貴重なアウェイ勝利ながら、勝った勝ったと喜んでいいのかどうか。。
勝ったことを手放しで喜べない理由はもちろんディフェンスだ。圧倒的格下の昇格組、そして開幕以来得点のないカーディフに2失点。しかも、彼らの拙攻に助けられただけでそれ以上の失点をする可能性もあったのだから。
とほほ守備は続くよどこまでも。
Cardiff 2-3 Arsenal: Alexandre Lacazette hits late winner for Gunners
スターティングイレヴン
4-2-3-1
ラカゼット
オバメヤン、ラムジー、エジル
ジャカ、グウェンドゥージ
モンレアル、ソクラティス、ムスタフィ、ベレリン
チェフ
イウォビが病気で欠場。ラカゼットを今季初めてスタートから起用している。エジルを右サイドに、ラムジーがセンター。トレイラ、レノはベンチ。
マッチスタッツ
ポゼッションは驚きの72%。そこまで圧倒した感じがしないのは、カーディフがドン引きしなかったのと、アーセナルがボールを持ちながら攻めあぐねたからか。
カーディフにはたった3本のSOTで2点を取られたことになる。守備のゆるさは深刻。
Arseblogに寄稿しているScottさんによると、xGでもそこまで圧倒している感じはしない。(SoTのxGに限ればカーディフ0.76、アーセナル3.84)
Cardiff City vs Arsenal xG pic.twitter.com/Q8deAFrVsy
— Scott #Project24 Willis (@oh_that_crab) 2 September 2018
ボスの試合後のみことば
(チームが示したキャラクターについて……)
エメリ:リアクションは重要だよ。どの試合でもそうだし、今日もまた同じだ。2回も追いつかれて、試合に勝つためにそのリアクションは必要だった。こういったリアクションを示したことは、自分たちのパーソナリティを続けていくためにとてもいいことだったと思う。一番重要だったことは落ち着いて、やり続けることだった。彼らは試合のなかで攻撃をしながら得点のチャンスを見つけていった。それとディフェンスの動きについても改善を続けていかないとね。自分たちのボックスでは、敵にチャンスをつくらせなかった。カーディフにはいい時間もあったが、それ以前に自分たちが試合をコントロールしたと思う。そうしたやり方でわれわれが勝った。
(ラカゼットとオバメヤンのさらなるパートナーシップに期待することは……)
彼らはそのポジションでプレイしている。彼らはどの試合でも何分かはプレイしている。そして今日はスタートから使った。選手間のピッチ上でのコンビネイションについては練習し続けている。メンタリティやアイディアもだ。今日の彼らふたりのパフォーマンス、ゴールはわたしたちを助けたと思う。これからも個人の最高のパフォーマンスとクオリティを追求し続けるよ。
(とくにラカゼットのパフォーマンス……)
彼がリヨンにいたのは知っているから話したよ。チームからチャンスが与えられたときの彼のボックス内での得点能力の高さは知っている。彼はとてもいい得点記録を持っているし、今日はそれを示してくれた。彼が自信をつけるため、この試合とこのゴール、それにチームの勝利のためにもよかった。今日はピッチ上でたくさんの重要なことが起きた。
(トレイラがスタートから起用されるために必要なものは……)
彼は成長しているし、チームメイトのことも理解しつつある。わたしには、彼がプレイする時間すべてがとても重要だ。これからも精進する必要がある。彼らはプレイすればするほどパフォーマンスを向上させていく。それが大事なことで、もちろん中盤にもうひとつのオプションができることでもある。マテオはプレミアリーグでとてもいいスタートを切った。ジャカはとても重要な選手だし、エルネニーも毎日一所懸命やってる。わたしたちにはいい選手とピッチ上でのいいコミットメントが必要だ。ルーカスもそんな選手のひとりだ。
(チェフがまだバックから上手にプレイできるって思ってます?)
