アーセナルがここまで楽に試合に勝つのは、ちょっと久しぶりではないだろうか。
非常にオーガナイズされた相手に苦労する時間もあったので、この日のアーセナルがベストパフォーマンスだったとは思わないが、少なくともシーズンでもっともイージーな試合のひとつではあったはず。
つぎのラウンドへの勝ち抜けにはかならず得点が必要という状況で、最近のわれらなら、今回もどうせ苦戦するだろうと思いながら観始めたのが、早々に得点を重ねて、おもいのほか楽な展開に。この危なげなさには、試合前の予想はかなり裏切られた。
3-0と大差がついた後半はもう観ていても試合への興味を失いかけたほど。さすがにアーセナルの選手たちも、やや集中力を欠いていてるように感じたものだが、それでもさらに追加点を決める。
ラスト15分はスラヴィア・プラーグの選手たちはもうボールを追いかけることをやめてしまったようだった。77分にラカゼットが4点めを決めた時点で、彼らは勝ち抜けに5ゴールズが必要になったのだからこころが折れてもしかたあるまい。彼らは試合に敗けることに慣れていない。
ということで、終わってみれば、アーセナルの直近の課題だったゲイムマネジメントについては、課題そのものを回避してしまったようなところがある。問題が問題になる前に終わってしまった。
そして、これで今年のELはセミファイナルことラスト4へ進出。タイトルまで残り2つである。
なんかみなぎってきた。
試合を振り返ろう。書くタイミングが遅れてしまいもう明日の試合も迫っているので、ちゃちゃっと。。
Slavia Prague 0-4 Arsenal (Agg: 1-5): Gunners cruise into Europa League semi-finals
アルテタの試合後コメント「個人のビッグパフォーマンスがあった」
試合直後のArsenal.comへのインタヴュー。オフィシャルサイトより。
アルテタ:わたしはとても満足している。われわれが勝ち抜けたうえに、それがとても納得できるやりかただったから。このラウンドで4-0にするのは簡単ではない。彼らはほぼ2年ホームで敗けていなかったというチームであり、タフな相手だった。だが、いくつかの個人のビッグパフォーマンスイズがあり、集団としても試合をとてもよく理解していた。とても効率的だった。
ヨーロッパでは、どんなほかのコンペティションより、試合は両方のボックスで決まる。われわれは両方ともで容赦なかった。クリンシートもキープして、4つのゴールズを奪った。もっと取れたかもしれない。
スウィッチオフはしていない。できなかっただけだ。あのチームはそれをやらかせてくれなかった。とてもリーズに似ている。われわれはホームで彼らとプレイしたので、彼らのスピリットを知っている。とてもいいことをやれた。彼らは生きつづけ、信じつづけ、そして最後までファイトするチームだった。
われわれはこれからヨーロピアンコンペティションでも大きな経験のある相手と対戦することになった。ウーナイは3度も勝っているし、おそらく彼はこのコンペティションでもっとも成功したひとりだろう。だから彼らを研究し、何をやってくるのか観る。そしてそのあとは、自分たち。そこへ行っても自分たちであるつもりだ。
試合後プレスカンファレンスでのコメント。オフィシャルサイトより。
試合について
(パフォーマンスについて……)
アルテタ:とても満足。タフな場所だったし、相手はホームでほぼ2年も敗けていないチーム。今夜われわれの行ったことは、選手たちがどう試合にアプローチしたか、そのアプローチにどう勇敢であろうとしたか。選手たちのおかげだ。そして、われわれは効率を要求していたので、今日はその一例になった。ヨーロッパのアウェイ試合で勝たねばならないのなら、こんなふうに効率のレヴェルが必要になる。
(7分間で3ゴールズ……)
それだけじゃない。リアクションだと思う。エミールが得点したとき、そしてそれが取り消されたとき、チームはすぐに反応したんだ。もっとほしいと。繰り返すが、われわれは勇敢だった。難しい場所でもとても効果的だった。たくさんのプレッシャーをかけ、ファイナルサードでボールを持ち決断が必要になったとき、われわれは非常にクリニカルだった。
(この試合はわれわれのシーズンベストのパフォーマンスだった?……)
わからない。もっとも重要な試合のひとつではあった。このクラブ、自分たち自身、そしてファンにとってこのコンペティションがどれほど重要かわかっている。今日はエミレーツでの試合からして、難しい結果をつかんだ。エミレーツでは効率的になれなかったが、今日は完全に逆のレジリエンスを見せた。自分たちに勢いがあり、試合を殺した。
(今夜の攻撃での流動性はまさにあなたが観たかったもの?……)
まったくそのとおり。つぎの試合でもそういうアプローチになる。間違いなく。それだけではない。われわれにはアグレッシヴネスがあり、どこでボールにプレスしたいか、自分たちのラインでどこでプレイしたいか、そしてできるだけ相手ハーフでプレイする。われわれのアプフロントの選手たちがそれをやるとき、チームはとても危険になり、効果的になる。それがわれわれのアプローチだ。
