ついにきた。リヴァプール戦。
エメリにとってこの試合が今シーズンここまでで最大のテストといえるのは、最初の2試合(シティ、チェルシー)は就任ホヤホヤで負けても、内容が悪くてもいい訳ができるタイミングだったから。
しかしその後、この約3ヶ月でエメリ・アーセナルは周囲の予想をはるかに上回る好成績を残しており、それがまぐれではなかったことを証明するためにも、アーセナルはベストパフォーマンスを見せる必要がある。
リヴァプールにとってはシティを追いかけるなかでもちろんポイントを落としたくはないが、トップ6とのアウェイマッチではドローでも最悪の結果ではない。
現在の立場ではむしろ格下といえるものの、プレッシャーがかかるのはここまで積み上げたものを試されるアーセナルのほうだろう。試合内容によっては自信レヴェルが落ち込み、せっかくここまでキープしてきたインフォームを崩す恐れもある。
Arsenal vs Liverpool preview: Visitors without Naby Keita and Jordan Henderson
ビッグマッチということで、多くのメディアがプレヴュー記事を出している。
今回のプレヴューエントリはいつもの構成にプラスして、そういった記事をネタ元に、おもにARSとLIVの戦術面での噛み合わせを検討する「みどころ」エントリを追加したい。追ってアップしますぞ。
まずはいつもどおりのプレヴュー、予想ファースト11から。
予想スターティング11
当ブログの予想ファースト11。
4-2-3-1
ラカゼット
イウォビ、エジル、ミキタリアン
ジャカ、トレイラ
AMN、ホールディング、ムスタフィ、リヒトシュタイナー
レノ
ラカゼットとオバメヤンを同時に出すか。出さないだろうなあ。
オバメヤンを最初から出すとしたらかなり勝負に出たと見るべき。ここは戻ってディフェンスをフォローできるイウォビを選ぶだろう。
問題はフルバック。コラシナツがトレイニングに戻っている姿が目撃されているとのことだがどうだろう。
LBがサラーとのマッチアップであることを考えると、フィットネスが整っていればAMNのほうが守備が安定しそうではある。
モンレアル、コラシナツ、AMNのフィットネスによっては、LBにまたジャカを使うとかも絶対ないとはいえない。そしたらCMはトレイラとラムジー。攻撃的ぃ。
またRBは、ベレリンがまだトレイニングに戻っていないようでスタートから使える可能性は低い。
こういう試合で最高のメンバーで戦えないのが非常に残念に思われる。
けが人情報
公式Team Newsによると。
ゲンドゥージが先日のブラックプールのレッドによるサスペンションでアウト。もうバカバカ!
モンレアル、コラシナツ、ベレリン、ソクラティスが試合前に要検査。こうして名前を並べるとすげえな。よりによって全員一緒にやるこたないのに。
エルネニー、コシエルニ、マヴロパノスがアウト。
試合前のボスのみことば
この前、ここを要約してみて思ったのだけど、もしかしたら今後も要約で十分ですかね。毎回無駄に長い気がしているし(今回もボリュームたっぷり)読むのも大変でしょう。
ということで、ボスの試合前プレスカンファレンスから要約。( )が記者からの質問。
- (最大のテストになります)リヴァプールみたいなチームと戦えるのがうれしい
- 非常に難しい試合になる
- (2016に初めてクロップのチームと戦ったときの感想)そのときからリヴァプールはかなり発展している
- ELのファイナルで戦った(※セヴィーリャが3-1で逆転勝利)が、昨シーズンはCLのファイナルまでいった
- 自分たちの成長を試せるチャンス
- (フルバック問題は頭が痛い?)イエス。だがシーズン中でけが人が出るのはふつうのこと
- フルバックで誰が使えるか見ていく。(使える)選手たちはみな問題ない
- (ビッグ6との対戦成績)新しい歴史を書き加えたい。選手たちを信じている
- (ビッグマッチで名乗りを上げるチャンス)どの試合も重要。いつでも一番重要なのはつぎの試合
- リヴァプールはとてもよくインテンスなチーム。バトルのためにたくさんワークが必要
- 自分たちを信じる。自分たちのやり方をやる
- 歴史的にたくさんゴールが生まれる試合。大事なことはサポーターに喜んでもらうこと。勝ちたい
- (リヴァプールの攻撃を防ぐ策は?)90分仕事をすること
- 彼らは個人も戦術も優れている
