試合の論点
アーセナル vs チェルシーのトーキングポインツ。
ミケル・アルテタの功績
ミケル・アルテタがヘッドコーチとしてクラブに戻ってから8ヶ月。
彼だけの責任ではもちろんないが、今シーズンのPLやELの結果を見れば、決して順風満帆なスタートではありえなかった。
そもそもシーズン途中にバラバラになりかけていたチームを、大した準備期間もなく引き継ぐ難しさはそうとうなものだったろう。そしてもちろんコロナヴァイラスによる3ヶ月の中断。通常のシーズンとは違うイレギュラー対応を余儀なくされるなか、それでも断固たる信念をもち、チームを率いていこうとするさまに強い印象をもったファンも多いはず。
もし仮に今シーズンに結果が出なくても、絶望のどん底ではない。彼ならきっとこのクラブをいるべきところに戻してくれると信じられる8ヶ月だったと思う。
しかし、そんなシーズンでも最後の最後に彼の仕事は報われた。
PLの8位フィニッシュはもちろん本意ではなかったが、結局これで今シーズンもEL出場という最低限のノルマは達成した。終わってみればセミファイナル、ファイナルとビッグ6クラブをふたつ倒さねば取れないタイトルだったのだから、いかにわれらが大きな仕事を成し遂げたかということだ。
この大舞台でプレッシャーをはねのけ、去年のELファイナルの雪辱まで果たしたチームは当然大いに称賛されるべきだが、より大きな称賛を受けるべきなのは、チームを戦術的に進歩させるだけでなく、最後まで選手たちを信じ鼓舞しつづけたヘッドコーチに間違いない。
決して状況に迎合せず、自分の信念を貫き通す強靭な精神。それでいて謙虚で、自ら学ぶことをやめない。
彼のようなタイプのマネージャーが、このクラブを前進させるためには絶対に必要だった。そう思わずにいられない。
His first trophy as @Arsenal manager! 🤩🏆#HeadsUpFACupFinal pic.twitter.com/iN3CjFw0AG
— The Emirates FA Cup (@EmiratesFACup) August 1, 2020
まずはひとつめだ!
オバメヤンの重要性
スーパークールな2得点でこの勝利に大きく貢献したのはもちろんPEオバメヤン。
彼がいなければ、アーセナルはもっともっと悲惨なシーズンを送っていただろう。
アーセナルにとっての彼の重要性は、日に日に高まっていったように思う。
オバメヤンがアーセナルに来て以来、PLで彼よりも多く得点した選手はいないという。。
70 – @Aubameyang7
68 – @MoSalah
65 – @sterling7🔴 Since Aubameyang’s debut for @Arsenal, he has scored more goals than any other @premierleague player in all competitions. If anyone deserved an FA Cup winner’s medal, it was him. Auba seized himself one in some style 👏 pic.twitter.com/3RqU3vQmnW
— FIFA.com (@FIFAcom) August 1, 2020
そして彼はヨーロッパのトップリーグ直近6シーズンで連続で25得点以上している、たった4人の選手のうちのひとり(メッシ、ロナウド、レヴァンドフスキ)ということで、紛うことなきスーパースターである。
契約更新について、クラブとはいまだに交渉中だということが伝えられているが、アルテタ自身はかなり楽観的でいるようで、インタヴューでオバメヤンを中心にしたスクワッドをつくると語っている。
アルテタのプランのなかでももはや決定的な存在になっているということだ。
彼へのオファーは基本サラリー£250kpwの3年契約だと云われているが、総額で£39m。その金額で毎年25ゴールを約束してくれるストライカーは買うのは不可能だ。
彼がいるかいないかでチームの火力はまったく変わってくる。トップチームには必ずトッププレイヤーがいる。オバメヤンはそういう選手であり、アーセナルは全力で彼を引き止めなければならないだろう。
このことばを信じたい。
My manager !!!!! https://t.co/uMpL68BWnl
— Aubameyang P-E (@Aubameyang7) August 1, 2020
ちなみに最新情報だと、オバメヤンはクラブにさらなる補強を求めているらしい。とくにバルサのウスマン・デンベレを買えと。いやそれはどうだろう。
戦術バトルについて
この試合でも興味深い駆け引きがあったようである。
