勝ったあとにこういうのも少し気が引けるが、CLのあとにこの試合を見ると、あらためていまのアーセナルの攻守におけるクオリティの低さを感じた。なんならプレス耐性ではヴァレンシアのほうが上ではないか?
それでも今回は結果を残したことが大きい。
10分にあっさりとアウェイゴールを喫したときはどうなることかと思ったが、終わってみれば3-1とホームでのファーストレグとしては上々の結果となった。
ストライカーの決定力で本質的な問題が有耶無耶になる的な。なんか今季のアーセナルを象徴しているみたいじゃないか。。
Arsenal 3-1 Valencia: Gunners in control of Europa League semi-final after late goal
すっかり遅くなってしまってもう日曜ブライトンのプレビューのタイミングだが、ELヴァレンシアのファーストレグを振り返ろう。まずはコメント集から。追って論点を。
エメリの試合後コメント
試合後のプレスカンファレンスより。
(アドヴァンテージを得たことになるんでしょうか……)
エメリ:グッドイーブニン。われわれのアイディア、わたしの考えていることはもうセカンドレグのことで、引き続きとても難しいものになるだろうということ。まだ50/50のチャンスで、ホームでのファーストレグの結果としてはいいものになった。しかしセカンドレグはとても難しくなるだろうし、またこことは違うものになるだろう。お互いにまだ50/50だと思う。
(十分な結果か……)
今日は満足しておくべきだろう。サポーターも誇りに思う。90分ずっとサポートしてくれていたのだから。選手たちについてもそうだ。1-0のあと落ち着いてプレイすることは簡単ではないし、あのチーム相手にカムバックしたのだから。ヴァレンシアが3失点することはふつうのことではない。とくに1-0からだ。彼らはとてもとてもトランジションに優れたチームだ。それが今日チームのワークを誇りに思える理由だ。しかしセカンドレグはとても難しいものになる。
(元ヴァレンシアのコーチとして、メスタージャの雰囲気はどんなものになりそう……)
わたしはセミファイナルでのプレイを楽しみたいと思っている。この90分で終わらせたくないし、追加タイムやペナルティシュートアウトもいらない。試合を楽しみたいんだ。このチームで、選手たちサポーターたちと一緒に。この結果をもってあそこでプレイするのだから、雰囲気はとてもとてもタフなものになるだろう。でもそれがふつうのことだ。彼らはセミファイナルでプレイするチームで、この結果からカムバックできる可能性をもっているチームだ。でもわたしはプレイしたいね。準備して、自分たちの戦略をもってプレイしたい。プレイしてワークを楽しむセミファイナルだよ。
(オバメヤンとラカゼットのパフォーマンスについてどれくらい満足……)
イエス。ふたりともとてもいいパフォーマンスだった。チームのどの選手にも云えることだが。サポーターやチームのワークを誇りに思える。今日はそれで満足だ。でもわたしは彼らにこう云っているよ。まだファーストレグだとね。セカンドレグはとても厳しいものになる。サポーターの前でこのようなパフォーマンスができるならそれを楽しむことができるだろう。サポーターも喜んでいると思うよ。でもセカンドレグに向けて浮かれてはいけない。
(ネイポウズでやったようにヴァレンシアでも得点を狙う……)
イエスだ。われわれはつぎの試合は50/50のつもりで準備する。勝利、得点、いい守備を考えなければならない。攻撃についてもだね。ボールを持ってコントロール、ポゼッションする。だが、(それができるかどうか)わからない。彼らもサポーターの前で力強くプレイするだろうから。
(トレイラではなくゲンドゥージを起用したことについて……)
ヴァレンシアのようなチームを相手にしたときにはボールを持つ必要があった。彼らは4人の2ラインを敷くので、それをブレイクするパスがほしかったし、前への推進力もほしかった。マテオならそれができると思ったんだ。メストとのコンビネーションもだね。しかしファーストハーフが終わって、彼はわたしが思っていたようなプレイができていなかった。ポゼッションやチームの組み立てに貢献していたけどね。それがマテオを使った理由であり、ルーカスがベンチからチームを助けることができた理由だ。彼らはチームにそれぞれ違ったクオリティをもたらしてくれる。彼らは一緒にプレイもできるし、あるいはどちらかひとりだけのときもある。試合による。今日はマテオに決めたのは、メストやストライカー、ウインガーへパスを出してほしかったからだ。その後試合が変わってきて、ルーカスを入れたインパクトもあった。それがわれわれがやったことだ。