(今夜のパフォーマンスと結果は、このチームでやろうとしていることを固める……)
重要な結果だ。だが、まだ試合のなかではもっとうまくやらねばならないことがたくさんある。いまわれわれがやっていることに関しては、まだたくさんの部分でとても大きなマージンがある。しかし、それもいずれやれるようになるはず。
(セミファイナルではウーナイ・エメリと対戦……)
タフな試合になるだろう。ヴィヤレアルはタフなチームで、ウーナイ・エメリはこのコンペティションでもっとも成功しているマネジャーだ。今夜は楽しむとしよう。その試合までにはまだ時間もある。日曜のフルハムには準備の時間がないが。
(なぜにこのチームはカップコンペティションズではベストを出せるので?……)
知らないよ! まだ勝っていないし、まだセミファイナルズだけど、彼らはそれをすごく渇望している。いいチャンスがあると感じている。選手たちは自分たちならそれができると強く信じている。それはもっとも重要なことなんだ。なぜなら、それにとてもプッシュされるし、ドライヴされる。今夜みたいなプレイをさせてくれる。このチームがどこまで遠くに行けるのか観てみようじゃないか。まだいくつかの重要なチームがいるし、ヴィヤレアルはタフな相手になる。だから一歩づつだ。
サカとESR
(ヘイルエンドの卒業生がいま見せている活躍はどれほど重要でせう?……)
わたしにとっては、彼らのプレイを観るのは喜びだ。トレイニングでも毎日観ている。彼らがどう振る舞っているか、クラブに対する情熱とコミットメント、彼らがどれだけフットボールをプレイすることを愛しているか。彼らには自分たち自身を表現させねばならない。ワークするための余地を与えねばならない。そしてどうやって彼らが自分たちのクオリティーズを活かせるかのアイディアも与えねばならない。そこからは彼ら次第だ。今日はふたりともとてもよかったと思う。
(サカとスミス・ロウがラカゼットとリンクアップすることについて……)
それが団結と選手間の相互理解が生まれるときだと思う。選手はお互いをよくしなければならない。それは大きなクオリティだ。うしろから支えて選手をよくしてくれる選手がいて、まわりにもそういう誰かがいる。集団的な相互理解がある。それがあるべき姿だ。バックラインでも同じことが起きている。
今日われわれが観たものはとてもソリッドだった。相手にはSoTもなかったんじゃないだろうか。それはちょっとした連続性のためであるか、あるいはそうした相互理解のなかでのちょっとした助け合いがあったためかもしれない。
オバメヤン
(オバメヤンについて……)
彼とは話した。彼は自宅にいる。問題ない。いまはまったく問題ない。彼はしっかり治療を受けるために2日間病院にいたが、いまは問題なくなっている。
(オーバはすぐにトレイニングに戻れる?……)
どれくらい回復しているか観る。おそらく彼は復帰までに数日は必要になるのではないか。本人はできるだけ早く戻りたがっている。彼からそう聞いたよ。
(オバメヤンがマラリアに感染していると知ったのはいつ?……)
シェフィールドで彼がいなかったとき、彼が具合が悪かった2日前だった。だが、誰もそんなことは想像もしていなかったし、ドクターも検査していた。それが判明したときだ。ドクターはすぐになんとかしなきゃいけないとわかって、グレイトな仕事をした。彼はいまはもう安全で気分もよくなっている。
(オバメヤンが完全に復帰するまではしばらくかかりそう?……)
そうじゃないことを願う。彼はいまはもう大丈夫だから。それが彼が今日わたしに伝えたことだ。彼はとても戻りたがっていた。しかし、どれくらい長くかかるものなのかわたしにはわからない。
(試合後にはオバメヤンと話した?……)
ノー。わたしはすぐみんなのところに来たし、それはできなかった。しかしあとで電話するつもりだ。彼が云っていたのは、自宅で元気だということ。
(今夜の結果はオバメヤンには“get well soon”プレゼントになった?……)
みんなが彼とは連絡を取り合っている。彼はメッセージや電話を使ってどのチームメイトにもとても協力的だよ。そして彼はコルニーにいる、ダヴィ、マーティン、キーランやほかのみんなと同じように試合を観ていた。ここに来れなかったみんなと同じようにね。
しかし、そういうものだ。そういうことも起きる。彼は国のために遠征して、病気をもらった。そのリスクはいつだってある。
試合前のtaking the kneeについて
(選手が膝をついて主張していた件……)
彼らはわたしとクラブに頼んできた。彼らはイニシアティヴを取りたかった。そしてそれに足る理由がある。だからわたしもクラブもとても協力的になった。レフェリーズとUEFAもまた協力的だったことに感謝する。いいジェスチャだったと思う。
(キックオフ前のtaking the knee……)
