こんにちは。
昨日、ついにトミヤスの新契約が発表されましたね。もう彼はアーセナルとの契約に合意しているとだいぶ以前から伝えられていたので、この発表までずいぶんと待たされたものだが、IB中で時間の余裕もあり予定されたタイミングだったのかもしれない。
Takehiro Tomiyasu signs new long-term contract
今回のクラブでの発表のお披露目では、彼が日本語でナレーションする映像や、日本人サポーターたちとのQ&Aなど、昨今のグローバルでの日本文化への興味に便乗した的なコンテンツもあり、日本人としては微笑ましいものだった。SUGOI.
アーセナルでは、先週のベン・ホワイトにつづいて選手の契約更新が連続している。ポジティヴィティ。
タケヒロ・トミヤスがアーセナルとの長期の新契約にサイン
オフィシャルサイトの情報を引用しよう。
タケヒロ・トミヤスがアーセナルとの新規の長期契約にサイン
われわれの日本代表がクラブに加わったのは、2021年8月。セリエAのボローニャから。以来、彼はすべての守備ポジションでプレイしており、アーセナルではすべてのコンペティションで73試合でプレイしている。
クラブでは、トミ(Tomi)として知られる25才の彼は、キャリアを生まれ故郷であるアビスパ福岡から始めている。ユースフットボールを通して、ファーストチームでは45試合でプレイしている。
2018年の冬の移籍ウィンドウで、トミはヨーロッパへ渡る。ベルジャンのクラブSint-Truidenとの契約。彼の力強いパフォーマンスで、結果的に彼は18/19シーズンのクラブのPOTSに選出された。
2019年7月には、トミはボローニャへ。チームのDFとしてレギュラーになり、セリエAの2シーズンで63試合でプレイした。
彼は日本代表でもレギュラーであり、41試合でプレイ。そこには、2021年夏のオリンピックでのホーム試合も含まれる。
今シーズン、トミはアーセナルですべてのコンペティション20試合でプレイ。10月には、5-0で勝ったシェフUとのPLホーム試合で初ゴールも決めている。
えらいひとたち。
エドゥ:われわれは、トミのさらなるクラブでの活躍にとてもわくわくしている。彼は、ピッチのなかでも外でもとても大きなクオリティがあり、スクワッドにはかなりの強さとヴァーサティリティをもたらしている。
トミはトッププロフェッショナルであり、これからの数年で、彼が重要な役割を担うことになるのはグレイト。われわれは、目標達成に向かいともに取り組んでいく。
アルテタ:トミがクラブに将来をコミットしてくれたことに、われわれはとても喜んでいる。彼の天性の能力と強さ、アティチュード、メンタリティ、そして価値。それらはファーストクラスである。
トミは、クラブの全員から愛されていて、クラブ加入以来、スクワッドのたいへんに重要な一員である。
彼のトレインのしかた、毎日欠かさず、つねに自分のベストヴァージョンになろうとする渇望と覚悟。それは尊敬に値する。われわれは、この先何年もトミといっしょに取り組んでいけることを期待している。
トミヤスのコメント「サポーターに恩返ししたい」
(トミ、キミはアーセナルと長期契約にサインした。いまはどんな気分?……)
トミヤス:契約更新できてすごくうれしい。だってアーセナルは世界のベストクラブのひとつだし、このクラブでプレイできるのは夢だから。とてもうれしい。
(このクラブに初めて来たときからピッチ内外でどれほど変わったと思う?……)
ぼくら、はとてもよくなったと思う。ぼくがアーセナルに来たときは、ヨーロピアンコンペティションではプレイしていなかった。でも、いまはCLでプレイしていて、タイトルレイスにもいる。だから、とても進歩したと思う。
(キミ自身の成長については?……)
正直、よくわからないね。以前よりよくなっていたらいんだけど。でもほら、ぼくもまだ学ぶことが多い。ミケルからも、チームメイツからも。自分にはまだ成長の余地がある。これからもっとよくなるためにがんばるよ。選手としてだけでなく、人間としても。
(キミは、ハードワークや献身的なところ、それとピッチでのプレイでファンのお気に入りになっている。キミにとりサポーターとはどんな存在?……)
