試合の論点
ToT vs アーセナルのトーキングポインツ。
🎶 One-nil to The Arsenal 🎶
Enjoy the highlights from our third successive north London derby win at the Tottenham Hotspur Stadium 👇 pic.twitter.com/ppJ2XDHLd4
— Arsenal (@Arsenal) September 15, 2024
プラグマティストなアルテタと勝負強さ
いやあ、また勝ってしまったね。アウェイのNLDで3シーズン連続の勝利という、ヴェンゲルさんでさえ成し遂げなかった快挙。
ぼくは、いまだから告白すると、この試合はけっこう危ないと思っていた。ポインツを落としそうだと。勝ち・分け・敗けの三択なら、アーセナルは勝ちの可能性がもっとも低い。よくて分け、悪いければ敗けもありえる。
だって、あんな状況ならそう考えてしまうのもしかたないでしょう。オーデガードがいなければ、ミドルサードの潤滑油がなくって、どうしたってチームプレイはぎこちなくなってしまうだろうし、ライスがいなければ高い位置でボールを奪う網に大きな穴ができてしまう。このふたりが同時に不在となれば、何が起きるかわからない。なにより誰が入ってもいつもと違う不慣れな組み合わせのチームになるのは不可避だった。いつもどおりではいられない。
だから、そうなればわれらは防戦一方になって、いくらロウブロックで固く守っても、90分もあれば失点を免れるのは難しい。チームニュースが発表されたときには、そんなチームにさらにカラフィオーリもジンチェンコもおらず、正直悲観的になった。
だが、そういうふうにはならなかった。
相手がボールを持って試合を進める展開は、昨シーズンのこともあってある程度は予想できたが、2-3で終わった前回よりも、アーセナルはさらに手堅くプレイし結果を出したという。1-0 to the Arsenal. むしろ、3-0のようなスコアラインにならず、0-0で試合が進んだことでより緊張感を失わずにいられたのかもしれない。だとすれば、それはそれでラッキーだった。
この試合を観ていて実感したのは、アルテタのかなり現実主義なアプローチと、その意図をピッチで実行できるチームの成熟。
試合中、意図的に試合の流れをスロウダウンさせるようなプレイまでしていて、ずる賢さやしたたかさすら感じさせた。試合前、Sky Sportsの予想で「アーセナルはロースコアリングゲームにする」というのがあったが、まさにそれはアルテタがあらかじめ想定していたように観えたことが何度もあった。相手のペイスに乗らない。なんなら苛つかせる。そしてその意図はうまくいっただろう。
試合後のアルテタはチームの深い守備について「ほんとうはやりたくなかったが、やむを得なかった」のようなことを述べているが、それをやらなきゃいけない状況なら、まったく躊躇せずにやれる。そのことは、これまでもシティやリヴァプールなどビッグゲイムでも示してきて、今回もこの危機的状況でまったくそのようなアプローチを成功させた。
プラグマティック(現実主義)と書くと、なんだかウナイ・エメリ氏の時代のことを思い出してしまうが、あのときぼくはそれをもっぱらネガティヴな意味で使用していた。理想を捨てたとか、アーセナルらしくないとか。さんざん書いたなあ。
同じ現実主義でも、そのときとアルテタのそれが違うのは、やはり守備一辺倒で終わらないところだろうと思う。ボールを持たれれば、あれだけロウブロックをやりながらも、いざボールを奪ったときには攻撃に転ずるチーム戦術と選手クオリティがある。守備への集中が、決して攻撃を犠牲にしていない。
昨シーズンのアーセナルは、最少失点のようなリーグベストの守備を誇りながら、それでいてクラブベストのゴールを記録したりした。
攻守の両立は、どんなフットボールクラブにおいても理想に掲げられるテーマだろうが、もしかしたら、アーセナルFC史上もっとも攻守にバランスの取れたチームかもしれない。アルテタは、そういうチームをつくろうとして、いま完成に向かってまっすぐに進んでいる。
そして、その行き着く先には、無類の力強さがある。その力強さの一端を今回は見せつけたように感じている。NLDというこの大舞台で。
この試合の勝利で、アーセナルはPLアウェイ11試合でW11 D1 L0。G31 GA3。クリンシーツ9。6連勝中。バケモンか。
ところで、アーセナルがいつの間にか、こんなバランスの取れた優等生なチームになってしまって、逆に古き良きとんがったアーセナルっぽさを出しているのがToTだなあと近頃思うようになった。
ポゼッションがかなりあって、チームプレイのテンポが速く、フロウは観ていて楽しい。パスもシュートもたくさん。しかし、極端なハイラインみたいなバランスの悪さを放置し、守備がめちゃ弱い。結果弱い。見た目がいくら魅力的でも、少なくともタイトルを取るチームにはなれない。
Angeがどこかヴェンゲルさんぽく感じるのは、そのためかもしれない。フィロソフィある。
彼らには、これからもPLのおもしろ枠としてがんばってほしい。
ミケルはNLDが大好き!
Mikel Arteta loves a North London derby 🤝 pic.twitter.com/ION2g8826n
— Football on TNT Sports (@footballontnt) September 15, 2024
いつも更新ありがとうございます!
毎回アーセナル愛溢れる記事を楽しませていただいています。
いやー、ウーデ&ライス抜きで素晴らしい勝利でした!
ヌワネリも、あれだけ落ち着いてプレーできれば、どんどん出番がありそうで、活躍楽しみです。
試合数多くなり大変だと思いますが、引き続き楽しみにしてます!