リーグチャンピオンとFAカップチャンピオンが戦うコミュニティ・シールド。昨日ウェンブリー・スタジアムで行われた一戦はアーセナルがペナルティ戦で勝利した。
戦前にスターティングを見た限りでチェルシーはアザールがいない以外はほとんどベストメンバーだったのに対し、こっちはサンチェスはおろかエジルやコシエルニまでいないという1.5軍体制で、いつものようにこてんぱんにやられるのも覚悟してたから喜びもひとしおである。
訳あって前半は画像の粗いYouTubeのライブチャンネルで観ていたため選手が誰が誰かよくわかなかったが、なかなかボールを支配できない時間もあったものの、後半も合わせて概ねよくやったんじゃないだろうか。チェルシーの先制点はちょっとしたラッキーゴールだったし、ポストを叩いたラカのシュートなどアーセナルにも得点のチャンスもあった。互角といってよいのではないだろうか。
ペドロが危険なプレイで退場しなければ当然先制点を取られてあのままズルズルと負けていた可能性もあるが、終わってみれば退場しなくても追いついたかもしれないと思わせるような試合内容だったと思う。(ちなみにコンテはペドロのレッドもウィリアンのダイブのイエローにも納得いってないらしい。まあそりゃそういうわな)
PK戦のクロトワやモラタの自信のない雰囲気がありありと見えたのが痛々しかった。
ペナルティ戦のABBAフォーマットは初めて見た。劣勢と攻勢が一気に入れ替わる感じおもしろい。最近Witcher3をずっとやってるんで、グウェントで劣勢をひっくり返すみたいな気持ちよさがある。
ABBAといったらこれだよね。スウェーデンの国民的グループ。
それにつけてもコラシナツ
それにしてもコラシナツ。ボスが戦後に明かしたところによると、新加入の彼をウェンブリーのプレッシャーに晒すのは得策ではないということでベンチスタートにしたらしいが、まったくの杞憂だった。どう見ても彼がMoMだろう。うれしい誤算というやつだ。
コラシナツはフィジカルが強いという印象はあったけど、60分あたりでドリブルでボールを持ってインサイドへ切り込んでいったプレイにはちょっとしびれた。狭い局面でもしっかりボールをつなげるし、セットピースも強いし、おっちゃん何でもできるな。
コラシナツのプレイに対して、英メディアやSNSでは”decisive”や”determined”というワードで賞賛されている。日本語で気持ちよくはまる単語がない気がするんだけど、辞書的には「断固とした」や「決意を持った」などという意味。アーセナルに一番足りないといわれているウイニング・メンタリティを持ってるってことだな。素晴らしいや。
コミュニティ・シールド2017の勝者と敗者
The winners and losers as Arsenal beat Chelsea to win the Community Shield
いつものSquawkaがコミュニティ・シールドの3人の勝者と3人の敗者を選出。
勝者:セアド・コラシナツ
なんというイケメン。なんというアタッカー。この夏のベストサインの一人になるに違いない。そう、たったの1試合。たったの60分だなんていうなよ。
しかしこのボスニア人は左CBとしてピッチに入ってから、アーセナルの左サイドをディフェンスでもオフェンスでも支配してしまった。
タックルして、パスして、空中戦で勝った。ボールを持って進むさまはさながらタンクローリー車。それもとても速い。一人でもレジェンド級だが、ジャカの素晴らしいクロスをゴールに叩き込めばもうスーパーノヴァ(超新星)。
勝者:グラニト・ジャカ
彼のイングランドでのデビューシーズンは「ハンサム・デビル」とからかわれた。それもそのはず、彼はチームメイトとどういうふうに絡めばいいのかわからなかったのだから。いい職人だが、いきなりプロ職人のなかに放り込まれたみたいだった。
だがシーズンも終盤に入るとジャカはアーセナルのスピーディでめまぐるしいプレイにより慣れてきたようだった。そして17/18シーズンの開幕に向けてジャカは待ちきれないでいる。彼はこの試合で100以上のタッチ、90%パス成功率、4のキーパスを記録。もちろんコラシナツへのおいしいフリーキックも。
Granit Xhaka’s passing in the Premier League in 2016/17:
2,268 attempted
2,031 completed
89.6% accuracyFull range on display. 🎯 pic.twitter.com/Hoi15Jc0Ek
— Squawka Football (@Squawka) 2017年8月6日
勝者:アレックス・オックスレイド・チェンバレン
彼は今夏での移籍が取り沙汰されている。ワイドでの仕事が気に入っていないとも表明している。Oxは自分を本来ボックストゥボックスタイプのプレイヤーだと見ている。幸運にもこのチェルシー戦で中盤でやれるスキルのようなものを見せられたかもしれない。
Oxはワイドで攻撃にも守備にもキッチリと対応した。戦術的にワイドに貼ってチェルシーのディフェンスを引き伸ばしたり、苦手な左足でなんどかクロスも上げた。守備もさぼらなかった。セカンドハーフではさらに自信に溢れ、ドリブルでインサイドへ、チェルシーの選手たちの間を踊るように切り込み、危険な場所にボールを送っていた。
敗者は割愛(ファブレガス、クロトワ、コンテ)。ここでもスルーされるモラタが憐れ。
個人的なプレイヤー感想
コラシナツは文句なし。本当にいい働きをしたし、新シーズンに向けて期待が高まる。
ただ、チェンボはそれほど活躍したとは見えなかった。ちゃんと守備に貢献していたのは偉いが、パスミスもドリブル失敗も結構目立っていたから。彼はちょっとドリブルに頼りすぎてしまうときがある。パスがあると思わせるからドリブルで抜けるんであって、ミエミエのプレイでは相手の裏はかけない。自信があるのはいいことだが、過信してはいけない。お手本がサンチェスだったらしょうがないか。あと、ペナルティで勝った瞬間とかほかの選手に比べてテンションが低いのが気になった。エルネニーの喜びようと比べると落差がすごい。やっぱり心ここにあらずなんだろうか。
そう、3人の勝者を選ぶならぼくはチェンボじゃなくて今回はエルネニーを選びたい。この試合の彼はかなりよかった。パススピードも上がっているんじゃないだろうか。これプレシーズンでCBで起用されたということと無縁でないような気がしていて、要するに彼は自信を付けたのだと思う。ボスが選手を信じすぎるということにはデメリットのほうが多いと思っているが、当然こういういい側面もある。来季はリーグではサブ、おそらくカップ戦が主戦場になるだろうが、エルネニーは頑張り屋だし見ていて応援したくなる選手だ。
あとこの試合で気になったプレイヤーはやっぱりイウォビ。タレントだな彼は。新シーズンもエジルの控えという位置づけになってしまうのか。彼もまたエルネニーのようにベンチが中心でカップ戦での起用にチャンスを見出すしかないと思われるが、それで成長スピードが妨げられるようなら、ちょっともったいないと思う。彼のような若手は、コンスタントに試合に出る必要があるし、後半戦まであまり出番がないようならローンで経験を積ませた方がいいと思う。
アーセナルはウェンブリーが大好き。
Arsenal have now won their last 9 games at Wembley Stadium.
WWWWWWWWW
They love it there. 🔴 pic.twitter.com/9Gc5S41Vvt
— Squawka Football (@Squawka) 2017年8月6日
以上