23-24プリシーズン モナコ＠エミレーツカップで気づいたこと

モナコつよかったな。ミナミーノ。ゴロヴィンもいた。

ふたたびエミレーツにアーセン・ヴェンゲル登場。アーセナルライフを称える

のっけから試合自体とはあまり関係ないけど。

このブログではまったくスルーしてしまったが、先日エミレーツ・スタジアムのそとに、かねてより噂のあったアーセン・ヴェンゲルの銅像が設置されたことが大きな話題になっていた。

そして彼がこの試合に招待されていることも事前に伝えられていた。独特な風貌（笑い）のティム・ルイスといっしょに試合を観戦していたな。相変わらず元気そうでよかった。

ところで、その銅像がお披露目されたときのAFC公式サイトによるヴェンゲルさんトリビュートなコンテンツ群が、非常に充実していた。アーセナルのファンはもちろん観ていると思う。ヴェンゲルさんがアーセナルを退団したときに匹敵するくらいの力の入れ具合と思われる。もちろん、まだ閲覧できるので未読なら。

Arsène Wenger statue unveiled at Emirates Stadium

それで思ったのは、日本でもしばしば批判されることだと思うが、ある分野で多大な貢献をした偉大な人物が、故人になってようやく勲章をもらったり、世間からトリビュートされるという風潮があって、それよりも、こうして存命のまだ元気なうちに偉大な活躍を振り返って称賛するというのは、とってもいいことだなということ。なにより、本人にそれが確実に届くのだから。もちろん、亡くなったひとへの称賛を否定するわけではないが、なぜ元気なうちにそれができなかったのかというのは、いつも気になる。

だから、今回のアーセントリビュートを観ていて、こういう事例が日本でも増えるといんじゃないかと思ったのだった。

あらためて、アーセナルFCにとってアーセン・ヴェンゲルがいかに大きな存在かを知るよい機会だった。

そういえば、このオフシーズンのエミレーツカップは「ヴェンゲルカップ」にしたほうがいんじゃないかという意見をredditで観た。アーセナル、モナコ、ストラスブール、そして名古屋グランパスというアーセンゆかりの4クラブで競う。名古屋でやってほしい。

ライスがエミレーツデビュー。パーティとの共存

デク・ライスが、ついにエミレーツでデビューした。試合後にデビューの興奮を伝えている。エミレーツの歓迎っぷりにぶったまげ。

Blown away by the reception I received before the game! Loved my first minutes at the Emirates, We keep building & pushing. Thank you Gunners❤️

— Declan Rice (@_DeclanRice) August 2, 2023

さて肝心の彼のパフォーマンスのほうはどうだったか。

この試合で、彼はL8のポジションでプレイしたようで、アルテタも「（ライスが）前めにプレイするのは初めて」と述べていた。たしかに、実際マルティネリとのコンビネイションで攻撃参加も少なくなく、あのエリアでの存在感はあった。彼がボックスの周辺でボールをもつたびに、スタンドから「Shoooooot!」の掛け声も。ジャカ時代をほうふつとさせる。

ただ、今回は守備のかたちとして、ESRをNo.10に置いた4231シェイプに観えたときが何度かあって、その場合はライスとパーティはフロントのうしろでダブルピヴォットでプレイしていただろう。つまり、ライスはもっと前後でダイナミックにB2B的に動いていたんじゃないか。それはいちおう彼のヒートマップにも現れている。パーティがSouček役。

ライスはL8のタスクとして、左タッチラインでプレイすることも多かった。

この夏の移籍が噂されていたパーティがチームに残りそうな気配になってから、ライスとパーティの共存というのはチームの重要なオプションとして議論の機会も増えているように感じていて、今回はそのテストもコーチの念頭に置かれていたかもしれない。より強い相手には、守備で信頼できるライスをL8としてパーティの6といっしょに使うという。

日曜のコミュニティ・シールド、マンシティはまさにその「より強い相手」だろう。当然ポゼッションの時間はいつもよりは減る。今回のライスとパーティのコンボを、そこでふたたび目にするかもしれない。

ライスがもっとチームに溶け込んで、どんなパートナーともうまくやる将来が早く来ないかと思わずにいられない。

エンケティアがステップアップ

ジェズースの事情を知って、しばらくは自分が試合でプレイできそうとなって、やる気も倍増しちゃったのか。初めてというキャプテンも任されちゃった。それにしても、ミケルはエディが大好きである。

今回のエディはかなりよかった。スキル、クイックネス、フィジカリティ、彼のいいところを今回は存分に観せた。

そしてなにより、あの彼らしいゴールよ。コーナーキックから、誰も観てないところにそーっと忍びこんでからの華麗な一撃。いわゆるpoacherタイプの面目躍如。sneak attack。

