レヴューエントリ前半につづいて、後半を。試合を振り返ってみよう。
試合について
アーセナルのファースト11
またしてもだいぶ予想を外したなあ。
右サイドにしばらくベンチにも入ってなかったジェンキンソンを使ってきたのが一番意外だったか。リヒトシュタイナーはサブにも入っていなかった。
とりあえず、ほとんどの時間を優勢に進めて、コラシナツ、ミキタリアン、オバメヤンと週末に備えて休ませたい選手をプランどおりに休ませることもできたと思われる。
そういった意味でもパーフェクトに近い勝利であった。
マッチスタッツ
結果のわりには基本スタッツにさほど大きな差はない。シュートもSoTも拮抗している。
しかしxGではそれなりの差になっていた。
xG map for Arsenal – Bournemouth pic.twitter.com/O3Tb2809Bq
— Caley Graphics (@Caley_graphics) February 27, 2019
Arsenal vs Bournemouth xG pic.twitter.com/niVhQguXMy
? Scott Willis (@oh_that_crab) February 28, 2019
xGが2.3で5点取ってるってどうなってんのか。
試合の論点
ホームでのグッドフォームがつづく。問題はアウェイ
今回の勝利で、アーセナルは今季PLホームで14戦負けなし(初戦のシティで負けたのが最後)となった。直近では8連勝中という好調ぶり。
今季ここまで(※前節まで)のホームだけでのランキングなら、アーセナルはシティ、リヴァプールに次ぐ3位。ポイントではリヴァプールに並んでいる。直近のフォームならシティやリヴァプールを抜いてトップだ。
一方アウェイだけでは順位をグッと下げ8位。ワトフォードやウォルヴズよりも下というほとんどPL中位レヴェルのクラブになる。
目下アーセナルの課題はアウェイフォーム、それと失点。課題は明らかすぎるほどに明確だ。
アーセナルのアウェイフォームや失点に関しては、ヴェンゲルさんの最後の数シーズンからの悪い流れがつづいており、それを改善することは現在のアーセナルにとりもっとも重要でもっとも困難な課題である。
しかし、逆に云えば、アーセナルは(ホームの好調を維持しつつ)失点とアウェイでのフォームを今より改善しさえすれば、少なくともテーブル上ではPLのトップチームとも争える位置に上がることができる。
今季はエメリのファースト・シーズンということで、チームを繰り返しテストしつつ手探りで進まざるを得なかった部分もあるが、来シーズンこそは本格的にそこに取り組んでいくことになるだろう。
課題が明確であることは不幸中の幸いとも云えるかもしれない。
前後半で出鼻をくじく得点
さて、ボーンマス戦は期待どおりというか結果は期待以上のものになった。
5得点した試合は去年フラム(A)でもやっているがホームでは今季初めてのこと。ホームのサポーターに大きなプレゼントとなった。
試合内容についても、キツいプレスをかけてきたボーンマスを相手に90分を通してアーセナルがほんとうにピンチな状態に陥るようなことはなく、試合のほとんどを優勢に進めることができた。
ボーンマスはこの試合でもハイプレスをやる時間ときっちり後ろに下がる時間を分けていて、いつものようによく組織されていた。決してアウェイで連敗しているようなチームとは思えなかったが、アーセナルが試合を優勢に進められた理由は、4分のエジル、47分のコシエルニ、このふたつのハーフが始まった直後の得点のおかげでもあった。
アーセナルのxGを大きく上回る得点からもわかるように、5-1という大差のついた結果ほどにはボーンマスは悪くなかった。
この得点によりアーセナルは試合運びに余裕ができ、ハイプレスをしてくるいやな相手にも関わらず精神的にはすっかり楽になってしまった。
そういったタフな相手の出鼻をくじくことができたのが、今回のアーセナルの勝因のひとつだと云える。
エジルとミキタリアンがシャイン☆彡
Mesut Özil First Half
👟 31 Passes
🎯 97% Pass Accuracy
🔘 4 Ball Recoveries
🔑 1 Chance Created
🅰️ 1 Assist
⚽️ 1 Goal #Arsenal pic.twitter.com/1R86WDYgu7— Premier League Stat Man ⚽️ (@EPLStatman) February 27, 2019
50 – Mesut Ozil has now been directly involved in 50 goals in just 85 Premier League appearances for Arsenal at the Emirates (19 goals, 31 assists). Nifty. #ARSBOU pic.twitter.com/fzfMPdWZQe
— OptaJoe (@OptaJoe) February 27, 2019
メスト・エジルはエミレイツでのたったの85試合で50ゴールに直接絡んだ(19ゴール、31アシスト)。ニフティ。
4 – Mesut Özil has scored four goals from just four shots on target in the Premier League this season. Precise.
