こんにちは。
冬にPEオバメヤンが退団し、夏にはアレクサンドル・ラカゼットとエディ・エンケティアというふたりのシニアストライカーズも契約切れということで、アーセナルの夏ウィンドウの最大プライオリティはストライカーだと云われている。それもひとりではなく、もしかしたらふたり。
アーセナル界隈では、これまでにも、エヴァトンのDCLやソシエダのアレクサンダー・イサク、リールのジョナサン・デイヴィッドら、何人もストライカー候補の名前が取りざたされてきたが、ここ最近は、このふたりがかなり盛り上がっている。
ベンフィカのダーウィン・ヌニェス(Darwin Núñez)と、PSVのコーディ・ガクポ(Cody Gakpo)。
アーセナルにしか興味がないぼくは、まったく名前すら知らず。いったいどんな選手なのか。調べてみたのでシェアしよう。
まずはベンフィカの“NEWエディソン・カヴァーニ”こと、ダーウィン・ヌニェスから。
ダーウィン・ヌニェスがアーセナルのストライカー補強リストの筆頭に?
この選手に関しては、じつはWHUが冬にオファーをして一度ベンフィカに断られているという経緯があるそうで。先週末のWHUのファンブログの記事「アーセナルがヌニェスへ。ウェストハムに大打撃」から引用しよう。最近の報道がざっとわかる。
- ポルトガルの新聞『Record』によれば、アーセナルが夏ウィンドウでダーウィン・ヌニェスの獲得レイスのポールポジションにいる。アルテタの強い希望
- 『Evening Standard』によれば、彼はデイヴィッド・モイーズの夏のNo.1プライオリティ
- ディ・マルツィオは、WHUは1月には£42Mでベンフィカにオファーしたとリポート。しかしそれはクラブに拒否され、いまアーセナルがヌニェスとサインしようとしている
- そうなればWHUに大打撃。彼はクラブに完璧な補強だった
- このウルグアイ代表のプレイスタイルは、典型的な優秀南米選手そのもの。絶え間ないプレッサーであり、本物のフィジカリティとテクニックがあり、速く、空中戦も強い。PLにも向いている
- ポルトガル『A Bola』によれば、ヌニェスは夏に£68Mあたりになりそう。アーセナルにはなんの問題もないが、WHUがひとりの選手にそれだけ散財するかは疑わしい
- 腹立たしいのは『The Sun』によれば、1月なら£50M程度で彼とサインできたということ
アーセナルとヌニェスのリンクについては、『The Athletic』(デイヴィッド・オーンステイン)やファブリツィオ・ロマーノのようなアーセナル情報で信頼できるソースもリポートしている。いまから一週間ほど前のロマーノのPodcastより。
ロマーノ:アーセナルは(ヌニェスの)エイジェントと1月に接触している。だからなにが起きるか観てみよう。ウェストハムも彼をほしがっているし、彼らもトップストライカーに行くから。
ダーウィン・ヌニェスは、ジョナサン・デイヴィッドのようなアーセナルの補強可能性のひとりになりうる。ただ、彼らはまずCLフットボールを確保したい。このようなストライカーとサインするにはそれがカギになる。
いっぽう、アーセナルが彼を獲得することに懐疑的な見方もある。昨日の『The Telegraph』Sam Dean。記事はペイウォールで読めず。
Newcastle, West Ham and Brighton have all had a proper look at Nunez in the past year but he’s now hitting new heights (26 goals in 33 games this season). My understanding is that Manchester United’s interest is considerably more advanced than Arsenal’s
— Sam Dean (@SamJDean) March 30, 2022
Sam Dean:ベンフィカのストライカー、Darwin Nunezの獲得については、英国クラブスは熾烈なバトルに直面している。彼は今シーズンのCLでも印象的な活躍を観せ、今後もヨーロッパのトップコンペティションでプレイしたがっている。現時点では、スペインへの移籍がありえそうに見える。
この一年は、ニューカッスル、ウェストハムとブライトンが真剣にヌニェスを検討していた。しかし、いまや彼はさらに大活躍してしまっている(今シーズン33試合でG26)。わたしの理解では、マンUの関心のほうがアーセナルより先をいっている。
マンUなあ。
アーセナルとベンフィカの関係という意味では、ヌーノ・タヴァーレスがベンフィカからやってきたばかり。ベンフィカはヨーロッパでもトップクラスの商売上手なクラブであるが、ヌーノはうまいこと買った。
また、ポルトガルクラブということで、セレソンで働いていたエドゥもそれなりにコネクションがあるんだろうか(なんかあったような)。
近年はポルトガルリーグから来た選手がPLで軒並み成功しており、ポルトガルブランドもある。もしアーセナルが買うとなっても、半端な金額にはならなさそうだ。
Who is ダーウィン・ヌニェス?
