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【マッチレビュー その2】23/24 EPL アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッド(3/Sep/2023)ライスが価値を証明。またしても記憶に残る劇的勝利【マッチスタッツと論点】

試合の論点

アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッドのトーキングポインツ。

アーセナルはビッグ6相手に3ポインツ。勝つべき試合に勝利してIB前にビッグブーストに成功

アルテタは、試合後コメントで何度もここまでの4試合はすべて自分たちが勝つにふさわしかったと述べた。

実際の結果は、ポッシブル9ポインツで7ポインツを取得。PLテーブルでは、全勝でトップのシティ以下、敗けなしの7ポインツで並んだ4チームのうちのひとつになっている。GDで5位。

ポインツを落とした先週のフラムのことを思い返すと、いまごろわれらはシティとともに4試合全勝だった可能性も十分あるため、最高のスタートとは云えないが、それでも概ねいいスタートと云えるのではないだろうか。たしかにシーズン序盤でアーセナルのパフォーマンスレヴェルは、まだ上がり切っていないなか、なんだかんだちゃんと最低限の結果は出している。お客様満足度85%くらいはありそうである。

とくに今回4試合めにして最初のビッグ6との対戦、ここで3ポインツは大きかった。

仮に、もしここで敗けていたらアーセナル世界(ヴァーチャル)は大きな失望ムードに包まれていただろう。現実のチームに悪い影響を及ぼしかねないほどの。どんな試合も敗けがうれしいときなぞあるはずもないが、それがマンUだったら悔しさはひとしお。彼らに勝つと敗けるでは天国と地獄の差がある。しかもあんな試合内容である。敗けたら寝られない。

あれだけ金を使って、時間を使って、マンUにはなお問題がある。£90mのAntonyは相変わらず冴えないパフォーマンスだし(暴行疑惑?でセレソン招集を取り消されるおまけつき)、試合後にはこの日のスクワッドから外されたSanchoがあんなメッセージを公にしチーム内のゴタゴタを露呈、極めつけは、彼らだって絶対に勝ちたかったはずの試合のあのような緊張感ある終盤でCBがMaguireとJonny Evansというコンビ。どんなビッグチームもCBのクオリティを最優先しているような昨今。もしかして、笑わそうとしているのか。ちょっと信じがたい。

だから、アーセナルは勝つべき試合に勝ってくれてほんとうによかった。そんなグダグダしているチームにホームで敗けちゃあいけない。

これでアーセナルはPLホームでのマンUは、直近6試合でW5 D1 L0。いい結果。彼らのアウェイでのバッドフォームは継続中。

われらとマンUのつぎのPL試合は来年5月、シーズン37試合め@OT。その試合のほうが、今回よりもよほどお互い充実した状態でプレイできそうな気がする。そんな相手をアウェイで踏み潰せれば、今回以上のカタルシスも。その時点でお互いどんな状況にいるかわからないが、もしOTでアーセナルがタイトルを決めるみたいなことになれば最高である。

インターナショナルブレイクを前にお仕事完了。選手もファンも気持ちよく2週間のブレイクに入れた。

ライスの£105mはバーゲン

前にどこだったか、「ビッグサイニングはなぜ失敗するか?」みたいな記事を読んだ。実際はともかくとして、たしかに大金を投じて補強された選手ほど、新天地で成功できないイメージは強い。

そういう事例は枚挙にいとまがないだろう。アーセナルだとやっぱりクラブレコードの£72mも費やしたのに結果あれだったニコラス・ぺぺ。今回のマンUにはもちろん£90mも投じてつねに批判にさらされているAntonyがいた。直近ではチェルシーのMudrykなどは大惨事以外のなにものでもなく(まあ彼は若いからこの先いくらでもレデンプションの機会はあるだろうが)。

そういう意味では、£105mという記録的巨額が投じられたデクラン・ライスも、最初から批判のターゲットにされやすい選手ではあった。とくにライヴァルクラブのファンは手ぐすね引いて、彼の失態を待っている。

ところがどうだい。ジュリアン・ティンバーほどの驚異的な適応力ではないにしても、PLのこの最序盤でも堂々たる非常に安定したプレイっぷりで、アーセナルでももはやでチームプレイの中心になりつつある。今回もそれをまた証明することになった。

