3得点と2失点。いいこともあった。悪いこともあった。そんな試合。しかしここでしぶとく勝ったことは大きい。PLで今季2度めの3連勝&公式戦では6連勝。6連勝は2017年5月ぶりというからおよそ1年ぶりという。やっぱり去年もこの時期は調子よかったんだな。
オバメヤンなど活躍すべき選手がしっかり活躍し、またウェルベックやイウォビといったこれまで批判を受けがちだった選手たちも結果を残した。チームが着々と自信をつけていると思いたい。
Arsenal 3-2 Southampton: Danny Welbeck scores twice in action-packed Emirates clash
スターティン
だいぶローテーションしていて驚いた。疲労を見越してか、コシエルニやラムジーはサブにも入っていない。一番驚いたのはリース・ネルソンのスタートだ。彼はこれがEPLで初めてのスタートとなった。
ムスタフィとチェインバースのCBコンビに、エルネニーとジャカのCMコンビ。CAMにイウォビ、左右にウェルベックとネルソンというなんとも見慣れない11人。だいたいエジルがベンチに座っているということ自体が珍しい。
試合後のボスのみことば
試合後のインタビュー。
(木曜のすぐあと日曜にプレイすることについて……)
ヴェンゲル:そりゃ簡単じゃないよね。あんだけしぶとい奴らと戦ってメンタルもハイレベルだった。難しかったよ。また今日もフィットしている選手がいるかどうか怪しかったし。チームを信じなきゃならないよ。何人かは疲労があったが、1点先行されたときや2-2に追いつかれたときですら、試合に勝つための材料を探し続けた。もちろんそれを見つけたよ。一体感もね。このチームのスピリットが好きだよ。だから今日勝てたんだ。
(PLとELで勝つことについて……)
わたしは、どの試合も勝利でさらに強くなると思う。このまま続けることが重要だ。難しいときを乗り越えられたのは、選手たちが素晴らしいメンタリティを持っているからで、ここまで調子を戻したことが誇らしい。これを続けたいね。
(オバメヤンがヤバいっす……)
イエア。彼は必要なときにゴールする。それがストライカーというものだね。4点でも5点でも得点するのは簡単かもしれないが、重要なゴールを決めるのは簡単じゃない。
(ウェルベックですけど……)
これまで何度もいってきたように、わたしはダニー・ウェルベックが好きだ。彼が困難を乗り越えてきた漢だから、とくにうれしい。類まれなメンタルの強さを見せたよ。いまでは彼がこうやって試合を続けられるようになったことがうれしいよ。
(エルネニーの退場……)
ちょっと厳しくなかった? 正直、彼のところを見てなかったんだけど。まあレフェリーはわたしよりいい位置で見てたはずだし、まああとで確認してみよう。
わたしはダニー・ウェルベックが好きだ(告白)。
論点
ダニー・ウェルベックが2G1Aで結果を残す
Man of the Match is @DannyWelbeck, whose 9 goals this season is his best return in a single campaign for @Arsenal since signing from @ManUtd in Sept 2014 pic.twitter.com/us9WX4S6L5
— Sky Sports Statto (@SkySportsStatto) 2018年4月8日
今季9ゴールは2014年の入団以来。てことは二桁得点をしたことがないのだな。どんだけ。
BBC、SKYともにMOMに選出。2得点はどれも重要なものだったし、1点目のオバメヤンへのフリックアシストも素敵だった。
イウォビのふんわりクロスをジャックが折り返し、外すことのほうが難しそうな、ゴール前でただ押し込むだけというシュートをやっぱり外した。それでハットトリックはお預け。まあそれもウェルベックらしい。彼にとって得点はご褒美でハードワークが報われたかっこうだ。
ラムジーといい、ウェルベックといい、なかなか得点できなかったアタッカーの選手たちが得点をしだすだけで、アーセナルはかなりの戦力アップになる。彼らはスタミナ、テクニック、フィジカルと揃っていて、もともと得点までのセットアップは一流だった。とくにウェルベックはフィニッシュだけが課題だと思っていたので、サポーターにとってこの結果はうれしいものだ。彼にゴールセンスさえあればマルシャルくらいの評価はされてもいいはずだ。
ボスもウェルベックの活躍にご満悦。ヤングストライカー(エンケティアのことかな)もいるしもうストライカーの補強は必要ないともコメントしていた模様。
ボスのこの手のコメントには「は?何いってんの?」と反射的に構えてしまうが、まあラカゼットが来季もいてくれるならば、たしかにもう新しいストライカーは必要ない。考えてみればおれたちもだいぶ長いことまともなCFを渇望していたけれど、もうそこだけは理想に近い選手が揃っているんだよなあ。オバメヤンがアーセナルの赤いシャツを着てるとか、いまだにコラ感ある。
ウェルベックはワールドカップに行けるだろうか?