彼は改善している。彼には経験がありインテリジェントでわたしたちがやりたいプレイをしてくれる。続けることと改善していくことがとても重要だ。もしいつもロングボールを使うなら、その分ポゼッションと勢いを失うだろう。試合のある時間ではわれわれはリスクを冒す。しかしプレッシングを破れれば敵を後略するスペースを見つけることができる。そのために今日のようにいくつかのミスを犯すかもしれないが、われわれはパーソナリティをもってこれに取り組んでいかなければならない。やり方をミックスさせることも続けていかなければならない。スペースがあれば最初にロングボールも使うし、つぎにはポゼッションを奪い、ゴールを目指す。
(セットピースでやられてますね……)
同時に今日重要だったのは、ムスタフィがコーナーから先制点を取ったことだ。ほかのフリーキックやコーナーからも毎回得点のチャンスをつくっていたと思う。また、相手のいい時間もフリーキックやスローインをボックスに入れてくることでつくられた。それについては事前に知っていたので今日はそういった守備の状況でもうまく対処できるようにやっていた。モリソンは彼らにとってとても重要な選手でいいパフォーマンスも見せていた。しかしわれわれもその部分では改善させていくることができると思う。
(メスト・エジルが戻ってきました……)
わたしはどの選手にも同じ条件を与えたい。どの選手もとても大事だ。しかしエジルについては彼のクオリティはわれわれに必要なものだし、チームにとっても必要なものだ。今日の彼はセカンドハーフにはいい試合をしたと思う。なぜなら彼はピッチ上ではいつもハードワークしていたからね。セカンドハーフのコントロールとポゼッション、それにピッチ上でのポジショニング、彼もやりやすかっただろう。
いくつか、多くのファンも突っ込みたいところをちゃんと記者たちが突っ込んでくれている。
試合をざっくりと振り返ってみよう。
カーディフ vs アーセナルの論点
うーん、この試合ではいくつもの語るべきポイントがあるなあ。
公式がいつものいいとこ探しをしていて、そこで触れられていないネガティブポイントから挙げてみよう。
チェフの適正問題
バックからつないでいくことについて適正が疑問視されていたチェフ。いくらなんでものっけからあんなプレイをやるとは思わなくて度肝を抜かれた。
試合開始17秒で敵のFWにプレスを受けて取り乱しあわやゴールの真ん前でインターセプトかと、さっそく足元のまずさを見せたと思えば、その6分後……。
まさにナイトメア。
これ右足で蹴ってるから多少精度は低いのはしょうがないが、よりによってあそこに蹴ってはいけない。昨シーズンに続く、またチェフのエラーである。
エメリは試合の前にも相手に合わせてプレイする(ロングボールも辞さない)という発言をしていたし、この試合でも何度もロングボールを使った。だって相手にしてみればアーセナルが後ろからショートパスを回すのがわかってるから、ゴール前で敵が3人も4人もいつもうろうろしてる。だからそういう状況でロングボールとショートパスを織り交ぜていくことは悪くない。
でもエメリがほんとうにやりたいプレイはバックから確実につないで、ボールをキープし続けることだ。五分五分のロングボールじゃない。そのためにレノも買った。なのにどうして。
この試合でのチェフの足元の安定感のなさはヤバかった。今後ベルント・レノを使えというプレッシャーはますます高まるだろう。いまならチェフ本人も交代されても納得がいくのではないか。
エジルの右サイド問題
前半はまじで「いたの?」レベルで消えていた。お腹が痛いのかと思った。
ラムジーとポジションを入れ替えたっぽい後半には、比較的なまともなパフォーマンスを見せるようになった。オバメヤンのシュートにつながったとラカゼットへのパスはさすがだった。
Özil changed the pace of the game in the minutes leading to the second goal today. Dropped deeper and demanded the ball to link midfield and attack. Twice receives the ball and moves Arsenal forward in this one move. pic.twitter.com/JVfWlh6nBa
— Arsenal Tactics (@ArsenalVids1) 2 September 2018
後半のエジルのよかった動きが指摘されている。深い位置まで降りていきボールを要求、中盤と攻撃をリンク。一度ボールが戻るとまたスペースに入り込み、ボックスに入り込んだラムジーにスルーボール。このフットボールセンスとインテリジェンス。これが本来エジルに期待したい働きだろう。
この試合でのエジルの前半と後半での存在感の違いっぷりは、チームが選手の能力に合わせた正しいポジショニングをさせているかどうか、疑問があることを示唆している。
