こんな試合でも見どころがあったとしたら、アーセナルが10人でどういった守りを見せるか。そして、それは結局のところ、アーセナルらしくやっぱり最後まで守り切ることはできなくて、2018年のアウェイポイントなし記録は続いたのだった。
ヴェンゲル監督はPLの試合でレスター・シティに一度も負けたことがなかったそうなので、これが初めての敗戦となる。それもまた思い出。
Leicester City 3-1 Arsenal: 10-man Gunners remain without away league point in 2018
ティング
個人的には多くの若手の起用を期待したが、思ったよりも保守的な選択だった。
驚きはRBに入ったエインズリー・メイトランド・ナイルズ。彼はLB、CM、RBをかなり高レベルでこなせることをまたもや証明した。先日別のエントリにベレリンのバックアップも補強の優先順位は高いというコメントをいただいたが、彼のハマり具合を見るとほかのどうしても必要な補強ポジションに比べて、RBの補強は一段下げられてもおかしくはないと改めて確認した。
論点
Creative but Careless
いつものように。
今回15分までのアーセナルはかなりアーセナルらしいクリエイティブな攻撃がうまくいっていて、見ていてワクワクするような楽しい試合になることを予感させた。速いショートパスをポンポンと廻し、レスターのディフェンスをかいくぐる。始まりはアウェイっぽくはなくて、これなら久しぶりのアウェイポイントもゲットできると思った。
しかし攻撃しているときはいつもいい気分でイケイケだからつい人数をかけすぎる。相手ゴール前でもボールを失えば毎回のように逆襲を食らう。最初の失点はそんなところから生まれた。セットピースの流れのなかでゴール前にはあんなにたくさんの赤いシャツがいたのに、ファーからヘッダーで折り返されたボールの先にいたイエナチョがなぜかフリー。あっさり失点する。
さらに失点の直後にはマヴロパノスの軽率なプレイからレッドカード。それまでのイケイケのムードがどこへやら。残り75分はほとんど守備とカウンターの練習となってしまった。
この試合、結果は敗戦となったが、アウェイで1-1をよしとしないその心意気。同点に満足せず10人で逆転目指して攻めた。この敗戦はその結果だとぼくは思う。それがいいか悪いかといわれれば、面白かったからいいじゃんといいたい。面白くなかったけど(どっちやねん)。
アウェイポイントのない4ヶ月&9日間
0 – Arsenal are the only side in the top four tiers of English football yet to pick up an away point in 2018 (P7 W0 D0 L7). Anomaly.
— OptaJoe (@OptaJoe) 2018年5月9日
7 – Arsenal have lost seven consecutive top-flight away matches for the first time since January 1966. Wilting.
— OptaJoe (@OptaJoe) 2018年5月9日
50 – Arsenal have conceded 50 goals in top-flight campaign for the first time since 1983-84 (60), which was also the last time they finished 6th. Quirk.
— OptaJoe (@OptaJoe) 2018年5月9日
アウェイで7連敗。シーズン50失点。ここまで来たら最後まで突っ走ってほしいね。逆にかっこいいよ。アーセナルらしいし、個性的。こんな変なクラブが好きなんて学校の友だちにも自慢できるだろ? 攻撃偏重で守備をまったく顧みなかったボスの最後らしい。
ちなみに、今季ここまでのホームの結果だけでのリーグテーブルがこちら。
トップのシティとたった3ポイント差の2位(笑い)。ホームだけなら見事にタイトル争ってる。なおアウェイのみだと降格ラインが見える20チーム中16位。内弁慶。
マヴロパノスが学んだ
むしろこのどうでもいい試合を使って、彼が学んだこと。それがこの試合の最大のポジティブポイントである。
マヴロパノスは15分にレッドカードでストレート退場になってしまったが、トップレベルのフットボールの怖さを脳みそに叩き込んだはずだ。判断をひとつ誤るだけでチームに致命傷を与えてしまうセンターバックというポジションの恐ろしさ。それでよし。
