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【マッチレビューその2】18/19UEL LAST4 1stレグ アーセナル vs ヴァレンシア(2/May/2019)ラカゼット輝くも、チームはなお不安定【マッチスタッツと論点】

ELヴァレンシアのファーストレグのレビューエントリは、コメント集につづいてマッチスタッツと論点をおとどけ。



試合について

アーセナルのファースト11

ゲンドゥージ/トレイラ以外は予想どおりだった。

ホームなので本来は4-2-3-1かあるいはダイヤモンド4-4-2とか、エメリはこれよりももっと積極的なシステムで臨みたかったのだろうが、コラシナツをLBで使うリスクをかけたくないのと、できれば故障明けのモンレアルを使いたくなかったためのバック3と思われる。コラシナツはWB専というのがやっかいすぎる。

マッチスタッツ

ヴァレンシアはアウェイらしい戦いをしていたが、それでも十分ボールをもったしカウンターはやはり脅威になっていた。

ポゼッションもその他のスコアもホームチームとそれほど離れていない。

大きく差が出ているスタッツはファイナルサードパス(198本 v 88本)くらいで、あとはビッグチャンスの数は4つづつで同じだし、ドリブルに関してはヴァレンシアが勝ってすらいる(9 v 12)。

xGも2.6 v 2.1とわりと互角である。スタッツだけ見ても、3-1という得点差ほどの違いはなかった。決定力の差がこの結果になったと云えそうだ。

試合の論点

連敗からの脱出

試合後の選手たちも連敗の影響については口をそろえていたように「もしヘマをやったら……」とナーヴァスになっていたのも当然かもしれない。圧倒的な強さを見せていたホームでも勝てると思っていたCPのようなチームに敗けてしまっていたのだからなおさらだ。

しかし、苦しみながらも、終わってみれば3-1という理想に近い結果でファーストレグをなんとか乗り越えることに成功した。

しかも1点を先行されるという厳しい状況から、すぐに追いついて最後には引き離したこともチームには大きな自信になったことだろう。

今シーズンは昨シーズンからつづく「アウェイ病」を患っており、チームはヘッドコーチを始め、どうにもこのメンタルマネジメントについて解決策が見いだせていないようだった。

セルフコンフィデンスを失っているチームにとり、得点や勝利が一番の良薬であることは論をまたない。

さらに日曜のブライトンに勝てるようなら2連勝だ。

今季はあとリーグ2試合のELがポッシブリー2試合の計4試合を残すのみ。

ここで3-1で勝てたことの意味は非常に、ある。

攻撃の停滞が守備にも悪影響を与えている?

とはいえ、内容は決して褒められたものではなかったことも指摘しておきたい。

このチームには連敗した試合から引き続き同じような課題があって、現在のチームが抱える問題をある意味浮き彫りにしたような内容だったようにぼくには思えた。

それは引いた相手に対しての攻撃やビルドアップのまずさがあって、それがいつも逆襲のきっかけになっているということ。そのせいで、もともと攻撃が上手/積極的じゃないチームよりもアーセナルでははるかに守備負担が重くなっている。

今回はホームでボールを持って圧倒すべきところが、あまりに多くカウンターを喰らいすぎていた。ヴァレンシアのボス、マルセリーノが自分たちのプレイが悪いとも思えなかったと述べていたのも当然だろう。実際アウェイチームとしてかなりうまくやっていたのだから。彼らにしてみれば自分たちのプレイに手応えを感じていたに違いなく、3-1という結果も受け入れがたいものかもしれない。

相手がトランジションがいいチームだとわかっていたのだから、ある程度その対策もされていた(それでバック3?)のだろうが、それでもあそこまで何回も逆襲を受ければディフェンダーは苦しくなるに決まっている。スプリントを繰り返したコシエルニを始めCBはかなり消耗してしまったし、チェフのビッグセーブなどがなければ、アウェイゴールをもうひとつ食らっていてもおかしくはなかった。

アーセナルは「攻撃は最大の防御(ワラ)」を地で行くクラブだが、最近ではディフェンスが危険さらされるときは攻撃の拙さが原因に思えることがとても多い。いわゆる格下相手に結果が出ない原因もそこにある。

