こんにちは。
チェルシーなあ。いっそ降格しねえかなあ。
さて。今回はひさしぶりにアーセナルのゲイムから離れて、若干ネタ的なエントリを。音楽ネタ。
このブログではたまに音楽の話をしたり、自分が好きな曲のYoutubeを貼ったりするので、ブログ主が音楽好きというのは、なんとなく知ってくれているひともいるかもしれない。まあ若いころに比べたら、そこまで入れ込んでいるということはなくなっているが、それでもふつうのひとよりは多少こだわって聴いてるかな、という程度。ぼくは、けっこういろんな音楽が好きだ。おっさんらしく、新しめの音楽には疎いのが残念。
ここはフットボールブログなので、ついなにかほかのことを書いてしまいたくなる誘惑も感じつつ、ふだんフットボールに関係ないことはあまり書かないように気をつけているのだが、音楽のことはつい書いてしまうことがある。
それと、フットボールを音楽とのアナロジーで語るというのは、けっこう以前から興味があった。とくに、演奏者の自由の入り込む余地が多分にある、ジャズやジャズ的な音楽とフットボール。あるいは、演奏者のフリーダム成分は皆無ながら、指揮者が決定的に重要という意味では、クラシック音楽もかなりアリに思える。
実際、「リズム」や「ハーモニー」のような音楽の構成要素は、フットボールを語るときにも一般的に使われるし(フットボールに「メロディ」はないか?)、ほかのスポーツとくらべても、音楽で語るのに相性がよいのは圧倒的にフットボールなのではないかと思う。
英語では、よく訓練された/オーガナイズされたというような意味で、“orchestrated”のような表現もよく見かける。日本語でも、素敵なplayを「奏でる」なんて訳したり。
フットボールには、ストラクチャ(楽曲やルール)もフリーダム(即興演奏)もあり、なによりリアルタイムでの技術とアイディアと情熱の交換(インタープレイ)の連続でできている。いっぽうで、たとえば野球はつねに断続的で、プレイ自体があまり音楽的ではないし、あるいはアメリカンフットボールみたいなスポーツは過度にストラクチャ(戦術)に傾いていて、これもまた音楽で語りたいタイプのスポーツではなさそうに思える。同じチームスポーツでも、フットボールほど偶然や自由や混沌がない。バスケはどうだろう? よくわからない。
そんなとき、redditのガナーズ板であるr/Gunnersにとても興味深いサブが立った。いまから一週間ほど前。
If Wenger was an orchestra and Klopp is heavy metal, how would you describe Arteta’s football?
「仮にヴェンゲルがオーケストラで、クロップがヘヴィメタルなら、アルテタのフットボールはどう?」
アーセナルのフットボールをオーケストラ、自分のそれをヘヴィメタルにたとえた、ユルゲン・クロップの有名なコメントから。
アルテタのフットボールを音楽に例えると……みたいなことは、以前にもブログにすこし書いたこともあるし、ぼくもよく考えていて、そのうちこのネタでひとつ書いてみようかななんて思っていたので、ちょうどよく便乗させてもらおうかと思ったのである。
みんなにとって、アルテタのフットボールはどんなサウンドが鳴っているのか。とても興味深い。
ユルゲン・クロップ2013年のコメント「アーセナルはオーケストラ、わたしはヘヴィメタルを好む」
本題に入るまえに、有名なユルゲン・クロップのコメントをおさらいしておこう。ぼくも、正確にはいつごろだったかほとんど忘れてしまっていた。
ググったところ、2013年10月の発言のようだ。けっこう前だね。このときクロップはまだBVBのマネジャーで、アーセナルのマネジャーはもちろんAW。2013/14シーズンのCLで、アーセナルはグループステイジでBVBとホーム・アウェイで対戦。ホームで1-2敗け、アウェイで1-0勝ちだった。この発言はファーストレグのBVB勝利のあと。
このシーズンは、アーセナルがプリシーズンで日本に来たシーズンでもある。わしも埼スタでミヤイチを観た。『Evening Standard』より。
クロップ:彼はサー・アーセン・ヴェンゲル。ほんとうにすごい。彼のことが大好きだ。彼は「Hello」(握手のジェスチャ)「I’m this guy」(ハイファイヴのジェスチャ)。
彼はボールを持つことを好み、フットボールをプレイすることを好み、パスを好む。オーケストラみたいだ。しかし、静かな曲だね。わたしはヘヴィメタルのほうが好きだ。いつだって大きな音がいい(I always want it loud)。
わたしは(アーセナルのフィロソフィが)好きだよ。大好きだ、しかしああいうコーチはできない。なぜならわたしは違う人間だから。試合中のわたしを観れば、わたしはボールにプレスに行ったときや、それがうまく成功したときに喜ぶ。
80%ポゼッションなんてしたくない。悪いが、わたしにはそれでは十分ではないのだ。ファイティングフットボール。おとなしいフットボールじゃない。それがわたしが好きなもの。われわれがドイツ語で「English」と呼ぶもの。雨、ヘヴィなピッチ、5-5、全員泥だらけで帰宅し、そのあと4週間はもうプレイできないみたいな。
それがもっとも重要なスタットというわけではないが、わたしは自分たちが相手よりももっと走っていたと読むのが大好きだ。それをやるならリスペクトされるし、成功にもっと近づける。
10年近くたって、いまだにこの発言が思い出されるということは、それだけファンのこころに響くものがあったのだろう。
クロップのBVBといえば、いわゆるゲーゲンプレッシング(カウンタープレス)がトレイドマークで、ハイテンポ/ハイエナジー/ハイインテンシティの代名詞みたいなチームだった。いっぽうで、13/14シーズンのアーセナルはメスト・エジルを獲得したシーズンでもあり、当時のアーセナルは一般的には、まだ技巧的で、ポゼッションを重視した、あまりインテンシティのないフットボールをやるチームだと思われていただろう。