ジェズースが不在のあいだ、彼の直接の代替をもっとも上手にやれるのは、現時点ではもちろんエンケティアだろう。トロサールやハヴァーツの9を想像しても、それはやはりジェズースのとは違うものになる。逆に、それが功を奏す場合だってないとは思わないが、アルテタがプランA1を継続させるつもりなら、いまはエンケティアしかいない。この試合の彼の活躍をいちばん喜んだのはアルテタに違いない。

去年、ジェズース不在時にあれだけ活躍しても、エディの世間からの評価（現在のMVは€25m）は低く、それどころかアーセナルファンからの評価も低いままだ。だから彼にとってこれは突如訪れた大きなチャンスになる。彼だっていつまでもバックアップで満足するつもりはないのだし、だったらここで自分のちからで己の真価を証明するしかない。そうしなければ、待っているのはレギュラーでプレイするために、もっと小さなクラブへ移籍していく未来のみ。

まずは、ジェズースとポジションを争う競争相手として認識してもらわなければ。

エディにとってもビッグシーズンがやってくる。

テストに合格できたバックアップ選手は？

アルテタはこの試合（あるいはプリシーズン）のテーマとして、ふだんプレイする機会のすくない選手たちに時間を与えることがあったと述べていた。

そして、今回は最後のプリシーズンマッチということもあって、多くの非レギュラー選手たちがスタートからプレイした。エンケティア以外で、このなかにボスに強い印象を残した選手はいただろうか？ いくつかの寸評を。

ヴィエラ：基本は右ワイドでプレイ。まったく予想を裏切らないいつもどおりっぷりに観えた。冴えたプレイもあるし、冴えないプレイもある。ぼくは今回エンケティアのフィジカリティがよく目についたのは、ヴィエラのあまりの非力っぷりと対照的だったからかもしれない。あの程度のチャレンジで毎回吹っ飛んでいるようでは、PLでプレイするのはキツいはず。かといってフィジカル勝負を回避できるトロサールのようなスキルがあるかといえば……。ハヴァーツやライスを加え、ただでさえフィジカリティは新シーズンのテーマになりそうなアーセナルで、あれではアルテタからバックアップ以上の信頼を得られるとは思えず。彼はこのままではいけない。心配になる。

ESR：今回はオーデガード役。彼もまたいつもどおりというか、やはり目立つのはプレイの淡白さ。ボールへの執着心がなく、うしろから前への潤滑油にはなれているが、ピッチ上での存在感にはやや乏しく。あのポジションでマルティネリとタッチ数が変わらない（37）。オーデガードと比較したら気の毒ではあるが、チームメイトたちからもまだ大きな信頼を得ているように観えない。彼があのスタイルでチームで重要な存在になるには、もっとパスを集めて、決定的な仕事をしなければ。ほぼ一年をふいにして、チームが上昇する波に乗り遅れた後発選手としては、ブレイクのきっかけがほしいところだ。今回は、右ワイドでボールを持ってDFを引き付けてくれるサカがいてくれたらよかったかも。

トミヤス：トミーもいつものトミーだったかなあ。この程度のレヴェルの相手なら、パスはもっと野心的であってもよさそうに思えるが、無難なプレイが多く。 1 v 1 ディフェンスでの信頼度がチーム随一なのは、いまも変わらないとしても、シーズンでプレイするほとんどの試合はシティやリヴァプールが相手ではないため、トミヤスがステップアップするにはポゼッションやビルドアップ、あるいは攻撃などでもクオリティを見せる必要がありそう。今回はGK正面に飛んでしまった惜しいショットもひとつあった。ゴールほしい。トミヤスがイタリアンクラブに売り込まれているという噂があったようだが（ロマーノが否定）、彼のアーセナルでの初年度のようなインパクトを観せないと、このチームでの将来はあまり明るいように観えず。残り契約2年。

キヴィオール：RCBとLCBでプレイ。彼は当初よりもずっとチームに溶け込んでいる様子。この試合で彼があまり目立たなかったのは、それだけミスをしなかったからか。DFでは、彼のパートナーのサリバがレッドカードがでなくてラッキーというほど悪目立ちしていた。キウイは、バックアップ選手のなかでは、もっとも評価を高めているように観える。アルテタは、彼をLB（Inverted）、LCB、RCBで起用していて、どのポジションでも一定の手応えをつかんでいそう。今回のプリシーズンは、きっと彼にとって実り多いものになっただろう。

 

試合については以上

 

つぎの試合は日曜のコミュニティ・シールド、マンチェスター・シティ。去年は彼らがPLとFAカップもとってしまったので、PLで2位だったわれらが繰り上がり。

コミュニティ・シールドってのは、いまいち本気度がわからんね。もちろんどんな試合だって敗けたくないとアルテタは云うが、そのために大きなリスクをかけられるかと云えばそんなことはないわけで。

アーセナルは、ジェズース以外は本気メンバーで臨むのだろうか。ここでシティに勝って新シーズンに向けて勢いがほしいというのは、ある。

どうなるか観てみよう。

 

ではまた。COYGです。

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