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アーセナルがウィルフレッド・ザハの獲得に本気だった件

今朝起きたらアーセナルがザハにまじでオファーしたとかでだいぶざわついていた。

Sky Sportsがブレイキングしたようだが、BBCのオーンステインやほかのジャーナリストたちも軒並みこれに反応していて、どうも真実らしい。£40Mでザハにオファー。

問題は、アーセナルのオファー内容とクリスタル・パレスの要求に大きすぎる乖離があること。

CPに断られることがわかりきったオファーをアーセナルが提示したことが、逆にその狙いについて、さまざまな深読み・憶測を呼んでいる。

アーセナルとウィルフレッド・ザハを巡るあれこれについて考えてみたい。



ザハの現在状況

Sky Sportsが昨日報じた、アーセナルがCPに£40Mでオファーしたというニュース。

The Transfer Show: Can Arsenal afford to sign Wilfried Zaha from Crystal Palace?

アーロン・ワン・ビサカを売却したCPは、もうひとりのスター選手であるザハの移籍を断固拒否する構えを見せており、その要求額は£100Mだとか云われていた。一般的にはザハがここまでのレベルの選手だとは思われておらず、つまりあきらかに市場価格以上のものを相手に求めるということは事実上のお断りだろう。

だが、この件をとりまく状況を見ると、必ずしも100%ノーチャンスだとは云えないかもしれないとこの記事は続けている。

Kaveh Solhekol:アーセナル近辺から聞こえてくるノイズに耳を傾ければ、現時点で彼らがザハを買うことは不可能だ。

彼らはこのウィンドウで£45Mしか予算がないと伝えられている。選手を売ればこれに追加はできるが、ウィルフレッド・ザハとサインするには£45Mでも十分とは思えない。

ザハへのオファー合戦が起きればクリスタル・パレスには好都合だろうが、彼の兄弟のコメントを見る限りでは、本人がアーセナルに行きたがっているのはかなり明白だ。

CLフットボールがなくたってまだそこに行きたがっているということ。彼は数ヶ月前にはCLでプレイしたいと主張していたのに、いまでは「ヨーロッパでプレイしたい」と云い方を変えている。

もうひとつ留意すべきことはザハの値付けで、そこにはマンUのセルオンクロースがある。もし彼がCPを去るならば、どこへ行くことになっても、1/4はマンUのものになる。彼らは25%のセルオンクロースがある。

アーロン・ワン・ビサカの評価は£70Mと伝えられていたが、結局マンUに£50Mで売却した。いまザハの評価額は£80Mだという。

彼の兄弟のコメントを考えると、彼はもうCPでプレイするようには思えない。たとえ長期間の契約で縛り付けたとしてもだ。

彼は退団に向かっているように見えるが、アーセナルも£40Mよりもっと高いオファーを出す必要があるだろう。

この記事で言及されているザハの兄(弟?)のコメント。Judicael ZahaはSSNに対してこんなふうにコメントしている

ザハ兄:ウィルフレッドはいつだってクリスタル・パレスやファンたちに最高の敬意を払ってきた。彼らのサポートは彼には重要なものだった。

それは弟の夢なんだ。アーセナルでプレイすることがね。

クリスタル・パレスがPLに残れるようウィルフレッドは全力を尽くしてきた。わたしはパレスがアーセナルと取り引きしてくれることを望むよ。それはウィルフレッドが子どものころからサポートしているクラブでヨーロッパを戦うという夢を叶えるものだから。

また、おにいちゃんはMailのインタヴューにも応えていた。

ザハ兄:ウィルフレッドはCPで2年とてもいい時間を過ごしてクラブとともに多くのものを勝ち取ってきた。そしてパレスでの大きな役割を担ったあとにはPLでマンUを助けることになった。

CPはわたしにこう云ったよ。もしまたレギュラーでヨーロッパを戦うようなクラブに移籍するチャンスがあれば、ウィルフレッドの邪魔はしないってね。だって、彼らだってパレスにいたら彼の望みが完全に叶えられることはないことはわかっている。

彼らは機会があれば邪魔をしないと云った。わたしたちはいまでも彼らがそんなふうに感じていると願っている。ウィルフレッドの将来のためにもアーセナルと早く同意できることを願っている。

つまり、アーセナルの最初の提示額はおよそCPの納得できるようなものではないが、選手本人の意向などを考慮すれば、CPはいくらか妥協せざるを得ないのではないかという。

現在AFCONを戦っているザハが、CPに戻ることを拒否する可能性があるところまで言及されているので、これがほんとうだとすると、かなりメッシーな状況になりそうだ。

ザハはなぜ去年にCPと長期契約で延長したのか?