とても大切。彼らはぼくにはとても大切だし、ぼくだけでなくほかの選手たちにもそう。ピッチにいるときは、彼らの愛情とエナジーを感じる。とてもつながってる。だから、ぼくは彼らにはなにかを返したいんだ。
(そのつながりや感じているフィーリングやエナジーはどれほどのもの? 毎日のハードワークにどれほど役立っている?……)
そうだね。ぼくはいまアーセナルでプレイしている。それはつまり、ぼくはアーセナルサポーターのためにプレイしているということ。だから、ぼくはこのクラブとサポーターに自分の人生を捧げてる。彼らに恩返しがしたい。
(いまチームには優秀なフルバックが何人もいて競争も激しい。毎日お互いにどれほど学び進歩している?……)
そのとおり。ぼくらにはたくさんのグレイトな選手たちがいて、ぼくはアーセナルではフルバックとしてプレイしている。でもナショナルチームではセンターハーフとしてプレイする。だから、ほかのディフェンダーたちから学んでいる。彼らはすごくいいしね。
あなたの云うとおり、選手のあいだで競争もある。でもそれがよりよい選手になるために、いい環境なんだ。だから、ぼくはここで満足してる。
(CLとPLを戦っている今シーズン。キミはなにを望む?……)
何かしらは成し遂げたい。チームメイツといっしょに勝ちたいし、サポーターといっしょに勝ちたい。
(日本のサポーターについても話さないとね。これだけ長くアーセナルにいるキミが日本に帰ったら、さらに多くのサポーターがキミに気づくようになっているのでは?……)
ぶっちゃけよくわからない(笑い)。日本ではあんまり気づかれないから。ロンドンにいるときのほうが気づかれるよ。日本では、ぼくは知られていないかもしれない。もっとがんばらないと。
(アーセナルの何が特別?……)
このクラブでプレイするのは夢。選手とサポーターのつながりは別次元で、それが、より特別にしているんじゃないかと思う。
(キミはまだ25才でアーセナルと長期契約を結んだ。アーセナルでの今後の抱負?……)
正直、ぼくはもう若くはないね(笑い)。アーセナルでプレイしているなら、もっと若い選手がたくさんいる。ぼくも年をとった。
でも云ったように、ぼくはアーセナルでサポーターといっしょに成し遂げたいことがある。
日本よりロンドンでのほうが気づかれる漢。
トミヤスの新契約はなぜ短い?
さて、トミヤスの今回の契約内容について。
彼のあらたな契約の年数は、2026年の夏までと各所で伝えられている。そして、それに1年の延長オプションをクラブが持つ。
ここでちょっと気になるのが、その微妙な長さ。延長OPありなので実質2027年までながら、いまが2024年ということを考えると思いのほか短い。
彼のもともとの契約は2025年まで+1年延長OPだったということなので、それが1年伸びたに過ぎない。
先週発表されたベンジャミンの契約が2028年+1年延長OPだったことを考えても、その短さは気になるところである。クラブは「長期契約」と主張しているが、これを長期と云っていいのかどうか。
この件については、ちまたでもいろいろ憶測はあって、やはり考えられるのは、クラブが彼のケガ履歴をそれなりに心配しているんじゃないかということ。今後も、彼がコンスタントにケガをするリスクが考慮されているとか。
彼はアーセナルに来てからというもの、すっかりケガがちな選手という印象がついてしまった。
以下が現時点での彼のケガ履歴で、やはり多い。ボローニャ時代からさらに増えてしまっている。どんな優秀な選手も、ケガでプレイできなければ意味はない。不運もあるだろうから必ずしも本人の責任はないが、ポジションを競っているときに、ケガをしない選手が選ばれるのは自明である。
とはいえ、アーセナルとしては彼の既存契約はすでに18ヶ月を切った状態で、いますぐ売却する意図がないのなら、選手の価値を落とさないためにも契約延長は必要だった。
したがって、この微妙な契約期間の長さは、クラブとしての決してシンプルでないトミヤスという選手についての現在の評価が見え隠れしているような気がしないでもない。能力やメンタリティなど選手評価は高いものの、ケガのリスクを含めて総合的には全幅の信頼を置いているわけではない、みたいな。発表まで時間がかかったのもそのためだったとか?