わしは試合中は観ていて気づかなかったことを戦術の人たちはよーく観ててすごいなあと毎度思う。まあぼくの場合はフットボール鑑賞のときは、基本アルコホルを摂取しているというのもあるんですがね。あっはっは。土曜の深夜とかキックオフまでどうやって待てばいいのかまじわからない。
今回はこのtweetから。一連のスレッドを見ていただきたい。詳しく解説されていてありがてえ。
🔎The FA Cup final: Arsenal 2-1 Chelsea – a tactical analysis thread pic.twitter.com/6ZoONiYs70
— Premier League Panel (@PremLeaguePanel) August 2, 2020
ポインツは以下。
<ファーストハーフ>
- 序盤のチェルシーの優勢
- ショートパスによるビルドアップでファイナルサードまで
- コヴァチッチのプレス耐性
- ジルーが深く落ちてライン間にいるプリシッチ/マウントとリンクアップ
- プリシッチのセンター寄り(ジャカとバーヨスの背後)のポジショニング
- ミッドプレスでアーセナルからボールを奪いカウンター
- (ところがドリンクスブレイクで一転)
- アルテタが選手たちに指摘したであろうポインツ
- ビルドアップ時のジェイムスの高くワイドなポジション
- ミッドフィールドのプレッシングトラップ
- すぐにアーセナルはチェルシーの右サイドを攻めるように
- アスピリクエタの裏を狙ってロングボール → ペナルティのシーンもそれ
- KT to PEAのロングボールはシティのときもやってた得意のかたちになるかも
- チェルシーのMFs(コバチッチ/ジョルジーニョ)はこれに反応して左に寄っていく。そのおかげでセンターが空きペペのゴールシーン(※オフサイドで認められず)
<セカンドハーフ>
あとは元tweetをご覧あれ。
この試合の最大のポイントは、前半のお水ブレイクでの戦術調整で、そこから一気に流れが変わったと。アタッキングモメンタムにもそれはよく現れている。
前半を見ると序盤はみごとにチェルシーの時間になっているが、それ以降ではずっとアーセナルの時間がつづき、前半終了あたりではかなり優勢だ。アルテタが云っていたベストの30分というのがこのようなグラフにもよくあらわれている。
この試合、チェルシーがショートパスにだいぶこだわりを見せていたので、それと比較するとアーセナルのほうはだいぶロングボールを使った印象があった。
だが、ランパードは試合後、アーセナルはフットボールもプレイしたし、ロングボールもあったと話していた。「フットボールをプレイした」というのは、要するにそういうことだろう。この発言はなにやら示唆的だなと思った。
アーセナルの来シーズン以降の戦いかたを占うに、ペップゆずりのショートパスを多用したパスゲイムと、リヴァプールっぽいロングボールを使ったダイレクトなプレイと、両方をいい感じにミックスしたものになるのではないかと期待する。オバメヤンやペペはロングボールのターゲットにはぴったりだし(相手のDFは絶対いやだろう)、噂されているボール扱いのうまい選手が来るならば、ショートパスでのビルドアップも改善するに決まってる。
ここからまた新しい戦術の潮流が生まれるのかもしれないよ。だいぶ期待している。アーセナルが最先端になって『footballista』が特集を組むのだ。
勝負を決めたケガ&レフ
フェアになれば、この試合のチェルシーはだいぶアンラッキーだったと思う。
ていうか非常にこう既視感のある? まるでアーセナルの魂が乗り移ったかのようだったではないか。
まずケガで、キープレイヤーを失ったこと。
プリシッチという選手はこの世界ではめずらしいアメリカ人ということで、とかく過大評価されていると云われがちな選手であるが、さすがにアーセナルのディフェンダーたちは手を焼いていたことは認めないといけない。
彼が後半すぐ自損でやらかさなければ、違った展開になっていた可能性はある。気の毒だなあ(ハナホジ)。
そしてもちろんレフェリーのジャッジメント。その名はアンソニー・テイラー。
まさかあそこでレッドカードが出るとは。そこまで悪質なファウルには見えんかったが。そして2度イエロウを出させたのはおれたちのジャカ。それも含めて、なかなかチェルシーに厳しいめの審判がわりと見られたように思う。とにかくファウルが多かった。
いつもなら逆である。
ケガでキープレイヤーを失い、レフからも見放される。
相手から見るとこんなに痛快だったのか。初めての感覚。
こんな画像がやつらのファンのあいだで共有されているようであるが、クソどうでもいいな。
これまでこのブログでも審判がさんざん不公平だなんだと訴えてきたが、自分が求めていたのは公平さとか正義とかじゃなかったといまわかったわ(笑い)。とにかくアーセナルに有利にしろ。云いたいことはそれだけだ。
いつも楽しく拝見してます!