しかも、最後にはあんなゴールのおまけつき。あそこだけ時間が止まったみたいな冷静なショット。「左手は添えるだけ」って聞こえた!(空耳) 持ってるなあ。

この試合でのライスのタッチ85は3人のMFのなかで最多。パス成功率は88%。成功率こそハヴァーツも同じだが、パスの数は73とハヴァーツのほぼ3倍とチームプレイへの関与や影響力には大きな差がある。プレイエリアもかなり広い。

こう3人の関係をみると、キャプテンMØがゴールすることに積極的になっているのも、ゲイムメイキングの負担が減った影響もあるのかもしれない。オーデガードが今後もゴールをつづけるなら、ライスといっしょにプレイするようになってからの彼のプレイスタイルの変化みたいなことも、そのうち注目されそうである。

今回はパーティがいなかったこともあり、CDMとしてライスは守備の責任も重かっただろう。

とくに印象的だったのは1 v 1デュエルだったと思う。たとえばオーデガードはプレッシングが非常にインテンスだけれど、ライスはプレスするだけでなく、そこからさらに一歩進んで足をのばしボールを奪ってしまう。この試合でも何度かそんなシーンが観られた。※スタッツ上はGround Duelsは1/2、Tacklesは1だった。アレ?

「ライスはバーゲン」。またしても記録を更新する移籍金総額が費やされたPLの夏ウィンドウが終わってから、アーセナル界隈ではそんな声をそこかしこで目にするようになっている。少なくともここまでは、デクラン・ライスは巨額投資の成功例として認められるはず。

テン・ハーグへの反論

試合後のETHのレフに対する恨み節。たくさん文句があるなら、10個まではがんばってあげてくれないと10ハーグの名がすたる。

どれも簡単に論破できそうなので、これにひとつづつ反論してみよう。時系列で。

まず、VARでハヴァーツが得たペナルティ取り消しされた件での文句。58分。

ETHは、仮にあれがペナルティじゃないならファウルもなかったのだし、だったらあそこで倒れたハヴァーツはシミュレイションであり、それを罰すべきだと云っている。

じつは、のっけからなんだが、これはぼくもそうだと思う。ペナルティか非ペナルティかは、とりあえず置いておくと。

こういう場面はしばしばあるが、厳密にはレフの判断はファウル(=ペナルティ)/ファウルなし(=シミュレイション)の二択でなければおかしいはずで、その中間があることにはちょっとしたモヤモヤをおぼえる。だからここだけはアンタに同意だ! 乾杯!

ペナルティか非ペナルティかについては、ここでアーセナルのファンにはあんまり人気のない意見を云うと、ぼくは非ペナルティと思った。接触があったようには観えなかったけど、もしあったにしてもごくわずかだろうし、もしあのようなソフトなファウルでペナルティをもらうのは、なんだか後ろめたいように思える。もちろん同じように、かつてのウォルヴズでのダヴィド・ルイスだってペナルティじゃなかったし、ましてやレッドカードなど喰っている飯を吹き出すほどありえない。

つぎ。Hojlundに対するボックス内でのガブリエル。アレがファウルでペナルティのはずとETHは主張しているようだ。実際はファウルともみなされなかったプレイ。

86分、ライスのドリブルからボールを奪われたカウンター状況で、スルーボールを受けたHojlundが右サイドを抜け出す。ボックス内でガブリエルと1 v 1で対峙。彼がボールを持ちながらインサイドに流れようとするところでガブリエルともつれあってふたり転倒。そこで彼らの攻撃は終了した。

ガブリエルの対応は、どうみてもショルダートゥショルダーの正当なものであり、レフェリーのおとがめなしの判断はまったく正しいように観える。もしあの程度の接触がペナルティになれば、間違いなくこの試合で最大の議論になっていただろう。リプレイを観ると、タッチラインでETHがめっちゃアピールしてる。

そして、そのわりとすぐあとの87分。まえからのプレイはつづていて、アーセナルがボールをもってじわじわと進んでいこうとするなか、ジェズースがピッチ中央でボールを奪われ(ファウル疑惑あり)やや混沌とした状態からマンUのカウンターアタックが発動。センターサークル近くのオフサイドラインからGarnachoがひとり飛び出してのゴール。その後、VARによるオフサイドで無効。

いやあ、ここはぼくは最初から完全にオフサイドだと信じてたんだけど、それがVARで覆るまでにけっこう時間がかかったら、どんどん不安になっていって一時は死のうかと思った。よかった。

