ガーディアンが、今週アーセン・ヴェンゲル抜きで行われた選手たちだけのミーティングの様子を報じた。
‘We need more help’ – how Arsenal players feel about Wenger situation
今は何をやってもうまくいかないという選手たちの悲壮感にうちひしがれた様子が伺えるようで、さすがに悲しい気持ちにならざるをえない。あんな世界中の子どもたちが憧れるアスリートでも、ひとつ間違えばこんな泣きたくなるくらい無力な気持ちにもなるんだな。恐ろしい世界である。
選手ミーティングの内容
それはカラバオカップの敗戦後の火曜日、練習後にドレッシングルームで行われた。
ひとりのシニアプレイヤー(注:一説にはコシエルニ)が、なぜこんなに才能ある選手たちが揃いも揃って亡者の群れのようになってしまうのか、と声をつまらせてスピーチを終えることもできなかった。
また彼は自分の子どもたちに「パパ、どうしてアーセナルはこんなにわるいの」と訊かれたと、目に涙をためた。
そこへ別の選手がこういった。「おれたちはビッグクラブだ」「おれたちにはコーチたちの助けがもっと必要だ」
別の選手。「何も変わらないよ。おれたちで解決策を見つけるんだ」
これらのやりとりは決して激しい調子で行われたわけではなく、無力感をもって悲しい調子で行われたという。
ミーティング後の敗戦
このmtgが行われたのが火曜日ということに注目なんだけど、ということはこのmtgが行われてから、木曜日には思いっきりシティに負けてんだよね。話し合っただけで何かが解決するなんてマンガみたいなことは起こらなかったということだ。
ただ、ミッドウィークのシティ戦は負け試合だったが、ファイトはあったと思う。恐らくシティ相手に3失点も想定内だったんだろう。終盤は足が止まってしまったが0-3になってもボールを追いかけることは止めなかった。拙いながらも懸命にプレスをかけ続けたし、ボスもフィジカル的には最高の試合をしたとコメントしていたくらいだ。
このmtgのおかげというわけでもないだろうが、選手たちは勝ちたいという気持ちは少しは見せたと思う。能力不足を責めたってしょうがない。この試合でファンへのせめても慰めがあるとすれば、チームにやる気があることを見せられたことだ。残念なことはもうファンの気持ちが離れてつつあり、その姿をスタジアムで観たファンはいつもよりはるかに少なかったという……。
選手たちはヴェンゲルについてどう思っているのか
さて、このエピソードは、選手たちが現状をどう思っているのか、公の場でのコメントでは決してわからない本心が垣間見えるものであると思う。ちなみにこの記事を書いたガーディアンのDavid Hynterは、後に事実と判明したコシエルニとサンチェスの衝突もスクープした記者ということで信憑性は高いようだ。ていうか誰がリークしているんだこれ。
そして、この状況に至ってしまった原因のひとつとして、あるいはここまで悪くなるまでに問題を放置し続けた張本人として、やはり監督の責任は軽くないと思っている選手も多いと思う。アーセナルはいきなり悪くなったわけじゃないのだ。アーセナルのウォッチャーなら、遅かれ早かれ、ここに至ることは十分予想できた。
選手たちがボスをどう思っているのかについては、やっぱり人間性を評価するかしないかが非常に大きいのではないか。だって、すでに監督の能力は選手たち全員に疑われていると思うのだ。少なくとも最高にスキルフルな監督だとは思われていないに違いない。人間性やこれまでの実績や名声を評価に含めなければ、ただのPL中位クラブのマネージャーにすぎなくなってしまう。
少し前にジャカがアーセナル入団してからあまりの指示のなさにビックリしたという話題があって、やっぱりAWのアーセナルは指示なし戦略なしってのはほんとなんだなと改めて認識したし、それは当事者である選手自身がもっとも感じていることだろう。
グアルディオラやポッチェティーノといった新進気鋭のマネージャーがチームにどんな指導をしているか、現場の選手たちが風評でも聞いたことがないはずがない。そういう噂を聴いていたとして、もし他のクラブを羨むような状況があったとしたら、それはアーセナルにとってわりと最悪なんじゃないだろうか。
だから、多くの選手はマネージャーの交代を希望していると思う。コシエルニやチェフはヴェンゲル派かもしれないが、彼らだってボスがこの状況を解決できるとは信じていないだろう。そのほかの選手はいうまでもない。
選手に見限られたマネージャーの行く末は悲惨だ。