ピンチや失点のシーンではポジショニングやカヴァリング、あるいはDFの守備能力のような守備面ばかりが批判されがちだが、今回の試合を観ていて、アーセナルの守備問題はムスタフィだけを外せば解決するような簡単なことではなく、もっと別な問題があるように思えてならなかった。

では近頃のアーセナルの攻撃/ポゼッションで何が問題かといえば、アイディアやクリエイティヴィティの欠如であり、それらを可能にする属性の選手の不在だ。あとはフィットネス不足と薄い選手層も。

アイディアやクリエイティヴィティがないというのは、相手にとり意外性がないということ。予想の裏をかくことができていないということだ。

ラムジーがアーセナルを退団することになってからは本人の活躍もあり彼の不在を嘆くような試合展開を多く見かけるが、それは要するにラムジーのいないアーセナルの攻撃は相手にとっていつも予測可能な動きになってしまっているということだろう。

ボールは持つが、パスが危険なエリアに入ることはまれで、まれに入ったはいいがつぎのアクションにつながらない。ボールを受けてからパスの出し先を探してしまうようなどんくささもある。

比較的時間的余裕のあるCBがボールを持ったときも、前方にパスの出し先がなく、成功率のとても低い長いボールを出して簡単に奪われるとか、あるいは両手を広げて受け手を探すようなシーンも最近はとくに見ることが多い気がしている。これはまさに悪いときのアーセナルだ。

また、もちろん連敗しているという状況で自信を失っているので思い切ったプレイを選択できないという原因もあるだろうが、このところアーセナルの選手たちのパスクオリティはとくに低く感じられる(スタッツは確認していない)。コラシナツはもともとパス精度の低い選手だが、彼が試合開始からふたつもイージーなパスミスをやっていたのを見て目が点になってしまった。パスが下手なアーセナルとはこれいかに。

エジルは唯一と云っていいアーセナルのアイディアの源泉だが、おそらく彼ひとりではだめなのだ。ここにカソルラがいれば、15-16年式のエジルを見ることができるのかもしれない。

CLで見たヤング・アヤックスはアウェイでも自信にあふれていてパススキルも非常に高かった。パスコースのひとつひとつが気が利いていて、しかもまるでパス先を見ないでもそこに選手がいるとわかるようなオートマティズムがあった。チームがひとつの生き物のようで、そのレベルの洗練はいまのアーセナルにはない。

それと、これはどこかの分析記事で見て、あとDAZNのコメンタリのひとも同じように指摘していたが、アーセナルにはドリブラーがいない。それとボールを受けるために危険なスペースに走り込む動きが少ない。ラムジーはドリブラーではないが、両者の効果は似ている。予測不可能性である。右に行くのか左に行くのかわからない。ゲンドゥージもいいときは予測できないような驚くようなパスをやる。

相手のディフェンダーにとっては目の前で予測できる動きしかないので、守るのが楽なはずだ。そして、プレスでボールを奪ったらカウンターで突くべきスペースはたくさんある。

これはとても皮肉なことだけれど、たとえばジルーの時代はMFのクリエイティヴィティと比較して、CFのクオリティにいつも不満があった。それが、いまはPEAとラカゼットというかなり優秀なFWを抱えながら、今度は彼らにパスを送るべきMFのクリエイティヴィティやアイディア不足を嘆いている。

アーセナルにはパスクオリティの高さはもちろん、いい意味でのケイオスをつくりだせる存在(攻撃のキーマン)が必要で、とくにラムジーのリプレイスについては彼が担っていたポジションというだけでなく、彼がアーセナルにもたらしていた「効果」を代替しなければ、彼のことを未練たらしくいつまでも語りつづけるようなことになりかねない。

