アーセナルが2023夏に放出した選手
それなりの人数を整理したものの、今回もまた売却という点では思うようにはいかず。選手売却で100mを稼ぐのはかなり難しかった。
こちらも移籍金順で。※金額はTMより。TMの金額は全般的に世間で取り沙汰されている金額よりもだいぶ控えめ。アドオンを除外している模様
- Folarin Balogun to AS Monaco(€30m)
- Granit Xhaka to Bayer 04 Leverkusen(€15m)
- Matt Turner to Nottingham Forest(€8.15m)
- Auston Trusty to Sheffield United(€5.8m)
- Pablo Marí to AC Monza(€4.9m)
- Rob Holding to Crystal Palace(€1.2m)
この夏、アーセナルの移籍ウィンドウではつねに話題の中心だったフロ・バロガン。最後はモナコに決着した。
€40m for Balogun. #AFC have secured a 17.5% sell on fee. If you consider his potential it’s a decent deal especially for an academy player. More on @ArsenalFC_fl https://t.co/H1ik9B31FE
— Kaya Kaynak (@kayakaynak97) August 30, 2023
移籍金は、ジャーナリストたちはアドオンを含めて€40m(£34m)と報じているものが多い。いずれにせよ、結局£50mの評価額など絵に描いた餅でしかなかった。
ただ、彼の契約に17.5%というセルオンをねじ込んだのは大きかった。数年後、仮に彼が€50-60mのような金額でつぎのクラブへ行けば、€8.75-10.5mが自動的にわれらのふところへ。もともとの評価額へ近づいていく。そこは悪くなかった。
以前にこのブログでも書いたように、彼のように大活躍した選手がそれほどいい金額で売れないことにフラストレイションを感じるファンも少なくなかったと思う。が、結局ビッグクラブ/メガクラブのターゲットにならない限りは、移籍金もそこまで上がらないということを再認識することになったのだった。
それと、誰かが云っていてなるほどと思ったのは、今回のバロガンの移籍金が安すぎると思っているひとは、数年前バロガンをフリーで手放す危険があったときのことを思い出そうということ。あのとき、多数のクラブから引き合いのあった彼を慰留するのは簡単なことではなかったが、結局それをやりとげた。あのときのタフな交渉が成功しなければ、今回の移籍金だってゼロだったのだ。エドゥ、アルテタらのハードワークのたまもの。今回は高率のセルオンを勝ち取ったことといい、今回のバロガンの売却案件は十分高く評価できる。
バロガンの案件を成功と位置づけられるいっぽう、デッドラインデイのロブ・ホールディングは、アーセナルのファンにとってはちょっとした阿鼻叫喚だっただろう。
アーセナルのようなトップチームではスタンダードに満たなかったとはいえ、彼のようなピーク年齢の経験豊富なCBに£1mの移籍金(※£4mまで上がる可能性)しか得られなかったことは衝撃以外のなにものでもなく。しかもパレスはいちおうPLのライヴァルクラブである。PL taxはどこへ行った?
🚨 Rob Holding has joined Crystal Palace from Arsenal in permanent move. #CPFC paying #AFC £1m + £2.5m in add-ons. 27yo centre-back has signed 3yr contract with Roy Hodgson’s team – bringing end to 7yr career at Emirates Stadium @TheAthleticFC #DeadlineDay https://t.co/RWwO5BSLEy
— David Ornstein (@David_Ornstein) September 1, 2023
この案件についてぼくは詳細を知らないが、彼にはスペインなど海外クラブを含めて引き合いがあったことを考えると、やっぱりクラブが本人希望を第一に優先した結果という気がする。ベンチでも文句もいわず、ずっとクラブとチームに忠誠だった功労者の希望を叶えた。逆にそれ以外は考えにくいんじゃないか。さすがに彼に£4m以上を出そうとしたクラブはあったと思いたい。
以下はローン。
- Kieran Tierney to Real Sociedad
- Nuno Tavares to Nottingham Forest
- Albert Sambi Lokonga to Luton Town
- Marquinhos to FC Nantes
- Rúnar Alex Rúnarsson to Cardiff City
- Arthur Okonkwo to Wrexham
残念ながらアルテタのプラン外で移籍不可避と云われていたKTは、レアル・ソシエダへ。ソシエダが、ローンフィ支払いに加えてフルサラリーの負担。買取オプションなし。悪くない条件。ソシエダにはCLもあり、KTも満足できる移籍先だったろう。
Arsenal will receive a loan fee of around £1.2 million as part of Kieran Tierney’s move to Real Sociedad. The Spanish side will also be covering his full salary. No option to buy next summer. #AFC
— Sam Dean (@SamJDean) August 27, 2023
来年夏にどの程度で取り引きされることになるか。今年一年の彼のパフォーマンスにかかっている。
もうひとりプラン外のヌーノは、マッティ・ターナーが向かったフォレストへ。£15m(£12m+3mアドオン)の買取オプションつきで、ある条件を満たすとそれが買取義務になる模様。金額も条件もアーセナルにとっては悪くないもの。うまくやった。
