試合の論点
アーセナル vs サウサンプトンのトーキングポインツ。
All the key moments from a dramatic evening at Emirates Stadium pic.twitter.com/GR5fv6Ze6N
— Arsenal (@Arsenal) April 21, 2023
これでシティに勝たねばならなくなった
試合の論点というか、今後の展望。
今回の試合結果で、アーセナルは32試合75ポインツ。
シティはここまで30試合70ポインツ。
お互いに、直接対戦以外の残り試合をすべて勝つと仮定すると、最後にはシティがわれらを1ポイント上回ってフィニッシュする。
おお、なんということか。つまりアーセナルは、直接対戦で彼らに勝たねばならなくなった。敗けはもちろんダメだし、ドロウでポイントをシェアしてもダメ。WHU戦前のときよりも、さらに悪い状況になってしまった。
ジェイミー・キャラガーは、「アーセナルがタイトルを取るには奇跡が必要」と云った。こういう状況だから、たしかに。
でも、奇跡だからこそ、もしそこで結果が得られるなら、文字通りすべてを変えることになるんじゃないか。
もしエティハドで結果を得られないなら、そこから希望を持ちつづけることは、さすがにかなり難しくなる。その時点では順位こそまだ入れ替わらないものの(75 vs 73になるだけ)、相手はまだ消化試合をもっている。気持ちはかなり落ちるはず。想像するだけで辛くなってきた。
だがもし、もしもアーセナルがエティハドで勝ったら……、もう地球上のどんなチームにも勝てると感じることになる。
来週の水曜はなんという日になるのか。なんという機会。
しかし、考え方によっては、もう覚悟を決めるしかないということ。これが背水の陣というやつ。アウェイで勝つというシンプルなタスク。
やるっきゃない(選挙カーをうるさがりながら)。
この決定的時期に3連続ドロウで6ポインツ落とす。メンタリティをマネジする難しさ
PL7連勝からの直近3試合。リヴァプール(A)、WHU(A)、サウサンプトン(H)。
最初のふたつは、2-0から2-2に追いつかれて、今回のセインツは3-1から3-3に追いついて。いずれもドロウで1ポイントづつ。3試合で6ポインツも落とした計算になる。得られたかもしれない6ポインツだと思うと、やりきれないものがある。
リヴァプールはともかくとして、アーセナルの終盤の厳しいフィクスチャのなかでも、とくにWHUやサウサンプトンにポインツを落とすことはほとんど想定されていなかった。
試合中の過程はそれぞれなれど、アーセナルのチームが90分で一貫したパフォーマンスが発揮できていないということだけは共通している事実であり。
なぜこうなってしまったのか。
アーセナルのフットボールチームとしてのクオリティや実力は、もうあまり疑われていないと思う。本来のちからを発揮できれば、それこそシティのようなトップオブトップにも互角に戦える。実際にこの時期になるまで世界一タフと云われるリーグでトップのポジションにいるのは、クオリティの高いフットボールをプレイできるからで、べつに偶然でもなんでもない。この3試合でも、そういった面をちゃんと観せた時間だってある。
ただ、残念なことは、しばしばそれを継続して発揮することができない。ここまでも、なんとかポインツを稼いでいても、危ない試合は何度かあった。
この一連の試合結果について、サリバの不在が大きいという見方もある。それはそう。だが、それと同じくらいちまたで云われがちなのはやっぱり精神面のことだろう。タイトルのプレッシャーとかそういう。なにしろこのチームは若く、多くの選手にはいまのような体験は初めてなのだから、対処に苦労してもそれは当然である。
今回のラムズデイルのしょっぱなのアレのようなプレイを観るに、実力を発揮するための最適なメンタリティを維持することの難しさというものを非常に感じさせるなと。アレはラムズデイルはどう観てもリラックスしすぎていたでしょう。もちろん、彼の本来のクオリティではない。
アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるメンタリティというのは、やっぱり緊張と落ち着きのバランスが最高に適正に保たれたときなのだろう。そして、そのバランスが崩れるとやられる。PLのような競争力ある場所ではすぐにやられる。