両者のスタイルは対照的で、それをわりと的確に指摘したのが、このオーケストラ(クラシック音楽)とヘヴィメタルのたとえだった。
アルテタのフットボールを音楽でたとえると? r/Gunnersの反応
当該サブより、Upvote(高評価)が多いコメントやめぼしい反応をピックアップしよう。まずはOP(スレ主)のメッセージから。※()内の数字はUpvote。
Kubdya_Khavis(スレ主):クロップは、かつて自分とヴェンゲルのフットボーリングフィロソフィの違いについて、オーケストラとヘヴィメタルでたとえた。
アルテタはまだ完全には自分のフィロソフィをチームに浸透させていないにせよ、たしかにチームがある方向へ向かっていることを、ぼくらは見ている。アルテタの大きなプランの各要素は、より見えるようになっている。クラブのリクルートメントについては、彼は自分の意見をかなり云っているようだし、彼の要求はかなり具体的だ。そして、クラブをめぐる言説からすると、アルテタにはチームを前進させるために、ピッチの内外でかなり明解に具体的になっている。
もしヴェンゲルがオーケストラで、クロップがヘヴィメタルなら、ぼくらはアルテタのフットボーリングフィロソフィを何にたとえられるかな。
- Vespergraph:Math rock(760)
- Kubdya_Khavis:11/8拍子みたいな?(81)
- TruthEnthusiast:10/11人の選手でね(101)
- BigTomBombadil:たまにシューゲイザー(59)
- afarensiis:This Town Needs Gunners(59)
- BleckFyre:プログレッシヴメタル/ロック?(9)
- dameet1:Don Artetallero(7)
- t6005:ぼくはクロップが云ってる意味がわかるから笑える。けど、アルテタのほうがオーケストラみたいで、ヴェンゲルはもっとストラクチャのあるジャズじゃないか。アルテタのチームよりヴェンゲルのほうがもっと自由はあった(663)
- Kubdya_Khavis:じゃあ、ヴェンゲルはフリーフォームジャズかな?(52)
- RustyLugs:まさにColtraneのA Love Supreme(33)
- tablooo:Ornette Colemanの音楽がどうなっていったか考えるに、エメリが結局そんな感じだった。Pure chaos(16)
- intraumintraum:Giant Stepsでしょ(7)
- varro-reatinus:ていうかDjango Reinhardt(5)
- lowlifeluxury:Jaco Pastorius(3)
- The_Sarcastic_Fox:クロップが云ったのはインテンシティに関してだけでしょ。クロップのフットボールはヴェンゲルよりももっとストラクチャがあった。いいプレッシングにはかなりのストラクチャが必要なんだから。あのインテンシティでプレスするのに中途半端では無理。オールオアナッシング(39)
- Sebek_Visigard:オーケストラを演奏家の集まりに過ぎないとするなら、このアナロジーにはちょっと無理がある。彼らはどんなジャンルでも演奏できるし、ヘヴィメタルだってできるよ。
それと、ヘヴィメタルについてもミスリーディングがある。たいていのヘヴィメタルは、実際すごくストラクチャがあって、退屈なほど技術的。ただ音がでかいというだけ。
ヴェンゲルをストラクチャのあるジャズにたとえてるのはけっこう好きだけどね。そこはスポットオン。そしてクロップのスタイルをヘヴィメタルだと云うのも、まあ正確だね。ストラクチャのある部分なんかは。
ぼくが最初にアルテタに思ったのはPhilip Glass。グラスは自分の音楽について「繰り返しのストラクチャのある音楽」と述べている。Math Rockもかなりスポットオンだ(28)
- Jaboy75:キミのそのアプローチは好きだな。ヴェンゲルとストラクチャのあるジャズとの比較もいい。ヴェンゲルは戦術を失っていたところがあると思う。それよりも選手自身に自分を表現させることを好んだ。ジャズにはたっぷりインプロヴィゼイションがあるしね。グレイトなアナロジー(7)
- sleepytipi:ヴェンゲルについては完全同意。むしろペップのほうがもっとオーケストラの指揮者のタイプだよ。そしてミケルは、Aphex TwinみたいなIDMのプロデューサー。そこにはケイオスのあきらかな要素が見られるけど、それも100%意図的だという。予想外なことが起きても、それでもうまくいったり。試合によっては、アンビエントにもなる(20)
- ApprehensiveSkirt570:完全にTibetan throat music(532)
- Cenniy:すごくいい新人バンド。でも、もっといいギタリストとプロデューサーが必要かも?(156)
- clearly_CFM:マンチェスター・シティのカヴァーバンド(117)
- YMangoPie:バックラインは試合でいつも「Wonderwall」を演奏してる(54)
- GhostofGunnersaurus:彼らの曲のうちのひとつが気に入らない。でも、5回聴いたらだんだん好きになっていく(111)
- EdisonTheTurtle:System of a (man) Down(121)
- unclepoondaddy:かつて見たことがない最高のコメント(14)
- GhostofGunnersaurus:優勝(9)
- BiigChungoose:Bravo sir(5)
- JeffryPesos:UK Girme。速いBPMだけど、みんながんばってノろうとしてる。うまくいけば最高、そうじゃないときはAFが困惑(110)
- wheeno:みんな自分が好きな音楽ジャンルをあげてるだけLOL(71)
- hsanaiz:Frank Zappaとか。。つぎに起きることのヤバいことのヒントがあって、よくオーケストレイトされてる(71)
redditからの引用は以上。
お疲れ様です!
