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エメリの伝記本『ウナイ・エメリ:エル・マエストロ』がおもしろそう

『UNAI EMERY: EL MAESTRO』は、いわゆるバイオグラフィ(伝記)本。日本語版の予定はたぶんなし。

『テレグラフ』が書籍の一部を紹介している記事をReddit有志が引用していたので、ざっくり訳してみよう。

記事はこれまでエメリに関わってきたひとたちの証言集になっている。

なかなかおもしろそうな本だゾ☆

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以前にもこのブログで似たようなエントリを書いたことがあったが、それとはまた違う人選。

エメリに関する13のコメントからひもとく、エメリのフットボール哲学



エメリとのおもひで

ロウレン・デ・パルマス(Laurent de Palmas)/アルメリア時代のプレイヤー

デ・パルマス:ぼくらは彼のことを「enfermo de futbol(フットボール病)」って呼んでたね。だってそれが彼なんだから。彼はフットボールを飲み、食べ、寝た。みんなで彼がフットボールともファッXしてるんじゃないかなんて思ってたくらいだね。

ぼくはウナイのことはいつも身近に感じていたよ。いくつかの議論はあったけど、彼らはいつだって顔を向き合わせていた。それには感謝したい。彼は裏で何かをいったりするようなタイプのマネージャーではなかった。

一度、マラガで0-2で負けていた試合のハーフタイムで、ドレッシングルームでウナイにはこっぴどい気分にさせられたことがあった。ぼくなんかまだほかの選手よりマシだったから、チームメイトたちはみんなもっと肝をつぶしてた。でもなぜ彼がぼくを非難するのかはわかっていたんだ。

それより少し前、ぼくはElcheからオファーを受け取っていて、そのことについて彼と話していた。いい条件の契約だったよ。でもウナイはぼくにアルメリアでもう一年プレイできないか考えるためにシーズン終わりまで決めるのを待ってほしいと頼まれたんだ。

彼はみんなとどんなふうに会話すればいいかわかっていた。彼はそれでぼくがどんな反応を示すかわかっていたんだな。

「キミがいい選手なのは間違いない。でもどこにいた? いったい(ピッチ上の)どこにいたっていうんだ!」

ドレッシングルームでこんなふうにいわれて、それで発奮したぼくは結局セカンドハーフに2ゴールしたよ。

フアン・マタ(Juan Mata)/ヴァレンシア時代のプレイヤー(※マン・ユナイテッド)

マタ:ウナイほどセットピースにこだわるマネージャーはいないね。毎回戦う相手によって戦術を変えるんだ。頻繁に新しいアイディアを持ち込んできたよ。

ぼくらはよく驚かされたものだ。だってそれはあまりにも複雑でかなりの集中を要するものだったんだ。毎回違うんだから覚えるだけで必死。

敵陣でのフリーキックについてのことを思い出すな。ボールが放り込まれるピッチの密集地帯に選手を配置するんじゃなくて、両サイドにそれぞれ選手を配置して、ふたりをセンターに置く。

サイドではひとりがファーポストに走り込もうとする敵をスクリーンする。フリーキックを蹴る選手は手でどちらのサイドにボールを蹴るか指示を出すんだ。いまでもウナイがそれをやってるかは知らないけど、もしそれが右手なら右側のサイドにボールを送る合図なんだ!

セットピース以外では、ウナイのスペシャルなところはコミュニケイションだな。彼がトークをするとき、彼はよくボードに3つか4つ、5つくらいのフレイズを書くんだ。それが今回のポイントというわけ。ときどきそれは5つのポイントであったりあるいはこれから説明することのメタファーだったりする。そんなことをやるマネージャーはぼくは見たことがない。

彼らはよくポジティヴィティや仲間意識、彼がチームでつくりたい価値についてのフレイズをつかった。ポイントを示すことが彼のコミュニケイションの手段なんだ。

彼のトークは延々とつづくことがある。だって彼は時間に気づかないんだもの。でも彼のいうことはいつだってインテンスで、質問を投げかけてもくる。そうなるともうだんだんセミナーみたいになってくるんだ。

イゴール・エメリ(Igor Emery)/ウナイのたいへん仲のよい兄弟

イゴール・エメリ:ぼくもアーセナルのプリシーズン・シンガポールツアーについていったんだよね。どれだけ彼ががんばっているか見たよ。飛行機から降りたとき彼はスクワッドにこういったんだ「ホテルには行かない。トレイニングに直行する」ってね。

湿度と気温がすごくてね。抗議した選手はいなかったけど、日中だったし、長旅のあとだった。それはポジティヴなサインだった。新しいコーチが来てみんな期待してたってのもあるけどね。

ぼくがいいたいのは、選手たちが変化を受け入れること、自分たち自身を問うこと、努力することにオープンだということ。トレイニングはインテンスで、ぼくは選手じゃなくてほんとよかったなって思ったくらい……

ブルーノ・サルトール(Bruno Saltor)/ヴァレンシア時代のプレイヤー(※ブライトン)

サルトール:彼はよくホワイトボードを使って選手たちに悪夢を見せていたね。彼は質問してくるんだよ。違うシステムについて説明させられたり、単に質問に答えさせられたりで、何人かの選手にとってはまるで拷問みたいだった。

ウナイはホワイトボードをつかうときレイザー・ポインターをつかうのも好きだった。ある日、彼のトークの前、誰かがそのポインターを隠したことがあったっけ。ウナイはドレッシングルームに入ってくるとそれがどこへいったか訊いたけど、誰も答えなかった。