— OptaJoe (@OptaJoe) February 27, 2019
メスト・エジルは今季PLでショッツ・オン・ターゲット4本で4ゴール。プリサイズ。
エジルがエメリのチームでプレイするために必要なことは、エメリも何度も述べているようにインテンシティだ。
エメリは選手たちにとくにボールを持っていないときのハードワークを求めている。
この試合でぼくが印象に残っているのは、まさにボールを持っていないときのエジルのがんばりだった。
26分にミキタリアンのゴールをアシストする前のシーン、エジルがフルバックの位置まで戻ってタックルでボールを奪うという珍しい光景も見られた。もちろんステディアムのサポーターは大拍手である。
もちろん、彼がイウォビやミキタリアンのレヴェルのインテンシティをいつも発揮できているというわけではなかったが、エジルのような選手が自陣深くまで戻って泥臭く守備をするさまはなかなか印象的だった。
この日の彼のボールリカヴァリー「4」という数字がチームへの貢献を表してもいる。
試合開始早々の技ありゴール、ミキタリアンへの極めて利他的なアシスト、カウンターの起点になりつづけるなど攻撃でスペシャルな才能を発揮してくれるうえに、守備のタスクもしっかりこなしてくれるのなら、彼を使わない理由はどこにもない。
BBC Sportsが選んだMOTMはエジル。一方Sky Sportsが選んだのはミキタリアンだ。
2 – Henrikh Mkhitaryan is the first player to both score and assist a goal in consecutive Premier League appearances for Arsenal since Santi Cazorla in February 2015. Fine. #ARSBOU pic.twitter.com/lcul7q9fSY
— OptaJoe (@OptaJoe) February 27, 2019
ヘンリク・ミキタリアンはアーセナルにおいてPLでゴール・アシストを連続でやった2015年のサンティ・カソルラ以来の選手。ファイン。
ミキタリアンは今シーズンずっと調子を落としているように見えたが、このところ、だいぶ本来のパフォーマンスが出せるようになってきたように思える。
アタッキングサードではどこへでも顔を出すし、攻撃の選手ながら攻め込まれれば最後尾まで戻ることだっていとわない、いつもどおりのハードワーカーぶり。ミキタリアンのワークエシックと比べれば、どうしたってエジルのルーズなところは目立ってしまうというものだ。
そしてそういうハードワーカーにありがちな雑なタッチが一時期よりはかなり減っているように思う。
59分のオバメヤンのゴールをアシストしたスルーボールにはしびれた。
自陣ボックス際でボールを奪うと、そのままひとりでボールを持ってセンターサークル付近まで独走。ドリブルで追走してくる相手選手をかわしながら前を走るPEAに絶妙なタイミングで絶好の場所に右足のアウトサイドで最後のパス。PEAのフィニッシュも素晴らしかったが、このゴールの半分くらいはミッキーのものだろう。
まさに電光石火。今シーズン19本めのゴールを決めたあとのPEAがミキタリアンをまず探したのも納得である。
ミキタリアンはエジルと同様かなりの高給と云われ(200kpw)、ファンから今季はサラリー分の働きをしていないと批判もされがちだったが、こういったパフォーマンスを出すようならそういった批判も少なくなっていくだろう。というか、このレヴェルのプレイを継続的にするようなら、いまというこのクソ重要なシーズン終盤のキーマンになりかねない。
ぼくはミキタリアンの今後の活躍にとくに期待している。
ゲンドゥージのレッスン代
こんな試合でもやはりクリンシートをキープすることはできなかった。
失点はマテオ・ゲンドゥージのまったく個人エラーで、いいプレイをしていたレノもさすがにあれは防ぎようがなかった。
ボールの出しどころに迷い囲まれたり(遅い状況判断)、敵の位置や近づいていることに気づかなかったり(アウェアネス)、キツく当たられてファールをもらおうと自分から倒れてしまうも認められない(セルフジャッジメント)といった、ゲンドゥージがよくやってしまういつものエラーが、今回もまた出てしまった。しかもCBの位置に落ちていて後ろに味方がいない最悪の場所で。
だが、あのプレイに対する試合後のサポーターの反応を見ていると、彼にはいいレッスンになったとポジティヴに捉えているひとも多い。
