GunnerblogのAFC 21/22決算Q&A
『The Athletic』が今回発表された決算について、Q&Aを記事(※ペイウォール)にしていた。書き手は、おなじみのgunnerblogことジェイムズ・マクニコラス。
そちらをざっくりと紹介しよう。
Q: なんでファンが戻ったのに赤字?
A: 25年ぶりにヨーロピアンコンペティションを逃したから。入場料と放映権どっちも入らない。とくに放映権収入は前年度にくらべ£40m近く落ちている。今シーズンはELに出ているので改善される見込み。
Q: アーセナルは選手売却はうまくやれるようになった?
A: そうでもない。£11.8mが£22.2mに上がっただけ。クラブとして改善の余地はかなりあるのは、彼らも認めているとおり。
またローンフィも少なすぎる。選手ローンで£2mしか受け取っていない。これは直近5年でも最低。もっとも、それはアーセナルがローンでは、儲けよりも、選手の成長を重視しているからかもしれない。
Q: アーセナルは1月に選手を買う金はある?
A: この問題は、ジェズースが負傷したことでより注目されることになっている。この決算では年度末に£30mのキャッシュを持っていたとされているが、もちろんその後には夏ウィンドウがあった。
夏にラフィーニャやダグラス・ルイースにオファーをしていたことからわかるように、アーセナルには資金はあるようだ。
来年のCLも見込まれているし、正しい選手さえいえば、アーセナルは投資をするはず。
Q: 給与総額は削減している?
A: アーセナルは前年度から、£34m給与総額を減らしている。これはスタッフの人員削減による影響もあるが、より重要なのはメンズファーストチームの給与。クラブはいまそれをより効果的に、コントロールできるように、給与の安い若い選手たちに投資しようとしている。
ちなみにマンUの同年度の給与総額は£384mで、アーセナルより£180mくらい多い。
Q: アーセナルは自律経営モデルへの回帰が観えてきた?
A: 最近までアーセナルは金満オーナーに頼るよりも、自分たちがつかう金は自分たちで稼ぐようにしてきた。これが変わったのは、おもにふたつの理由がある。
ひとつはCLを逃すようになり、ヨーロピアンコンペティションそのものを逃すようになったこと。もうひとつは、Covidパンデミック。これらで、財政は著しく悪化した。
それ以降、KSEは積極的に財政サポートを行うようになった。
だが、アーセナルファンはオーナー投資に慣れてはいけない。クラブは自律経営に戻ることを目指している。
Q: アーセナルの財政の未来は明るい?
A: 嵐は過ぎ去ったように観える。翌年度からは財政に改善があるだろう。AST(Arsenal Supporters’ Trust)はこのように見解を述べている。
「クラブはようやくプレーコストを抑えられるようになったと思っている。賃金はヨーロッパリーグのコストに匹敵するようになったので、23年から24年にかけてチャンピオンズリーグのフットボールを確保すれば、チームに投資するためのキャッシュフローが確保されるはずです。チームの調子が戻ってきたことで、チケットの売れ行きは好調で、同じような条件で商業契約が更新されたことは、この国が長引く不況に突入する中で前向きな一歩となった。チームの年齢層が若いことと、財政が安定していることで、アーセナルは今後数年の間に良い基盤を築くことができる」
以上
KSEは一時的に困難な状況を助けるために、オーナー投資を積極的にやったが、AFCが軌道に乗ればまた元に戻ると。
基本的には、それでいんじゃないかと思う。
エドゥも、アーセナルのチームに基礎ができれば、毎年1-2人くらい選手を足していくだけで回るみたいなことを云っていた。いまのチームを観ていると、近い将来それが現実になりそうな気もする。現時点で、もうスクワッドを大改造しなきゃいけないみたいな状況にはない。
チームが強くなって、金もまわって、またチームが強くなって、という好循環。それをつくったのは誰か。あらためて圧倒的感謝。
PS
財政の話題といえば、フットボールファイナンス大先生として知られる、Swiss Ramble氏が、先日twitter解説からの卒業をアナウンスしていた。
In future I will be posting my football finance analysis on Substack, so no more lengthy Twitter threads filling your timeline 🙂
Subscription to the newsletter is free (at least while I still have a day job). First post tomorrow. You can find me here:https://t.co/VZbocjzPNm
— Swiss Ramble (@SwissRamble) November 21, 2022
もうあの超絶長いスレッド芸を観られないのかと思うとさびしいような……気はしないな。いや、あれはもっと別のやりかたがありそうだった。
今後は、Substack.comというところで解説をしてくれるらしい。ひとまず無料なのがありがてえ。もういくつか上がっているなかには、いま開催中のFIFAワールドカップの財政解説なんかもある。ワールドカップの汚い財政について調べたいひとはチェックするといいかもしれない。
※追記
このエントリを書いた日に、SR氏の詳細なAFCファイナンスリポートが公開された。
https://swissramble.substack.com/p/arsenal-finances-202122
こうして観るとなんて細かいんだ。すげえや。
おわり