週末の試合結果によって、アーセナルはPLの単独トップに躍り出たはいいが、パフォーマンスのほうはどうにも物足りなさがいなめない。とくに攻撃面。
昨日のTOTAVLのハイライトを観ても、どうみてもいまのアーセナルよりToTのほうがたくさんクリエイトしていた。クリエイティヴだった。結果はともかく、彼らのフットボールのほうが勢いがあって純粋に観ていておもしろいと、ふと思ってしまった悔しさったらない。
ということで、今後アーセナルの攻撃が、ファン全員が求めているあるべき姿に戻るのかどうか、辛抱強く待つよりない。
そんなアーセナルなので、1月の冬ウィンドウがせまるなか、あいかわらずストライカーの補強についてはうわさが絶えない。
今回は、これからあるかもしれないアーセナルの大型補強と資金繰り(選手売却)について少し。
アルテタがヴィクター・オシメンを所望?
このまえ書いたように、ぼくも最近は、アーセナルの移籍ゴシップをひとつひとつ追いかけて一喜一憂するのにちょっと飽きてきてしまったのだけど、昨日ちょっとだけ気になるうわさがあった。
アーセナルが長らくねらっている(と信じられている)ストライカーのターゲットとして、ナポリのヴィクター・オシメン(Victor Osimhen)と、ブレントフォードのアイヴァン・トーニー(Ivan Toney)がいるのはご存知のとおり。ファンのあいだで「オシメンかトーニーか?」みたいな議論はよく見かける。
ミトマのチームメイトであるBHAのエヴァン・ファーガソン(Evan Ferguson)なんかもよく取りざたされる名前だ。
このあたりは、もちろんアーセナルだけでなく多くのビッグクラブが獲得を目指しているスター選手であり、個人的にはアーセナルがそのような選手を本気で狙っているとは、いろんな意味でどうも信じられないのだが、オシメンについては、アルテタが望んでいるという説がある。
This is true
Not sure about him deciding between us and Chelsea although that’s logical
The rest is definitely correct though https://t.co/AhOVvz6BrU
— Team news and ticks (@Teamnewsandtix) November 26, 2023
「情報筋によれば、Victor OsimhenはMikel ArtetaのファーストチョイスCFである。彼の将来が決まるまではアーセナルはCF市場で動かない。OsimhenはArsenalかChelseaのどちらかを選ぶ」というtwに対し、TNATこと@Teamnewsandtixが「これはマジだ」と反応。「アーセナルかチェルシーの二択かは不明ながら、その他はそのとおり」。
Team news and ticksというアカウントについては、最近はアーセナルファンのあいだでもかなり信頼度が高いようで、なにかしらのインサイダーだと思われているようである。ぼくも、デクラン・ライスの移籍あたりから、このアカウントを界隈でよく目にするようになってきたように感じている。※すこし前にぼくの公開twリスト Football Journalists afcにも追加した
オシメンについては、去年チャールズ・ワッツが「彼の代理人がロンドンコルニーを訪れている」と報じたこともあり、アーセナルが彼の獲得に関心を持っているクラブのひとつだというのは、おそらく正しいのだろう。が、いっぽうでオーンステインなどは彼とAFCのリンクについて「(ビッグクラブが彼をほしがるのは当然のことで)補強リストに入っているかどうかもあやしい」と否定的だった。
だから、もし「オシメンはアルテタのファーストチョイス」という情報が正しいとすると、非常に興味深いなと。ふつう、獲得にまったく現実味のない選手をファーストチョイスにはしないわけで。
彼の契約は来年の夏で残り1年になるが、ナポリの要求額は£120mとも云われている。強気すぎる。だが、金のあるクラブはそれを払いかねない。
アーセナルが彼に動くとなれば、ライスにつづく100m超えの大型補強で、健全財政をキープするためにはあらためて巨額の資金を捻出する必要がある。エヴァトンに大きな罰が与えられるなど、ただでさえ昨今PLクラブはFFPに神経質になっているところで、KSEが出してくれるからと安心はできない。
アーセナルにそのような動きは実現できるのか。
資金繰りで考えられるのが、当然選手売却。現時点でアーセナルの整理対象になりうる選手たちについて、考察してみたい。
Victor Osimhen本人はチェルシー希望か
と、そのまえに、オシさん本人の考えも確認しておこう。
本人は、すでにナポリとは契約更新するつもりはなく、ビッグクラブへステップアップするときだと考えていると云われているが。ナポリとオシメンは、Tik tokで訴訟騒ぎなんかもあったりでなんだか複雑な関係性。
今月の「The Obi One Podcast」での本人コメント。Jon Obi Mikelの番組か。
VO:PLで気に入りのチームというのはないんだけど、ふたつジャージは持ってるよ。チェルシーとマンU。チェルシーファンの友だちがたくさんいて、マンUファンは少しだね。
PLはすべてのアフリカ人プレイヤーにとって、いちばん憧れるリーグなんだ。巨大なリーグだよ。
