試合の論点
フラム vs アーセナルのトーキングポインツ。
新シーズンのアーセナルはアルテタのチームらしくなっているのか?
ということを試合前にこの試合のみどころとして書いたわけだが。
この試合を見たかぎりでは、あんまり変わらないかな?
まあ数週間で劇的に変わるなんてことはさすがに期待すべきじゃないのはわかってんだけども。選手も真ん中にジャカとエルネニーを並べるとかエメリ時代みたいなセレクションだったし。
アルテタが来てからのアーセナルが見せているポジティヴな変化は、
- 守備ストラクチャの著しい改善
- バックからのプレイの著しい改善
- ハイプレッシングとディシプリン(全員守備)の改善
といったところ。まったくもって著しい。
そして試合後のエルネニーが語っていたように、全員が100%を出すようになったというのはほんとうにそう思う。たとえばラカゼットなんかは、とても90分もたないハードワークをしているように見える。それによって、守備と攻撃の始まりに関しては大きな改善が見られている。強い相手のときにはとくにそれが顕著だ。
一方で、エメリ時代からあまり改善していないと思えるのは、毎度書いているが、やはりピッチの中央エリアを使った攻撃。
エジル以降、ここでキラリと輝く選手がまったくいない。いわゆる相手ディフェンスのライン間(between the line)でボールを受けてそこからチャンスクリエイトできるタイプ。No.10がいないフォーメイションだとかそういうこともあるが、もっと本質的にそういうタイプの選手がいないという。たとえば、セバーヨスがNo.8としてそういったプレイが大得意なら、いまアーセナルの攻撃は見違えている可能性がある。しかしそうでないのは彼がそこまでクリエイターじゃないからだろう。だからシステムの問題ではないのだと思う。
最近のアルテタのセットアップだとここ(含ハーフスペイス)にウイングやウイングバックが侵入してきたりするわけだが、彼らはそこでボールを受けてからいい感じにクリエイトできるタイプというわけでもない。危険な場所でボールを持てば相手には脅威になるが、そこからのロマンある展開はあまり期待できない。ここに入ってくるのが、ナスリやロシッキーだったらと考えてみていただきたい。
今回の試合もビルドアップ時にはそう感じることも多かった。中央ゴール前のタイトなスペイスでボールを受ける選手がMFに下がってきたラカゼットくらいしかおらず、結局ボールを多くの時間をUシェイプでのボール回しに費やすことに。ファイナルサードへボールを運ぶパスは、同じサイドのフルバックからウイング(たとえば、AMN/KTからオーバ、あるいはベレリンからウィリアン。この試合でも浮き球で出すシーンが何度かあったはず)になるし、あるいは成功率の低いダイアゴナルなロングボール。中央を経由できない/しないために、プレイの幅が限定される。それが見ていてストレスに感じる。そこにセスクやカソルラがいたらなあと。
同じサイドのフルバックからウィングにボールを送るのは、ペップ・グアルディオラがぷんすか怒っちゃうやつであるはずなので、ミケルもやりたくないのではないかと思うのだけど。
ぼくがこれを見ていてストレスに感じるのは、基本的にこれらがアルテタの理想だとは思えないからだ。彼はけしてリヴァプールっぽくやりたいわけじゃなく、いまのスクワッドの構成で仕方なくこういうプレイをやっているのではないかと疑っている。プロセスの途上だと割り切って。与えられたもので結果を出すのもプロの仕事だろう。
この試合の会見でも移籍ウィンドウについて問われ、アルテタはいまのスクワッドはインバランスで、クオリティが足りないポジションがあると云っていた。同時にアーセナルはいまOLのウーセム・アワーがトップターゲット(のひとり)だと云われている。彼が物足りなく感じているのは、やはりこのMFエリアのクオリティであることは明白に思える。
と、この試合のビルドアッププレイを見ながらあらためて感じたものです。
先日、パーテイとアワのふたりのうち、ひとりだけ取るならどっち?というエントリで、ぼくはアワを選んだのは、やっぱりそこがいまのアーセナルが進歩するためには最重要ポイントに思えたからなのだ。このスクワッドなら、短期的には、アワのほうがより大きなインパクトが得られるんじゃないかなと。パーテイを諦めてアワー(あるいは別のAMF)にターゲットを絞ってもぼかあ驚かない。
この件に関してはひきつづき注目して見ていくつもりである。
ウィリアンとガブリエル、デビューボーイズがシャイン☆
で、ウィリアンが↑その回答になるんじゃないかという期待もある。
Willian shows he is prepared to boldly go where Arsenal need someone most
要サブスク記事で恐縮ながら。いつものgunnerblog氏がウィリアンはアーセナルがいまもっとも必要としているギャップを埋められる存在になるんじゃないかと主張している。もっとも必要としているギャップというのは、攻撃のクリエイターのこと。
