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【マッチレビュー】22/23EPL クリスタル・パレス vs アーセナル(5/Aug/2022)チームの可能性を感じたシーズン初戦の勝利。絶賛サリバPLデビュー

パレスのビッグチームに対する強さに納得

パレスの戦いかたは、なるほどビッグチームに強いというのが、今回あらためて納得できた。

バックスが、あらかじめお互いに距離を取ってボールを回すような、あるいはGKがOTTのパスを多用するような、ハイプレスのかわしかたを知っている。

また、ディフェンスの背後スペイスという前がかりでプレイしたいチームの急所を知っている。そしてヴィエラは、そこを的確に攻めることができるチームをつくっている。彼らは、フィジカリティだけでなく、技術もある。

彼らは、きっといつもあのようなプレイをしているのだろう。あれをやられると、相手は裏のスペイスを恐れてハイラインをやりづらくなるし、躊躇なくロングボールを放り込まれるとハイプレスの意欲も減退する。その戦略を支えているのが、CBのロングボールの精度であり、ウィンガーのホールドアッププレイであり。

彼らは、今回一貫してフルバックの裏にロングボールを放り込んでいた。そして、それをウィンガーが収めてしまう。そのため、ホワイトとザハの1 v 1が頻繁に発生。アーセナルのファンは、ザハがああして深いエリアでボールを持つたびにヒヤヒヤしなければならなかった。ヨアキム・アンダーセンのロングパスの精度は驚異的だった。

アレを回避するには、相手に正確なロングボールを蹴る余裕を与えないよう、もっとインテンスにハイプレスをやる必要があるだろうし、またディフェンスの裏のスペイスを使われないよう、ハイラインもかなりオーガナイズされている必要がある。対人の対応も。そんなのはどんなチームもできるわけではない。ザハにはどんなDFも苦労していると、ギャリー・ネヴィルもホワイトを擁護していた。

パレスは選手のクオリティもかなりあるように思える。考えてみれば、アンダーセンも含めて、今回の彼らのチームのうち少なくない人数が過去にアーセナルが興味を持っていると噂になっていた選手ばかりであり。あのクオリティもうなずける。

そんなチームにアウェイで勝ったのだから、なお価値がある。やったー。

流れを変えるベンチの必要性

この試合の課題としてエナジーの維持ということを書いたが、それはどんなチームでも難しいものだろう。人間が90分間高い集中をつづけるのは難しいのだから。試合中にエナジーや集中を欠くのは、アーセナルが対戦したビッグチームにだってしばしば観られるものだ。

どんなチームもそれに苦労する。だから、どうにかしてそれを維持しようとするし、カヴァしようとする。

ベンチの存在は、それを助けるものだろう。ビッグチームには必ずデプスがあり、違いをつくれるサブがベンチにいる。

今回のアーセナルのベンチを観たときには、そうした選手は見つけなれない。試合の流れを変えられるような選手がいない。個人的にはサカがいるのに豪華すぎると思ったラフィーニャだが、アルテタやエドゥが彼にこだわった理由がわかるような気がした。ああいうときこそ、ほしい。

あそこで、もし後半途中にラフィーニャのような選手が元気いっぱいでベンチから出てきたら、相手はかなりイヤだったろう。

もし、この試合のベンチにESRやヴィエラのような選手がいたら、もしかしたらインパクトを与えられていたかもしれないが、そういう期待感のある選手は残念ながらそこにはいなかった。エンケティアが、今後そういう存在に成長してくれればいいのだが。

戦術的サブで違いをつくれる選手、ゲイムチェインジャーな選手。本来は、ぺぺがそのような存在であるべきだったと、いまそれを嘆いたとてしかたがない。

ここ数日は、またティーレマンスの件が少し盛り上がっているが(ロジャースはレスターの財政難を認めているし、ティーレマンスの後継としてホッセム・アワの名前もあがっている笑)、この試合でスクワッドデプスの必要性をあらためて感じた。現在のCMの数からすると、ティーレマンスはやや過剰にも思えたが、今回のような試合なら彼のような選手もベンチにいてほしかった。

