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Arsenal, Emery

エメリに関する13のコメントからひもとく、エメリのフットボール哲学

こんな記事があった。「ウナイ・エメリの哲学をひもとく13クオーツ:尋常じゃないモティヴェイター」

13 quotes to explain the philosophy of Unai Emery: ‘Extraordinary motivator’ – Planet Football

これまでもいくつかエメリに関する記事を紹介してきたが、聞いたことがないエピソードもいくつかあったので紹介してみよう。

なお、エメリを語るうえで有名になってしまったホアキンの「ポップコーンが足りなくなるほどしこたまビデオを渡された」は含まれていない。(記事中で言及されている)



エメリに関するコメント集

1. とあるアルメリアの選手

『ガーディアン』のインタビューにて。

「エメリはひどくやっかい」

「トレイニングセッションは長くて信じられないくらい退屈。チームトークはいつまでも終わらず、ビデオを何時間も見させられて、コーナー、フリーキック、それにゴールキックまで延々と繰り返される。ダルくてみんな寝ちゃってた」

「彼は毎週のように同じことをいっている。子どもにいうみたいにね。とにかくしつこくポイントを反復する。たとえば、手を開いていたら叩くことしかできないが、拳みたいにみんなが一緒になれば本物のダメージを与えられるーとかそんな感じの」

「彼はいつまでも続ける。それでみんな退屈する。全部たわごとのように思えてくる。……でもそれが不思議とうまくいくんだ。どの選手に対しても彼が何を欲しているか完璧に理解させるまでしつこい」

2. マルコ・アンドゥレオリ(Marco Andreolli)

セヴィーリャ時代のイタリア人プレイヤー。現在はカリアリ。『オブザーヴァー』のインタビューで。

「エメリはひとつグレイトな資質がある。彼は尋常じゃないくらいのモチヴェイターだよ」

「彼の特技は試合への準備で、それを選手たちへじっくりと伝えるんだ」

「セヴィーリャにいた頃を思い出すと、戦術的なヴィデオとモチベーションフィルムを見させられるからチームミーティングは長い」

「彼はぼくたちにやるぞという気にさせたがった。自分たちに火をつけるためにね。一度といわず何度も、文字通り何時間もモチベーションビデオを見させられた。そして試合ではぼくらは本当に勝つために貪欲になるんだ」

3. ウナイ・エメリ

エメリはアーセナルのヘッドコーチに就任してから好きなフォーメーションを訊かれてこのように答えた。

「われわれは異なるシステムでもやれるように準備する。4-3-3がメインであり、それはポゼッションとプレッシャーをかけるのに非常に適している。しかし別の試合ではまたほかのシステムを採用する必要もある」

「一番重要なことは、バランスを取ることだ。ボールを持っているときと持っていないときのピッチ上のポジショニング」

4. ティアゴ・シルヴァ(Thiago Silva)

PSG時代のキャプテンを務めたシルヴァ。8-0や7-0といった大勝についてマネージャーの容赦ないところについて語った。

「ぼくらはピッチ上ではよりアグレッシブだ。何点でも取ろうとする。昨シーズン(※エメリ就任前)はブランとたくさんの得点を取ったが、どの試合でも2点目、3点目を取ろうとはしなかった」

「いまエメリはぼくたちにより多くの得点を求めるし、相手へのリスペクトを求める。ぼくたちはよりよくなったと思うよ」

5. マルキーニョス(Marquinhos)

シルヴァの指摘もありながら、マルキーニョスはエメリに無謀なところはないと指摘した。

「エメリはこのタイトルの功労者だ。彼はぼくらをとても注意深くプレイするようにしたし、いいフィロソフィを示してくれた。チャンピオンになることはいつも美しい。これは物語の一部なんだ」

6. マルコ・アンドゥレオリ(Marco Andreolli)

エメリが注意深いという点について、エメリはとくに守備面に注力するマネージャーだ。

「戦術的な面からは、彼はスペインの試合よりもむしろイタリアン・フットボールのほうが合っているだろうね」

「トレイニングでは守備局面の練習をハードにやっているし、特定の相手を想定したカウンターについても」

「明らかに、われわれがイタリアでやっているのとまったく同じように戦術を優先するということはないが、彼は試合の戦術的な面では、ほかのスペイン人コーチよりも、とくにハードにやっている」