勝ってなお50/50のチャンスだとチームを引き締めることを忘れないエメリ。ボスが敵を知っているというのは心強いですな。
ゲンドゥージとトレイラの起用法について詳しく説明しているのがちょっと意外だった。エメリはこういったことをあまり詳しく話さない印象がある。
ぼくはゲンドゥージではなくふつうにトレイラのスタートを予想していたけれど、意表をついてゲンドゥージをスタートさせた。エメリが述べているゲンドゥージの役割については完全に同意できる。攻撃の選手につなげるという期待されたプレイを十分にできていなかったというのもまったくそのとおりと思える。
ゲンドゥージはシーズンを経るにつれ、やや長所が失われていっているような気がするのは気のせいだろうか。ポジショニングのまずさは相変わらず各所で指摘されつづけているが、とくにシーズン序盤に見せていた彼の良さは向こう見ずでやんちゃなところだと思っていて、ドリブルやリスクをかけたヴァーティカルパスはいまのアーセナルの中盤においてはかなりいいアクセントになっていた(つまりエルネニーにまったく欠けていたところだ)。エメリが期待していたのはそういう部分だと思う。
彼にはおそらくいろんなインストラクションがあって、もしかしたらもっと基本的なところから学んでいる最中かもしれないが、それによってとんがったところが丸くなってしまうのはなんだかもったいない気はする。エキスパートの教育ってのは難しいもんですね。
エメリは心配されるコシエルニのフィットネスについても語っている。
エメリ「コシエルニのフィットネスはまだわからない」
エメリ:コシエルニが日曜のブライトンとセカンドレグにフィットしているといることを望んでいるが、まだわからないんだ。
ローランは激しく疲労している。彼はセカンドハーフのトランジションで50メーターのスプリントをやったりしているのだから、彼が疲労しても無理もない。
最後の10分でナチョ・モンレアルに変えたのは、彼が小さなケガがあったからなんだ。
え、ケガ? そうなの? 大丈夫なのかな。。でも結局これも恐れていたものだよなあと思える。
彼が一週間に3試合ペースでフルに使い続けられるほど若くないことはすでに十分わかっていたことで、しかしどうしても勝たなければならない試合で彼を休ませる余裕はいまのわれらにはなかった。毎シーズンのことながら、選手層の薄さがチームの弱体化に直結してしまっている。
ラカゼットのコメント「セカンドレグではセットピースに注意だ」
まさにメインマン。ハットトリックを逃したことだけが残念。BT Sportsの試合後のインタビュー。
ラカゼット:ヴァレンシアでは難しくなるだろうことはわかっているので、できるだけたくさんのゴールしたほうがいいと思っていたんだ。
もうふたつチャンスがあったからもっとうまくやるべきだったよ。でもオーバのおかげで3点目が入った。
ファーストゴールを決められてしまった。彼らがセットピースのいいチームだということは知っていたので、セカンドレグでは気をつけなければならない。でもチームはいいキャラクターを見せたしいい反応をしたよ。それが今日のよかったところだ。
ELに勝ってCLに行きたいね。トロフィもほしいよ。PLでトップ4に入りたいし、バク(ELファイナル)に行けるなら特別なものになるだろう。
失点したあと、ラカゼットがこめかみに指を当ててなにやら大きな声を出していた様子がカメラに抜かれていた。「集中しろこのボケナスのおたんちんどもが!」そう叫んでいたんだろう。そういうとこだよな。
18-19アーセナルのプレイヤー・オブ・ザ・シーズンは、アレックス・ラカゼットに決定
先日来オフィシャルサイトで行われていたPOTSの投票で、みごとラカゼットがトップを獲得。そういえば、これってファン投票だけで決めるのかな。
Introducing our 2018/19 Player of the Season… Alex Lacazette! 🔥
Big congratulations, @LacazetteAlex 👏
— Arsenal FC (@Arsenal) May 3, 2019
プレイだけでなくメンタリティの面でもチームへの貢献度はもっとも高かった。文句なしのリーダーだ。
PEオバメヤンのコメント「人間だもの」
このラウンドを決するかもしれない、超重要ゴールを決めた。最後のさいごに。
(3点目はどれほど大きい……)
PEA:重要になることを願うよ。ぼくらの始まりはよくなかった。でもいいリアクションをしたし、結局のところ今日はとてもいいプレイをした。
(プアスタートは自信のなさから? それとも神経質になった?)