ちなみにザハは去年の夏にCPと5年という長期契約を交わしたばかりで、まだ4年の契約が残っている。

個人的には、アーセナルでプレイするのが夢だというのに、CPと30才まで契約延長するというのが理解できなかった。しかも去年だってそれ以前だってアーセナルとリンクされていないわけでもなかったのだし。

ザハがアーセナルのファンだということは以前から知られていたようだが、この夏突然にアーセナルに移籍したくてトレイニングまで放棄するみたいな極端な状況になった理由はなんなのだろう??

そりゃ2011年のツイートも発掘されるわ。

ザハ to アーセナル。ジャーナリストの反応

この件で、クラブ間における大きなスタンスの違い、それにアーセナルの補強の必要性に対する少ない予算についてデイヴィッド・オーンステインが指摘している。

彼は数日前に、ザハがアーセナルに移籍する確率は「3/10」だと評価したばかり。

オーンステイン:SkyのKaveh Solhekolが伝えているように、アーセナルはCPのウインガー、ウィルフレッド・ザハに最初のオファーをした。この取り引きに含める選手についてのオファーはまだない。これは拒否されるだろうし、おそらくは醜いことになりそうだ。これまでにもザハ本人がAFCに移籍したがっていることは伝えられていて、エメリも彼を欲しがっている。しかしCPFCは巨額の移籍金を求めている。

※getting predictably ugly(醜いことになりそう)について、これはザハがアーセナルに移籍するためにトレイニングをボイコットするなど強行手段をとるかもしれないことが想定されているようだ。これはひどい。

オーンステイン:£45M程度のバジェットで、オーナー投資もなく、ほかにも補強したいポジションもある。アーセナルはクリスタル・パレスに要求額を下げてもらう必要があるし、あるいは選手の売却によってかなりの資金を稼がねばならない。加えて、分割払い(をお願いしなければならない状況)もある。

またEvening Standardのジェイムス・オリーはこんなふうに見解を述べた。

オリー:もしAFCがCPFCと取り引きできる可能性があるとすれば、選手(たち)とキャッシュ、あるいは資金をブーストするために何人かの選手を売却するか。それしかない。選手本人の要望がこのギャップを少し後押しするかもしれないが、現状では大きな隔たりがある。

チャールズ・ワッツ。

ワッツ:ザハも計画性がない。ムスタフィで思考停止になってた昨シーズンにもし彼がその気になれば、おそらくすでにアーセナルの選手だったのに。いつだって先を読んで動かないと……

(※追記:ワッツのツイートはザハ本人への皮肉だった。たしかに。。上記訳を少し修正。コメントでのご指摘どうもです)

まったくアグリーしかできない。

ザハも計画性がないが、アーセナルも計画性がない。

折しも、昨日のSwissRambleの一連のツイートでアーセナル界隈は、近年のAFCのマネジメントの拙さにあらためて大きな落胆をしていたところだったので、まるで今回もそれを見せつけられたような思いがある。

アディダスの新キットお披露目でちょっと埋もれた感はあるけど、このSRのリポートはアーセナルのファンが(嫌でも)知っておかねばならない内容なので、あとでこのブログでまとめておこう。乞うご期待。

ザハのアーセナル移籍が実現する可能性

80とか100とか景気のいい数字が取りざたされているが、TMの評価額は€45Mである。そう考えると、アーセナルの£40M提示は云うほど常識はずれでもない。

ラウルめ、さてはTMをチェックしたな?

仮にCPがAWBのときのように、希望額から20M程度をディスカウント(評価額70→50)したとすると(ザハにはマンUのセルオンが乗っているのだから状況はかなり違うが)、評価額80→60。

仮に£60Mなら、アーセナルのイニシャルオファーの£40Mに加えて、たとえばチェインバースのような20M程度の選手をつければ、マッチしなくはない。

ただ、オーンステインも指摘しているようにアーセナルの40Mオファーは分割払いも考慮されているようで、アーセナルの提示条件はさらに分が悪い。おまえはACミランかと。