- ひとつはトランジション、ふたつめはGKからのビルドアップ、アリソンとCBとMF
- マネ、フィルミーノ、サラーのスピード
- 90分どの瞬間もスキなくやるのは難しいが、スタイルとアイディアを出していきたい
- (ラムジーが1月に退団するのか)みんな明日の試合と今日のトレイニングのことしか考えてない
- (75%のゴールがセカンドハーフに)それでパーフェクト。セカンドハーフにたくさんの試合を勝っている。スタッツには惑わされたくない。ファーストハーフを改善できるならそれもまたよし
- (チェフかレノか)ふたりに満足している。どちらを選んでもパーフェクト
- (イウォビがここはファミリーのようだと)思うにわたしが来る以前からアーセナルはもうファミリーだった
- 進歩と発展が必要な部分もあるが、クラブはとても大きく、とても大きなファミリーだ。ファミリーであることは重要だ
- (土曜はあなたの誕生日です)試合に集中している。
- (チェルシーとシティの敗戦から学んだこと)どちらも遠く、また近い部分もあった。明日も同じで彼らはアーセナルよりもテーブルで上位にいる
- 明日は結果も大事だが、まず自分たちの試合におけるメンタリティを見せること
- 大きなメンタリティ、個人でもチームでもビッグパフォーマンスを出し、あと少しだけラッキーがあれば、わたしたちが勝てるのではないかと思う
- (イウォビの成長とチームへの関与)彼はとても若くいまがキャリアのなかでも成長のときだと思う。彼にはクオリティとまだ成長の余地があるからもっとプッシュしたい
- どの選手にも自信が必要だ
- (イウォビに話していること)トライとトライとトライ。あとトライかな。もっともっとやれ
- コミットメントと毎日のふるまい。リスペクト。取り組みが自信を育んでいく
- (もうエメリアーセナルなのかそれともまだヴェンゲルアーセナルを引きずっているか)さあわからない。でも自分のアイディアやスタイルを与えてきた
- ともに取り組んでいき、あたらしい未来を書き込みたい
- まだ始まったばかりで時間が必要
- 明日はとてもビッグチームを前に、サポーターにメンタリティ、アイディアとパフォーマンスを見せたい
- いまはプロセスの途上にあるが新しい歴史をつくりたい。大きな歴史を
セカンドハーフチームだっていいじゃないか宣言。でもリヴァプールに通用するかなあ。
あとキャッチーだったからか、各所で引用されていた「write a new history(歴史をつくりたい)」というくだり。
昔そんなのどっかで聞いたなあと思ったら、長嶋茂雄元東京読売巨人軍ジャイアンツ監督の有名な発言「メークドラマ」だった。エメリとチョーさんの時空を超えたシンクロニシティ。どっか似てる?
ちなみに「メークドラマ」でググるとさすがに名言でウキペがあるのだけど、それによるとこの発言をしたときジャイアンツは負けて野村監督に「負けドラマ」と揶揄されたとか(笑い)。不吉。
クロップのコメント
今回はマージーサイドの北野広大(熱中時代)ことユルゲン・クロップの試合前会見でのコメントも引用しよう。スクリプトはFourFourTwoより。
クロップ:(アーセナルは)タフなスタートからインプレッシヴなランをつづけている。おもしろい試合になるに違いない。
もちろんアーセナルはトップ4フィニッシュのライヴァルだ。シティとチェルシーの最初の2試合は0ポイントもふつうにありうる試合だ。でも彼らが2-3ヶ月前にどうプレイしていたかは重要ではない。ここ数試合を分析しているよ。
フルパッケージが必要な試合だね。ボールを持っていても持っていなくても彼らに問題を引き起こすために。タフな試合だ。誰もポインツをプレゼントしてくれるわけじゃない。勝ちに値するほうがそれを取る。準備するよ。
ヴェンゲルは世界でベストのマネージャーのひとりだが、あまりにも長いあいだクラブにいればムードも変わるものだ。エメリがどれだけいいかはフットボール世界の人間なら誰でも知っている。新しいマネージャーが来て選手たちはコンフォートゾーンから出たんだ。彼ら選手たちは初日から名前でプレイしているんじゃない、自分たちもフットボーラーのひとりなんだって証明しなければならなかった。それがものごとが変わるってことだ。選手たちもそれを理解した。