エメリがマネージャーになってから、ラムジーをセンターで、エジルをワイド(右)で使いたがる傾向があるようだが、どうもこれが機能していない。
ラムジーのセンターはともかく、エジルはボールを持ってなんぼの選手なので、ワイドにいてなかなかボールが回ってこないとまったく存在感が示せない。とくにこのカーディフ戦では前半なかなかボールが来なかった。
ミキタリアンが右ワイドにいてベレリンが攻撃で上がりまくったウェストハム戦の右サイドの状況とは好対照で、この試合でベレリンの上がりがたくさん見られなかったのは、エジル効果だったかもしれない。
エジルの起用ポジションについては、今後も調整が続いていくものと思われる。
以下は公式サイトの「4つの気づいたこと」(別名;いいとこ探し)から。
ラカ・ボス
多くのメディアでこの試合のMOTMに選ばれているのは、もちろんアレクサンドル・ラカゼット。今シーズン期待に反して出場機会が限られるなかで、初めてのスタートからの起用で大活躍とエメリを見返したかたちだ。
ラカはバトルを味わい、われわれのプレッシングゲームをリード、リンクアッププレイも素晴らしく、PEAとラムジーに巧みなタッチでチャンスをお膳立てした。過去5試合のスターティンで5得点目を決める前には、ポストを叩くシュートもあった。ラカの起用でオーバが左に移動することになったがそれもうまくいった。彼らの花咲くパートナーシップは阻めそうにない。
あの3点目にはしびれたよね。ああいうシュートが打てるのがストライカー。
その他興味深いスタッツも。
58% – Since Alexandre Lacazette’s Premier League debut, Arsenal have a 58% win rate in the competition when he starts compared to a 33% win rate when he doesn’t. Return. pic.twitter.com/vOAUMz19YV
— OptaJoe (@OptaJoe) 2 September 2018
ラカゼットがPLデビューして以来、アーセナルは彼がスタートすると58%、スタートしないと33%の勝率。リターン。
10 – Alexandre Lacazette has been directly involved in 10 goals (eight goals, two assists) in his last nine starts for Arsenal in all competitions. Finisher. pic.twitter.com/CNPGbTYkDp
— OptaJoe (@OptaJoe) 2 September 2018
ラカゼットはアーセナルでの公式戦のスタート9試合で10ゴールに絡んでいる(G8 A2)。フィニッシャー。
オバメヤンとラカゼットはお互いのパートナーシップを主張しあっているほど仲がよいわけだが、ついにエメリのアーセナルでもその相互作用の片鱗を見せ始めた。1+1が2以上になるところを見せてもらいたいものだ。
このパフォーマンスがエメリの選手選考に影響を与えることを期待したい。
オバメヤンがトップリーグで150ゴールの偉業を達成
バメヤンといえば、この試合では得点以外ではさほど貢献できていなかったが、この日の得点で偉業を達成することに。リスペクト。
飲み込みが早いグウェンドゥージ
マテゥ・グウェンドゥージは、日曜の試合でとあるスタッツが注目になった。彼はアーセナルの歴史上4人目となるPLのリーグ最初の4試合に続けて出場したティーンネイジャーとなった。前の3人はニコラ・アネルカ、セスク・ファブレガス、それとヨハン・ジュルー。
ゲンドゥージは、彼は明らかに飲み込みが早い。デビュー戦のマンシティも将来に期待が持てるものだったが、ボールさばきには少しためらいも見られた。それがどうだい。19才で4試合目なんだから大目に見る必要があるかもしれないというのに、ポゼッションにおけるこの手慣れた様子。
※公式からの引用ここまで。
ゲンドゥージはすごいよ。いろんな意味で。すごいけど、トレイラもかなりすごい。
トレイラのインパクト
この試合でもトレイラがベンチだったことががっかりだった。しかし、彼は70分にイエローカードをひとつ受けていたゲンドゥージと交代すると、すぐさまチームに影響力を及ぼす。彼が入ったことで明らかに終盤アーセナルの中盤は安定した。
そしてラカゼットへのアシストも。
Lucas Torreira vs Cardiff City
20 minutes
1 assist
26 passes
100% pass accuracy
1 dribble won
3 tackles won
1 interception
6/6 duels won
