーで、
ボール奪取どころかディレイもプレー選択の制限も何も出来なかった非常に低レベルな守備です
お疲れ様です。
エジルのアシスト見た時は、久しぶりにアーセナルって感じでガッツポーズでしたが、
後半は結局、スカスカのゲーム。
このままだと、オーバメヤン、ラカZ、ぺぺに放り込むだけのチームになりそうで怖いです。
どうせ点取られるなら、ベンゲルの方が良かったじゃん、楽しかったじゃん、って思ってる人は多いと思います。
リヴァプールもシティも、相手が変わろうと大きな戦術変更はありません。
一つの戦術も出来てないのに、カメレオンは完成するんでしょうか?
超不安です。しかも、面白くないし。
スクールウォーズの滝沢先生みたいに、信じて待つ しかないのでしょうかね?
アシストはナイルズとコラシナツです
大事なのはリードした後に守備で試合を終わらせること
そういうプレーはラムジーやムヒタリアンは得意でしたけどね
確かに、エジルのはアシストのアシストでした。
すみません。喜び過ぎました・・・
でもその前にも、セバーヨスからのパスを、珍しく右足からのワンタッチでゴール前のオーバメヤンへ。
もっとエジルを楽しみたいです。
ビルドアップ、守備が成長してない所か悪化してるので私はもう解任でいいと思ってます
選手も監督を信じれなくなってるんじゃないでしょうか
エメリの戦術は一貫性がないので選手は共通意識が生み出せないと思います
オーバ、ラカと言う得点源がいてこのザマですから
まずは悲しい状況の中、ブログをアップして頂き深謝です。
2年前に、被シュート数で欧州一のクラブに俺はなる、なんて考えていたグーナーは全くいなかったでしょうね。
中盤の美しさが、本当にスペースすかすか、で、オーバがいなければ中位にすらいないこの感じ。
4-2-3-1で、底にトレイラとグェンドゥージ、No.10にセバージョスいれて、ペペとネルソン(もしくはマルティネッリ)の覚醒を待ちたいです。そしたら最終ラインの負担も楽になるし。しっかし、ペペはなかなか突き抜けんなー。まだプレミアのスピードとスペースの使い方に慣れていない。彼がコンスタントにゴール決めてくれればここまで・・・という見方もある。
モヤモヤしてることをキレイに言語化してくださって、ここに来て少しだけスッキリしました。救われました笑
10年以上アーセナルを見続けていますが、フットボールに詳しいわけではないので、一体どうしたら改善出来るのかがまったく分からず、最近はただただ試合を恐れるようになってしまってます。ジャカが言ったことはまったく選手だけじゃないよと。。
リーグ最下位に31本打たれる。これで相手がゴラッソならまだ救われますが、あの点の失い方ですからね。もう当事者以外のフットボールファンから見たら、なんとくだらない試合なのかと。オーバメヤン(とこの試合の)エジルだけが、ファンのプライドを何とか保ってくれましたね。。
はーまったく。
ラカゼットがいたらと思った方は、彼なら気持ちが折れかけたチームを鼓舞して奮起させてくれるからと思ったからでしょう、そうキャプテンのように。エメリはその役目はキャプテンではなく自分くらいに思っていて、キャプテンはとにかく自分の指示に逆らわないyesマンを指名するつもりなのでは、それも5人も。そしてその中にはラカは選ばれない。
どうなっちゃうんですかね。
あたしもあきらめませんけど。
ただゴールキックとスローインがことごとくピンチになるチームってどうなんでしょうね。
あきらめませんけど。
もしかしてマルセリーノお手すき?
コロコロ監督変えるのは個人的に好きではないのでこういう事は言いたくないけど、ほんとに散々な出来だった。そして今回の記事でも言及されてるようにたまたまな不出来ではない。
でもネルソン、ウィロックの成長にはエメリが必要なのかなあ
なまじ最近ほとんど監督交代なんてしてなかったチームですから即座に解任はないでしょう
エメリはバレンシアやパリでの仕事で優秀だと思っていたのですが、やはり普段から見ていないクラブの印象は当てにならないですね
戦術的なプレスは一気にここ数年で下位チームにまで広がったのでエメリは時代に取り残されちゃったのかもしれないですね