ジャック「ハットトリックに加えておれのアシストも台無しにしてくれたね。でも許すぜメイト」
オバメヤンのグッドフォームが続く
7 – Pierre-Emerick Aubameyang has been directly involved in seven goals in the Premier League this season (six goals, one assist); the most of any Arsenal player in their first seven appearances in the competition. Gunner. pic.twitter.com/NxpgviwTVy
— OptaJoe (@OptaJoe) 2018年4月8日
アーセナル加入以来、PLの7試合で7点に絡む(6G1A)。クラブ記録。ガナー。
彼はほんとうにボックス内の点取り屋という感じで、ゴール前以外は大して存在感もないが、どんなかたちでも得点だけはきっちりしてくれる。前評判どおり。
ところで、彼がラカゼットとの交代だったことを不満に思っていたファンも多いようだけれど、あれはボスなりのラカゼットへの気遣い(あるいは言い訳?)ではなかったろうか。ボスは「オバメヤンは怪我じゃないがちょっと疲れが見え始めたしラカゼットも20分使いたかった」と試合後にコメントしているが、好調のオバメヤンだって交代させるときはさせるんだよというラカへのメッセージだったのではないかと。あれがもし別の選手と交代で、ラカゼットが入ってもオバメヤンがピッチに残っていたらまた違った印象になっていたはず。おれたちはそれが観たかったけどね。
ポジションがかぶるトッププレイヤーをふたりも抱えるとマネジメントが大変ですねという話しである。
イウォビの覚醒
この試合のイウォビもかなりよかった。彼のベストゲームだという説も。CSKA戦の終盤では、ボックス内に侵入し絶好のチャンスでシュートともクロスともつかない中途半端なボールをゴール前に送り、改めて瞬間的な判断力のなさを露呈したが、この試合ではアシストも決めるなど、かなり気の利いたプレイを見せていた。こういったパフォーマンスを続けられるならば、来季もバックアッパーとしてチームに残ってもらいたい。
しかし、彼の足りない部分というのは毎週の試合でこそ培われるものという気もする。現在イウォビはチームで毎試合出場しているわけではなく、彼を成長させるには、もっと小さいクラブでゲームメイカーとしてレギュラーでプレイできる環境がやはり必要かもしれない。
彼はこのまま成長すれば、ロシツキのような選手になる(寝言で)。
ネルソンがPLで初スタート
最高のスタートとはいえないが、無難にデビューしたという印象である。
シニアチームのなかにあってはU23で得られているほどの信頼は得られているようには見えず、パスもさほど来なかった。またボールを持てば、時折いいパスは出していたものの(ボックス前でエルネニーにヒールで出したパスはさすが)、得意のドリブルを披露するようなシーンもなく、本人的には大満足でもなかっただろう。
それにしてもボスがスタートから彼を使うとは驚いた。そろそろちゃんと使っておかないと移籍しちゃうと思ったのかもしれない。
ヴェンゲル:彼(ネルソン)は高いレベルのテクニックを見せたと思うよ。チームのためにかなりがんばった。反面、みんな彼のことはユースチームではもっと一対一で勝負するし、ドリブルもよくやることを知っていると思う。そういう意味では今日は本来の彼だったとはいえないね。まあでも概ねポジティブだったよ。
その辺はまあしょうがないよ。突然相手がもっとアグレッシブで速くなったみたいなものだから。トレーニングではあれくらいの選手相手にしているから彼はそれに対応できる。これが最初の機会だったし、彼はチャンスを逃さなかったよ。
期待しかねえ。
その他のアーセナル選手について
ジャックなあ。ネルソンと交代で入った。明らかにフォームが落ちてる。終盤で敵のレッドを誘ったプレイも、彼がスピードで置いていかれるのを防ごうとシャツを引っ張ったところから始まった。なかなか思い通りにならないという彼の苛立ちが見えるようじゃないか。このままではワールドカップに行けないのではないか。
とくに印象が悪かったのはサウサンプトンの2点めだ。ワンツーパスで抜け出した選手を捕まえていなければならなかったのはジャックだ。あそこですんなり行かせてはいけなかった。マークにつこうとした勢いの逆を突かれたのは痛かったが、あそこで諦めてついて行かないようではマーカーとしては失格だ。守備で貢献できなければサウスゲイトも真ん中で使いにくいはずである。彼が心配だ。
このシーンだ。
Jack Wilshere pic.twitter.com/7s9hCSN5OZ
— JB™ (@gunnerpunner) 2018年4月8日
