先週金曜日に、アーセナルとブライトンとのクラブ間で、£50Mでの移籍で原則合意が伝えられた、ベン・ホワイト。
Arsenal reach agreement in principle for Ben White transfer
アーセナルに比肩するようなライヴァルのオファーもなく、すでに選手とは個人条件では合意していたというので、なんだかんだほかの止まっている案件に比べると、わりあいすんなり決まったように見える。
そして、昨日『The Times』がこの案件について移籍の詳細について報じていたのが話題になっている。※念為The TimesはTier3メディアである
ベン・ホワイトの獲得&契約条件
こちらもペイウォールで一般ユーザは記事の冒頭しか読めない。
Ben White set for medical after Arsenal agree £50m deal with Brighton & Hove Albion
r/Gunnersでこの記事のサマリがシェアされていた。それによると。
- アーセナルは4度オファーした(4回めで決着した?)
- 契約期間は2021から2025までの4年
- サラリーは£120kpw
- セルオンクロースあり(NTキャリア、PL/CLパフォーマンスに関連して%変動)
- £50Mの移籍金のうち、£30Mが2022-23シーズンが始まるまでに支払い。残り£20Mは2024夏に支払い
£120kpwというサラリーは、彼の23才という年齢からすればかなり大きな額だが、彼のような選手を獲得するには必要なオファーだったろうか。
別の記事でインセンティヴボーナスなしの£50Mと伝えられていたので、セルオンありは若干意外な気がした。しかし、それも云うほど悪い条件ではないと思う。将来的に大きな金額で売るなら大きな金額を支払わねばならない可能性もあるが、いずれにせよそのときに得るものは大きい。法外に大きな%でなければ。
このなかで目を引くのはやはり分割払い。
巨額移籍金を分割でお支払い
£50Mの移籍金のうち、£30Mが2022-23シーズンが始まるまでに支払い。残り£20Mは2024夏に支払い
これの詳細はわからないが、21-22から22-23まで2年をかけて£30Mを(分割で)支払い、£20Mは2024夏に一括支払いということだろうか。
たしかぺぺのときは、最初に大きな金額を支払って、残りを5年で分割払いのようなかたちだったはずなので、それとはやりかたがだいぶ違う。先方都合かもしれない。
しかしいずれにせよ、アーセナルとしてはこの夏の負担がぐっと減って、かなり都合はいい。ほかにまともなライヴァルもいない状況で、相手の要求をまるまる飲んだ「ボーナスなしの£50M(£50M保証)」という条件は、アーセナルサイドからそうとうに気前のいいものに見えたが、支払い方法について相手の譲歩を勝ち取ったということなら、なかなかの交渉術のように思える。
この件でリチャード・ガーリックはじつは凄腕なんじゃないかというファンの声も。ほんまかいな。
ところで、この夏の大きな負担がこれで軽減されそうということで、クラブにほかの補強に使える財政の余裕ができたと歓迎する向きもあるようだけれど、それはちょっと危険な考え方かもしれない。ここが分割払いだからと別件で散財することは、自分の支払い能力も考慮せずに、クレジットカードを使いすぎてしまうようなものだろう。
アーセナルはすでに選手の移籍金の分割払いで定期的にそれなりの支払いをしているはずで(SwissRamble先生のリポートにもあった)、その負担がさらに増えるという事実は忘れてはいけない。金額が巨額なので(£50Mは日本円で75億円)、たしかに支払い期限がずれたり、大きな負担が分割されることには大きなメリットがあるだろうが、いずれはそのすべてを支払うのだから、結局はその場しのぎである。予算はあってもなくても、お金は賢く使ってもらいたい。
……と、まるで自分のお財布のように心配している(笑い)。
ベン・ホワイトの£50Mは高いか否か?
これは彼のパフォーマンス次第だろう。
£50MのCBというのは半端じゃないわけで、ワールドクラスのような存在感を期待されるはず。本人のプレッシャーもまた半端じゃない。そんななかで彼がどんなパフォーマンスを見せるのか。
ちなみに£50Mという移籍金は、英国人CBでは過去2番めの高額だそうである。最高額は£80Mのマグワイヤかな。
アーセナル的にも史上4番めの高額獲得。DFとしてはもちろん最高額だ。
いずれによせ、アーセナルのようなクラブにとっては間違いなく巨額だといっていい。
そして、いまだにファンのなかには、この夏の補強戦略がそのような優先順位になっていることに懐疑的な見方もある。ぼくもわりと同意見である。
彼自身がどうこうというより、クラブの方針に対する違和感。
優秀な選手の獲得はもちろんいつだって悪くない。だが、もし彼をこのような金額で取ったおかげでクリエイターの補強がおろそかになり、去年と同じようなゴール不足やクリエイション不足といった問題を抱えるならば、そのときはクラブはいったい何をやっているんだとおおいに批判されるに違いない。
仮にグリーリッシュが80M、マディソンが60Mだったとする。ホワイトの50Mどころじゃない高額。でもアーセナルがいまそこを本気で狙うというのなら、それは理解できる。なぜならあきらかにそこがチームのなかでもっとも改善しなきゃならない、進歩したい部分だから。
もしかしたらアルテタやエドゥは、補強の順番としてCBを優先しただけで、このあとにCAMは取るつもりだと云うかもしれない。しかし、優先順位というのなら、クリエイティヴなアタッカーを補強しなければならないタイミングとして、2021夏のいまより重要なときがはたしてあるだろうか。新シーズンで成功したいのだから、来年の補強では遅いのだ。
一説によれば、アーセナルにとってホワイトがこの夏の最高額の補強になるかもしれないとも。それもまたありそうなことである。
補強資金が限られているなかで、ここでCBの獲得にまっさきに大金をつぎ込むことは、なんだか不必要なリスクを負っているような気がしてならない。
サリバのこともあるし、ベン・ホワイトの獲得にはいつも何か云いたくなってしまうが、彼自身にはもちろんなんの恨みもない。ホワイトが新シーズンで大ブレイクして、このときこんなふうに感じていたことをすっかり忘れさせてくれるといいのだけど。
おわる
ほんとに、彼には結果で僕らを黙らせてほしいですね。
はやい気はするが、Welcome to the Arsenal!!