たしかに、理想を云えばキリがない。だが、トップチームのレヴェルに行くには厚いデプスに加えて、攻撃でのスーパーサブがほしい。そんなことを感じた試合だった。

その他試合について

  • アルテタがリーグ勝利50試合め
  • セットピースが今年も重要な得点源に。昨シーズンからのカウントで、アーセナル(14)よりコーナーからゴールしているのはシティとリヴァプールだけ(ともに15)。セットピースルーティーンは最初のゴールだけでなく、ほかのコーナーでもそんなふうに観えるのがあった(ぼくのメモによると57分のコーナーでサリバがゴール内を横切ってニアサイドへ行くという特徴的な動きをしている)
  • 試合前、当ブログでキープレイヤーに挙げたオーデガード。あんまり元気なかった? 彼は今回大事なところで自分でシュートを打たないのがファンのフラストレイションだったようだが、そういう側面もありつつ、個人的にはあんなもんだろという気がしないでもない。58分の例のシーンはうまくいっていれば、マルティネリはフリーで絶好のラストパスだったろうし。シュートよりパスを優先するのは、むしろアーセナルのMFの系譜というか。最近チームのなかで、オーデガードの存在感がやや薄れつつあるように思えるのは、左でジンチェンコ+ジャカ+マルティネリが効果的になりつつあるという相対的な観え方もあるかもしれない
  • ラムズデイル。試合を救ったセイヴ。やべえパスも。でも危なっかしいところもちらほら。それもアーセナルのGKらしさ(そうだろうか?)。泣くほど失点がきらいな彼だから、今回はクリンシートでほんとによかった
  • ホワイトのライトバックは、否定的な意見もありつつ、好意的に観ているひとも多い。タックル成功(8/10)はチームトップ。ギャリー・ネヴィルはRBに慣れるまで5試合10試合とこなす必要があると
  • 今年もレフェリーはアンチアーセナルか。ジャカのシミュレイションで即カード、パレス(Eze)は明白なシミュレイションでもファウルにすらならず。彼らはあれだけアグレッシヴに、ラフにプレイして、アユーは両チーム最多のファウル4つでもカードなし
  • ジンチェンコはWhoScored.comのMOTM。レイティングは8.10。納得
  • 利き足問題。3分のジェズースのチャンスからマルティネリ。歩調を調節してまでわざわざ左足で打った印象。練習していた左足を実戦で使おうとしたようにも観えた。あそこはアングル的にも素直に右足シュートを選択していたほうが適切だったはずで、マルティネリの瞬時の判断には若干の混乱が観えた。やはり、弱いほうの足でかなり練習をしているのかも
  • ひさしぶりに登場のKT。元気そうでよかった。シャツもイン
  • ピンクいい

この試合については以上。今回もなにか書き忘れているような気がしてならん。

ていうか、このブログ長すぎない?(いまさら)

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

11 Comments on “【マッチレビュー】22/23EPL クリスタル・パレス vs アーセナル(5/Aug/2022)チームの可能性を感じたシーズン初戦の勝利。絶賛サリバPLデビュー

  1. 開幕戦勝利めでたいです。
    前半は一方的でしたが、後半プレス回避され出して、ホワイトがザハ止めようとしてカードもらってからはヒヤヒヤしどうしでした。
    後半途中に試合が中断した際、皆かなり水を飲んでいたようで、もう少し早く交代してよかったのではと。
    まあとにかくめでたいです。

  2. お湯を張る間に読もうと思って開きましたが、残念ながらしっかりお風呂が溢れました。
    本当にありがとうございます。

  3. ブログの更新待ってました!今季も宜しくお願いします!
    交代が遅かった&3枚しか替えなかったことに関しては、後半はパレスペースで進んでいたや開幕戦ということもありハイインテンシティだったことなどを踏まえると動きづらかったのでしょう。実際スクワッドデプスはまだあまりないですし、今後の移籍市場での動きに注目したいです。