恥ずかしながら告白すると、じつはおれ彼らがCLで優勝したシーズンはわりと彼らのファンだった。やってたフットボールがPLではアーセナルのつぎくらいにおもしろかったからね。ベニーテスがマネージャーでスパニッシュ・リヴァプールと呼ばれていた時代。
それからしばらく低迷していて、気がついてらまたCLのファイナルまで行ってんだもんなあ。すごいよあいつら。フィーバーしてる。
リヴァプールについて
今季リーグカップ(チェルシー)とCL予選(ナポリ)での敗戦を除いて無敗(リーグではW8 D2 L0)というフォーム。
まあ結果もさることながら、内容がいい。
リヴァプールというと攻撃がクロースアップされがちだが、GKを変えたり守備改善の影響が大きい。リーグでの失点はアーセナルの13に対し、ここまでたったの4だ。4点ぶちこみたいね。
ということで、まるでかつてのリヴァプールのように守備の安定しない現在のアーセナルと比べると、PLでのポイントこそ4ポインツしか離れていないが、やっているフットボールの内容にはだいぶクオリティの差がある。
今回アーセナルにとって、ポジティヴな情報といえばナビィ・ケイタとヘンダーソンが怪我でアウトなことくらいか。
鳴り物入りで今季から入ったのに、全然使ってもらえなくてふてくされているファビーニョがCMに入る可能性があるようだ。
まあでも彼らは選手層も厚いし、ジャカをLBで使うことを検討しているアーセナルほどの危機感はない。
マッチファクト
- アーセナルはリヴァプールとのPL直近6試合で勝ちなし(W0 D3 L3)
- リヴァプールはアーセナルとのPLアウェイマッチ18試合で2試合しか勝っていない
- リヴァプールはアーセナルとのPL直近5試合で最低3得点(計17得点)リヴァプールは6試合連続でそれをやったことはかつてない
- アーセナルとリヴァプールとのPL直近5試合では計27得点が生まれる(平均5.4得点)
- アーセナルは今シーズンPL10試合で前半に先行したことがない、もし前半で試合が終わっていたらリーグ17位
- フィルミーノはアーセナルとのPL直近3試合で得点とアシストしている。特定の相手に4試合連続で得点+アシストした選手はかつていない
- サラーはアーセナルとのPL3試合すべてで得点(チェルシー1、リヴァプール2)
- クロップはアーセナルとのPL5試合すべてで無敗
- エメリとクロップの前回の対戦は2016年のELファイナルのみ。エメリのセヴィーリャが3-1でリヴァプールを破る
てことはエメリの対クロップ成績は100%勝利というわけだな。うんいけるゾ。
試合結果予想
BBC Sports (Lawro’s prediction) 1-2
SKY Sports (Paul Merson) 1-3
WhoScored.com 2-3
はい全負け。アーセナルが得点しないという予想もないが、複数失点しないという予想もなし。リアルな数字だと思う。おれはむしろ3点以上の大量失点が怖いよ。
マーク・ロウレンソン(BBC):アーセナルはこの前の日曜にCPと引き分けるまでは11試合連続勝利だったが、シーズン始めにシティとチェルシーに負けて以来トップサイドとはプレイしていない。思うにアーセナルにとってリヴァプールはちょっと荷が重い。が、アーセナルは仮に負けたとしても、ウナイ・エメリによる勇気づけられるスタートだということは変わらない。
早くも慰めかよ。
ポール・マーソン(SKY):リヴァプールの勝利以外は考えられないな。この日アーセナルはいくつかの大きな亀裂が露呈してしまうと思う。
まずディフェンスがひどい。いたるところでひどいし、以前と変わったところがない。CMのジャカをLBでプレイさせるか考えているとき、さらにヘクタ・ベレリンが怪我だったら、もう35才に近いリヒトシュタイナーがRB。PLで35才が何人プレイしている?
レスターが(事故の)手向けにアーセナルを30分切り裂いたのを見た。レスターのフロント3はリヴァプールと同じクラスでさえないのに。アーセナルが対応できる気が全然しない。
アーセナルが得点すると思ってるひともいるかもしれないが、リヴァプールの守備はスーパーだ。アーセナルの11連勝も観ていたが、そのうちの4試合は簡単に負けていた可能性がある。
厳しいなあ。けどそれも現実。
残念ながら今回ばかりはとても楽観的にはなれないが、パフォーマンスはもちろん、せめて戦うメンタリティを見せてほしいと思う。
以上。
引き続き、「アーセナル vs リヴァプール みどころ編」につづく。