彼がいずれケガがちなところを克服して、なんの憂いもなく、長期契約を結べるような存在になってくれればいいのだが。
それと今回の契約で、彼のサラリーは倍増したという情報がある。
昨日のチャールズ・ワッツによれば、彼の新しいサラリーは£100kpw前後になるそうであり、これまでの50kからするとほぼ倍。
最近のアーセナルは、若い選手たちも新契約でどんどんサラリーが上がっていて、高齢&高給の選手を放出し、一度は落とした給与総額ながら、プロジェクトのフェイズの移り変わりを観るような思いがする。
ちなみに、これは昨日みかけたビッグクラブの給与総額のランキング2023(たぶんソースはFBRef)で、上位をメガクラブが占めるなかでアーセナルはまだ下にいるが、これからはこれもどんどん上がっていくと思ったほうがよさそうである。
がんばれトミー
さてトミヤス。このひとに云いたいことはひとつだけ。Stay fit. プリーズ。
彼のMVは現在€30mながら、もし彼がアーセナルでケガの問題なくずっとフィットしていたら、もっと高額になっていたに違いない。この世界で、Mo SalahをポッケにいれるDFはそんなにいない。
モダン時代のフルバックとしては、アビリティがDF面にやや偏りがちではあるが、いずれにせよある面ではすでにPLでもトップレヴェルのDFだろう。
MVに限らず、彼のアーセナルライフはケガによって妨げられた部分がすくなくない。
RBとしてレギュラーでプレイした21/22シーズン、サリバが来てホワイトRBでポジションを失った22/23シーズン。だが、その年も彼はLBでプレイすれば、ほかのDFにはない守備の強さで存在感を示したし、なにより両足使いで、右でも左でもまったく遜色ないプレイができるヴァーサティリティは、アルテタにはかなり重宝された。空中戦の強さもチームにとり貴重だ。
今年はケガのために、PL試合では半分くらいはスクワッド外。ここまでPLで13試合628分というプレイ時間は、90分でカウントすればたった7試合分にすぎない。
彼のインタビューでも触れられているように、フルバックエリアではタフな競争があるなかで、せっかくあのジンチェンコより優先された時期すらあったというのに、そうした期間を維持できず。今シーズンのベン・ホワイトは、ほとんど出ずっぱりで過負荷がかかっている状態なので、もしトミヤスがフィットしていれば、彼がRBでホワイトの負担を軽減する時間もきっとあっただろうに。ケガさえなければ、確実にチャンスはあった。
惜しいものだ。
体格に恵まれ、フットボールの才能があり、努力も惜しまず、みんなから愛されるキャラクターがある。あとは試合でプレイして、チームに貢献するだけ。そのためには、フィットしていなければならない。
幸いなことは、こうしてクラブと契約延長に至ったということは、もちろんまだ信頼を失っていない。それどころか、アルテタには大いに期待されていると思う。問題はフィットネス。もし来シーズンもこれまでとあまり変わらなかったとすれば……
どうしてもケガがちな選手というのはいる。アーセナルでもケガに泣いた、かつての名選手を何人も思い出せる。トミーにはそうなってほしくないし、彼は、そのケガがち名選手のなかに数えられるほど、まだアーセナルで活躍は見せていない。
とにかくこれからだ。
今回の契約年数からすると、この1-2年が彼のアーセナルのキャリアでは決定的な期間になりそうだ。来年は、ティンバーが本格的にチームに入ってきて、ほかにもFB/CBでプレイできる選手の補強の噂もある。ますますスタンダードを上げるチームのなかで、ポジション争いがいま以上にタフになるのは必至。
彼が今年の残り時間をどう終えるかも重要になる。
トミヤスはすでに先日のCLポルトで、離脱した12月からおよそ3ヶ月ぶりにマッチデイスクワッドに入った。月末のPLマンシティまで、どこまでフィットネスを取り戻していけるか。シティはビッグマッチなので、本来なら彼の能力の見せ所ではある。
PLは、今シーズンの残り10試合。CLもある。彼がそこでなにか決定的な仕事をしてくれることを願ってやまない。
おわり
PS: ベンジャミンとトミーでアーセナルのキープレイヤーたちの契約更新は一段落つくと思ったら、ちょうど今日(昨日?)、イーサン・ワニエリがプロ契約を結べる17才の誕生日を迎えたという。
Ethan Nwaneri turns 17 today, so he is now eligible to officially sign his first professional contract with Arsenal. He is currently away with the England U17 squad.
Myles Lewis-Skelly is the only one of the 2023 intake of scholars to have signed professional terms so far. pic.twitter.com/PX5vn89IG3
— Jeorge Bird (@jeorgebird) March 21, 2024
またすぐビッグニュースのお知らせが聞けそうである。
COYG!
なんだかんだ、日本人選手の契約延長は、嬉しいですね!トミーはほんと、怪我次第なので、ここから巻き返して欲しいです。右でも左でも、特にトップオブトップの試合では、必ず必要になると思ってます。サイドに蓋をしながら前に出れる貴重な戦力ですね。