長々と書いてしまったが、ぼくがこのパートで何を云いたかったかと云えば、アーセナルは攻撃が改善すれば、自ずと守備も改善するということである。

自分でも守備がよくなれば攻撃もよくなると考えがちだったのだけど、ここ最近はそれと反対のことを考えるようになってきた。

守備より攻撃。これはもしかしたらおれはヴェンゲリズムを理解しはじめているのかもしれない。

ラカゼットとオバメヤンの大きすぎる存在

すべてのコンペティションで、ラカゼットはG18 A12、PEAがG25 A8。これがそれぞれ今季残している数字だ。

彼らが優秀すぎて、今シーズンのアーセナルは彼らへの依存度がかなり大きくなっている。

ふたりとも長期の離脱もなかったことも幸いだったが、もしこのふたりがケガで長らく離脱するような事態になっていたら、いまトップ4を争うどころかその下のグループのなかにいたかもしれない。

また、逆に彼らはまだまだ先へ行ける可能性もある。先に述べたようにアーセナルの攻撃やビルドアップがここから改善すれば、チャンスの量はもっと増えるはず。

それと、オバメヤンについてはゴールデンブーツを争っているライバルに比べてもBCミスがかなり多い。

PLのBCミスではPEAが2位。ラカが9位。

もしPEAがケイン(11本)やアグエロ(10本)と同等だったら、ダントツのトップスコアラーである。

ナポリ戦の再来を。セットピースに注意

ファーストレグをホームで先勝し、セカンドレグにかなりタフなステディアムに訪れるという流れは、奇しくもクォーターファイナルのナポリと同じ展開だ。

アウェイゴールこそ奪われていなかったが、得点差も同じ。

ホームのリードをアウェイでなんなく守るという理想的な内容で、今回も同じような展開にできれば云うことはないが、ヴァレンシアがナポリと同じような戦法で効果的かどうかはわからない。

詳しくはまたセカンドレグのプレビューのときにチェックするとしよう。

唯一、かなり警戒をしなければならないとわかっているのは今回もやられたセットピースだ。10分の失点の直前にもセットピースからひとつBCをつくられている。どちらも事前に準備してあったやり方のように見えた。

そして、この事実。

アーセナルはPLのチームのなかでもっともヘッダーで失点(16)しているチームだそうで。

最強のセットピースに最弱のセットピース守備。うん相性は最悪だ。

試合については以上。



またもやレイシズム事案発生

ヴァレンシアのファンがアーセナルのファンに向かってナチ式敬礼&モンキージェスチャをやったとゆう。

Arsenal condemn Valencia fans’ behaviour after a video appears to show them making Nazi salutes

Comunicado oficial

ほんとうにうんざりなんだけど、この手の事案が後を絶ちませんなあ。

以上。

つぎの試合は日曜のPLブライトン(H)。今季ホームのラストマッチ。ホームだがローテーションして勝たなければならない。簡単な試合にはならなさそうだ。

ヴァレンシアにホームで勝つという重要なタスクは完了した。ひとまずは祝おう。彼らとともに。

COYG!

2 Comments on “【マッチレビューその2】18/19UEL LAST4 1stレグ アーセナル vs ヴァレンシア(2/May/2019)ラカゼット輝くも、チームはなお不安定【マッチスタッツと論点】

  1. ラカゼット、ありがとう。
    そしてミキもよかった。
    ELも見られる環境のおかげで、毎試合、一喜一憂。そんな毎日もあと3試合。
    最後に祝いたいですね。
    COYG

  2. 今回の試合のスコアは2-2が妥当だと感じました。
    そんな内容でも3-1で勝つのがエメリの現実的な良い部分ですので全ての不満は堪えて今季見ていました。
    しかし、アヤックスの試合を見た影響もありウィルシャー&ジルーのコンビネーションがあれば
    もう少し熱を持って応援したのにと物足りなさを感じました。
    3-1で勝った試合でも内容が引き分け同然で夢のないアーセナルでは応援する気持ちが冷めます。
    僕はさておき現所属&他チームのグーナーの選手が冷めてないことを願います。
    セスク、ロシツキー、ファンペルシー、ナスリ、カソルラの崩しに感動して
    ウィルシャー、ラムジー、ウォルコット、ディアビの将来に希望を抱いていたことが懐かしいです。
    来季から別のリーグのチームを応援した方が幸せかもしれないと本気で思うこの頃です。

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