ほんとーに辛いシーズンで、未だに感染症で先行き不透明な世の中ですが、まさに”Arsenal Change Everything”ですね、生活の基盤がアーセナルですから。これだからグーナーはやめられないんですよ!
大変なシーズンでしたが、いつも読み応えがあり、クスッと笑える記事を1年間ありがとうございました!
来シーズンも楽しみにしております。
(って、一番忙しいマーケットシーズンが始まるんでしたね…笑)
勝ちましたね、フットボールで。
選手の笑顔や涙、最高でした。
月末にはもうシーズンが始まるとゆう、われわれは嬉しいですが、選手たちに休みがないのはちょっと…。
でもそれもみんな同じ条件なんで。(とっとを除く)
とにかくよかった。
つぎのシーズンも楽しみましょう。
ありがとうございます!
辛いシーズン、covid19、などなどによる暗い気持ちは薄れ、不思議と清々しい週明け。まさにArsenal Change Everything。
このドラマチックな帳尻合わせ、だからグーナーであることを辞められないですよね。さて、オーバは残ってくれるのか、セバージョスは?エジルは?マッテオは?パパも表彰式で遠慮しているのを見ると、あれが最後だったんだろうな・・・とか。そしてサリバがどんな景色をみせてくれるのか。移籍ウィンドウと来期以降の展望のレポート(PLとCLのタイトルに挑みたい)、楽しみにしています。ひとまず、チャンピオンであることのありがたみに浸りましょう。COYG
感無量す。何度ダイジェスト見返した事か。
何よりも優先するべきはアルテタの契約延長なのかも?
青マンがちょっかい出さないようにアルテタをキープして30年くらいボスやって貰わないと。
紙一重の結果だとは思うけど、グッドルーザーで終わっていたら簡素とはいえ感動的なセレモニーや、ロッカールームでのシーンは観れなかった訳で。
もちろんELも言わずもがな。
ありがとうしか無いっす。
来季も楽しみにさせて貰います!
COYG
別のブログ主さんが言ってましたが、ベンゲルの帳尻力はアルテタにしっかり引き継がれてますね(笑)
完全に満足のいくシーズンではなかったですが、来シーズンに向けて希望の持てる終わり方が出来て良かったですね。
これからはスカッドの再構築になるので、フロントにはぜひがんばってアルテタをサポートしてもらいたい!
ELもCLも終わってないから、タフな交渉になるでしょうね。
とはいえ、ひとまずはお疲れ様でした。
来シーズンもCOYG!!
あの怪我で選手が抜けていくツラさをよく知っているのでざまぁみろみたいには思えないです。
あんなアスピリクエタを見たくないんで過密日程どうにかしてほしいです。
アスピリクエタがルイスなら退場にされてて怪我することもなかったのに。
テイラーはチェルシーに打撃を与える未来を予知して間違えずに選択し続けてましたね。
後半の印水タイムを遅めにしてくれたり配慮が行き届いてました。
今のチェルシーは若手主体で素早いパス回しでアグレッシブに戦う良いチームですね。
老獪なカウンターを狙う百戦錬磨のベテラン揃いのチームはどこかに行ってて以前より好感持てます。
ただ来季からまた大型補強を繰り返す反吐の出るチームに逆戻りしそうですけど。
苦しいシーズンを過ごしたチームに対して、しっかり報酬が与えられたことは本当に大きいですね!(勿論サポーターにも)
アルテタが取り組んだ左サイドの可変、高インティシティなプレス(特にジャカ、セバージョス) が実を結んだ感あって感動しちゃいました!
アルテタすげー喜び爆発してた感じあったし!
自分が応援してるチームの選手が喜んでる姿見るのは本当にいいものですね!