彼らがやりたがった。UEFAのルールに抵触しないかクラブと確かめ、それを行うことになった。わたしは非常に好ましかった。UEFAもとても協力的だったと云わねばならない。キャプテンがわたしのところに来てやっていいかどうか頼んだ。そしてクラブがそうするように、わたしも支持した。
以上。
オバメヤンがマラリアに感染の件
この試合の前にオバメヤンがInstagramで明かしたところによれば、彼はIB中にマラリアに感染していたということ。
一説によれば、国へ帰ってマラリア感染はアフリカンフットボーラーあるあるだそうで。ドログバとか?
PEA:残念だけどインターナショナルデューティでガボンチームといた数週間前、ぼくはマラリアに感染してしまっていた。この数週間はずっと調子がすごく悪かったんだけど、すぐに元気モリモリで戻るからね! さあてこれからボーイズの試合を観るとするか……
IB中に感染? このひとIBあけのPLリヴァプールでもELスラヴィア・プラーグのファーストレグでもプレイしているんだが……。たしかにひどいパフォーマンスではあった。しかしマラリアってそんなに潜伏期間があって、感染がわかりにくいものなのかしら。しかも3日ごとにCovidの検査をしているとか、これだけ感染症対策をしているなかで。
シェフィールドのときは不在の理由が「風邪(flu)」と説明されていたり、若干の疑問はなくはないが、ほんとに病気だったのならある意味安心かもしれない。
アルテタの口ぶりからすれば、ふたりはちゃんとコミュニケイションも取っている。
早く元気になってラカゼットとポジションを争ってもらいたいものですな。
試合前のtaking the kneeについて
BLMのtaking the knee(膝つき)アクション。
試合開始のホイッスルを待つ時間、片方のチームだけが膝をつき、もう片方のチームは肩を組んで並んでいるという不可思議な光景が展開された。
💬 “The players asked me and the club. They wanted to take that initiative and they had the right reasons for it, so the club and I were very supportive.
“Thankfully the referees and UEFA have been supportive as well, so I think it was a good gesture.”
👔 – Mikel Arteta pic.twitter.com/RACPwjTTqR
— Arsenal (@Arsenal) April 15, 2021
そういえば、スラヴィアはファーストレグも前半ホイッスルの前にtaking the kneeをやらないのが不思議だったことを思い出した。
というより、キャプテンのラカゼットがアルテタとクラブにあれをやりたいと頼んだというのだから、UEFAの試合としてはもともとはやる予定はなかったものなのか。ほかの試合を観ていないのでわからぬ。
アーセナルがこれをやるのなら、スラヴィアのチームだってあんな事案があった当事者なのだし同調すればいいのにと思うのだが、結局やらなかった。彼らがこれをやらなかった理由についてはぼくもよくわかっていない。事情をよくご存知のかたはこっそり教えてください。
各所の情報によれば、理由のひとつは、もともとチェコのような東欧の国では人種差別が(USや西欧ほど)大きな問題として扱われていないこと。だからUS発祥のBlack Lives Matter自体にも関心が薄く、普段からやってないし今回もやらなかった。
※人種差別がないという意味ではなく、それはむしろかなりあるらしいが、アメリカや西ヨーロッパの先進国に比べて黒人が少ないので、多様性の尊重のような問題意識が芽生えにくいとかなんとか。そのあたりの感覚は日本人的にはわからんでもない。
もうひとつの理由は、グレン・カマラに暴言を吐いて10試合バンになったDF氏にチームとして連帯を示そうとした。こっちはさすがにないよなあ。でも、そう疑われるようなアクションではある。もしほんとうにそうならば「FCレイシスツ」のそしりを免れない。
まあどっちにしても、あまり褒められたことではないように感じる。taking the kneeをやっても人種差別は変わらないのだからもうやらないと主張しているザハのような例とはまた違うわけだし。
この試合を「vs レイシスト」のように見立てるファンもいたので、スラヴィアの選手たちは汚名をそそぐ意味でも、アーセナルに倣えばよかったんじゃないかね。拒む理由もないだろうに。
ジャカのコメント「ポジションはどこでもいい」
今回もまたレフトバックで安定したプレイ。試合後のインタヴュー。オフィシャルサイトより。
ジャカ:もしぼくらがこんなふうにELの試合で勝てるなら、自分はどのポジションでプレイしても構わないね!