2/2 accurate long ballsHe gave a glimpse of his crazy potential. He HAS to start the next match… pic.twitter.com/IDsWXgVfTe
— FootballTalentScout (@FTalentScout) 2 September 2018
ルーカス・トレイラ vs カーディフ・シティ
- 出場20分
- 1アシスト
- 26パス
- 100%パス
- 1ドリブル勝ち
- 3タックル勝ち
- 1インターセプション
- 6/6ジュエルズ勝ち
- 2/2正確なロングボール
いったいおれたちはいつになったらトレイラのスターティンが見られるのか。
一説にはエメリがトレイラのコミュニケーション力(ことば)を問題視しているという噂もあるが、ここまでの出場でそれが障害になっているようにはまったく見えない。
もう待ちきれない。
この試合については以上。
18/19プレミアリーグ最序盤について
すべてのチームがウィーク4を消化し、今週から来週末までインターナショナルブレイクへ突入。ここが最初の区切れとなる。
ここまでのリーグの状況を見てみよう。
われらがアーセナルは先週と変わらず9位。2失点しなければGDでもう少し順位は上だった。
もちろんトップ6でさいじゃ……くじゃなかった。一個下に世界で一番ビッグなクラブ、マンチェスター・ユナイテッド様がいた。さすがスペシャルワンだわん(犬の感想)。
上位4チームはここまで負けがない。トップ3にいたっては全勝である。さすがにつええや。
玉なし発言のディーニーがいるワトフォードは、下馬評を覆してToTを破るという快挙。彼らも4連勝とノッている。さすがに玉アリは違う。
下を見るとかわいそうなのが、唯一ポイントがないウェストハム。ジャックも含めせっかく補強をたくさんしたのにツイてない。ペレグリーニはいまのところ解任されるところまではいっていないらしいが、油断はできないだろう。
アーセナルはプロジェクト24(格下相手の8試合)の最初の2試合で6ポイントを獲得。もやもやしているが結果だけは出ている。
インターナショナルブレイクを明けて、つぎの試合は日本時間で9/15(土)23:00キックオフのニューカッソー(A)。今季はヨシノリ・ムトーもいる日本人的には注目チーム。楽しみである。
さあ、NTに呼ばれていない選手たちはコルニーで地獄の特訓である。エメリの挑戦はこれからも続く……
以上
トレイラはさすが!!
チェフは無理せずロングボール蹴ればいいのに、なんて思うけど、特別扱いはだめなのかな。
> チェフは無理せずロングボール
ねえ。
はじめまして。いつも楽しみに拝読させていただいてます。
この試合見てましたが、解説の方他皆さん考えてることは一緒で、チェフとジャカがスタメンの違和感だと思います。
コレまでの試合同様、この試合も失点に繋がるミスを犯しているのに・・・
彼らは言うまでも無くヴェンゲル時代からの選手です。エメリはその選手たちにとても気を遣っているように見えます。
古参をいきなり切って、そっぽ向かれないようしたいのかなと。新監督が古参にそんなことされたらチームは空中分解しかねない。
まずはドレッシングルームの秩序づくりから入っているのかもしれないと思いました。
はじめまして。
ジャカは1本パスミスが失点につながってしまったんでアレですけど、この試合攻撃でわりといい働きをしてんスよね。
以下Arseblogより。
17 – Final 3rd entries for Granit Xhaka (led all players). 13 passing the ball, 4 carrying the ball.
85 – Passes Completed (led all players)
6 – Long passes completed of 7 attempted
5 – Passes into the box completed (led all players)
110 – Touches (led all players) which was 15.6% of all of Arsenal’s touches in the match.
3 – Key Passes (led all players)
1 – Assist
0.5 – xA created (led all players)
0.48 – Offense Value Added passing (led all players), 0.73 from completed passes (led all players) and -0.25 for missed passes (3rd worst on Arsenal)
だからジャカを外すというのは、ぼくらが考えているよりはじつは難しい判断なのかなと。
いずれにせよトレイラのスタート起用はもう待ったなしとも思えますな。
それでもいきなりジャカを外すなんてことはないだろうから、ひとまずはジャカ+トレイラだろうなあと。