そうだね。そう思う。ちょっとナーヴァスに始まった。だって3連敗していたからね。それはふつうだと思うよ。ぼくらは人間だもの! でもいいリアクションをした。
(エジルとラカとはいい相互理解があります。クリエイティヴィティに助けられてる?)
イエア。グループのなかにはたくさんのクオリティがあるよ。ファイナルにだって行ける。でもつぎの試合は難しくなるだろうことはわかってる。でももしぼくらがそこで同じ具材を使えるなら、間違いなく勝ち抜けるだろうね。
(今年ファイナルにはどれくらい行きたい気持ちがある?)
ファイナルにたどり着いてトロフィを勝ち取るのがぼくら目標だ。来シーズンのCLに出場できる機会だし。去年はセミファイナルで終わってしまい、そこでたくさんのことを学んだ。今年は同じエラーを繰り返したくない。
(日曜のブライトンは? 最後のホームゲーム……)
ファンに勝利を捧げる必要があるよ。それもふつうのことさ。タフだとはわかっている。PLで3位4位に入るのはとてもタイトだから、ぼくらはCLにたどり着くためになんでもやるんだ。
ソクラティスのコメント「みんなミスをする。ロボットじゃないのだから」
ファイター。
(結果について……)
ソクラティス:この3連敗からいいレスポンスだったと思う。今日はいいプレイをしたと思うよ。3得点したし、もっと多く取るチャンスもあった。いまは日曜の試合について考えている。ぼくらにはとても重要な試合だからね。そして来週もだ。
(チームのキャラクターについて……)
とても重要だね。それが大きな自信を与えてくれるのだから。ヴァレンシアのようなとてもいい選手のいるいいチームを相手にすることは簡単ではない。難しい試合だった。
(セカンドレグのキーになるもの……)
得点する必要がある。今日のようなキャラクターを見せなきゃいけないだろう。
チームへの批判についても考えを述べている。パパは最近よく語っているなあ。
ソクラティス:ぼくらがCLにふさわしいと思う。先週はよくなかった。しかしそれでも問題ないと考えなくちゃならない。3試合はほんとうに悪かった、でもこの8ヶ月やってきたことについて考えるべきだ。
この3試合ですべてが台無しになるわけじゃない。それがフットボールだ。勝つときもあるし敗けるときだってある。勝たなければならなかった試合だったし、残りの試合はすべてに勝つ必要がある。簡単ではないということも理解しておくべきだが。
アーセナルのようなチームでプレイしているなら、3試合も負ければ批判の声が聞こえてくることだってもちろんある。改善しなきゃならない。ぼくらがここにいるのは進歩するためであり、クラブ、ファン、自分たち自身にベストをもたらすためだ。
思うに最大のポイントは集中だ。ぼくらはビッグファミリーでみんな団結している。一週間のうちに、コシエルニがミスをやり、ぼくがミスをやり、ムスタフィも同じ、ナチョもそう。ぼくらは人間であってロボットじゃない。
もちろんぼくらは進歩しなきゃならないし、毎試合100%を出す必要がある。進歩のためには批判もいいと思うが、メンタルについては触れられたくない。
メンタルについては触れられたくない? 訳間違えてるかも(but they do not touch us mentally)。
チェフのコメント「セカンドレグは厳しい試合になる。ヴァレンシアは失うものがない」
ビッグセーブでチームを救った。チェフがアーセナルでプレイするのもあと数試合。
(最初の15分……)
チェフ:リーグでは3連敗していて、それがチームに少し影響を与えていた可能性はある。スタートはよくなかったし、自信でもアグレッシヴなところでも彼らのほうがいいスタートをした。多くのチャンスをつくり、そしてゴールした。しかしそれ以降ではぼくらが試合に戻っていった。そこからのパフォーマンスはブリリアントでファーストハーフで2ゴールできた。セカンドハーフには3点目も狙ったが、もう失点しないことも目指した。結局両方のタスクをなんとかやり遂げたんだ。