7. カルロス・バッカ(Carlos Bacca)

セヴィーリャでエメリのもとプレイしたバッカは、ボールを保持していないときの役割について語った。

「いまでは教えられたことは自分のものとなっているよ。守備やチームを助けるということとか。前にいたクラブではぼくの仕事は得点することだった。でもセヴィーリャでは守備の義務もある」

「ときどきほかのチームにやられそうになることがあるが、守備をすることで攻撃でもいい効果があるということを、エメリはぼくらに示してくれた」

「いまでは試合にもっと関わっている。うしろに戻るときもあるし、いいスペースを見つけて、ゴール前では多くのチャンスを得るんだ」

8. ウナイ・エメリ

アーセナルは4位で満足していると批判されてきたが、エメリはファンにタイトルの喜びを思い出させるだろう。

「ファンは目に見える情熱(エモーション)を求めている。そしてそれを実現する方法は彼らに情熱をもったチームを与えることだ。インテンシティ、攻撃、得点、競争、ファイト。それが彼らを覚醒させる。ファンは情熱を求めているんだ」

「チャンピオンズリーグはより金をもたらし、よりよい選手を買えるだろう。しかしファンが本当に求めていることは自分たちのチームを楽しむことだ。何かしらを勝ち取ることだ。もし金があってもフィーリングやエモーションは金で買うことはできない。無意味だよ」

「チャンピオンズリーグに参加したとして、いくばくかの金を稼いだとしよう。しかしもしグループで敗れているようではファンにとっては何の意味もない。そう、たしかに20Mポンドにはなった。でもそれがなんだっていうんだ」

9. エイドリアン・ラビオ(Adrien Rabiot)

エメリがスクワッドに要求するものは多くても、彼は冷たいわけではない。自分のやり方に対するひとの意見も聞く耳を持っている。

「ブランはなんていうかあれだったけど、エメリはちょっと選手に近いと思うんだ。ほんとにみんなとコミュニケーションを取りたがるコーチだよ」

「彼は練習のあとにみんなに意見を聞いてきたんだ。何が好きで何が好きでないかとか。トレイニング後でへばっていない限りは聞いてきたな」

「これはスタッフにとっては、彼の練習方法に合わせるのにとても重要だった。自分たちがどれくらいの負荷に耐えられるかぼくらに質問することで知る必要があったんだ」

「フットボールに限らずあらゆるスポーツでコミュニケーションは本当に大事なものだ。これがぼくが見つけたエメリのいいところだね」

10. ジュリアン・ロウレンス(Julien Laurens)

在英のフレンチ・フットボールについて詳しいライター、ロウレンスは、しかしながら、エメリはPSGの選手たちがいったことに耳を傾けすぎたことを示唆している。BBCに話した。

「彼のPSGでの最初の試合は2016年のトロフェ・デ・シャンピオン(フランス版コミュニティ・シールド)のリヨン戦で、4-1で勝利している。PSGはそれまで見せたことないほどインテンシティ高くプレイした。それはまるで彼のフィロソフィそのものだった。ハイプレッシング、たくさん走ること、たくさん攻撃すること、たくさん守ること、フルバックはかなり前掛かりに」

「しかしその後、選手たちは自分たちがやってきたフットボールに戻るべきだといったんだ。なぜならずっとプレイしてきたティキタカに慣れていたから」

「エメリは選手たちを従わせるために少し進化させなければならなかったが、あのときあんなふうにすべきじゃなかった。選手たちを彼のフィロソフィに従わせるべきだったんじゃないか」

11. フェルナンド・ヨレンテ(Fernando Llorente)

エメリとの個人的な付き合いのなかでセヴィーリャとの契約更新を決心したのがヨレンテだ。

「重要なのはぼくがセヴィーリャにいるってこと。クラブ、ファン、そしてとくにウナイ・エメリ、彼らにとても愛されていた。それにこれがぼくにとってベストのオプションだということに疑いはなかった」