ということで、やはり現状アーセナルがザハをこの夏に獲得できる可能性はかなり低いと思われる。

そして、ザハ本人がほんとにCPをボイコットするようなことがあれば、「醜いこと」になることは避けられないだろう。

本人の意向がカギ

もしこの取り引きが実現するなら、ウルトラC的状況と云えるだろうが、本人の強い意向がカギになる可能性は十分にある。

ちなみに、ラウル・サンレヒはバルセロナにいたとき、バルサ復帰の意思をあきらかにしていたセスク・ファブレガスに対し、移籍が決まってもいないのにバルサのシャツを着せるという汚い手段をとった。2011年というからもう8年も前か。思い出したぞあんときはよくも(以下略

結局当時のアーセナルはマーケットヴァリューをかなり下回る金額で中心選手を手放さざるを得なかった。

サンレヒがまたセスクのときのような汚い手段(笑)を使うかどうか。注目しておこう。

ザハはアーセナルが今リソースをぶっこむにふさわしい選手か?

アーセナルがザハという選手にNet予算のすべてだけでなく、選手を売った資金まで投入しようとしていること。

これもまた議論されるべきテーマではないだろうか。

果たしてザハはアーセナルがウインガーに欲しているプロファイルをほんとうに持っている選手なのか。ほかに適切なオプションはないのか。

守備補強がファーストプライオリティのはずのアーセナルにおいて、ウイングはセンターバックの補強をおざなりにしてまで入れ込むポジションなのか。

このつづきは別エントリにて。

ひとまず以上



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11 Comments on “アーセナルがウィルフレッド・ザハの獲得に本気だった件

  1. むむむ。
    期待しない訳にもいかず、しすぎるとダメージが大きい恒例のパターンでしょうか。
    それにしても現時点で競合はいないのですかね?
    あっさり掻っ攫われるイメージがビンビンにしてるんですが、ザハにTM以上の金額を積んでまで欲しいクラブは他に無いと言う事だろうか。

    1. や、今回の報道は「本人がアーセナルしか望んでいない」というのがポイントなんじゃないかな。

      だから事実上、獲得レイスにならないという。

      実際はほかにビッグクラブのオファーがあればそっちも検討されない理由はないと思いますけどね。アーセナルが好きだといわれながら、よそに移籍した選手なんてこれまでにも何度も見てきたし。

  2. 私は守備補強と同程度ウィング補強は重要だと思うので、もしそれがザハならタイプ的にも申し分ないと思います。£80mは高すぎですが。

    あとCharles Wattsさんのツイートは、ザハ本人に対しての皮肉ではないかと思います。

    1. わ、指摘ありがとう!

      from Zahaって書いてあるじゃんね。これは恥ずかしい。。訳を修正してちょいと追記しました。

      1. ホームクリスタル・パレス戦2失点目、ムスタフィのミスの場面のことでしょう。
        ザハがあれを決めなければすでにアーセナルの選手だったのに(CLいけてザハを獲得する予算もあった、来たいならあそこは外しておかないと)、という皮肉を込めたただのジョークだと思います。

  3. 踊るしかないですよ!オフシーズンですもんね!
    ムスタフィエジルミキのよくばり3点セットとトレードで!

  4. 4つのポジションに中途半端なタレントを連れてくるなら、1つのポジションにスペシャルなタレントを獲得したほうがいいのではないかと思います。

    今は物凄い完成度のリバプールにせよ、シティにせよ、問題は徐々に解決していったのを忘れるべきではないと思います。

    前線、中盤のプレス強度を高めるところから着手したリバプールと、サイドバックのクオリティを高めるところから着手したシティはスモールステップで強化をしていきました。

    アーセナルの課題は守備のエラーが多いことですが、そもそも守備の機会が多すぎるためにエラーを起こしているという見方もできます。

    ドリブラーのザハを獲得することで、局面打開といった攻撃的なメリットだけでなく、相手チームの重心を下げさせ、守備の機会を減らすなど守備的なメリットもあるのかなと思います。

    自分は、ザハに一点投下でもアリだと思います。

    1. ここで言っても詮無いことだけど、シティの改革は夏の移籍シーズンだけで解決したし、リバプールも冬のファンダイクと翌夏のアリソンですでに完成されてるよ
      何年もかけて改善した例は本当は少ない
      結果が出る前に監督が変わったり主力が移籍したり、高齢化するから
      近年だとスパーズくらいじゃないか?
      長期監督で、若手が順調に育って数年かけて強化できた例は

      1. いや、過程が大事だって話ですわ。

        シティのビルドアップ、リバプールのプレスと同様に、アーセナルのサイドアタックが戦術の肝なら、まずはそこを完璧に解決すべきだと思います。

        そして結果を出した上で、来夏に守備陣を一新するというステップを踏むのもありかと思います。

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