バランスを失うときのいい例がリードしたときで、リヴァプールとWHUでそれが起きた。そこまでの勢いをキープして3点めを取りにいかず、リードを守ろうと気持ちがシフトしたときにそれまでのいいバランスが崩れた。そして逆襲された。
そして今回。ホームであり、対戦記録もまったく悪くない(23試合敗けなし)相手。危なげなく勝てるつもりでいたのだろう、肩の力を抜いて自分たちがふだん通りやっているようにプレイすればよかった。だが、ちからを入れるバランスを間違えた。ラムズデイルのあのありえないほど腑抜けたパスは、まるで安心しきった、まるでぬるま湯のなかでプレイしているようだった。あの瞬間は、サリバ不在は関係ない(細かいことを云えば、サリバがいたら、ラムズデイルはそもそもあそこに無理めなパスを出さなかったとかはあるかもだけど)。純粋に選手のメンタリティだった。あるいはチーム全体でそういうゆるさがあったのかもしれない。2-0になったあと、選手全員を集めてトークをやったと称賛されていたジンチェンコですら、イージーなパスミスをやっていた。
シティのようなもう長らく強いチームには、そうした精神的不安定さや甘さはあまりない。もちろん、圧倒的スクワッドデプスもある。だから全面的に総合的に一貫して強い。
もし、最終的に今シーズンわれらが目標を得られなかったとしたら、スクワッドデプスの薄さとともに、やっぱりその部分がもっとも大きな今後の課題だと振り返られるように思う。
でもおそらくは、それがいちばん難しいのでしょうな。精神的に安定してそれを高く保つことが。
いつのまにかアーセナルのセットピースが脆弱に
今シーズンの振り返りついでにこれも指摘しておきたいが、どうもワールドカップ前後でアーセナルのセットピースはだいぶクオリティが落ちているようで。
もう多くのひとは忘れているかもしれないが、今シーズンの前半くらいはセットピースコーチのニコラス・ヨヴァーがかなり称賛されていた。毎度観られる特徴的なルーティーンのことが話題になったり、彼のおかげで、アーセナルのセットピースは攻撃も守備もかなり進歩したとみんなで喜んだ。やっぱりこれからはスペシャリストコーチの時代だよねと。
ところが、最近われらはたてつづけにコーナーキックやフリーキックから失点していて、今回の3点めも目を覆いたくなるようなやられっぷり。以前より進歩どころか退歩しているんじゃないかという。
いったい何が起きているのか。
これは、そのうちどこかのメディアが特集をしてくれそうな気がするので、見かけたらこのブログでも紹介しよう。
サカとマルティネリとオーデガードがGA記録をのばす
オーデガード(G1)はともかく、この試合のマルティネリ(G1)とサカ(G1 A1)はすごかった。ボールをもったら毎回相手の脅威になっていた。とくに左でマルティネリは切れてたなあ。
以下、この試合の結果が反映されたトリオのPLでの記録。
- マルティネリ G15 A5
- サカ G13 A11
- オーデガード G12 A7
なんという生産性。
いっぽうで残念なのは、ジェズース。今回ジェズースはかなりはっきりしたいくつかのチャンスを決められなかった。
ジェズースひとりで1.44xG。そしてゼロゴールズ。
Gabriel Jesus scored 0 goals from 1.44(xG) this evening.
— The xG Philosophy (@xGPhilosophy) April 21, 2023
ストライカーが決めてくれないと困るんだよなあ。
彼はフォルス9といっても、チャンスのときにいるべき場所にいないというふうでもないし、彼のようなストライカーはああいうクリアなチャンスを決めてくれないと。
ああいうチャンスをふいにするところを観ると、彼がケガをするまえのゴールできなかった期間を思い出してしまう。
シティで払拭してもらうしかない。
この試合については以上。
つぎの試合は、来週水曜のマンシティ(A)。これでアーセナルの今シーズンが決まるといっても過言じゃない試合。そうなってしまった。
そのあと残り試合もまだあるが、その試合の結果が与えるインパクトが大きすぎて、そのあとにひっくり返る気はあまりしない。
どうなるか観てみよう。
ではまたプレヴューで。
COYG!