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ヴェンゲルはチェンバレンのような若手とうまくコミュニケーションが取れていない

おれたちの仲間だったチェンバレンが移籍先のリヴァプールで最初のインタビューに応えている。彼が移籍を決断するための要因のひとつだったというユルゲン・クロップを賞賛しているコメントも見ることができるぞ。

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クロップにまつわる一部分を雑に訳してみよう。

監督(ユルゲン・クロップ)についてはどう思ってる? 彼のためにプレイするのにワクワクしているかい?

チェンバレン:昨シーズンはニュートラルな立場で見ていたけど、いいキャラをしているよね。クラブに所属していないものですらも動かす何かがあるっていうか。彼を見ていると、彼の情熱や、試合にどれだけ集中しているか見ることができる。ぼくがすごいなと思ったのは彼と選手たちとの関係だよ。ピッチの外でも中でもどんだけつながりが深いのかっていう。これはねえ、選手が成長しようと思ったときにはとてつもないプラスになることだよ。監督とそんな関係になれる。こんな助けになることはない。彼のリヴァプールがどのようにプレイするのか、それがぼくにとってインスピレーションになるんだ。もしそれがメインの理由じゃなかったとしても、ぼくはここが自分のために完璧な場所だと感じているよ。

 

ユルゲンはこのフットボール界隈ではそんな憧れの目で見られているよね?

チェンバレン:彼がドルトムンドにいたときでさえ、外から見てそんな感じだったよ。彼はサイドラインで生き生きとした監督だし、彼のことを知らなくたって彼のことを知ったような気になるんだ。とにかく、彼が得てきたもの、ストレートな気性、試合というものへの理解、彼の選手たちとの関わり方やモチベーションの起こし方といった彼特有の能力、それはボーナスみたいなものだ。それがぼくに彼が特別に見える理由だよ。

 

彼は選手を成長させる監督である、キミは彼がキミもまたネクストレベルまで連れて行ってもらえると感じているかい?

チェンバレン:イエァ。もちろんだよ。だってそれがそれがここに来た理由のひとつなんだから。彼はぼくを成長させてくれると思っているし、願わくばぼくのベストを引き出してネクストレベルまで連れて行ってほしいよ。間違いない。

以上。

べた褒めである。まあクロップは確かに傍から見ていても面白いよね。あんなに怒ったり喜んだり、喜怒哀楽をストレートに表現できる人ってなかなかいないから、BVBやリヴァポ関係なくファンが多いというのもうなづける。

それにしても、チェンバレンに悪意があったとは思わないが、このインタビュー、クロップへの賞賛がヴェンゲルへの批判になっていることに気づくと、若干ハラハラするものがある。



クロップにあり、ヴェンゲルにないもの

チェンバレンが褒めているクロップと選手の関係の近さ。これはヴェンゲルとの対比で語っていると捉えていいのではないだろうか。たまに指摘されるように、おそらくヴェンゲル監督(67)という人はとくに若手選手とのコミュニケーションが、グアルディオラ(46)、コンテ(48)、クロップ(50)といったほかの成功しているといわれる監督たちほどうまく取れていない。

以前、チェンバレンのインタビューで試合前のドレッシングルームでこれから戦うぞというときにヴェンゲル監督がフランク・シナトラを選曲したという逸話が開示されたことがあったように、祖父と孫くらいの年齢差がそのまま若手選手とのカルチャーギャップになって、それがコミュニケーションに齟齬を生じさせていたとしても不思議ではないと思う。

かつてクロップが自分のチームとアーセナルをヘヴィメタル(BVB)とクラシック(アーセナル)で例えたことがあった。その後少しの気恥ずかしさを伴って本人が取り消したが、今でもけっこう核心を突いていると思う。大人にしてみればクラシック音楽がメタルよりエキサイティングじゃないなんていうことはもちろんできないが、血気盛んで向こう見ずな若ものがクラシックよりもヘヴィメタルをチョイスするのは自然じゃないか。

それに彼らが最近の成績・実績(アーセナルの場合近年の低迷)をもとに監督の能力を測っているとすれば、かつてのアーセナルの成功を知らない若手ほどそういった傾向は強いはずだ。

かつてアーセン・ヴェンゲルが積極的に若手を重用して彼らを成長させることでも評価を得てきたことを考えると皮肉なものである。

ここで語られているようなチェンバレンがクロップに感じている魅力が、どれもチェンバレンがヴェンゲルには感じられなかったものだとすると興味深い。

  • フットボールへの情熱
  • ストレートな気性(激しい感情を隠さない)
  • 試合への理解
  • 選手たちとの関係性
  • 選手たちのモチベーションの上げ方

まあ感情を隠さないなんてことはどうでもいいとしても、試合への理解やモチベーションの上げ方なんかはアーセナルの試合を観ていてたしかにヴェンゲルに決定的に欠けているといわれれば、なるほどという感じはある。とくに移籍希望の選手を筆頭にモチベーションが維持できていないだけじゃなく、モラルが低下しているとすらいえる状況はアーセナルにとって著しく深刻な問題である。

アーセナルの試合で「臨機応変」を感じることはほとんどない。逆にどんな相手でも同じフォーメーションで同じ戦い方、固定したメンバーを使いすぎるとか75分を過ぎないと交替しないとか、試合の流れを理解しているとは思えない凝り固まったやり方のほうが多いと感じる。というかそれフットボールクラブの監督としてはわりと致命的?

 

いずれにせよ、チェンバレンはアーセン・ヴェンゲルが自分をネクストレベルには連れて行ってくれるとは思わなかった。それだけである。ベレリンを筆頭にほかの若手もそんなふうに思い始めているんじゃないかと思うと気が滅入りますな。

 

 

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