この試合の「3アシスト」は彼のチャンスクリエイションの賜物という感じでもないので(1点めはシュートのこぼれたところをラカが押し込んだ。2点めはコーナーキック。3点めは左サイドのオーバにダイアゴナルのロングボールでそれをそのまま決めたため)、今回にかぎってはそこは注目しすぎるべきではないと思うが、彼が輝いたのは確か。
若干見にくいウィリアンのヒートマップ(フースコより)。ファイナルサードの右サイドエリアでもっともタッチが多いが、わりと前後左右いろいろなところに顔を出している。
Willian:
3 assists
25/26 passes completed (96.2)
3 key passes [most]
1 successful cross
1 big chance created
2/3 duels won
0 successful take-ons pic.twitter.com/gMHlx5Vat0— 24 ® (@the1886club) September 12, 2020
75分間のプレイでパスが26とすごくボールに触れたわけではないが、それでも、ピッチのいろいろなところに顔を出し効果的な潤滑油になっていた。
あのポストを叩いた27分のフリーキックが入っていれば、3アシストに1ゴールまでついてMOTMはゆるぎなかっただろう。
ちなみに今回おもしろいのは、BBC SportsとSky SportsのMOTMはガブリエルで、ファン投票で選ばれるアーセナルの公式とPLの公式?(バドワイザープレゼンツのKOTM:King of the match)ではウィリアンが選ばれていること。おそらくスタッツ的にガブリエルが選ばれたが、ファンの印象ではウィリアンのほうが強かったという。
昨シーズン実績でもアーセナルの選手たちと比較してウィリアンのチャンスクリエイションは突出している。
#Willian provided 2 assists on his debut and created 3 chances in an impressive debut.
Here’s a look at how he compares with the current #Arsenal midfielders and forwards in terms of chance creation. #ARSFUL pic.twitter.com/0wEvpeXXY5
— M (@watmanAFC) September 12, 2020
今後にも期待が高まる。やはりウィリアンはぺぺの直接のライヴァルというよりは、エジルのリプレイスメントと見るほうが正しいのかもしれない。
そしてガブリエル。いきなりデビューは本人も意外だったのではないだろうか。やはり少し緊張しているように見えた。
バックでボールを回しているとき、いつも相手に寄せらそうになって苦しくなってからKTにパスを出すので、KTは毎度ボールを受けてからの展開に苦労していて、ぼくは正直なところ、若干ハラハラしながら見ていた。
前評判からはロングボールもかなり得意ということで期待して見ていたが、そういったチャレンジを見せることもあまりなく、パスは無難なものが多かった。あれだとパス数が多いのもパス成功率が高いのも当然だろう(94.7%。パス数もチームトップ)。おおっと思ったパスは31分。相手を押し込んだ状態で前方に出したパス。ああいうのをもっと見たい。
結局90分プレイはかなり安定していたし、ゴールまで取って本人にもとてもいいデビュー戦だったはず。
しかし始まって2分の例のシーンはレノに救われたが、もしあれで失点していたら失点につながるエラーとしてカウントされ、試合後の彼の評価は180度変わっていた可能性がある。まったくレノさまさまである。あのあと、レノとガブは何やらことばでやりとりしているように見えたが、ちゃんと意思疎通はできていたんだろうか。。
このブログで彼の獲得が決まったときにバックでのコミュニケイションはおそらく問題ないと書いたのだけど、この試合にはなんとルイスもサリバもおらず、もしかしたらレノやホールディングとはコミュニケイションで多少問題はあったかもしれない。
ただ、あの場面は口頭でのコミュニケイションというよりはAMNのパスの強さが彼にはわからなかったというほうが大きいかも。あの強度のパスが自分向けなのかGK向けなのかわからなかった。試合本番における仲間のパスの強さを知ることもまた適応のひとつに違いない。
徐々に慣れていってもらえばいい。こうしていきなり彼を実戦に投入することはリスクでもあったが、結果的にうまくいき本人もPLでプレイできる自信を得て、ちゃんとリターンを得ることができたのは幸いだった。彼がこの一度しかない経験を最高の結果とともに得られた。そのことがプライスレス。
Gabriel Magalhães is the first Arsenal centre-back to score on his Premier League debut since Thomas Vermaelen in 2009.