彼がうしろを見たら、誰かがボードに光を当てている。ウナイは見回して犯人探しをはじめ10分が過ぎた。彼は犯人を見つけられなかった。そしてそれ以来、彼がボードでなにか説明するときはいつでもレイザーの光の点があらわれるようになった。おもしろかったね。だってボスはジョークを受け入れたんだから。

ディミトリ・ポポフ(Dimitri Popov)/スパルタク・モスコウ時代のスポーティング・ディレクター

ポポフ:ウナイはロシア人をメンタリティからして理解していなかった。彼は選手たちに寛容すぎた。それで規律が乱れ、トレイニングセッションにも影響した。彼は罰則なしで彼らを外すだけだった。なぜならときどきは彼自身にも問題があったからね。

ある日、チャンピオンシップの試合で遠征するというとき、ひとりの選手がパスポートを忘れたことがあった。ロシアでは国内のフライトでもそれが必要なんだ。わたしたちはスパルタクにいたからそれを持ってなくても問題なかったというのはあった。でもウナイは全員の前で彼を責めたんだ。「パスポートを忘れたということはキミはチームのことを考えていないということだ。チームメイトに対するリスペクトがない!」とかなんとか。

それから1週間もしないうちにわたしたちはベンフィカに行くことになった。これは海外遠征だ。そしてひとりパスポートを忘れた人間がいた……。ウナイだよ。チーム全員が彼がそれを取ってくるために3時間待たねばならなかった。

いうこととやることが違う。そんなことがあって、選手たちはだんだん彼にリスペクトがなくなっていったんだ。

カーラ(Cala)/セヴィーリャ時代のプレイヤー(ラス・パルマス)

カーラ:ウナイはぼくらにチームをどのように見るか、どのように進歩させられるかについて訊いてきた。もし彼に賛同しないなら、賛同しないということもできた。だってそういっても彼は仕返しをしようなんて絶対しなかったから。

それはぼくが知ってる何人かのマネージャーとも違っている。彼らはふつう自分の気に入らないことなんかをいわれた日には試合に出さない。ウナイはそんなことがなかった。

彼はいつもぼくらに議論を求めたし、それがディベイトになった。

「それがこれへのいい解決策になるとは思えない。これ。それとこれ。なぜそれがいいんだと思うんだい?」

彼はどんな意見も受け入れてくれるように見えるから、自分がまるで大切に思われているように感じるんだ。

アルヴァロ・ネグレド(Alvaro Negredo)/アルメリア&セヴィーリャ時代のプレイヤー(アル・ナスル)

ネグレド:彼のチームトークはいつだって違ってたな。ホテルで敵チームのヴィデオを見ながらの試合前のトークを思い出すよ。こうイメージはできてるんだけど、ウナイは何もいわない。彼はぼくらをじっと見ながら、それでいて何もいわなかった。そしてもちろんぼくらも彼を見る。これから何を話すつもりなんだろうって。

突然、彼はぼくをじっと見てきたんだ。だからぼくもできるだけキツく睨み返した。そして彼は別のチームメイトのほうへ向かった。彼も同じリアクションだったよ。そうしたら誰かがウナイに訊いたんだ。「なにこれ!?」。彼はべつにウナイに盾突くつもりはなくて、単になぜウナイが話しを始めないのか不思議に思っただけだった。そんなのがしばらくつづいたんだ!

そうしたらウナイがこういった「アルヴァロは集中している。彼はいつでも自分が何をしなければならないか考えている。そして彼もまた同じだ。敵のディフェンスを読もうとしている。でもキミは試合に集中していない」

つぎの日、偶然かどうかわからないけど、そういわれた選手は退場になった。いわれたことばがぼくの心に残っていたのは、つまりひとを見つめただけで彼はひとが考えていることがわかってしまうということなんだ。

以上。

これこれまでのエメリについて語られたコメントなんかよりもおもしろい。

誠実、まじめ、実直、おっちょこちょい。とても情熱的だけどけして誰かに攻撃的になったりしないひと。憎めない人柄が現れているなあ。

ちょっと笑えるエピソードが多いのもいい。とくにパスポート(笑い)。レイザーポインターの件もよく考えるといじめじゃね? でもそれで怒らないのがエメリ。

さいごのネグレドのテレパシーもなんか笑えるな。エメリが何もいわずにじっとひとの顔を覗き込む。沈黙がつづくなかエメリの謎の行動。そしてその空気に我慢できなくなった誰かが「なにこれ!?」ってツッこむ。マンガみたいだな。。

あとエメリはセットピースに異常にこだわるという知見も得たね。これは次回から見るのが楽しめそうだ。

この『Unai Emery: El Maestro』by Romain Molinaは11/1だから昨日発売されたのかな。

おもしろそうだけど、今季優勝でもしないかぎり邦訳は出ないだろうなあ。。これを訳す仕事がしたい。。



One Commnet on “エメリの伝記本『ウナイ・エメリ:エル・マエストロ』がおもしろそう

  1. オバがファンが投稿したものにいいねするとかリツイートすることで、WGよりトップのが良いということや、途中交代への不満をアピールしてましたよね。
    エジルもたしかインタビューでトップ下こそが自分のポジションだということを言ってました。

    私はこういうところを、エメリの統制がとれてないのではと少し心配してました。
    でもこれはエメリの、反対意見も聞き入れるというスタンスから生じた事かもしれません。
    エメリの姿勢は、選手を信頼した素晴らしいものだと思うので、選手側も甘えることなくエメリと議論してほしいです。SNSで不満を訴えるのではなく、真っ向から話し合うという方法で。

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