カソルラ:ぼくがちょっと驚いたのは、キミがドレッシングルームでどれだけリスペクトされてるかってことだね。まだアーセナルに来てそんなに時間がたってないはずなのにね。ぼくはキミを知ってるし、ドレッシングルームとピッチ上で見たもの、リスペクトされるに相応しいし、キャプテンみたいに扱われるのも相応しい。たとえ副キャプテンだったとしても、正直キャプテンの器だよね。ぼくには無理だよ! 誰もそんなこといってくれもしないよ! キミは生まれながらにしてチーム内でお手本になれる人柄だし、キミとトマス・フェルマーレンが一緒ならどんなことにも立ち向かえるよ。
アルテタ:そうだといいね。でも自分ではそれが必要だったかどうかもわからないんだ。だって今までだれからも副キャプテンになってくれなんていわれなかったしね。ぼくは、ピッチにいるときでもみんなといるときでも、何かを変えたり成長するために必要であれば発言するし行動を起こす。
これはぼくの考えだけど、ぼくたちは14か15の異なる出自からなるグループだとお互いに尊重する必要がある。みんなが自分の意見を持っているし、みんなが違う文化圏から来ていて、それぞれの考え方がある。試合について、監督のことばについて、チームメイトのことばについても受け取り方が違う。だから難しいんだ。
でも同時にぼくらは気安いグループでもある。ナイスピープルで、ノーマルピープルなんだ。誰もほかの人たちよりも自分たちのほうが重要だなんていわないし、RVPが地に足の着いた人物であるとか、みんながドレッシングルームで居場所を探しているだとか以前に同じなんだ。強制されているわけじゃない。
監督がこの責任を与えてくれたことには驚いたよ。だってぼくよりもっと長くここにいる人たちもいたし。でももしもグループ内でぼくがトマスを手助けするのにちょうどいいっていうなら、それは受け入れるよね。
サンティみたいなのがここに来たとして、ぼくは彼のことをよく知っていて、彼がチームにもたらすであろうこともよく知っている。そしたら彼が快適でいられるようできることは何でもやらなきゃいけないよ。だってみんながその恩恵を受けるんだ。まず彼自身もそうだし、彼が快適ならみんなもその恩恵を受ける。
カソルラ:キミには伝えているけど、マンシティ戦でコンパニと対峙していて、腕にアームバンドをしていたのを見てこう思ったんだ。「気をつけろ、そいつはまじでヤバいから……」
アルテタ:コンパニはこんなでかくて、見下ろすみたいにして……
カソルラ:そうそう(笑)
カソルラ:ぼくが本当に意外に思ってたのは、キミがナショナルチームに呼ばれなかったってことだね。キミは何年にもわたってハイレベルでプレイしてきた。今年だけじゃなくてさ。イングランドに移籍してからもずっとヤバいくらいうまくやってきたよね。エヴァートンでもスペクタキュラーなシーズンを送ったし、いまじゃアーセナルの副キャプテンだ。メインマンだろ。えらい変わりようだよね(笑)。チャンスは与えられるべきだったんじゃないかな。そりゃ簡単じゃなかったのは知ってるよ。キミのポジションじゃすごい競争があるからね。もちろんみんなすごいしね。でもいまだにキミみたいな選手がチャンスをまったく与えられないのはどうかと思ってるんだ。
アルテタ:がんばってはいるよ。そこに行きたいって気持ちは失っていない。なぜならみんなが与えられたチャンスを持つこと、勝つだけじゃなくてフットボールを楽しんで勝つこと、あんなすごい選手たちとグループは特別だから。ともに笑い合ってともに泣く……
カソルラ:ぺぺ・レイナには会った?(笑)
アルテタ:正直いうと、妬ましく思うこともあるし、そこでのプレイを享受できないことがもどかしくもある。でも思うに、いまではいい年齢になっていて、自分のキャリアのなかではスポーツ面でも個人的にもいい時期なんだ。安定性という意味でもいつかチャンスがあれば、1日だって構わない、彼らとプレイできたらいいなと思うんだ。
カソルラ:何かぼくが与えられるものがあるといいんだけど……
アルテタ:何かこっそり教えてくれたらいいよ(笑)。
カソルラ:そうだね! どこかで一緒になれるようにベストを尽くすよ。何度も一緒に呼ばれて一緒に楽しめるといいな。
アルテタ:そいつはいいや。
カソルラとアルテタは2-3才しか年齢が離れていないので、ほぼ同じ時期にアーセナルで過ごしたスペイン人同士、ふたりには格別の絆があるのかもしれない。噂されていたように、アルテタ・アーセナルでカソルラがコーチとして働いてくれたらよかったのだけど。
さて、この動画。イングランドとスペインの違いや、異なるカルチャーから見るアーセナル(イングランド)が垣間見れてなかなか楽しい。
そしてアルテタがなかなかスペインに呼ばれないことについても言及されている。彼は結局最後まで一度もスペインに呼ばれることなく現役生活を終えてしまった。それがもしかしたら唯一の彼の心残りかもしれないが、そういうわだかまりを心に秘めている人は強い。のではないかとぼくは思う。
それをルサンチマンといっていいのかどうかはわからないが、現役時代に活躍できなかったコンプレックスを持ち続けている名監督も実は多いと思う。もしかしたらヴェンゲル氏もそのひとりかもしれない。
というわけで、カソルラもリスペクトするミケル・アルテタ。今週という噂もある就任発表が待ち遠しい。