一週間ほど前、SKY SPORTSにエメリのバックルームスタッフを紹介するという記事があった。
IRS(ガジディス、サンレヒ、ミズリンタット)の3人が主導するAFCは、ヴェンゲル退任以降イェンス・レーマンを含め多くのファーストチームスタッフを解雇したのはすでにお知らせしているとおりで、来季以降は刷新されたエメリ体制の新アーセナルとしてシーズンを戦うことが決まっている。
この記事では、アシスタントコーチからデータアナリストまで、新しいスタッフを含めひとりづつの経歴が紹介されておりなかなか興味深かった。
今回はそれをざっくり翻訳してお届けしたい。
アーセナル公式のスタッフページ
顔ぶれはこちらである。現時点ではまだ更新途中と思われ、顔写真のないスタッフも多数。
18/19アーセナル・スタッフ紹介
Who are the new faces in Unai Emery’s backroom staff at Arsenal?
以下、SKY SPORTSより。
Juan Carlos Carcedo/ファーストチーム・アシスタント・ヘッドコーチ
2006年に現役選手を引退。現在44才で、エメリのアシスタントはアルメリア時代から務めている。以降ヴァレンシア (2008-12)、スパルタク・モスコウ (2012)、セヴィーリャ (2013-16)、PSG (2016-18)でアシスタント。
アーセナルのファンはカルセドから何を期待できるだろうか? PSGに加入したのちのコメント「ウナイは仕事中毒でフットボール狂だ。このスポーツが好きなら時間がいくらあっても足りない! われわれは、選手を進歩させるために努力するし、チーム内のバランスを構築するし、ディフェンスでソリッドであろうとする。すべて勝つためだよ、もちろん」
彼のタッチライン際での激しいふるまいも有名だ。セビーリャでもPSGでも2試合の出場停止処分を受けている。
Steve Bould/ファーストチーム・アシスタント・ヘッドコーチ
2012年にヴェンゲルのアシスタントに就任。55才。アーセナルOBである彼の仕事はエメリとアーセナルのしきたりをリンクさせることだ。
2001年にコーチングキャリアを開始、パット・ライスに代わってヴェンゲルのアシスタントになる前は、アーセナルU-18で二度プレミア・アカデミー・リーグのタイトルを取っている。
選手にとっては、慣れ親しんだ顔で、ボールドはカルセドとともに働くことになる。
Pablo Villanueva/ファーストチーム・コーチ
レアル・マドリッドのアカデミー出身ながら、膝の故障で選手としては大成しなかった。42才。
コーチに転身したあとは、2012年にコルドバBのマネージャーに就任。1年後にはコルドバのファーストチームのマネージャーになったが、9連敗を経て2014年2月に解任された。
エメリとの最初の仕事は、2014年セヴィーリャ。その後エメリとともにPSGへ。
Darren Burgess/ディレクター・オブ・ハイパフォーマンス
バーゲスがAFL(オーストラリアリーグ)のポート・アデレイドからディレクター・オブ・ハイパフォーマンスとしてアーセナルに来たのは、去年の夏だった。彼は、エメリのバックルームスタッフとして残ることになった。
噂によるとヴェンゲル直々に引き抜いたといわれるバーゲスは、2010から2012のあいだ、リヴァプールでフィットネス&コンディショニング長を務めていた。エミレーツでは、スクワッドのフィットネス、医薬、メンタル、パフォーマンス分析の責任者となる。
Julen Masach/ストレングス&コンディショニング・コーチ
マセチがエメリとともに働き始めたのは2008年のヴァレンシアでのこと。51才。
経験あるコーチで、アラヴェスでの仕事を始める前は、レアル・ソシエダとトルコNTでの経験もあった。
エメリとPSGで再度仕事をする以前には、ブンデスリーガのハノーファー96にいた。
Javi Garcia/ゴールキーピング・コーチ
もうひとりのエメリのもっとも信頼できる副官のひとりがガルシアで、セヴィーリャとPSGでともに仕事をした。
セヴィーリャでGKコーチになる前、グラナダでのアシスタントからコーチングキャリアは始まった。彼はエメリとフランスでもともに働いたが、伝えられるところによれば、GKアルフォンソ・アレオラへの指導を見てPSGが彼の慰留に努めたという。
彼はまたプレミアリーグでもいくらかの経験がある。スウォンジーでは1シーズンを過ごした。元ガナーのルーカス・ファビアンスキとともに仕事をしており、ファビアンスキはこの38才をたいそう称賛している。
ファビアンスキ「ハヴィエルとの練習を楽しんだといわざるを得ないね。彼の指導は非常にオーガナイズされていたし、よく準備もされていた。それに練習がおもしろくてわくわくするんだ。毎日新しいことばかりだったよ。ゴールキーパーにはそういうことも大切なんだ。スウォンジーではとくに、バックからビルドアップを始めるからGKも足を使わなければならない。ぼくが成長できたのはハヴィエルのおかげだ」
Sal Bibbo/ゴールキーピング・コーチ
ビボもアーセナルでの仕事を失わなかったひとりだ。ガルシアとともに仕事をすることになる。
2006年にコーチに転身する前は、クロウリー・タウン、シェフィールド・ユナイテッド、レディング、バス・シティでプレイしていた英国人。
彼がアーセナルに来たのは去年の夏で、ペトル・チェフ、ダヴィド・オスピナ、ベルント・レノと仕事を続ける。
Victor Manas/データ/ヴィデオ・アナリスト
エメリのスタッフにおけるファイナル・ピースであるマナスは、エメリとの初仕事はアルメリアでのもの。
ほかのエメリの腹心たちと違い、マナスはセヴィーリャとPSGでエメリに合流するまでは、ヴァレンシアでもスパルタク・モスコウでも離れていた。
マナスは試合とトレーニング・セッションを最先端の機材で撮影し、エメリにレヴューのためのフッテージを提供する。
以上。
雑感
こうして見ると、長年一緒に仕事をしているスタッフが非常に多く、しかもスペイン人濃度も高いと、選手とのコミュニケーションを非常に重視するマネージャーらしく、仕事を進めるにあたりなるべくストレスのないスタッフで固めたという印象がある。
大幅に顔ぶれが変わるなかでスティーヴ・ボールドが残ったというのが、いかにもリスク管理を忘れないエメリらしさなのかもしれない。
アーセナルを熟知している彼がいることで、もしなにかクラブに由来する問題が起きてもそれに対処できるようになったといえる。もし彼が慰留を断ってレーマンと同じようにAFCを退団していたら、大きなリスクになったに違いない。
このなかでとくに期待したいのは、やはりアシスタントコーチのフアン・カルロス・カルセドとGKコーチのハヴィ・ガルシアのふたり。
カルセドはエメリのほとんど全キャリアを通じて女房役(深い意味はない)を務めてきたもっとも信頼できる片腕なのだろうし、ガルシアの評判はファビアンスキのコメントにあるように、彼もまたわれわれが期待したい人材に違いない。
カルセドがタッチラインでどんなパフォーマンスを見せるかいまから楽しみである。アーセナルでは見られなかったものだし。
以上
コーチ陣の紹介とかちょっとマニアックだったかなと思いつつ、近年の下り坂のアーセナルにおけるコーチングの問題がそれこそヴェンゲル監督を筆頭に以前から指摘されていたわけで、こうして新しいスタッフがどんな人たちなのか知ることもわれわれファンにとって意味なくもないかなあと思った次第。