Something about those left-footed CBs. 👀 pic.twitter.com/nBZSIv6LZl
— Squawka Football (@Squawka) September 12, 2020
アーセナルでCBがPLデビューで得点するのはトマス・ヴェルマーレン以来ということ。左足CBつながり。
でかい pic.twitter.com/qsvDhBkunC
— Mr. Arsenal Chan (‘3’)/” (@NewArsenalShirt) September 13, 2020
チームのなかで見ているとあまり意識されないが、かなりでかい。彼より3cmほど大きいのがサリバなので、アーセナルのCBはいきなりすごいでかく&ごつくなった。
ほぼ完勝したのは嬉しいですがMFのクリエイト問題はやはり気になりますねぇ
ここ数年変化がないので選手の質が問題なのは明白。補強はマストと考えます
昨日の試合ではジャカよりエルネニーのがよく見えましたし、中盤も競争してもらいたい
ナイルズ君が色んなとこに顔出す役割のようなので、もっとクオリティ上げていってくれると嬉しい
成長に期待
ティアニーは真のアシュリーコールになってくれる未来が見えました
ずっとアーセナルにいてくれー
ガブリエルはかなり期待。攻撃時だけじゃなく、守備時も、首がふれて、準備もしっかりできる。ロブホは安定してるように見えたり、くだんのプレイが取り沙汰されたりしてますけど、足元結構びびってアンパイなパスばかり出していたような。特にベジェリンに出せるところ前半なんでも渋ってる感じあった。
前線の創造性はエジルいるやんってまだ思ってます。
ブログ更新おつかれさまです。前半早々は相当前目にジャカが寄っていてスイス代表のときみたい・・・とおもったら、後半はバックライン左に落ちてロングボール配給したり、いまはスペースをかき乱したり引きつけるために走っているナイルズに得点が生まれ始めたらこのチームは変わるなあ、と思ったり(代表の風格が・・・)。ペジェリンとセバージョスはやっぱり二人だけで通じ合っているものがあるなあ、とか、ガブ君はがちむちでサリバとならんだ無双感がみたいなあ、とか。でもこの試合で嬉しかったのは、アウェイでラカがオープニングスコアラーになったこと(形はどんなであれ、これで20点ぐらいは目指せるのではないか)と、ロブホの柔らかいタッチのあと、ラカにペロっと舌を出したとき。ああ、楽しんで積極的にフットボールをやっているなあ、とじんわりきました。来週は必勝、勝負はアンフィールドからですな。COYG
ここまで相手にチャンスを作らせなかったのは、フルアムのようなチームに対してもリバプールのようにハイラインではなく5-4-1でしっかり引いて守ることを選択してるからですよね。今後もしばらくは(ハイラインの裏にスルーパス出されてもスピードで負けないサリバが計算できるようになるまで?)この守備方法でいくのだと思ったのですけど、アワールとったとしてジャカやエルネニー、セバージョスと組んで4のインサイドで守れますかね 攻撃面での貢献より守備のリスクの方が気になります アワールきたらきたで楽しみではあるけどなぁ
これはほんとに思うのだけど、守るときはバッチリ陣形を組んでいるし、相手のクオリティとかに関わらずしっかり全員がオウンハーフに戻っているのだよね。全員が守備に参加するというモダンフットボールの基本にすごく忠実。それでいてここぞというときには6人がボックスに入ってるみたいな。
ということは全員が攻守でユニットになるというのがこのチームの大原則で、きっとそれこそがいままでできていなかったことなんだなと。
ウィリアン良かったです 良い選手なのは知ってましたけど、ユニの違いで見方もマルっと変わるもので この試合だけでも状況判断能力や献身性の高さが伺えましたが、特にポジショニングセンスとキック精度は特筆ものに思えました 今シーズンは彼のセットプレイから得点機が増えそうな気がしてgood ペペとも共存できそうですし、サカにとっても最高のお手本になりそう 怪我の多い印象も無いし、ルイスと共に若きブラジリアン達の説得材料にもなってくれそうで…ウィリアン最高かよ
