アルテタのフットボールはMath rockだった!?
アルテタを音楽でたとえるならというお題で、redditの民からもっとも支持を得ていたのが「Math rock」。マスロック。算数ロック?
恥ずかしながら白状すると、わし「Math rock」という音楽ジャンル自体をまったく1ミリも知らなかった。完全に初耳。どこが音楽好きなのか。
しかし代表的なそれを聴いてみたところ、なるほど~こういうやつかーとは思った。けっこう好きなタイプ。ジャンルとして意識したことはなかったけど、こういうタイプの曲は知ってる。複雑なポップ音楽。
曲を聴いたあとで見ると、Wikipediaの説明がかなりわかりやすい。
Math rockはプログレッシヴなスタイルで、King CrimsonやRushのようなバンド、20世紀のミニマルミュージックの作曲家であるSteve Reichをルーツにしたインディロック。複雑で非定型なリズム構造が特徴で(イレギュラーな停止や再開を含む)、対位法、変拍子、角張ったメロディ、長尺、不協和音なコードがある。post-rockとの類似性。
興味深いのが、このジャンルはどうも日本のバンドのプレゼンスがかなりあるようで、このWikipedia英語版でもたくさん日本のバンドが紹介されている。
そして彼らのルーツ(Japanese math rockのルーツ)として、Ruins、Zeni geba、Boredoms、Aburadako等の名前を発見。そっちならわかる! 吉田達也!
tricotという日本のバンド。これはかっこいい。アヴァンギャルドなチャットモンチー(ごめん)。
アルテタのフットボールは進歩的で厳格な印象?
そのほかの意見や、ここに出てきているミュージシャンやバンドの名前を見ても、わりと共通点があるように感じた。
なんというか頭がよさそうな感じとか、プログレな感じ(技巧的)。あるいは、もっと単純に変みたいな。普通よりちょっと変わっていて、ストレートじゃない。雑なところがなく繊細とか。みんなそういう印象を持ちやすいようだ。アルテタの「考えすぎ(over thinking)」な部分が出てる?
かなり複雑で入り組んだ構造の楽曲に聞こえるMath rockというのは、たぶんプログレな(進歩的な)イメジそのものだし、コメントは省いたがThe Mars Voltaを挙げているひとがいて、古今東西いろんな音楽要素を取り込んでいる彼らも、プログレが引き合いに語られることが多いタイプのバンドだろう。
後期はどんどんスピリチュアル、フリーになっていったジョン・コルトレーン、フリージャズから独自の音楽理論(Harmolodics)を追求していったオーネット・コールマンなんかは、ジャズの世界でも革新的な存在として分類されると思う。フランク・ザッパは変人? ぼくはアルテタでフィリップ・グラスのような現代音楽は連想しないが、なんとなく理解できるところもある。アカデミックで頭よさそう。ミニマルという部分に反応しただけかもだが。
頭よさげというなら、Steely Danなんかを挙げるひとがいてもよかったかもしれないが、それは見当たらなかった。
とにかく、複雑でシンプルでない音楽の傾向。既存のものとは違うなにか。アルテタは、この世界でなにか新しいことをやろうとしているとみんな感じているのだろうか。
かなりUpvoteがある、Tibetan throat music(元のコメントは“Definite murmurs of Tibetan throat music”)は、よくわからない。なんかのネタ?
喉で鳴らす音楽というのは、モンゴルのホーメイ(ホーミー)とか、ああいうやつのことだよね。Massive Attack『Karmacoma』でバックグラウンドに鳴っていたアレといえばピンとくるひともいそう。
それと、アルテタのフットボールに、いわゆるグルーヴを感じるひとがあまりいないのも興味深く思える。音楽ジャンルで云うと、R&B/ソウル/ファンクとかそういう方向性。ここでは、そういうタイプの音楽はほとんど挙げられていない。そっち系ではMotownを挙げているひとがいたくらい。
グルーヴというのは、要するに一定を刻むリズムやテンポのルーズな部分が「揺れ」で気持ちよく感じるというやつで、アルテタのルーズさを許さない厳格さとは、わりと逆方向なのかもしれない。アルテタはルーズどころか、いつでもタイト。だからダンスミュージックを連想するとしても、いわゆるブラックミュージックじゃない方面が連想される。
というか、グルーヴィなフットボールを連想させるマネジャーって誰なんだ。。
おれの「アルテタっぽい音楽」
redditに集っている民の意見を見て、「アルテタっぽさ」には、やっぱりみんなけっこう似たような印象を持つんだなと思った。
というのは、ぼくがつねづね「アルテタのフットボールを音楽で表現するなら」と思っていたのが、この曲だったから。
The Dave Brubeck Quartet『Blue Rondo à la Turk』。邦題:トルコ風ブルー・ロンド。最近なんかのTVCMにも使われていたような。
なんかこの曲、いかにも「アルテタ~」って感じしませんかね。今回のサブのなかで、仮に誰かがこれを挙げていても、全然違和感ない。
よく曲の構成が練られていて、小気味良いテンポで、変拍子で、タイトで、クリーンで、お行儀がよくて、いわゆるウェストコースト的な(即興のない)ストラクチャのあるジャズ。西欧音楽のメインストリームからすこし外れたエキゾチックな要素もあって、それもアルテタ感がある(モチーフはスペインじゃなくトルコだけど)。
トリヴィアとしては、この曲が入っているアルバム『Time Out』(1959)は、100万枚売れた史上初めてのジャズアルバムなんだとか。A面の1曲めがこれ。一般的には「Take Five」で有名なアルバム。Take Fiveも不朽のジャズスタンダードでありつつ、同時に5拍子という変拍子のジャズとしても定番的に語られる曲でしょう。
ぼくは、このBlue Rondo à la Turkという曲自体は好きだが、このアルテタ観に満足しているというわけじゃない。
結局、音楽にはいろいろなものを求めるし、なんならアンビエントみたいな刺激とは正反対の音楽もよく聴くけど、フットボールに求めるのは、つねに「驚きと興奮と感動」なのですよね。フットボールにチルアウトはいらない。いつだってこころを乱されたい。かき乱されたい。もっといえば、アーセナルのファンとしては、そこに「美」を感じたい。
フットボールはアートであるべき。
そういう意味では、ぼくにとって想起されるのがこの曲であるアーセナルはあまり理想的な姿ではない。
アルテタには、もっともっと刺激的で、ヤバくて、センス・オブ・ワンダーな音楽が想起されるようなフットボールをやるようになってほしい。
おわり
お疲れ様です!
