MLSは超合金
最近もアーセナルではケガ人が続出していて、身体が丈夫というのはそれだけでとても重要なことだとしみじみ思う。
とくにDFは相手のアタッカーとボールの奪い合いで身体をぶつけ合うのが日常であり、多少ラフに扱ってもケガをしない肉体の強靭さが求められるが、アーセナルではどういうわけかフルバックにケガがちな選手が集中している。
KT、ジンチェンコ、トミヤス、ホワイト、ティンバー、カラフィオーリ……。ホワイトや、もうしばらくフィットしているティンバーをこのカテゴリに含めるべきかはともかく、カラフィオーリはすでにそこに片足つっこんでる感はある。かつてアーセナルはCBが全滅とかCMが全滅とかそういう時期もあったが、ここしばらくは断然FBである。これはなぜでしょう?
と、そこに登場したのが、マイルズ・ルイスケリーことMLS(18)。今回の抜擢で、2005年のファブレガス以来のアーセナルの最年少NLDスターターになったという。
PL最年少プレイヤーの記録を持つ同年代のイーサン・ワニエリよりも、彼のほうが先にこうしてシニアチームで台頭することになるとは想像できなかった。
彼を称賛すべきポイントはいくつもある。そのなかでも間違いなく最大の称賛ポインツのひとつはフィジカリティだろう。彼のあの身体をぶつけてボールを奪う、あるいはボールと相手との間に強引に身体をねじ込むような独特なプレイスタイルは、このインテンスな試合でもまったく変わらなかった。それどころか、よけいに活きたようにさえ観えた。
NLDといえば、ただでさえ激しいと云われるPLの試合のなかでも、もっともインテンシティが試される試合だろう。ワールドフットボールでもトップクラスのフィジカリティが要求される現場である。そこで、トップクラスの選手たちが競い合うなかで一歩も引かないどころか、むしろ目立って活躍していたという事実。
パスの精度も毎度高いが、デュエルやタックルの勝率がすごい。試合が始まってわりとすぐには、スターリングがあともうちょっとだけ追いつくのが早ければGKと1 v 1のビッグチャンスになっていたかもしれないスルーボールもあった。
🔴💫 Myles Lewis-Skelly (18) vs Tottenham…
• 94% pass accuracy
• 6 recoveries
• 4/5 ground duels won
• 3/4 tackles won
• 2 clearancesIt was his first North London derby. pic.twitter.com/nhbanxAHPl
— EuroFoot (@eurofootcom) January 15, 2025
この世界では、よくケガしがちな選手のことを「ガラス製」などと揶揄したりする。壊れやすさ。そういう意味では、彼は鋼の肉体を持っているなと。ぼくは「超合金」と云いたくなった。壊れにくさ。バンダイに頼んでMLSの超合金つくってもらおう。クラウドファンディングするか!
アーセナルのここ数試合、今年からイングランドNTマネジャーのThomas Tuchelがスタンドを訪れて代表選手をチェックしているようだが、おそらく彼も代表候補としてMLSの成長を興味深く観ているに違いない。この調子だと、早い時期に彼がイングランドNTに招集されても驚かない。アーセナルでファーストチームに定着しつつある彼は、それだけいま際立ったパフォーマンスを見せていると思う。
今回は、彼の気持ちのアツさも垣間見ることができたのはファンとしてもとてもよかったね。
87分、彼が交代を宣告されたところで、早くピッチを出ろと追い出そうとするToTの選手たちと一悶着。なぜか彼だけがカードをもらって苦笑いも、スタンドを埋めるホームサポーターを両手で煽りながらゆうゆうと歩く姿は、将来の大物選手の予感があった。
Myles Lewis-Skelly had to put on a show for his grandma so that he didn’t look soft against Tottenham 😂
‘I feel like a million dollars!’ 💵
Match centre 📲 https://t.co/S8lWytfQyR pic.twitter.com/abmT8x8IrW
— Optus Sport (@OptusSport) January 16, 2025
ビッグガビ不可避
アーセナルのファン投票、BBC Sportほか各所でMOTM。
アーセナルの最初のゴールは結局彼のゴールじゃなかったんだが(彼は直後にあれだけ喜んでいたので当然彼が決めたと思った)、いずれにせよ彼が強いたオウンゴールと云えよう。
毎回相手チームは彼にひとりマークをつけていて、毎回振り切られる。今回もあなたたちは避けられなかった。
あまりにも毎回彼がセットピース脅威になるので、ファンのあいだではもう彼がアーセナルのNo.9でいいじゃないかという声も日増しに高まっている(笑)。
もちろん攻撃だけでなく今回も守備貢献もかなりあって、いくつかの相手のチャンスも防いでいる。有能すぎる漢。
これからもチームを助けていただきたいですね。なにとぞ健康に。
そのほかよかった選手
トロサールのクライフターン。すごかった。相手がすっ転んでケガするくらい。というか、あれは頭のケガでもないのにレフリーはなんでプレイを止めたのか。そんなにシリアスなケガに観えたんだろうか。
彼はこのところ、ゴール貢献がなく批判的に語られることも多かったが、今回のゴールは試合を決めたゴールになった。あそこで実行し、決められる漢。今回の勝利はトロサールによるところは大きい。
それと、試合後もあまり言及しているひとを見かけないのだが、パーティはかなりよかったと思った。彼はさすがのプレス耐性で、ああいうハイプレスをしてくるチームが相手だとあのポジションでかなり光る。トロサールのゴールの起点になったのも彼のタックルからだった。よい試合をしたひとり。
ハヴァーツはゴールを決めさせてやりたかったな。あんなことがあったあとだから。彼は後半はあんなにへとへとになるまですごくハードワークしていたし、ハイプレスからチャンスもつくった。ゴール貢献がなかった以外は、とてもよかったと思う。あのハードワークをつづけていれば、またゴールも決まるはず。
この試合については以上。