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【マッチレビューその2】22/23EPL アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッド(22/Jan/2023)チャンピオンのパフォーマンス【試合の論点】

マンUの未熟さ? 戦術的なあれこれ

この試合の戦術的な側面について、試合後にいくつか記事を読んだりしていたなかで、このマイケル・コックスの指摘がけっこう興味深かった。『The Athletic』のペイウォール記事なので、課金してないと読めない。

ここで指摘されていたのが、マンUのウィンガーたちの守備貢献の不足。彼らはボールを持っていないときに、アントニーやラシュフォードが全然守備に参加しないという。そのおかげで、アーセナルはらくらくとポゼッションできたし、優勢に試合を進めることもできた。

これを読んで、ああそういえば、サカはいつもルーク・ショウと1 v 1をやってたなと。ふだんのほかの試合だと、どんな相手もサカを最大限警戒して1 v 2になったりするところ。この試合の彼のパフォーマンスがいつにも増して輝いていたように観えたのは、それが理由のひとつかもしれない。サカのクオリティでは、すでに1 v 1のような状況なら、ある意味やりたい放題。

マンUがそういうずさんな守備組織をやるチームないっぽうで、アーセナル的には、ボールを持たれているときに両ウィンガーを含めて、全員が4-4-2のブロック守備に参加するのは当然になっていて、サカもネリも守備の意識が極めて高い。全体守備がソリッドでコンパクト。

この試合でも(時間は忘れた)マンUのトランジションで、あ・そこに出されるとマズいと思ったときに、サカが相手のウィンガーについていてダイアゴナルのロングボールをクリアしたりしていた。なぜサカがそこにいる?という。

サカのような攻撃で生産性ある選手にだって、守備貢献が求められるチーム。そしてサカはそのタスクをサボらない。ぺぺの居場所がないわけである。彼のような選手こそ、ビッグクラブがこぞって憧れるウィンガー。

マンUのウィンガーが守備に戻らないのは、単純にカウンターアタックで脅威になるための意図的なやりかただったのかもしれないが、だとすると、全員で攻めて全員で守るという今日のモダンフットボールとは逆行している考え方に思える。

アヤックスでCLでもあれだけ成果を上げたETHのような戦術家タイプのコーチが、そうしたモダンフットボールのコードを無視するとは考えにくいので、単純に「攻撃の選手も守備に戻るべき」という選手のディシプリンをマネジできていないとか。どうだろう。

試合後のメディアでは、いまのマンUのチームビルディングのフェイズは、アーセナルのそれとはまったく違うとした記事もあって、やっぱりこのあたりの戦術的なほころびもチームとしての未熟さと捉えたほうが正解なのかもしれない。

まあマンUのことはどうでもいいので、アーセナルはああいうチームを反面教師にして、どんどん先へ進んでほしい。

エディ・エンケティアに謝罪

かつてエディはこんな発言をしていたのが話題に。

多くのひとは、ぼくがアーセナルでゴールするまでの15秒のことしか考えない。

でも、ぼくはそのために一生をかけてきてんだぜ。メーン。

メーン。

いつからどうしてそうなったのかよくわからないが、このひとはアーセナルでずっとそういうファンの心無い視線というか、懐疑的な見方に対してずっと苦しんできたんだよね。だから、アーセナルとの契約更新も契約切れになるギリギリまで躊躇していたんだろう。ずっと見返したかった。

そして今シーズンは、ジェズースが来てまたレギュラーフットボールが遠くなり。いまはやっと巡ってきたチャンス。今後もアーセナルがストライカーの補強をしていくだろうなかで、彼にとっては千載一遇のような状況。

彼は、そんなプレッシャーがかかるなかでも結果を出しつづけている。ワールドカップ後の5試合でG4ですぞ? アラン・シアラーの記録を破ったイングランドU21のゴール記録保持者で、しかもヘイルエンド育ちですぞ? なぜ期待しない。

このタフな4試合だって、彼の貢献がなければ理想の結果が得られていたかわからない。

試合後、アーセナル界隈のソーシャルメディアでは「エディに謝ろうぜ」がちょっと流行っていた。

ジンチェンコがヤバい

ジンチェンコは、ケガから復帰以降、とくに今回のNLDとマンUの2試合で、アーセナルにおける評価を決定的なものにしているように観える。

ピッチのどこにでも顔を出してプレイしている。

個人的には、ジンチェンコがLB(CM)でプレイするようになってから、左にオーデガードみたいなプレイメイカーがもうひとり増えたみたいな印象を抱いていたが、この2試合の彼のポジション的自由はもうオーデガードですらなく、なんだか別の万能選手が現れたみたいに感じている。

