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Arsenal, Behind The Scene

「ラウル・サンレヒのアーセナル革命」by チャールズ・ワッツ

昨日の『GOAL』に、チャールズ・ワッツが書いたなかなかおもしろい記事が掲載された。文章量のある力作だ。

‘There is no bullsh*t with him’ – Inside Raul Sanllehi’s Arsenal revolution | Goal.com

この夏の移籍市場での積極的な活動でファンにもあきらかになった、「ドン・ラウル」ことラウル・サンレヒのアーセナルFCにおける目覚ましい働きを、数々のコメントを元に説明した良記事。アーセナルのファンと共有したい。

全文はオリジナルを参照いただくとして、いくつかのサンレヒについて語られたコメントを中心にざっくり訳してみよう。それだけでもおもしろいと思う。小見出しは訳者によるもの。

なお、『GOAL』なので日本語版の記事があるのかもしれない。しらんけど。



“間違いない漢” ラウル・サンレヒ、アーセナル革命の裏側 by Charles Watts

サンレヒは2017年11月にエミレーツにやってきた。彼は当時のチーフエグゼクティヴであるアイヴァン・ガジディスにより、Head of Football Relationsに指名された。

彼はそれまで10年に渡りバルセロナでディレクター・オブ・フットボールを務めており、ガジディス、スヴェン・ミズリンタットとともに、クラブの新しいマネジメントストラクチャの一部になった。

しかし1年も経たずにガジディスがACミランに転職すると、権力の真空状態がもたらされ、その結果ミズリンタットが追いやられることになり、いつしかサンレヒがトップのポジションに立っていた。

2018年9月、彼はアーセナルのHead of Footballに就任。彼がフットボール活動の全般を率い、ビジネス運営はManaging Directorのヴィナイ・ヴェンカテシャンが担うこととなった。

そのアナウンスからちょうど1年。サンレヒの所有するAFCの株式は一切増えていない(※訳注:ガジディスの給与が高額でチームの成績に関係なく増えていったことへの皮肉と思われ)

ディック・ロウ「ラウルはヨーロピアンフットボールを率いるひとり」

ディック・ロウ:ラウルはこの業界ではレアキャラのひとりだね。彼はひとに好かれるタイプだし、カリスマがあり、エモーショナルな賢さがある。

ラウルはチャーミングで、カリスマティックで、とてもいいユーモアのセンスまである。

対立があるような状況では、その対立を煽るようなことはしない。貴重な資質があるよ。

実利を重んじるひとで、なんとか解決策を見つけようとする漢だ。彼の人生のすべてがスポーツとフットボールなんだ。彼はゲイムというものをわかっている。疑問の余地はないね。

ラウルはヨーロピアンフットボールのマネジメントリーダーのひとりになったんだ。

思い出してほしい。彼はバルセロナのあの3人のマネジメントグループとやってきた漢なんだ。いったいどんな人間なら、ラポルテ、ロセル、バルトメウのような手練と渡り合えるというのか?

アイヴァンがラウルを連れてきたのは、アイヴァンにはサポートが必要だったからだ。彼のアーセナルでの仕事のひとつは、将来のフットボール世界においてクラブが席を維持することだった。

彼がUEFAの上級委員会で働いているのがその理由だ。それにECA(ヨーロピアン・クラブ・アソシエイション)での仕事もアーセナルの利益にとって大変に重要なものだ。

ひとはひとりでなんでもやれるわけではない。だからラウルがそのサポートをするために連れてこられたのさ。

彼の現在の役割におけるチャレンジはなにか。そして彼が持っている明白なもの。それはアーセナルの価値体系(ethic)と前世代がこれまでに築き上げてきたものを維持することだ。

思うに、彼はそれがクラブのDNAだとかアイデンティティの一部だということを個人的にも信じている。彼がそれを維持することにコミットしているのは、要するにアイデンティティのないクラブはふつうは価値が低下していくものだからだよ。