(ラカゼットとオバメヤンのインパクト……)
ぼくらはチーム全員に負っているよ。そしてストライカーたちのクオリティにももちろんだ。フットボールの試合に勝つには得点が必要で、いま彼らふたりが得点を量産している。願わくばメスタージャでもやってほしい。
(エミレーツのクラウドについて。今日のような夜を恋しく思う……)
イエア。ぼくにはこの試合がヨーロッパの試合では最後のホームゲームだったんだ。だからちょっと変なフィーリングだったね。最後の試合でトロフィを掲げるという夢のためにもこの試合には勝ちたかった。まだ夢はつづいているし、チームメイトたちには感謝したい。ぼくらはいいポジションにいるよ。
(ナポリでのアウェイパフォーマンスをこのセカンドレグのテンプレートにする必要性……)
夢を追い求めているなら、ホームでもアウェイでも勇気を見せる必要がある。それがヨーロッパのトロフィを勝ち取る方法だ。つぎの試合がここよりももっと難しいものになることはみんなわかってる。彼らはもう失うものがないし、結果だけを追ってくるはずだ。この勝利をアドヴァンテージとして活かしたいね。
チェフはチェルシーでCLを取ってるんだよなあ。その経験でチームを最後まで連れて行ってほしい。
チェフさんといえば、このたびファーストシングルをリリースすることも話題。
Petr Cech: Arsenal goalkeeper to release charity single with Queen drummer Roger Taylor
クイーンのドラマー、ロジャー・テイラーと共演したチャリティソングだとのこと。やっぱり歌うのでしょうか?
Watch out Ed Sheeran, Stormzy, & others, there’s a new artist in town 😂😂😂🤣🤣. To mark my retirement the legendary Roger Taylor and myself thought it would be fun to do a song to raise money for the wonderful @Willow_Fdn . out next week on Virgin Records. 😂😂 #thatsfootball pic.twitter.com/vDZPSTINyM
— Petr Cech (@PetrCech) May 3, 2019
このジャケットのダサさが逆にカコイイ。
マルセリーノのコメント「メスタージャではアーセナルを苦しめる」
ヴァレンシアのボスは諦めていないようだ。
マルセリーノ:この結果は大きい。彼らはとても決定力があった。局面での成功と効率があった。リターンレグでは多少のラッキーがあるといいと思うね。
最初の90分としてはとてもいい結果だったと思うよ。ベストではなかったとしても。しかし単独の試合なら3-1という結果だ。
多くのフェーズでわれわれはアーセナルをコントロールした。わたしはベンチから、うちのチームに問題があるようにも見えなかった。システムにもよく対応した。
アウェイゴールも奪ったし、メスタージャでは彼らを苦しめることができる。まだこのタイは決していないし、ホームではアーセナルを苦しめるよ。
この結果で複雑な状況に陥っているが、ファイナルへ行くという気持ちが除かれたわけではない。その気持が自分たちが勝てるんだということを信じさせるんだ。
不気味ですな。
つづいて論点エントリを追って。