ぼくがチームを助けなきゃならないなら、ぼくは助けなきゃならない。ぼくはチームのためなら何でもする漢さ。もちろんみんなだってそこがぼくのレギュラーポジションじゃないことはわかっている。でも、チームメイツもコーチもぼくを助けてくれる。このポジションでチームを助けられることがうれしいよ。この2試合でぼくは全力をつくそうとしたし、いいパフォーマンスだった。
ぼくたちはとてもいい試合をした。ボスに与えられたゲイムプランはエクセレントで、今日はビッグゲイムだと示した。2試合を通してぼくたちが勝ち抜けにふさわしいと思う。
チームのキャラクターはすばらしかった。ここで4-0で勝つのは簡単じゃないが、チームは90分を通してグレイトなパフォーマンスを見せた。
ジャカといえば、この試合の前にこんな動画が公開されていた。もうご覧になったろうか。
ひとりの選手のピッチ上での「声」を試合を通して追うという「Open Mic」というシリーズもので、今回は3-0で勝った先日のPLシェフUでのジャカの声を収めた回だった。この動画6分もある。
このAresnal producitonのOpen Micシリーズは、選手がどのようにピッチ上でほかの選手とコミュニケイトしているかがわかって毎回おもしろいが、ジャカはほんとうに叫びっぱなしという感じ。声が枯れそう。彼のようなひとを“vocalなタイプ”というんだろう。
今回ジャカはアームバンドを腕に巻いて試合を終えたが、実際いまのチームのなかでは彼がもっともキャプテンにふさわしい器(適役)という気はする。
サカも試合後にインタヴューを受けていたはずだけど、書き起こしがない。映像から訳すのめんどいので割愛すまん。見つけたら追記するかも。
堂々とした受け答えといい、彼はますます自信をつけている。「この勝利はファンのため」と云っていたよ。
ミキが因縁のマンU下して、決勝で会えてもアーセナル的にはいいストーリーですね。ウーナイには勝ちたい。当然、アルテタはヴィジャレアルのことはよーく知っているはず。アウェイでスタートだから、いくつアウェイゴール取れるか、がポイントかもしれませんね。いずれにせよ、もうサカ、ESR、ペペは外さないでほしい。トーマスの中央の存在感も増してきたし、明らかにチャンバースの方が守備力がペジェリンより上(左もジャカが入ると、高さでセットプレー対策に安心感が)。個人的には契約延長したフロより、リース出して欲しかったんですが・・・。選手のプレータイムを配慮する、まだ余裕がボスにはないのかな?COYG
あれ結構みんな冷静?w僕はすごい喜んでる
たしかに点差ほど実力差はなかったと思う。
ほんの少しの精度の差、あと一歩を競り勝ってボールをつなぐ→個人技で仕留めた感じ。
しかし90分間きちんと拮抗を作ったからこそこういう決まり方をするので、チーム全体がいい試合してたと思う。
言えばプラハが少しナーバスだったかも。1点目の直後とか。
フィジカルもプレー精度もギリギリの戦いで、ほんの少しだけ弱気になるとどうなるか?我々もイヤというほどよく知ってる。
しかしこの試合の我々は90分間強気だった。あれを淡々とやるのは見た目ほど楽ではないと思う。
僕はこの試合かなり評価してる。
こっちが同じテンションでやり続けた結果、相手がこらえきれず崩れた。こうでないと。
これがPLのボトムハーフ~中位くらいの実力だとすると、この後はPL上位クラスが出てくる(モノホンの2位も)。でもこういう試合をしてれば十分チャンスはあると思う。
ウエストハム戦以降で、初めてそう思った。