ETHが文句を云っているのはここ。本来はオンサイドなのにそれを悪いアングルで判断している(VARが間違えている)と思っているらしい。

これについては、アーセナルのファンはもちろん誰も彼の云うことなど聞いてもいないだろうが、厳密に検証をしているひとがいた。これは論破力が高い。

あと、マイク・ディーンもここについて「VARがオフサイドラインを間違えるはずがない」と述べていたようで、そっちのコメントは不吉だから逆にいらなかった(笑い)。

ETHがここにクレイムをつけたのはいささか筋悪という感じがした。たしかに微妙な判定だしVARにも多くの議論はあるが、技術(システム)としてのVARに疑義がつくことはあまりないから。VARで毎回議論になるのはあくまでひとによる運用部分であり、むしろ人災。白黒がはっきりするVARのオフサイド判定で議論になるのは、去年のアーセナルとブレントフォードみたいなやつくらいだろう。あれだってVARシステムの技術的問題ではない。

ちょっと話それるけど、ここのガブリエルは極めてビッグデシジョンでしたな。彼は、瞬時の判断でステップバックしてオフサイドラインをつくり、われらは結果的に命拾いすることになったが、逆にそれが致命傷になる可能性だってあった。ある意味では、ここも試合を決めた1シーンだった。ガブリエルのグレイトワークである。

ここのビッグガビで、多くのひとがマイケル・ジャクソンを想起したみたいだけど、おれはこれだったなあ。

最後は、100分のライスのゴール。コーナーキックのボックス内でガブリエルがEvansを捕まえていたのがファウル、よってゴールは無効だという。

たしかに中継の動画を見直すとコーナーキックのときにふたりはボックス内でつかみあっている様子はあるが、そんなのPLならあって当たり前のプレイだし、あの位置関係ならむしろ後ろに倒れたガブリエルのほうが被害者だと主張したっておかしくない。

そもそも掴んでいるのはどっちなんですかねえ

Hojlundもそうだけど、こういう微妙とも云えないようなプレイでもファウルをもらったり、ペナルティをもらったりしてきたのが彼らなんだよなあ。このまま滅びねえかな。

こういうとき、自分たちに都合の悪い部分には触れないのがお約束で、ETHもまた例にもれず。Victor Lindelöfのレッドカード疑惑には、もちろん触れなかった。37分、エンケティアがそのままボールを奪って前に飛び出せば大きなチャンスになるところをLindelöfが故意性の高いファウルで倒してイエローカード。

ここは、危険なプレイ、それとラストマンディフェンスのふたつの意味でレッドカード疑いがあるだろう。このときエディがこのまま抜け出していればGKと1 on 1の状況になっていたかもしれないので、レッドカードの判断はありえた。

やつは、うしろから猛烈にスプリントするエンケティアに気づいていなかったので、完全に後手になった。それでレフェリーにはよけい印象は悪かったはずなのに。

あとは、何分だったか忘れたけど、アーセナルボールのリスタートでAntonyがボールを蹴り出したやつ。彼は(ファウルのホイッスルが)聞こえなかったというジェスチャで弁解していたが、相手チームの早いリスタートを妨げたという意味ではカードで罰せられてもおかしくなかった。

つまり、まるで被害者づらをしているキミたちはもう十分にラッキーだったのだ。このバカチンが。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “【マッチレビュー その2】23/24 EPL アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッド(3/Sep/2023)ライスが価値を証明。またしても記憶に残る劇的勝利【マッチスタッツと論点】

  1. 控えのクオリティの差を明らかに感じる試合でしたね。
    特にお相手がエヴァマグ(笑)を仕方なく出している中、こちらはトミヤス、ジェズスetc…とバリバリのスタメン級がゾロゾロと出てきて、即座に結果を出してしまうなど、層の厚みを感じました。

    個人的にサカなどはずっと出ずっぱりで疲労を感じるので、聖域にせず調子の良さそうな選手を頭から起用してほしいなあ、とアルテタには思います(後交代が遅い)

    クオリティも戦力も近年最高の厚みだと思うので、あとは怪我した時のオプションの構築、CLのターンオーバーなどはこれから注目したいです

  2. あんな状況のユナイテッド相手に苦戦していいのかなとは思いました。もう格が違うでしょ。結局「後ろに重い」問題は左可変にしても変わらないまま。コンダクターが適切な位置に立てていない。みんな冨安を見習ってくれ。

  3. すごい試合でしたね。
    ただ今後のことを考えると、今のユナイテッドにあんなに苦戦して大丈夫なの?と不安にもなりました。

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