試合の論点
アーセナル vs クリスタル・パレスのトーキングポインツ。
On the up 📈
All the key moments from today’s 1-0 Premier League win over Crystal Palace 📺 pic.twitter.com/VLJ7xKXLIR
— Arsenal (@Arsenal) October 26, 2025
こちらはAFCメディアチームのナイス仕事と評判のクリップ。いいね。
Flow state. pic.twitter.com/gr7IzITwpg
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エゼのマジックモウメントとポジショナル工夫
39分、フリーキックのこぼれ球を押し込んだのはエベレ・エゼ。美しいカンフーボレーで。
あれは、そうとうに難しいシュートであり、あそこから直接狙うのもはばかれるタイプのチャンスだったと思うので、もしエゼじゃなかったらと考えるとゴールになっていたかどうかかなりあやしい。まさにマジックモウメント。膠着状態を打破するもの。
Technique 🤌 pic.twitter.com/ZJKG3PqS62
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だから、ミケル会見でもそのようなやりとりがあるが、あれがアーセナルが彼を取った理由のひとつだろう。ボックスの周辺に彼がいることでゴールを決める可能性が上がる。
ちなみに、このゴールは彼にとってアーセナルに来てからの初ゴールとなった。
エゼはショッツボリュームの多いMFとして知られていて、昨シーズンのショッツはP90で3.48は94パーセンタイル(※対MF・WG)。今シーズンに至ってはここまで3.31は99パーセンタイル。
しかし、ここまでいつもいいシュートを放っていると感じるのだが、なぜかGKに阻まれ、ゴールが遠かった。それが、AFCデビューから7試合めにしてようやく決まった。今回はいいショット&GKにも阻まれず。決まるべくして決まったファインゴールだった。これを自信に、彼のゴールがもっと決まり始めることを願おう。
ところで、今回は前半とくにアーセナルがボールを持ってバックラインで回す時間が長く、なかなか前方にボールを運べないなかで、エゼのポジショニングを興味深く観ていた。
彼については、これまでと違う戦術的な工夫があったんじゃないだろうか。
この日全体のエゼのヒートマップを観ると、基本的にはオーデガードのポジション(RCM)でプレイしていたようだが、パレスの組織だったブロック守備のなかでうしろからのボールを受けようと、右タッチラインや、左ハーフスペイスにいたり、あるいはボールをもらうために6の位置まで下がってくることもあった。あのような彼の動きは、これまで観られなかったものではないか。オーデガードっぽく、よりボールにさわることに積極的になったというか。パスを待たずに自分からもらいにいく。

彼がボールを持って横向きにでもドリブルを始めると、そこからなにか起きそうな雰囲気もあり、あれはよかったなと。彼からビルドアッププレイが始まる。
もちろん、彼がライン間でハーフターンでボールをもらうみたいな状況がつくれれば、それが最高ではあるが、ああいう相手だとそれがかなり難しい。だから、今回のようなプレイは有効だと思う。
もっとも、この試合でも彼のタッチはすごく多かったということもなく(88分で39。前半だけのサリバがちょうど2倍の78)、彼にもっとボールにふれさせる機会を増やそうとしているのなら、それはまだ道半ばではある。
しかし、今回のような彼の動きは、こういう相手のときにはとくに効果的だと思うので、ぜひつづけていただきたいし、今後はもっとうまくいくだろうという期待がある。
この試合のヨクレスは、ゴールはなかったもののまたさらにチームにプレイによく馴染むようになってきていた。エゼも同じように徐々にチームに馴染んでいってほしい。
あのゴールを決めたあとの彼が、即座にセレブレイションを拒否する姿勢を見せたのは、彼もこの試合でゴールを決める予感があったのかもしれない。
ニューカッスルでメリーノ、ウェストハムでライス、そしてパレスでエゼ。まだ一ヶ月ほど先だが、11月末のPLチェルシー(A)ではマドゥエケ/ハヴァーツのゴールが期待されますな。彼らはSBでゴールを決めたらめっちゃ喜びそうである。
アーセナルの強すぎるセットプレイ。オープンプレイからは?
強すぎちゃって困るの。
今シーズンのアーセナルは、PLでセットピースから11ゴール。内訳はペナルティが2で残り9がセットプレイ(コーナー、フリーキック、スロウイン)。すべてのゴールを合わせてもまだ11ゴールも決められていないチームが8つもあるらしい。アーセナルでは、もはや毎度のセットピースがチャンス到来みたいに感じる。
It had to be.
Eberechi Eze’s first Premier League goal for Arsenal comes against Crystal Palace.
And it was from a set-piece, taking Arsenal onto 11 PL goals from dead-ball situations this season. pic.twitter.com/c3DHUL8xDp
— Opta Analyst (@OptaAnalyst) October 26, 2025
まあ、しかしセットピース重視はリーグ全体のトレンドでもある。この週は、ほかの試合でもふたつくらいロングスロウからゴールが決まっているところを観た。
そこに文句をつけられる筋合いはない。
だが、問題はオープンプレイのほう。アーセナルのオープンプレイからのゴールはまだ5ゴールしかない。5/16 = 31%。割合はどうでもいいが、絶対的にオープンプレイからのゴールが少ないことには懸念はある。
Here’s the Premier League table if only open-play goals counted ⚽
💪 Arsenal’s set piece work is seriously paying off 💪 pic.twitter.com/D1q6Yyj12Y
— Match of the Day (@BBCMOTD) October 26, 2025
オープンプレイゴールだけのテーブルでは、アーセナルは5位。むしろあれだけのセットピースゴールを決めて、それがなくてもまだ5位というのもすごいが。
ライバルクラブのサポーターや意地悪なパンディットなど、外野からの雑音は無視するとして、われらが気にしなければならない事実は、オープンプレイでのチャンスコンヴァージョン。そこがやや難ありである。
アーセナルはここまでのオープンプレイxGが7.36だそうで、オープンプレイからの5ゴールに対し、つまり-2.36というアンダーパフォーミングがある。われらは、現状ではチャンス量に対してゴールが少なすぎるのだ。
パレスはアーセナルと似た傾向があるが(もっと悪い)、たとえばマンUはオープンプレイゴール9に対し、そのxGが8.72。実際のゴールがチャンス量をわずかに上回っている。健全なパフォーマンスとしては、少なくともそれくらいでなければならないだろう。
オーヴァパフォーミングをやるチームや個人は、xGの値よりもだいぶいい数のゴールを決める。アーセナルもそのxGなら7ゴールどころか、もっと多くのオープンプレイゴールを決めていてもおかしくない。
オーデガードやハヴァーツがいなかったり、なぜかGKのビッグセイヴがあったなど不運の要素もあるだろうが、いずれにせよここは今後の課題ではある。