12. エヴァー・バネガ(Ever Banega)

エメリはスターティングに入っていようがいまいが、選手に高い要求をする。2015年、ELのタイトルを勝ち取ったあとのバネガの発言。

「ぼくたちにはグレイトなコーチがいて、彼はぼくらの一番いい部分を引き出してくれる。ぼくらはピッチにいようがいまいがリラックスするときがない。ここにはとても健全な競争があるんだ」

「(エメリは)ぼくをサポートしてプッシュして成長を助けてくれた。ELのタイトルを取ったことでCLにストレイトインできる。これ以上は望めない」

13. ウナイ・エメリ

アーセン・ヴェンゲルから引き継いだアーセナルのフィロソフィ。彼自身がどのような進化を望むか説明した。

「アーセナルはポゼッションフットボールをやるチームで、わたしがキャリアを通してやってきたスタイルでもある。わたしはこれまでもずっとポゼッション志向のコーチだった」

「わたしのフィロソフィに加えたいものがある。それは可能な限りボールを早く奪い返したいというものだ」

「だからふたつのことがらが重要だ。ポゼッションとプレッシング。アーセナルの選手たちには、エナジーやエモーションをファンに伝えてもらいたい」

以上

エメリの人物像。ヴェンゲルとの対比

アルメリアの選手たちのコメントがひでえな(笑)。

まあ彼のキャリアのごく初期ということで、選手たちの反応を観察する余裕がないほど若かったということかもしれない。だってこのときはまだ30代前半だったはずだから。

そしてこのときからすでにビデオをかなり使っていたと。何時間もモチベーショナルフィルムを見せられるとかちょっとした洗脳である(語弊)。

ぼくが興味深く思ったのは、ビデオをうんざりするほどたくさん見せたり何事も長く細かく説明したりと、基本しつこい人物だけど、選手のいうことにはちゃんと耳を傾けるなど、あまり頑固な性格でもないということ。頑固じゃないってのは彼のキャラクターをヴェンゲル監督と比較するうえで、大事な要素かもしれない。

それと、とにかくコミュニケーションをよく取るというところが現代のコーチという感じがする。

ヴェンゲル監督はけっしてコミュニケーションを避けるようなマネージャーだったとはいわないが、やはり若い選手にとってはほとんど祖父と孫くらいの年齢差で、密なコミュニケーションで信頼関係を築けていたとはいい難いのではないだろうか。チェンバレンが以前クロップについて語ったことがあるように、現代のチーム運営では選手とコミュニケーションを取るマネージャーのほうが何事も円滑にいきやすいという気はする。

それとバネガがコメントしているように、わりと非レギュラーの選手たちにもチャンスを与えるマネージャーなのかもしれない。

それもまた、ヴェンゲルがレギュラーと非レギュラーをかなり明確に分けてメンバーを固定化したマネージャーだった(本人はそう思っていないかもしれないが)のに比べると、かなり新鮮味がある。

ぼくは監督の腕の見せどころは、チームがうまくいかなかったときそれにどう対応するか、問題に対する対応能力だと思っている。

うまくいっているときは、どんなマネージャーだってうまくやるのだ(トートロジー)。そうでないときにどう立ち回るのか。どうそれを解決するのか。

ヴェンゲルさんはとにかく頑固なアプローチを崩さなかったが、エメリがどのように問題に対処していくのか、ぼくらファンもそれを注意深く見ていく必要があるだろう。

シーズンが始まるのが楽しみでならないね。



4 Comments on “エメリに関する13のコメントからひもとく、エメリのフットボール哲学

  1. アウェイでのフォームがすこぶる悪いアーセナルにとっては、洗脳・催眠術は万々歳ですね笑

  2. シーズン始まる前から、勝ったも同然的な感覚になっているのは、あたしだけでしょうか。
    ほんと、楽しみでなりません。

    1. > 勝ったも同然

      あたしもですよ。

      まあ初戦がシティなんで、すぐに鼻っ柱を折られる可能性もありますが。

      エメリはヴェンゲルと違って負けないフットボールができるマネージャーということなので、悪くてもドローに持ち込んでほしいっすね。

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