彼はこの試合でも中盤をボールを持ってパスやドリブルでチームを指揮するようなプレイを随所で見せており、そのエラー以外ではかなりうまくやったと思う。
彼のことを書くたびに毎度同じことを書いているが、彼は今季から初めて世界でもっともインテンスだと云われるイングランドリーグでプレイしている19才だ。むしろ、われわれは彼がワールドクラスのような選手のなかに混じって、毎週のようにふつうにプレイできているほうを驚くべきなんだろう。
彼はまたこの試合で学んだ。そして彼がそういう苦い経験をすることは本人にとってもアーセナルにとってもプライスレス。かけがえのないものであるはずだ。
だって考えてみれば、あの年齢でこの最高の舞台で彼ほど長時間にわたり経験を積めること自体が極めて稀なことで、彼のような選手はこの世界に何人もいないのだから。その価値はいくら金を積んでも得難いもので、アーセナルのようなトップクラブでその特権を与えられていることがすでにとんでもなくすごいことである。
まだ不十分な彼を使うことは、つまりチームは彼の可能性に賭けているのだ。そしてこのチャンスは彼が才能を見せているからこそ与えられたものであり、きっと彼ならこの経験を活かすに違いないと思う。
こちらも課題は明快だ。失敗にめげずどんどん進歩していってもらおうではないか。
なお、この失点はアーセナルにとってPLで1000コめの失点だそうで、試合前には週末のNLDでケインあたりに奪われるならいっそボーンマスで失点したほうがマシなんて云う人もいたのだから、まあそういうことだ。ゲンドゥージの失敗により最悪の出来事をひとつ免れた。そうポジティヴに考えることにしよう。
その他選手について
オバメヤンとラカゼットもシャイン☆彡
ラカゼットはフリーキックもいけるんですなあ。あそこでデニス・スアレスに蹴らせるのもおもしろいんじゃないかと思ったけど。
このふたりが引き続き得点をつづけてくれるとほんとうに心強い。
レノとコシエルニもシャイン☆彡
レノは前半にいいセイヴがあったな。コッシーもよかったよなあ。前回同様あんまりいいんで驚く。ひざを踏まれたシーンは、あの痛がりようで自損だったらヤヴェえぞと思ったけど踏んづけらてたから逆に安心した。
トレイラは最近ちょっと元気ないかな。身体が疲れているのか気力が減退しているのか。ちょっと心配だ。
デニス・スアレスはまた強い印象を残すことはできなかった! 残念。
試合については以上。
さあつぎの試合は土曜日のNLD(A)。たぶんアーセナルのシーズン終了までのポイントを皮算用をする人たちでも、この試合の勝利はカウントしていないと思われる。が、逆にアウェイで宿敵に勝つようなことがあると、これはもうトップ4フィニッシュに向けて大きすぎるほどのボーナスになる。ポイントだけではなく自信も大いにつくだろう。
そのつぎにはおそらく今シーズン最後で最大のビッグマッチ、4位を争うマンUとの直接対戦を控えるのだから、いまの勢いのままその日を迎えることができたらそれ以上の理想的な状況はない。
がんばってほしいね。
NLD勝てば勝ち点差1!
鶏さんはたしかシティとリバポとの対戦が残っていたはずなので3位になることも全然夢物語じゃないですネ!!
もちろんまずは確実に4位にくい込んでいくことが大切ですが、それでも鶏さんより下にいるのは気持ち悪いです。
記事をみて、ゲンドゥージのあれはマジでファインプレーだなと思いました笑
ノースロンドンでケインやフンミンあたりにやられて、実況の方に「今のがアーセナルの1000失点目〜」なんて言われようもんなら、その後の観戦インテンシティにかなり影響が…。あー想像するだけでも腹が立つ。
ゲンドゥージ、ちゃんと空気読んでお勉強ができる、ステキな子ですね。
NLDのスカッド予想
レノ
ソクラテス
コシエルニー
モンレアル
リヒトシュタイナー
トレイラ
ジャカ
イウォビ
エジル
ムヒタリアン
ラカゼット
アウェイだという前提でのメンバーチョイス。バック3の可能性も否めない
ミッキー絶好調、NLDも期待ですネ
ナイスゲーム!
久々のゴールラッシュ!
気に入らなかったのはダゾーンの一人実況だけ。レノのビッグセーブスルー、コラシアウトでフォーバック変更スルー、おれに解説やらせろ!
ダービーは本当に楽しみです。ただ、われわれはアウェイでは別のチーム…。勝たなくてもいい、でも負けてはいけない!最低でも引き分け。ここでそうゆう試合ができたら…。
とにかく応援あるのみ。
COYG