エルネニーも良かった 元々波の少ない選手だと思うし、今回位に前向きなパスが出せれば良い選択肢です 機動性も献身性も高いと思うし あとは、ポグバ級の相手とのマッチアップに耐えうるか リバポやシティのプレス下において、ボールを前に運べるかを見たいですねー
マガリャーもgood 本人には難しい状況の中で、さほど難しくない相手だったのは良かったかも 期待感の高まるCBですわー
エンケティア呼びは、思いました。笑
このブログ更新された直後に[アワー>パーテイ]報道になった事も手伝い皆このブログ読んでんのか?と思った次第っす。
完勝は嬉しいですが、ロブホのパス不安定問題は解決して欲しいっす。毎度、冷や冷やするんで、、、
しかしホント、エメリ期と比べるとリスクあるパスを選択するようになったなぁ、とシミジミ思いました。
贔屓のクラブの露骨な進歩を見続けられるのは何ものにも変え難い。
最高のスタートと言っていいのではないでしょうかね。
問題は前の選手が現状維持あるいはアワーが来た場合、スタメンどうなるのってとこですかね。
あたし的にはやはりペペを最初から見たい。
ウィリアンをとった以上、使わないわけにはいかない。
となると、オバラカペペのスリートップで10番の位置にウィリアンとゆう夢のカルテットが解決策かと。バックアップもエディ、サカ、ロー、ネルソン年末ころにはマルティネリも復帰となると、ベテラン若手ちょっとだけ中堅とかなりのスカッドですね。ここにアワーが入った場合、誰を外すのですかね。
全員がケガなく使えるとも思いませんが、ラカゼット以外けっこうみんな頑丈な気がしますし。
これからも全く目が離せませんね。
本当はchanさんの予想したように4バックでトップ下にウィリアンを使いたいところなんだろうけども、現実のメンバーはぺぺではなくAMN。
たぶん現段階でぺぺは、判断力とハードワークの両面でウィリアンには遠く及ばない。
また抜群の走力でハイプレスを支えるAMNをベンチに下げるほどのメリットも、おそらくアルテタは感じてないと思う。
ただ途中から出たぺぺは(ウィリアンの影響か)ボールの受け方が良かったし、珍しくタテに仕掛けていて好感がもてた。思うに判断力とハードワークさえ伴えば、引いた相手を崩す局面でぺぺほど才能のある選手はめったにいない。
アワーかパーティかという議論はさておき、今のメンバーで猛烈にAMNをプッシュしなければいけないのはぺぺだと思う。AMNをベンチに下げるだけの価値がぺぺにないのなら、そもそも4バックにする意味がないのだし。
コンディション/戦術的に選んだのかは分からないけど、スタメンに移籍報道の出てるベジェリン、ロブホ、ナイルズ、エルネニ、ラカを使ってくる辺り、ショーケース的な意味合いもあるのかと勘繰って観てましたけど、それぞれ輝いてましたね!
ベジェリンに関してアルテタが触れてたか分からないですけど、他の4人に関して残したい発言をみるに人員の整理はどうなるんだろうか?
流石にアワール/パーティがどちらも来なかったとしても大杉漣では。
デッドラインデーまで楽しめそうですね!
COYG
久しぶりにCKからの得点見たような?そんな気分に(笑)
エルネニーはジャカやセバに比べて守備における強度というか機動力があるのでそういう意味では良く見えますね。このフォメの場合はMFに攻撃の貢献がそこまで求められていないので割り切って見ていられるけど、やはり押し込める場面や難しさを求められる場面で物足りなさも個人的には感じます。でもこのフォメで使えるというのも確か。
セバージョスはスタメンじゃなくて相当フラストレーション溜まってる感じでしたね。当然スタメンであるという気持ちで来たんだろう。
ガブリエルは守備よかったですね。楽しみ。
ウィリアンはその時の状況によって効果的となるポジショニングや役割を自分で選択できるのがさすがですね。だから自然とフィットする。元々WGで出てもAMFみたいなポジションもとるイメージあります。
決めきるオーバもさすが。勝ててよかったです。