試合の論点
ニューカッスル vs アーセナルのトーキングポインツ。
最大の試合を前にチームが自信をつけた
この試合の最重要ポイントは、勝ったこと。
とにかく自分たちがいいプレイをしたと実感できて、それが結果につながった。
個人的には、相手の消極性とか、この勝利は自分たちマターだけじゃないという感じはしているが、それは関係ない。「自分たちがよかった」と思いこめることが重要だ。
これまではその自信の欠如が大きくチームの足を引っ張っていた。そのせいでポインツを落とし、さらに自信を得られず、さらにまたポインツを落とし……という悪循環。
ELヴィヤレアルはファーストレグのときも思ったものだが、たしかにそれまでの相手に比べればかなりいいチームで強いが、そこまで歯が立たない相手ではない。さらにウナイの超保守的戦略もあるので、そこはアーセナルが付け入ることができるポイントだろう。
あの試合のあとで、サカは「自分たちには選手が揃っているし、ちゃんと自分たちのプレイができればどんなチームにも勝てる」と云っていた。
ぼくは、その考えは決して傲慢とも自信過剰とも思わない。
問題は「ちゃんと自分たちのプレイができること」であり、それがつねにできないから、このチームは一貫した結果を得られず、確固とした自信も得られないでいる。どうしてもいい状態を維持できない。
今回この自信を得て、ちゃんと維持して、それを本番で生かせるかどうか。自信をしっかりと勢いに、強さにコンヴァートできるかどうか。
木曜のELヴィヤレアル、セカンドレグで問われるのはそこである。
ガビ・マルティネリの左サイド脅威と、じつはアルテタは世論を気にしている?件
この試合のマルティネリは左サイドでかなり効いていた。
彼がボールを持ったときには、ニューカッスルのRWB氏が気の毒になるくらい。
あのマルティネリと試合中いくどもバトルすることになったJacob Murphyという選手は、最近のニューカッスルのベストプレイヤーでもあったそうで、それでもマルティネリとの1 v 1では彼を抑えきれず、ことごとく突破されていた。彼を信頼して1 v 1を任せたことが、彼をさらすことになり、裏目に出たのかもしれない。
マルティネリは右足の選手だが、左サイドで縦に突破して左足でなかなかの精度のクロスを上げることもできるのだから、大したものである。オバメヤンのゴールアシストも左足からだった。まさにドンピシャ。
また、ゴールが決まったあと、マルティネリがボールを受けるところにさかのぼってVARチェックが入っていたが、ちゃんとオンサイド。彼はラインの内側で我慢強くパスを待っていた。フットボールIQが高い。
アルテタはこの日のロテイションで入った8人について、木曜にスタートする可能性を認めているが、マルティネリの左ウィングでのスタートはかなり有力な候補に思える。もしフィットネス以外の理由で彼を選ばないなら、かなりがっかりだ。
しつこいプレスもあるし、ボールを持てば、単独でも周囲とのコンビネイションでも脅威になれる。いまのチームのなかでは、数少ない「ゲイムを変えてくれる」という期待感のあるひとり。
左ウィングにESRを置いてゲイムをよりコントロールしようとするか、それともマルティネリでもっともっとダイレクトなプレイを目指すか。アルテタには木曜のセカンドレグでチームセレクションの決断ポイントになりそうだ。
個人的には、マルティネリのスタートを推したい。オバメヤンがCFをやるなら、彼を中央にとどまらせておける効果もある。今回はこのふたりにとてもいい関係があった。ESRだとチームプレイがある程度想像できるが、マルティネリをプレイさせたときの何が起きるかわからない、その「わからなさ」はアルテタのチームにはじつは重要なんじゃなかろうか。<オーヴァーコーチング>と云われるチームだもの。
ところで、この試合とは少し話がそれるが、先日のマーティン・キーオンの「アルテタはマルティネリが好きじゃない」発言は、思ったより各所で話題になっていて、どうもアルテタの試合後のコメント「もし疑いがあっても、キミら全員合わせたより、わたしはガビのことが大好き(If there are any doubts, I love Gabi so much. More than all of you together! )」という発言は、そのことを意識した発言に思える。べつに聞かれてもいないのに、わざわざマルティネリへの信頼について疑いがあることまで言及している。
このエピソードが示しているのは、アルテタは意外に報道や世間の話題をチェックしているのではないかということ。
彼はよくニュースや世間の話題について「知らない」とそっけなく応えたりするが、個人的には、彼はけっこう世論を意識していると感じることが多い。
たとえば、オバメヤンのCFやESRのNo.10抜擢は、ファン世論でも議論がもっとも盛り上がっていたタイミングでもあったし、ほかにもわりとメディアやファンの世論を気にしているように思えることが、これまで何度かあったような気がする。
先週のゼロトップについても、その後の世間の反応を観ているかもしれない。そして二度とやらない(笑い)。
ダヴィド・ルイスが負傷。アーセナルでのキャリア終了の恐れ
アルテタがこの試合で唯一の悪いことだと云ったこと。
53分にルイスがハムストリングをやって負傷交代。アルテタも彼のケガは「よくない」と云っているので、もしかするとアーセナルでのキャリアはここで終了の可能性がある。