とある代理人「ラウルは間違いない漢」

アーセナルに近いとあるエイジェント:彼はいいネゴシエイターだね。ラウルはものごとを正しい方向に導くやり方を知っている。

間違いない漢だよ(There is no bullsh*t with him)。もし彼がこれからなにかやるつもりだと云えば、彼はそれをやるんだ。この業界では、最後の最後でものごとをひっくり返したり、シッチャカメッチャカにしてしまうものもいるが、彼はそういうタイプじゃない。

GOALバルサ特派員「バルサにおけるサンレヒの役割はとてつもなく重要だった」

Ignasi Oliva(GOALバルサ特派員):サンレヒはラ・マシアで彼が見たものを強く信じているよ。ルイス・アラゴネスのあとにヴィセンテ・デル・ボスケがスペインNTを率いたようなものさ。

サンレヒは彼がラ・マシアで見つけたものを続けようとしたし、それを進化させようとした。彼がバルセロナにいたとき、そこで起きたことについて、彼の役割はとてつもなく重要だった。

それに忘れちゃいけないのは、いまわたしたちが話しているのは、バルセロナの歴史のなかでももっとも偉大だった時代だということだ。彼はかなり重要だったよ。

ラウルは選手たちに才能を開花させることについては適したひとだった。彼らはそれをつづけてファーストチームでもそれをやらせた。

とあるヘイル・エンドのスタッフ「自分たちが何をやりたいのかを常に問うている」

とあるヘイル・エンドの上級スタッフ:アカデミーからクラブへという道筋の重要性は日増しに高まっているね。とてもリフレッシュされた感がある。彼ら(※メルテザッカーらアカデミーのリーダーシップ)は眩しい光が当てられていると感じているはず。

いつもラウルがここにいるわけじゃない。なぜなら彼がやっているたくさんのことはとても戦略的だから。彼はUEFAにいるし、FAにいる。アーセナルのためにロビーをやっている。

だから彼をここでコンスタントに見かけることはない。しかし、正しいときには彼はここにいるよ。もし彼が必要なら、そういうとき彼はここにいるんだ。

そして彼はこんなふうに云うタイプじゃない。「わたしはここにいたいからここにいる」。彼はこう云うんだ。「われわれがしたいことは何か? そしてわれわれはこれから何をやろうとしているのか?」。それが彼の仕事のやり方だ。

結局、アカデミーというのはクラブにとって若い選手たちを育てるところだ。でも明白なのは、有望な若い選手たちを育てようとトライしているということなんだ。もし彼らがアーセナルにとってよい選手に育っていくなら、それはなおよいね。

だからラウルには、自分が何をやりたいとか、自分がどううまくやるかという問題ではないんだ。あくまで自分たちが何をやりたいのか、そして自分たちがどうやってそれを成し遂げるのか、それが問題なんだ。

とあるアーセナル情報筋「いまではスタッフもほんとうの一体感を感じている」

とあるアーセナル情報筋:(サンレヒとヴェンカテシャンが年に3-4回スタッフに対しクラブ運営の説明会を開催していることについて)彼らには透明性があるね。フットボールではわけがわからないことも多いが、いまじゃそれについて説明もできるよ。

ほんとうの一体感をみんなが感じている。

以上。

なんかすごいいいことしか書いてなくて怖いぞ(笑い)。

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2 Comments on “「ラウル・サンレヒのアーセナル革命」by チャールズ・ワッツ

  1. 良いことばかり続くと、つい何か(巨額の借金とか)オチがあるんじゃないかと怖くなる最近の自分。どうも小心だ。
    イヤだって、、アーセナルですもん。w
    時の人サンレヒの強気の発言も、「あの」バルサ方面の人だからな、、、とか疑ってしまう。

    ただ長期のベンゲルーカジディス体勢が終わって、新しいものを立ち上げてる今の状態はポジティブな感じだ。
    以前はベンゲル御大を擁護するか批判するかの2択だったが、これからは良くも悪くも前進するしかない。
    砲兵隊、前へ!ってな感じ?

  2. ガジディスが辞めたとき、「見捨てられた」と感じたファンは多かったでしょうが(私もその一人)、これを読む限り、実は組織として機能しなくなっていて、ほとんど引責の様な形でガジディスは去らざるを得なかった、という風にも見えますね。

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