そしてもちろんムスタフィ。どう見ても最初の失点は彼のギルティだろう。完全に背後にいた相手FWを見失ったし、あの距離感で敵がいるときにボールの処理を譲り合ってはいけない。もしかしたらクロスのボールがラインを割ったように見えて一瞬集中が途切れたのかもしれない。が、セルフジャッジも譲り合いもCBが絶対にやってはいけないプレイなのはいうまでもない。やはりCBは最低でもふたり補強する必要がありそうだ。
エルネニーがレッドカードで退場。何アレ。一発レッドカードということは3試合出場停止? 少しやりあっただけにしか見えなかったのに。シャツが思いっきり破れていてジャックの過失が大きいのは明らかなのに、相手にだけレッドを出した帳尻合わせかもしれない。
CSKA戦で負傷しこの試合にも欠場したミキタリアンの怪我の情報がアップデートされた。彼は膝の靭帯を痛めたとのことで、われわれが想像したよりもだいぶ悪いようだ。これから数週間の離脱が予定されているらしい。ボスはシーズン終了前には戻れるだろうとコメントしている。
またしてもエミレーツ空席問題
やっぱり3割くらい空席に見えたなあ。楽しい試合をやっても週末にファンは戻らなかったか。でもまあローテーションした理由でもあると思うけど、PLはもうほぼ6位確定で(地味にチェルシーがスリップしている笑)勝っても負けても大勢には影響がない試合だった。緊張感のない試合でファンがスタジアムを訪れる気にならないとしてもおかしくはない。
今シーズンはこの流れでもうしょうがないとして、問題は来シーズンだ。どうせヴェンゲル続投で序盤にリヴァプールかシティ、あるいはアウェイでストークかサウサンプトンに完敗する。そしてやっぱり来シーズンは序盤から同じように空席が目立つスタジアムになる。その可能性は高い。
試合については以上。
バイシクルシュートに想う。プレイの伝染
チェインバースの例のヤツ。
ところでウェルベックのフリックのアシストもそうなんだけど、この手のプレイって伝染するよなあと。あまりそういったことが指摘されているのは見たことがないが、そう思わないかな?
最近だとクリロナのアレやチェンバレンのアレとか。選手たちもチャンスがあればおれもやってみたいってYouTubeやSNSを観ながら思うんじゃないかな。そして実際にそれを試すと。
話題になるようなプレイのあとって、いろんな試合でこういうプレイが続く気がする。もちろん今回のチェインバースのシュートはクリロナのアレだし(本人がインスタにアップするくらい笑)、ウェルベックのフリックアシストはラムジーのフリックゴールを連想させる。記憶が頭の片隅に残っているから瞬時にそれが出てしまう。そんなふうに見える。
試合中でも誰かがロングシュートとかミドルシュートを決めたりすると、その後に敵味方関係なく同じように遠目から打つ選手が出てくるっていう光景は比較的よく見かける気がする。この前のリヴァプールとシティのCLでもチェンバレンが見事なミドルシュートをぶち込んでから、シティの選手たちが何人もミドルシュートにチャレンジしていた。
これは気のせいじゃないと思う。それだけ影響力のあるプレイだったということだろうが、いずれにせよ興味深い現象。
以上
アーセナルの次の試合は日本時間金曜早朝のEL、CSKA戦(A)。これに勝ち抜ければセミファイナルに進出だ。
ジャックは酷い出来でしたね。
最近目につくのはファール貰いにいこうとして倒れるけど、ノーファール→ジャックアピール→リプレイ流れて接触ない。という一連の流れ。
怪我しやすいから回避してるのかはわかりませんが、攻撃リズムも崩れるし、「またかー」とみてるこっちとしては思ってフラストレーションが溜まります。
あとチェンバースが最近はミスしなくなった気がします。一時期は彼をいらない子だと思ったのでSell himを唱えてたのですが、安心して見れるようになりました。
やっぱコンスタントな機会って大事なんですねー。頑張ってほしい。
ジャックはいまフィットネスが落ちてるんすよ。それは間違いない。
でも彼を擁護したいのは、長い間怪我をして復帰してというのを繰り返してきたという歴史があって、怪我をしていないときのフィットネスの管理については、試行錯誤の部分があるのではないかと。あたしはそう思いますね。だからまた彼の時間はやってくるはず。
個人的には、この短期的な結果を求める風潮のなかで、彼だけはなんとか長い目で見てもらいたい。それだけの特別なタレントだし、クラブの象徴的な存在である。そういうものを失ってはいけないと。そう思います
影響力のあるプレーってわかる
本当に創造的な選手は自分発信で色んなことできるけど、大半のプロ選手、ならびに他サッカーを嗜む人はそういう人たちのプレーからインスピレーション貰うもんね
咄嗟に「あ、あのプレーだ!(真似)」って選択肢がでる
そういう意味で自分はロナウジーニョが好きだった
ロナウジーニョいいすね。ああいう遊び心を持ったプレイ観たいっすねえ。そんなことをやる選手っていまでいうと誰だろ? EPLにはあんまりいないような。
ディ・マリアとかロビーニョなんかは、すごい大事な試合でもラボーナみたいなプレイをやる選手っていうイメージがありますな。
個人的にはアーセナルに南米成分がほしいと思う理由のひとつっすね。ネルソンのヒールパスは遊び心あったなあと。