私は音楽には詳しくないですが、緻密で無機的なイメージからテクノとか連想しました。でもアルテタよりペップの方が合ってるかも。
チームとしてのサッカーではリズムやテンポがめちゃめちゃ大事だと思っているので、音楽との共通点は分かる気がします。ゲームを見るにしても自分がプレーするにしてもリズムを乱すプレーをする選手は好きじゃない。。
来週は3回もアーセナルのゲームが観られる贅沢weekですね。日程も相手も厳しいですが今の勢いでまとめてやっちまって欲しい!祈る!COYG!
当時そのクロップのコメント聞いて、いやいやベンゲルボールはジャズで、オーケストラはペップだろと思っていました。
10年越しに同じ感想の人がいる事がわかって嬉しい笑
私はたまジアムが地元で、当時同じ会場に居たようでニアミスに不思議な感覚を覚えました。
(もちろん周りの友人は皆レッズサポゆえ、批判的な視線は無視して死ぬほどアーセナルを応援しました)
私もアルテタにはどちらかと言うとハウスミュージックやテクノのようなイメージがありますねー。
もっと、リスクを恐れないフットボールをして欲しいですが、それって音楽ジャンルではなんなのでしょう。
ジャンルではなくバンドになりますが
フットボールのクラシック(古典的)な部分を踏襲しつつ新たなスタンダードを創ろうとしているアルテタは「Gentle Giant」
即興性があり選手それぞれの良さを活かそうとするベンゲルは「GONG」
うわ!面白い話題!
ベンゲル期後半は確かにオーケストラじゃなくてフリージャズな感じですよね
流れ決めてあとはimprovisationで宜しく!みたいな感じが特に。
ペップは名門オーケストラの指揮者が年々現代音楽に傾倒している感あるし。
クロップはmake it loud精神が強まりすぎて音圧がヤバく、更にプレースピード上げて≒BPM上げて今や打ち込み系のなにかみたいな。
アルテタは今だカラーがまだはっきりしてない感があるんでうーん難しい。
個人的には toe で! tricot話題にでてたし。
技量の高さ、即興性も感じつつ、纏まりあるみたいな?笑 ただの好きなバンドですね
チェルシーは、、このまま是非第2の「マラガチャンス」を!是非! メンバー大量離脱させて!
カソルラ、モンレアルを獲得できたあの奇跡を再び!!
コヴァチッチ、カンテあたりかなー
コナー・ギャラガー、ブロヤのレンタル組も狙い目だろーなー もういっそその下のユース組でもいいし、なんならスタッフでもいいからとにかく引き抜きまくって欲しいですね
今のPLはスペースも時間もなくて、どこにも休止符がないから音楽的な美しさはイマイチかなあ。何かを感じてるヒマもない。そういう意味では15年前のほうがずっと良かったと思う。
まあ守備と一体化したリズムみたいなものはありうるかも。本当に良いチームって守備してても全員が同時に呼吸してるような錯覚があるし、奪ってからの判断も、選手同士が分かり合ってると見てて気持ちいい。そこから先がコンテみたいに画一的じゃつまらないけど、ウチが能動的にスペースを作ろうともがき続ける限り、やっぱり音楽的な何かが存在すると思う。
しかし強い相手ほどテンポが速いんで、グルーブってよりはラッシュって感じになってしまうかも。強い相手に全然歯が立たないと、僕の場合それはそれで心から音楽が消えて般若心経が流れてしまうw。完全に好みだけど、Hedwig&The Angry Inchの「tear me down」あたりで。
追記;上の人たちのと聴き比べると、やっぱグラムロックは信じられないくらい下手だw。アーセナルの選手が下手だって言ってるわけではないので、気に触った人はあしからず。