昨日の『The Telegraph』も彼のチェルシー行きを押していたし、ほかにも、彼をねらうライヴァルクラブよりはチェルシー行きに現実味があると考えている識者は多いようだ。おもにドログバ効果。フランス人がアーセナル大好きなように、アフリカ人はチェルシー大好き。優秀なストライカーがほしいチェルシーとは相思相愛。
問題があるとすれば、彼らが来シーズンのヨーロッパを逃しかねないこと。このまえもニューカッスルに惨敗していて、リーグ10位。現時点では、今後劇的なフォーム改善でもないかぎりはトップ4フィニッシュは難しそう。トッププレイヤーはみんなCLでプレイしたい。
それと、FFPも。エヴァトンのつぎはシティとチェルシーと云われていて、彼らがポインツ剥奪や降格処分のような重い罰を受けるなら、当然その影響はある。
今後まだ何が起きるかはわからない。
大型補強のためにアーセナルは選手を売る必要あり
結局、またここに戻ってきてしまったという。買うためには売らねばならず。
オシメンに限らず、トーニーでも、ほかの誰かでも構わないが、アーセナルのつぎの補強はやっぱり大きなものになりそうという気はする。
われらがPLでトップを競うようなクラブになっているいま、もはや中途半端な補強はできなくなった。コスパとか云ってられない。「スターは買うものじゃない。つくるものである」アーセンの時代は遠くなりにけり。
そこで、実際いまのアーセナルのスクワッドのなかで誰が整理できるか。可能性を考えてみよう。
まずは、新ストライカーを買うので、既存ストライカーの処分はまっさきに浮かぶ。
もちろんエディ。
No.9に、ジェズースとオシメン(トーニー)がいたら、サードチョイスのプレイ機会はかなり減ってしまうはず。※オシメンはケガがちという説もあるけど
それに、エディはサードにしておくにはよすぎるFWだろう。本人も納得しまい。彼は、外国へ行くには給与が高いのが難点だが、PLのミッドテーブルクラブなら買うかもしれない。
それと、渦中のラムズデイル。
彼の売却は、資金繰りがどうこう以前に避けられそうにない。1月の移籍をリクエストされて、いかにシーズンが終わりまで慰留するかが問題になりそうなほど。彼は、現状のスクワッドの売却可能性のなかでは、もっとも高値が期待できるアセットかもしれない。
といっても、問題はGKに£40-50m支払うようなクラブはこの世界でもかなり限られるということ。市場価値などというものは、あくまで買えるクラブがあればこそ。タイミングが重要になる。
それに、ラムズデイルがクラブを離れると、またべつの優秀なGKを買わねばならない。その資金も必要になることは忘れてはいけない。
パーティも、彼に投じた金額のうち、いくらか回収はできそうだ。年齢もあるので、大きな金額は期待できないが。夏の売却は大いにありうる選手。AFCONがあるため2月まで使えないとなれば、冬の移籍だって絶対ないとは云えない。
ジョルジーニョやエルネニーは移籍金はほとんど期待できないので、サラリーが節約できる程度か。
あとは、(ここからはあまり言及したくないが)ネルソンやESR、もしかしたらヴィエラ、もしかしたらキヴィオールあたりの非レギュラー選手たち。
ネルソンとESRは、正直けっこうありそうに思える。とくにESRは、ファンフェイヴァリットな存在ではあるものの、アルテタからあまり期待されているようには思えず。あのシステムにフィットしている姿がいまだにイメージできない。ケガが絶えないのもシリアスな問題だ。とても悲しいことに、彼がヴィラとか、パレスとかでプレイしている姿がなんだか想像できてしまう。
ヴィエラも、もし高く買うクラブがあらわれたら、断らないかも? クラブで2年めの彼のことはまだまだ待てる時期だろうが、期待したほど早くは適応していないとも云える。とくに、いまのチームビルディングの方向性を考えると、フィジカリティに難ありなのが痛い。
DFに関しては、これは単なる予想というか予感というか、まったく個人的な考えだが、イタリア方面から引く手あまたのキヴィオールより、ビッグガビのほうが危ないんじゃないかという気が少しだけする。
今シーズン当初、アルテタは彼なしのフォーメイションを連続して試していたし、同じCBのサリバにくらべても、単足ゆえにCCBを任せられないという弱点がある。たぶん、アルテタはサリバ、トミヤス、ティンバーのような両足が使えるDFのほうが好きだ。
サリバ・ガブリエル同盟で、今シーズンのアーセナルは記録的に強固なディフェンスを誇っているが、アルテタがほんとうにそれに満足しているかどうか、若干あやしく感じている。ティンバーが復帰したら、LCBに抜擢したりして。
いまガブリエルを誰かと取り替えるのは、まるでラムズデイルのケイスのようによけいな(あるいは優先順位が低い)ことと思われるが、なんだかミケルならやりかねない。そんな気がする。しかも、彼ならかなり高く売れるだろうから、FFPにはかなり貢献する。
ぼくはビッグガビは好きなので、杞憂だといんだけど。
ということで、彼らを希望に近い額で整理できると、さらなる100mの散財にいくばくかの足しになる。かもしれない。
まあ、選手を売ればスクワッドの人数が足りなくなるので、その分の補強も必要にはなるから、単純に売れた分だけひとりにぶっこめるわけではないけども。
来年はパティーノがローンから戻るし、アカデミーから昇格させられる選手でもまかなえれば最高。レオ・メッソはまだなのか!?
おわり