アルテタがほしがっているというヌニェス。どんな選手なのか。
選手プロファイル
TMより。
1999年6月24日うまれ。ウルグアイArtigas出身。22才。187cm。国籍ウルグアイ。CF。右足。ベンフィカとの契約は2025年まで。ウルグアイNTではすでに8試合プレイしている(G2)。
ウルグアイのクラブから、2019年にスペインのアルメリア(€13M)へ。その翌年2020には€24Mという金額でベンフィカに移籍している。そして、いま順調に爆発中と。
現在のMVは€40Mながら、おそらくこの夏にはその2倍くらいで取引されるものと思われる。アーセナルはスカウト部門をベンフィカにアウトソースしたほうがいいのでは?
名前の発音は、インターネッツでどんな発音がされているかいくつか確かめて、ひとまずここではカタカナで「ヌニェス」と表記することにした。ヌネスからニュニエスまで、けっこう揺れているが、彼をよく知っているひとも含めて、ヌニェスが多数派っぽい。ヌニェス。声に出して読みにくい。
今シーズンの実績
今シーズンはポルトガルリーグ22試合で、G20 A2。CLでは8試合でG4(バルサ2、バイエルン1、アヤックス1)。
カップ戦も含めると、33試合でG26、A2。
バケモンか。
今シーズン以前の数字は、今年にくらべればそれほどでもないが、それでもふつうに優秀なストライカーのものだった。
プレイスタイル
187cmの長身でガタイもいい。空中戦も強そう。
Darwin Núñez, Benfica 2020-2021 Forward Template, Radar [Europa League] pic.twitter.com/wMnJ1je26z
— Scott Willis (@oh_that_crab) March 26, 2022
これを観ると、FWとして全般的に優秀ではあるが、目立つのがターンオーヴァ。かなりボールを失うタイプのようだ。そのほかはFWとしてどれも高水準。ゴールにくらべるとアシストが物足りないが、オープンプレイxAやオープンプレイキーパスのようなスタッツも全然悪くない。
EBL氏のスレッドで、ヌニェスのスタイル、アーセナルとの相性が詳しく解説されている。彼がどんな選手かは、エディソン・カヴァーニを連想すればいいらしい。
It makes complete sense that Arteta has included Darwin Núñez in Arsenal’s striker shortlist. He’s a similar physical outlet-type profile to Abraham, Isak, & others.
More specifically, he’s just like Cavani. Let’s take a deep dive and see how that fits in at Arsenal…
THREAD! pic.twitter.com/39t037DDAG
— EBL (@EBL2017) March 24, 2022
アルテタがダーウィン・ヌニェスをアーセナルのストライカー候補リストに入れたのは、完璧に納得できる。彼は、エイブラハム、イサックやほかのフィジカルなタイプと似ている。
より具体的には、彼はカヴァーニみたいだ。彼がアーセナルでどのようにフィットするか、深く掘り下げてみよう。
ヌニェスが持つもの。フィジカリティとワークレイト
わたしがダーウィン・ヌニェスをエディソン・カヴァーニのようだと云うとき、それはまったくそのとおりの意味なのである。プロファイル、クオリティ、マインドセット、国籍、フィジカリティ、技術レヴェル、ヘアスタイルだってそっくりじゃないか! や、そうでもないか、でもほんとに似ているんだ。
ヌニェスにはフィジカリティと強靭さがあり、チャンネルへ侵入し、ボールを保持する。彼は元気いっぱいで、なにをやっても信じられないほどアグレッシヴ。それが、アルテタが彼のシステムにひどく必要としているもの。チームのプレッシングとトランジションのクオリティを上げたい。
ヌニェスは、かなりオウンハーフにトラックバックもするし、深くから走ってくるMFやDFからボールを奪おうとする。そういうタイプのフィジカリティやワークレイトというのは、カヴァーニがマンUで称賛されているもの。ああいったアティチュードは、伝染するものだ。
彼はまた、アーセナルに裏へのランをもたらす。彼の運動量とメンタルのアグレッションで、ジュエルに勝利しボールをキープする。それが、ハイプレスをブロックし、つねにピッチにボールを戻してくる。だから、もうすでに彼はラカゼットからのビッグアップグレイドなんだ。
それらは、ラカゼットにはフィジカリティの不足からオファーできなかった。もちろん、ラカゼットのホールドアッププレイはかなりいい。しかし、彼はフィジカリティを主張できないため影響力が弱い。ヌニェスはその反対。
ラカゼットは、今シーズンはリーグ23試合でアウェイゴールがたった1。ゴールをすべて合わせても4しかない。ヌニェスは、それと同じ4点をCL8試合だけで取っている。しかも、かなりキツい試合かつアーセナルよりももっと悪いチームで。リーグ22試合では、22のゴール貢献がある。
違いはなにか? フィジカリティとそれをボックスの内外で使える能力。ヌニェスはトップセンターフォーワードだ。それはマジ。彼のフィジカルとメンタルのプロファイルは、キャリアを通してゴールを取っていくものだ。カヴァーニがやっているように。また彼はディエゴ・コスタ的なガキ大将(bully)でもある。