私は音楽には詳しくないですが、緻密で無機的なイメージからテクノとか連想しました。でもアルテタよりペップの方が合ってるかも。
チームとしてのサッカーではリズムやテンポがめちゃめちゃ大事だと思っているので、音楽との共通点は分かる気がします。ゲームを見るにしても自分がプレーするにしてもリズムを乱すプレーをする選手は好きじゃない。。
来週は3回もアーセナルのゲームが観られる贅沢weekですね。日程も相手も厳しいですが今の勢いでまとめてやっちまって欲しい!祈る!COYG!
当時そのクロップのコメント聞いて、いやいやベンゲルボールはジャズで、オーケストラはペップだろと思っていました。
10年越しに同じ感想の人がいる事がわかって嬉しい笑
私はたまジアムが地元で、当時同じ会場に居たようでニアミスに不思議な感覚を覚えました。
(もちろん周りの友人は皆レッズサポゆえ、批判的な視線は無視して死ぬほどアーセナルを応援しました)
私もアルテタにはどちらかと言うとハウスミュージックやテクノのようなイメージがありますねー。
もっと、リスクを恐れないフットボールをして欲しいですが、それって音楽ジャンルではなんなのでしょう。
ジャンルではなくバンドになりますが
フットボールのクラシック(古典的)な部分を踏襲しつつ新たなスタンダードを創ろうとしているアルテタは「Gentle Giant」
即興性があり選手それぞれの良さを活かそうとするベンゲルは「GONG」
うわ!面白い話題!
ベンゲル期後半は確かにオーケストラじゃなくてフリージャズな感じですよね
流れ決めてあとはimprovisationで宜しく!みたいな感じが特に。
ペップは名門オーケストラの指揮者が年々現代音楽に傾倒している感あるし。
クロップはmake it loud精神が強まりすぎて音圧がヤバく、更にプレースピード上げて≒BPM上げて今や打ち込み系のなにかみたいな。
アルテタは今だカラーがまだはっきりしてない感があるんでうーん難しい。
個人的には toe で! tricot話題にでてたし。
技量の高さ、即興性も感じつつ、纏まりあるみたいな?笑 ただの好きなバンドですね
チェルシーは、、このまま是非第2の「マラガチャンス」を!是非! メンバー大量離脱させて!
カソルラ、モンレアルを獲得できたあの奇跡を再び!!
コヴァチッチ、カンテあたりかなー
コナー・ギャラガー、ブロヤのレンタル組も狙い目だろーなー もういっそその下のユース組でもいいし、なんならスタッフでもいいからとにかく引き抜きまくって欲しいですね
今のPLはスペースも時間もなくて、どこにも休止符がないから音楽的な美しさはイマイチかなあ。何かを感じてるヒマもない。そういう意味では15年前のほうがずっと良かったと思う。
まあ守備と一体化したリズムみたいなものはありうるかも。本当に良いチームって守備してても全員が同時に呼吸してるような錯覚があるし、奪ってからの判断も、選手同士が分かり合ってると見てて気持ちいい。そこから先がコンテみたいに画一的じゃつまらないけど、ウチが能動的にスペースを作ろうともがき続ける限り、やっぱり音楽的な何かが存在すると思う。
しかし強い相手ほどテンポが速いんで、グルーブってよりはラッシュって感じになってしまうかも。強い相手に全然歯が立たないと、僕の場合それはそれで心から音楽が消えて般若心経が流れてしまうw。完全に好みだけど、Hedwig&The Angry Inchの「tear me down」あたりで。
追記;上の人たちのと聴き比べると、やっぱグラムロックは信じられないくらい下手だw。アーセナルの選手が下手だって言ってるわけではないので、気に触った人はあしからず。