もも裏を気にしつつ交代するときの彼の無念そうな態度も、それを示唆していたような。
この試合のルイスはとても効いていて、とくに正確なロングボールははっきり武器になっていた(7/9成功)。エルネニーの4分のゴールにつながったのも、彼から裏抜けするベレリンへのOTTのパスが起点になっていた。
前半を観ていたかぎりでは、これはもしかしたらルイスの来シーズンの契約延長を再考したくなるようなパフォーマンスだと思ったものだが、結局ああなってしまった。
年齢を考えれば、フィットネスはこれまで以上に頼れなくなるはずで、やはり今シーズン限りで退団だろうか。
今回これで彼のアーセナルでのプレイが見納めになると考えると、やはり寂しくはある。
たらればと云ってもしょうがないことだが、もし今回彼を温存していればとつい考えてしまう。
この試合の彼の影響力を見ると、相手が喜んでシットディープするだろう木曜の試合も、彼の不在は大きく響くことになりそうな気がする。
マイク・ディーンはぼくのともだち
PLの阿部四郎ことマイク・ディーンは、ケヴィン・フレンドよりもフレンドかどうか。ぼくはこの試合で彼を注意深く観ていたが、どうも彼はわれらのBFFかもしれない。
この試合中、何度かアーセナルに甘いと思えるような判定があったが、もっとも顕著だったのはジャカに対して。
彼は前半にすでにカードをもらっていたが、後半の54分。ジャカが完全に故意と思えるようなファウルを犯したとき、レフェリーによっては2枚めのカードを出してもおかしくなかったが、なんと阿部四郎、もといディーンはそれをスルーした。彼なら、当然そこでカードを出して試合を破壊することもためらわないと思われたにも関わらず。
これでマイク・ディーン戦のアーセナルはW11 D4 L1。これはむしろPLレフェリーのなかでも、かなり良好な結果を残しているのでは。
なんとマイク・ディーンを友だち認定する日が来ようとは。
ここで一曲お聴きいただきましょう。Carole Kingの名曲カヴァですね。尾崎紀世彦で「君の友だち」。これ、Donny Hathaway「LIVE」と同じ1972年のリリースっていう。
その他試合について
- エルネニーの4分のゴールは、今シーズンのPLアーセナルでもっとも早いゴールだったそうな
- ニューカッスルはなんであんなに引いてたんだろ? お腹でも(以下略
- じつはジョー・ウィロックがいないとダメなチームだったとか
- マキシマンはさすがによかった。ひとりで脅威になれる。ペペより(以下略
- ひさしぶりのジャカ砲(28分)。惜しくもセイヴされてしまった。木曜の伏線になっていてほしい
- マキシマンのショットをライアンがセイヴしたシーン(18分)は、アーセナルがいかにもやられそうな場面。大した脅威もないのに失点するという。あれはライアンのビッグセイヴだった
- ルイスと変わって入ったチェンバース。彼はやはりCBのほうが安定しているような。木曜のRCBはホールディングとどちらを選ぶか検討くらいするかも
- 63分のフリーキックはいつぞやのウィリアンとルイスでやった事前に準備してた動きっぽかった。ウィリアンが蹴る直前にゴール前のガブリエルが壁からひとり離脱して、少し後ろからフリーヘッダー。あれが決まれば気持ちよかった
- ガブリエルよかった。彼の左足のパスはいい
- ベレリンよかった。木曜はRBはベレリンでもよさそうな
- Fabian Schärとかいう鬼畜。完全に後ろから。ボールと関係なく。マルティネリにここで何かあったら末代まで呪っていた。10試合バンがふさわしい
- この週末は、AFCオフィシャルだけでなく、ジャーナリストたちも一部を除いて軒並みtwitterを自粛しているようで、試合の前後も試合中もすごく静かだった
試合については以上。
退屈だったか。
<マンUファンがオーナシップ抗議デモ>
この試合中継中に何度もOTの反オーナーデモの件が伝えられていた。
このあとのリヴァプール戦はキックオフの時間がずれるとか云っていたけど、結局延期になったようで。ちょっと珍しい。
BREAKING: Angry Manchester United fans are staging a protest against the club’s owners after getting inside their Old Trafford stadium.
Read more: https://t.co/UlMC47LNkj pic.twitter.com/dDtHI04cGa
— Sky News (@SkyNews) May 2, 2021
伝えられていた映像を観たところ、子どもづれのひともけっこういたようで暴動という感じでもなかったが、あんなふうにファンがステディアムに入り込めるのは、ちょっとした危機管理上の問題のような。
アーセナルとマンUのファンは一時ライヴァリーを忘れて結託すべし、というような主張もあったりして、このオーナーシップ問題はこれからどうなるか見放せない。
マルティネッリの左足クロスは良かったですね。
チェンバースに関しては自分は逆に不安定さを感じたのでこの試合が変に評価されて次の大事な試合に起用されたりしないか心配。
ルイス良かっただけにケガが残念。
この勝利を次の試合へのいい意味での自信に繋げて欲しいですね。最近一貫性ないからあれだけど次は…