クソどうでもいい試合とはいえ、一応プレミアリーグの試合、しかもボスに残された最後の2試合だったのだから、彼自身が一番ショックを受けていることだろう。でもそれでよし。あの失敗を忘れないように心に刻みつけるのだ。
たった数試合ながら、この終盤での連続起用を勝ち取っている20才のタレントは、ほとんど疑いのないものに見える。このまま経験を積んでいけばトップレベルのCBになれる。そう感じさせるものがある。だからこの失敗を経験したことはとても大きく貴重で、実りのあるものだったとそう思う。
ところで、マヴロパノスは公式サイトなんかでもわりと「Dinos」呼びで、これなんて読むのかな。「ディノス」って呼ぶとほらアレみたいだし。恐竜とかけてるんなら「ダイノス」? 気になる。
その他よかった選手
個人的に一番印象に残っているのは、AMN。彼は左でも右でもずっとそこでプレイしているみたいにプレイする。これは驚くべきことではないだろうか。ドリブルもパスもできるし、攻撃だけじゃなくもちろんしっかり守備タスクもこなしていた。オバメヤンへのアシスト、個人技で右サイドを突破したシーンはしびれた。
チェンバースがRBを務めるときは、ベレリンとの(プレイスタイルの)違いを感じるが、AMNの場合そこの違和感はあまり感じない。なんならRBのレギュラーを争そえるかも?みたいな。こんな便利な選手ほかにいない。
イウォビもこの試合はなかなかよかったと思う。ショートパスの連続のなかで彼がキープ力を武器にしてドリブルでアクセントをつけることは、アーセナルのビルドアップにとっては非常に有効だと思う。彼はフィニッシュは明らかにあまり得意ではないが、瞬時の判断力とうっかりミスとフィニッシュを改善できれば、もっと上のレベルに行ける。
いまイウォビの身近なところに目指すべき目標があるとすれば、それはミキタリアンではなかろうか。彼はとくに10人になってからも存在感を見せつけていた。パス、ドリブル、キープ力、シュート力、どれも高レベル(ディフェンスもがんばる)で、BVB時代をあまり知らないぼくでも改めてクオリティの高さを思い知った。こんな選手を戦力外にするチームがあるなんていまだに信じられない。
もちろんこの試合でまた得点したオバメヤンにも言及したい。
9 – Since making his Premier League debut, only Mohamed Salah (12) has scored more goals in the competition than Pierre-Emerick Aubameyang. Impact. pic.twitter.com/0roZ322z7G
— OptaJoe (@OptaJoe) 2018年5月9日
あの決定力よ。彼はひとりで何でもできてしまうというタイプのFWではないが、ボックス内で危険な場所にひょいと顔を出すと点で合わせて魔法のようにゴールを決めてしまう。
ぼくがこの試合、結果ほどネガティブな気持ちになっていないのは、もちろん大して重要じゃない試合だという理由もあるが、ポジティブなビルドアップ、攻撃が何度も見られたからだと思っている。
今回のレッドカードは少しアンラッキーなところがあったと思うし(イエローで済んだかもという意味で)、1人減るというイレギュラーがなければアウェイポイントを取って帰るに十分なパフォーマンスだったと思う。
とにかく来シーズンがすごく楽しみになるパフォーマンスだった。ボスがあと2~3人取ったらなんていっていたのを呆れていたけど、少なくとも攻撃に関しては現状でもかなり充実しているといえそうだ。だてに金遣ってない。
レスターサポがアウェイサポとともに”One Arsene Wenger, there’s only one Arsene Wenger”をチャント
これには触れておかないと。先日バーンリーサポーターがヴェンゲルを讃えるチャントの件をお伝えした。そしてレスターサポーターもこの輪に加わった。素晴らしき哉、フットボール。
ヴェンゲル:それ(チャント)を楽しめなかったことが腹立たしいよ。だってとても勝ちたかったし、わたしは勝てないと楽しくないんだよ!
でも、(レスターのサポーターには)感謝しているよ。本当にありがとうといいたい。
イングランドのグラウンドの特別な雰囲気が恋しくなるだろうね。試合のなかでどうするかなんてことよりも、イングリッシュ・フットボールの空気とクオリティは、わたしが永遠に恋い焦がれるものだよ。
いいね。
この試合については以上。ボスがまたVARがなんだと試合結果に文句をいっているようだが、スルーしよう。
さて次こそはボスのラストマッチ。日曜のハダースフィールド。COYG