あーこれで極端な陣容のスリム化難しく、チームビルディングも日程的に難しくなるけど、アルテタなら、、
最後に、、お隣りさんが予選行きとなったね(笑)
観ている方も長くてタフなシーズンでした。辛い試合、その後の仕事など本当に気がおかしくなりそうでした。それでもこのblogで救われました。
悲惨な試合でも更新してくれてありがとうございます。コメント集の翻訳も非常にありがたいです、選手個々のキャラクターが分かるようになるのでよりアーセナル愛が深まってます。
これからも楽しみに拝読しますので体調気を付けて更新よろしくお願いします。
美しい勝利でした。
激動のシーズンラストはお笑いカップリフトで〆とは。
信じられません。エメリは今頃苦虫噛み潰した顔してるのだろうか。
プリシッチ弾が炸裂した時はどうなることかとおもいましたが、プリシッチの足も炸裂し交代、負傷続出レッドありとチェルシーには気の毒だけどどっちがアーセナル?みたいな展開に。
エミリアーノのハートフルストーリーといい、最後までドラマチックに終わった今季。来シーズンの開幕メンバーははたしてどうなるのか…楽しみであり不安でもあります。
最後に、暫定監督受けてくれたフレディ、ありがとー!
あなたのチームはタイトル獲ったよ。辛い時期を支えた真のレジェンドへ感謝。
なんかランパードからものすごいヴェンゲル感を感じる
試合前のゲームプランはいいから入りは凄くいいんだけど、主力選手の故障からのゲーム中盤での修正力のなさが響いて負けるっていう
若手を重用するところも似てるし
アルテタは前半の中盤からしっかり試合をコントロールして常に主導権を握れていたと思う。
流石にペップが認めただけあるなと感じました。
試合前は、というか今季の途中から、もう無理してビッグクラブを名乗らなくてもいいなぁと思っておりました。そんなものに縛られるよりも、新進気鋭の若手監督(アルテタ)のもとでコレクティブなサッカーをする中堅チームとして見る方が試合を楽しめるのではないかと。
ただ今回の試合を見て、それじゃあオバメヤンに申し訳ないなと。やっぱり彼のようなビッグスターがいるのがビッグクラブだなと。
やっぱり、アーセナルはビッグクラブであって欲しい。
そう強く感じてシーズンを締められたことが、ただただ嬉しいです。
とりとめのない感想ですいません。
来シーズンもブログ、楽しみにしております。(日々の生活におけるこのブログの影響がけっこう大きい)
パパとかトレイラのためにもタイトル取れて良かったなって。
練習から全力でやらないとベンチにも入れないアルテタのチームで、控えがガチでスタメンをプッシュすることがどれだけチームを前進させてくれただろう?
それがなかったら、たった7ヶ月でこんなハードワークなチームに変貌しただろうか。
ガチでプッシュしてるのに試合に出れないのは辛かっただろうに、この人達からは少しもネガティブな態度が見えなかった。
とてもいいチームだった。有難う。おめでとう!
ほんとパパの取り組む姿勢はチームにとっていい見本でしょうね。
謎の右サイドでの出場でももくもくと任務遂行って感じのプレーも、CBとしての序列が下がって控えになってもハーフタイム時に戻ってくる選手にグータッチしたり、表彰式の前に謎のカードをチームメイトに配ったりと。
思うところあったとしてもしっかり自分の役割を全うしてくれてありがとうって感じです。
ま、ゲンドゥージはプレイヤーとしての能力はあってもその辺足りてなかったんでしょうな。そんなことより来季も楽しみです。
ほんとパパの取り組む姿勢はチームにとっていい見本でしょうね。
謎の右サイドでの出場でももくもくと任務遂行って感じのプレーも、CBとしての序列が下がって控えになってもハーフタイム時に戻ってくる選手にグータッチしたり、表彰式の前に謎のカードをチームメイトに配ったりと。
思うところあったとしてもしっかり自分の役割を全うしてくれてありがとうって感じです。
ま、ゲンドゥージはプレイヤーとしての能力はあってもその辺足りてなかったんでしょうな。
でもそんなことより来季も楽しみです。COYG
チーム作りが始まりますねー。
セバージョスには来シーズンも来てほしいのと
ジャカ以外の彼の相棒を見てみたいです。
あと個人的にはトップチームでのバロガンも見てみたいです。