そしてそのことで、チーム全体が受けている恩恵。

彼の人間性も含めて、称賛ポインツは尽きないので、それはまたいずれどこかで。

現時点で云えることは、アーセナルが今年目標達成するなら、ジンチェンコは間違いなくそれに決定的に貢献しているひとり。ヤバい。

トロサールがデビュー

これも忘れちゃいけない。レアンドロ・トロサールがアーセナルで早速デビューした。

最後の10分でマルティネリにかわって登場。赤シャツがちゃんと似合っててよかった。

新加入選手がデビューする試合としては、ふさわしくないようなビッグゲイムであり緊張感だったが、短い時間でもさすがに経験豊富なシニア選手というところを観せた。

ボックス際の狭小エリアで3-4人と複数に囲まれてもボールを奪われないスキルには、スタンドは大いに盛り上がっていた。カソルラみたいだったな。あそこは下手するとペナルティもらえる場所だから。なんていやらしいプレイをするんだ。

最後のエディのゴールにつながるビルドアップも彼がボックスにドリブルで向かっていったとき、マンUのDFたちは彼の正面にふたりついて、左ウィングのポジションにいたジンチェンコをマークする余裕がまったくなかった。相手は、彼のことを知っていたし警戒した。彼のゴールに向かうドリブルがすごく嫌だったのだろう。それも経験あるシニアならでは。名前だけでプレッシャーがかかる。

あんなふうに攻撃でアクセントを加えてくれる存在が加わったことで、アーセナルの攻撃デプスは確実に厚みを増した。彼は100mもしなくて悪いね。

いまのチームの絶好調とも云える現在のフロントラインのなかでは、マルティネリが唯一、若干波に乗り切れてない印象があるので、ここで彼がLWのオプションになるのも非常に都合がよい。いまの状況なら、マルティネリのフォームが戻るまで、なんならトロサールがスタートしてもいいくらい。

まあ、ネリについてはべつにそこまで悪いとは思わないが、単純にチームでスタンダードが爆上がりしているのだよね。ウィンガーとしてどうしても右のサカと比べられるし。

ワールドカップから戻って以降、それ以前のフォームを取り戻すのに苦しんでいるという点では、ウィリー・サリバも似たような状況だったが、彼はNLDとこの試合ではふつうにいいプレイをしていたので、彼のほうは徐々にフォームが戻ってきているようだ。

とにかく、トロサールはいいタイミングで来てくれた。今後に期待大。

その他試合について

  • 「アーセナルのタイトルはない(シティ1位、ユナイテッド2位)」発言のギャリー・ネヴィル
  • トマス・ロシツキ一家も試合を観に来ていた
  • サー・アレックスやベッカム家族も。息子がグーナー。考えてみればベッカム本人もアーセナルとゆかりあんだよな。なんならグーナー
  • アーセナル移籍が決まったJakub Kiwiorもスタンドに
  • デクラン・ライスがサカのInstagramポストにLIKE
  • オーデガードのエラシコ
  • パーティの驚異的スピード。あんなに足が速いイメージなかった
  • デ・ヘアの腕折れた
  • この試合はラムズデイルとデ・ヘアの試合でもあった。両者がビッグセイヴ
  • ジェズースの激励
  • 後半から登場のトミヤス大絶賛

この試合については以上。まだまだ語らねばならないことがあるように感じるが時間が有限。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

2 Comments on “【マッチレビューその2】22/23EPL アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッド(22/Jan/2023)チャンピオンのパフォーマンス【試合の論点】

  1. 最高の試合に最高のレヴューありがとうございます。読んでたらまた試合が観たくなったので、今から観ます!!

  2. 54分でしたか・・・パーテイのあの速度、アントニーも恐れ入った、という感じですよね。パーテイ、トロサール、オーデガード、ジンチェンコ・・・もう期待感しかありません。エディに最敬礼、は最も。ジンチェンコの叫ぶ姿が本当に好きです。信じ続けてよかった。リバプールとチェルシーはやはり去年20試合ぐらい多かった勤続疲労ですかね。われわれもローテーションしないと。

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