ただしテクニックはない
しかし、ヌニェスも完全無欠というわけではない。ヴラホヴィッチのような選手がアーセナルにもたらせる特別なものは、技術クオリティとボールストライキング。ヌニェスは、その点においては半分にも満たない。彼の技術は安定していない。繰り返す。それもカヴァーニみたい。
たとえば、彼のホールドアッププレイはすばらしくはない。実際、そこは欠点だ。彼にはディフェンダーと対峙するすべてのフィジカルとメンタルの長所がある。スペイスへのラン、ジュエルの勝利、ボールのキープなどなど。しかし、ときどき彼はボールが足につかず、それがバウンスして離れていってしまうことがある。
それは、ヌニェスがトランジションやボールがレイオフされたとき、裏へランをやるときなど、孤立した状況でディフェンダーを抜けないということではない。彼にはそれができる。しかし、それはテクニックではなくフィジカル能力を使ってやる。彼はそれをやるには技術的に不安定だから。
ヌニェスの多くのゴールは、彼のアスレティシズムからくる。また云うが、その点についてカヴァーニにクリソツ。彼のゴールのほとんどは、ボックスのなかでの動きのおかげ。ボックスのなかへ侵入するアグレッション、ゴールを奪うという決意。そしてパワーでボールを攻撃する彼のフィジカリティ。
そのちからいっぱいボールを蹴っ飛ばす能力は、彼のボールストライキングフロウ(のなさ)を帳消しにする。彼のボールストライキングには、よくがっかりさせられるが、パワーとスピードでなんとかなる。彼の唯一のフロウは不安定なテクニック。
アーセナルとヌニェス
では、アーセナルにはどうフィットするか。彼が補強リストに入っているのは、完全に理解できる。なぜなら彼は、アーセナルに合うプロファイルのトッププレイヤーであり、アーセナルをかなり進歩させるはず。だが、わたしがわからないのは、彼が最高のサインになるかどうか。彼はほかのトップCFたちのように、激ヤバなのかどうか?
それはわからない。が、わたしが思うに、彼に技術的な制限があるということはつまり、アーセナルはトランジションでは破壊的にはなれないかもということ。トーニー、ケイン、ヴラホヴィッチのような選手のことを考えても、彼らはボールストライキングと技術クオリティのおかげで、ホールドアッププレイができて、トランジションでほかのアタッカーたちを解放できる。
ヌニェスだって、彼のフィジカリティとパワのおかげでそれはできなくはない。しかし、ほかのCFたちに比べたらやや信頼性に欠く。リンクプレイは彼よりタミー・エイブラハムのほうが上手だと思うし、イサックやほかのトップの運動量を持つものたちや、ほかの似たような長所の選手たちのほうがうまいかも。
(後略)
今回の訳はいつも以上に雑ということを白状しておく。ちょっと時間がなかった。
後略の部分は、それでもどんなストライカーだって弱点はあるし、アーセナルはヌニェスでもっとよくなれるはずとポジティヴ評価だった。
これを読んだあとに、もう一度ハイライト動画を観ると、なるほどと思えるところがけっこうある。
ボール扱いを観てもテクニシャンという感じは全然しなくて、プレイがしゃれてるとか、洗練されているみたいな雰囲気もない。でかくて、ゴツゴツしていて、ぶつかったらすごい痛そう。だが、めちゃくちゃゴールしてくれる。以前ルーカス・トレイラが云ってた、ウルグアイ人のチャラ・ガルーア? ああいうスピリットを感じる。ヴェンゲルさん以降のいわゆるアーセナルの選手らしくはない。
でも、だからこそ、それが足りないピースなのかもしれない。アルテタは、むしろそういうものがこのチームに必要だと思ってるとか。
なんかんだ、いまのアーセナルのフロントはみんな子どものころからのエリートで、温室育ちっぽい柔和な印象がある。サカ、ESR、オーデガード。マルティネリですら中学生のころから代理人がいたみたいなコメントを観て、エリートのひとりだなと。いまのアーセナルのスクワッド全体を観ても、そういう傾向は感じる。
そのなかでは、彼のもたらすものはわりと異質に思える。こういうタイプって、これまでのアーセナルにはあんまりいなかったのかも。南米出身ということでは、アレクシス・サンチェスがすこし近いか。
評判を観るかぎりでは、彼はホールドアッププレイが苦手でラカゼット役ができるのかとか、テクニックに不安があるとか、懸念もなくはない。しかしながら、アーセナルに足りなかった決定的なサムシングをもたらす。その最大のものはもちろんゴールだ。その価値が欠点を補って余りある。そういうことなんだろう。
いいケミストリが起きろ。
このヌニェスは、国内リーグのみならず、ヨーロッパの舞台でもすでにかなり活躍してしまっていて、クラブ間の獲得競争もあるということで、条件は割高になる可能性がかなり高い物件と思われる。
いまアーセナルはオーナー投資も期待できるし、彼の移籍金が、報じられているような金額(£68Mあたり)なら、メインターゲットにかける予算として問題にはならない。とすれば、あとは本気で行くかどうか。
興味深い。
つづいて、コーディ・ガクポ。
更新お疲れ様です!
記事とは関係なくなってしまうコメントなのですが、アルテタが退任の噂の記事が出てまして、ガセだとは思うのですが、シティの後任説とか、今やっとアルテタアーセナルの実力が開花してきたところなので、少し不安になったのでコメントしました!
すんません!