  4. ジンチェンコがフリーでクロス上げさせたり、守備で?があったのでティアニーも普通に出番ありそうですね

  5. Abemaは途中から見ようとしたら『最初から見る』ボタンがあったので、これはかなり便利。
    あたしも昨シーズンまでちょい寝坊したときはDAZNで再生押して画面見ないように巻き戻してました。Abema最高。
    勝ちました。それだけですばらしい。
    ギャラガーいないから問題ないとか思ってましたがかなり強かった。アンダーセンは攻守にやばかった。特にセットプレイ。いつもジンチェンコみたいなのねらってましたね。
    しかしサリバですよ、正にワールドクラス。
    シーズン始まるまではすごい素行悪いんだろうと勝手に思ってましたが、ほんとにごめんなさい。
    アーセナルにもどるために英語を勉強したり試合を見てたり、かなり優秀ですよね。あのグエンなんたらに感化されてなくてほんとによかった。
    ひとつひとつしっかり勝ってほしい。
    COYG

  6. パーティに関しては偏見というか、別にうまくプレイしてましたけどね。ふつーにパレスのプレスが激しかったから、そう見えただけでは。
     マルティネッリ、ジャカ、ジンチェンコのラインはあまりうまくいってないように思えました。役割はいいとしても、立ち位置はもう少し決めないとあんまり有効的じゃないというか、ちょっと詰まっている。マルティネッリが球離れ悪いのと、ジャカとジンチェンコをあんなに入れ替える必要もないと思う。あとふたりの守備強度も心配です。足元の技術以外は、ポジショニングも含めてティアニーのほうが安定して見えた。
     AoNの「自由にやらせたい」発言はアルテタの理想として受け取るべきものではないと思います。ここでの「自由」も文脈があまりなく、実際どのような意味合いや度合いで使っているかわからないけれど、チーム状況を鑑みたカンフル剤であって、それでも約束事は共有しているはず。より重要なのは、「自由にやらせたい」発言の後に、サカがアルテタの戦術面を称賛し、それからアルテタ自身が「秩序がなければカオスになるだけだ。カオスを組織化できれば、それが武器になる」。これだと思います(AoNはエモーショナルな部分に特にスポットを当てるから、アーセナルファンにとっては感涙モノですが、具体的な戦術のやりとりはほとんど切られていて、サッカーファンにとっての優れたドキュメンタリーではないんですよねぇ)。
     勝ってよかった、サリバは素晴らしい、ジンチェンコの手放し称賛は注意で、まだ数試合見るべきだというのが試合を見た感想でした。
     

  7. やはり本番は本気度が違いますね。ベンとジンチェンコのサイドは高さと速さの弱点を相手はついてくるし、攻撃の連携もまだまだクリエイト不足が否めない。開幕だから練度は上げてほしいし、上がるはず
    個人的にサカの出来がかなり悪かったように見えました。ただのコンディション不良かな

  8. プレミア開幕!どの試合見てても、どのチームも強く感じる魔鏡リーグ。パレスのアウェイも、数年前とは違い、勝てればラッキーくらいの感覚で見てましたが、クリーンシートで開幕勝利!これ以上の結果は望むべくもなく。
    本当にまだ補強を考えてるなら、今シーズンは少なくとも本気でCLを狙いに行くんでしょう。勝っても負けても、ヒリヒリした興奮出来る試合が見たいですね。

  9. いつも楽しく興味深い記事ありがとうございます!
    今シーズンも楽しみにしています。
    試合のプレビューもレビューも、移籍記事や雑感含めて、大好きなサイトです。
    今シーズンは、メンバーや雰囲気など考えても、期待ができそうです。
    トーマスの怪我や離脱が大きな問題になりそうなので、早めに補強して欲しいものです。
    記事を書き続けることは大変なことも多いと思いますが、健康に気をつけて頑張ってください!
    アーセナルの勝利と共に記事を楽しみにしています。

  10. さすがにプレシーズンマッチとはインテンシティが全く異なりましたが、まずは結果が大事。アイェウとザハは、どのクラブでも手こずるはず、危ない場面なんどもありましたが、運も我らに味方しましたね。来週の予習に、とレスター戦も見ていたのですが、ティーレマンス、すごい良かったです。マディソンも。でも、彼らでさえ引き分けとは。やっぱりシュマイケルがいない、というのは違うでしょうし、あとはバーディーの覚醒あるある、だけ回避してほしい。連勝しましょう!COYG

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