EXCL: Nuno Tavares loan deal has been signed now between Nottingham Forest and Arsenal with new details 🌳🇵🇹
Understand loan fee is £1m, buy option £12m but also £3m extra add-ons for Arsenal. #AFC
❗️ Told buy option clause could become mandatory if certain conditions are met. pic.twitter.com/hsSuVeE9gX
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) August 31, 2023
デッドラインデイにルートン・タウンに決まったサンビ・ロコンガは買取オプションなしの純粋なローン。来年夏にあらためて判断となる。PLのボトムサイドで、どれほどプレイタイムが得られるか。彼はプライドが高そうなところが、若干心配ではある。
マルキーニョスはリーグ・アンのFC Nantes。買取オプションなし。そろそろブレイク希望。
ところで今回の移籍のなかで、アーサー・オコンコは謎案件のひとつだ。WrexhamはLeague Twoのチームでつまり英国的には4部リーグ。オコンコはいちおうファーストチームのGK扱いで、将来有望とされていた選手だったはずが、なぜに4部チームが選ばれたのか。そのチームは彼のクオリティにふさわしいのだろうか。せめてチャンピオンシップ、あるいは去年のように海外リーグなどもっとマシなオプションがなかったのか。謎である。ルナーソンがまだクラブにいることくらい謎。
以下は契約解除(フリーエイジェント)。
- Ainsley Maitland-Niles to Olympique Lyon
- Nicolas Pépé to Trabzonspor
AMNはなんだかんだリヨンのようなビッグクラブへ。失礼ながらこれは予想外。
アーセナルが売ろうとして結局売れ残ったのは、セドリックのみだった。CLスクワッドには含まれていたので、意外にも戦力として考慮されているのかも。
そして、ぺぺ。ついに。
彼がサウジクラブを嫌がって、ターキーのクラブへ行くことが濃厚と云われた一時は、€3mだか4mだかの移籍金を残していくとも云われながら、結局は契約解除だったという。アーセナルが得た移籍金はゼロ。いや、残り契約のサラリー(140kだとすると£7m程度)の節約が大きかったのだろう。また売れずに一年間無駄な金を使うくらいなら、契約解除できたほうがはるかにマシだった。
それにしても、£72mものクラブ記録で買った選手が最後は完全な負債になってしまうとは。クラブにも本人にもまったく不幸だった。教訓にすべし。
でもこれは、前向きに捉えるべきなんだろう。
ぺぺは、アルテタが前任者から引き継いだほとんど最後の大荷物だった。それが片付いたことは、一時代の終わりを感じさせるし、新しい時代の始まりもまた感じさせる。
これでお互い前を向いて歩んでいける。ぺぺの幸せを願ってやまぬ。ぼくは彼のことは嫌いじゃなかったから。
2023夏ウィンドウ雑感:完成に近づくスクワッド
さて。
アーセナルとしては「五カ年計画」のフェイズで考えると、スクワッドビルディングについては、いま進捗はどのように捉えられているのだろう。
今回のウィンドウで、デプスの面でもクオリティの面でも厚みが増したし、最適化(ジャカがいなくなってライスが来たとか)も進んだ。あとエリア的に足りないのはどこか?
ティンバーがああなってしまったので、彼が復帰するまでDFのデプスはやや心配なところはある。
あとはサカのバックアップは、あいかわらず課題なままか。ESRやネルソンはアルテタになかなかチャンスを与えてもらえず、サカのバックアップとして考慮されているかどうか。
1月にサスペンションが解けるアイヴァン・トーニーへ行くという説もある。バロガンが去ったいま、アーセナルがストライカーへ向かうのは理にかなっているところはある。ジェズースがRWでプレイすればサカのバックアップ問題も解決できる。サカとジェズースなら十分すぎるデプスになる。
ということで、全体を俯瞰してみても、アーセナルはもうすでにアルテタがクラブに来た当初のアンバランスなスクワッドではなくなっている。チームは、着々と完成型に近づいていると云ってもよい。
なんという隔世の感。
ただ、CMエリアには比較的高齢の選手が集中しているため、このあとすぐに大きな変化がありそうである。
パーティ(30)、ジョルジーニョ(31)、エルネニー(31)。
この夏、プレイ機会を求めてパーマネント移籍すると報道されていたU21のチャーリー・パティーノ(19)が、結局スウォンジーへのローンを選んだのは、アルテタの説得があったともっぱらの評判である。おそらく、アルテタは現在のCMがごっそり入れ替わる近未来の姿をパティーノに提示したのだろうと。チャンスは必ずある。
パーティはこの夏ですら売却の噂があったし、ジョルジーニョも代理人が何度も彼はアーセナルでハッピーと云わねばならなかった。当然エルネニーもチームの長期プランには含まれていないはず。となれば、来年夏にはCMで3つ席が空く可能性がある。これは大きな動き。
今後どうなるか観てみよう。
おわり
パテイーノくんを残してくれたのは本当に良かった。
彼はパーマネントで出ていくとかなり早くから言われてましたからね。
去年のFAカップの1-2回の出場だけで手放していい選手じゃないはず。
KTの放出には思うところはありますが、もう致し方ない移籍だったのでしょう。
あとは妥当な放出だったと思います。フロント陣はグッドジョブでした。
改めて理想に近い移籍市場でしたね。3人とも完全に馴染むには時間があるかもですけど。放出も、必ずしも意図的ではないのかもしれないけど、サウジ換金せずに、スポーツ面でより良い移籍先をなるべく提供しようとしたことは褒められていい。
個人的にはラヤが楽しみですねー😊
あとはサカのバックアップは不安ですね