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Arsenal, Controversy, Emery

エメリの評価でキャラガーとネヴィルがふたたび議論

ネヴィル「彼は突然ひどいコーチだと云われ始めたが彼だけのせいではない」

ネヴィル:スペインで、彼の評価はそれは高かった。すごいものだった。

そして彼はPSGへ行き、うまくやった。CLに関しては最高の結果は出せなかったが。しかしそこへ行って、あのレヴェルのプレッシャーの下でワークしたんだ。信じられないような成功を要求するオーナーたちの下で。(巨大な)投資があったし、(扱いの難しいスター)選手たちもいた。彼はブリリアントなコーチだった。

週末(セインツ)の最初の失点はただもうひどかった。それはほとんどコーチング以前のものだ。ああいったことをやらかすような選手について、できることはなにもない。

高く評価されたコーチがいて、彼は最高レヴェルで仕事をしてきたとする。彼が悪い状態に苦しみ出したからといって、突然にひどいコーチだとは云えないだろう。彼のせいじゃないなら、そこにはほかの理由だってなければならない。

いまボードは大いに割れているだろうと思うね。彼らはマンチェスター・ユナイテッドでサー・アレックス・ファーガソンのあとに何が起きたか見てきた。そして彼らには長いアーセン・ヴェンゲルの時代があった。

ユナイテッドはデイヴィッド・モイーズを解任した8年前から、リーグタイトルに関してはなんの前進もしていない。アーセナルはそれを前例として見るだろう。

アーセナルのボードはいま板挟みになっているのだと思う。どうすべきなのかわからないんだ。わたしの見立てでは、意見が割れている状況でボードのそのポジションにいれば、そしてこれはわれわれが聞いていることでもあるが、自分で決断をしたくはないだろうなと。

深呼吸をし、プレイしてみて、自分たちが下したオリジナルの決断を完全に信頼する。それが本当に厳しくなるときまで。そして成功のために何をやるのか完全に納得できるポイントになるまで。すでにある混乱をさらに重ねようとしないことだ。

キャラガー「グレイトなコーチなら毎試合で20本もシュートを打たれない」

キャラガー:アーセナルのファンは彼がいままで何をやってきたかなんてどうでもいい。彼らが気にしているのは、自分たちがいま見ているものであり、この18ヶ月間のアーセナルで目の当たりにしてきたことだ。

キミは彼がグレイトなコーチだと云う。でもグレイトなコーチが毎試合でコンスタントに20-25本のシュートを打たせるとは思わないね。

グレイトなコーチというのは、そういった状況を変える道を見つけなければならないし、止めなければならない。ダヴィド・ルイスやソクラティスがグレイトな選手じゃないと云われているのも知っているが、誰かにコーチするときに、チームを守備的にセットアップして相手を止めるというのはもっとも簡単なことなんだよ。(コーチにとって)難しいのは、選手たちにピッチでチャンスをつくらせたり試合をオープンに開かせることだ。

だからそれがものすごく心配なところなんだよ。彼が(失点を)止めることができないというのが。

以上。

 

今回はさすがにネヴィルの分が悪いかなと。

それでも彼は優秀なコーチなんだといくら擁護してみても、ピッチ上でいったいに何が起きているかを具体的に指摘されてしまえば返すことばがない。

セインツではルイスやパパはたしかにやらかしているし、失点の問題は選手たちの守備の選手クオリティのせいでもあるのは確かだ。しかし、それを彼らだけのせいだと考えるのは危険だろう。なぜならアーセナルではどんなDFもやらかすのだから。守備問題を個人問題に帰結させるには限界がある。個人パフォーマンスが落ちているのはチームのせいでもあるはずだ。

つまり選手のやらかしであっても、ヴェンゲルさんがそうであったように、エメリは責任を免れない。

砕けたウナイ・エメリの理想追求

彼が本当にそのようなものを追求したのかどうかも、いまではよくわからなくなってしまっているが。

思い返せば、彼がAFCに来た当初、彼のやりたいこと、あるいはフィロソフィをアーセナルにどうインストールするか、そこが18-19新生アーセナルの成功のカギになると思われていた。ネヴィルの云うような、エメリが周囲に適応するのではなく、エメリがあくまで自分のやり方を周囲に適応させるということ。彼には自分のコンセプトがあった。

去年のシーズン開始当初、まだエメリへの期待が十分高かった頃、たしかにアーセナルは何か新しいことをやろうとしていると思えた。ポゼッションにハイプレッシング、バックからのプレイ。ボールを持ち「試合をコントロールする。試合の主役になる」というコンセプト。しかし、気がつけばいつのまにかそういった基本コンセプトを忘れてしまったようだった。

エメリがこれらにこだわらなくなったのはいつ頃からだろう。

唯一バックからのプレイについては、明確にそれを諦めたタイミングがあり、それは今シーズンのELフランクファート(A)だ。ワトフォードの悲惨な結果を受けて選手たちだけでチーム・ボンディング・セッションをやり、チームの意向としてバックからのプレイにこだわらないと決めたアレである。

そして、もっとも謎なのはやはりハイプレッシングをやらなくなったことだ。18-19シーズン当初はもっともアグレッシヴな守備をやるチームに生まれ変わったと云われたにも関わらず、その後いつの間にかPLのなかでもプレッシングをむしろやらないチームになってしまっていた。そもそもエメリがプレッシングのトレイニング自体をあまりやっていないという舞台裏の暴露には驚かされたものだ。

攻撃的アプローチであろうが守備的アプローチであろうが、現代フットボールにおいてどんなスタイルでもプレッシングは有効なはずで、それを諦める理由がまったく見つからない。なんなんだ。

そんなこんなで、確固たる自分の理想を持ちそれを求めて、それでいて相手をリスペクトして適応するという「いいバランス」でスタートしたかに見えたエメリのアーセナルだったが、いつの間にか彼の理想的なスタイルというものがなくなってしまい(いまではそんなもの最初からなかったと云われる始末である)、過度に相手に適応する、ただの受け身で保守的なフットボールになってしまった。最後には自分のコンセプト自体がなくなってしまったみたいだった。

キャラガーとネヴィルの議論に戻れば、適応もできていないし、自分のアイデンティティを押し通すこともできていない。コンセプトを中途半端に妥協した結果、チームを回す歯車が狂ってしまった。

やっぱりキャラガーの云う「混乱」ということばがこの状況をもっともよく表していると思う。

攻撃を犠牲にしてまで守備を強化しようとしたのに、攻撃だけでなく守備自体がどんどん悪化してしまった。エメリ末期ではそれが象徴的だ。彼自身も混乱のなかにいるので、それがなぜうまく行かないのか理解ができない。

いまだからこそ、それがアーセナルにおけるエメリ不成功のカギになったと思われるのは、やはり「信念をつらぬく」ということ。リスペクトするといえば聞こえはいいが、ウナイ・エメリは選手、クラブ、状況に単純に迎合してしまったみたいだ。軋轢を避け、より楽な道を選んだ。そんなふうに思える。

去年のMNFでネヴィルはこんな発言をしていた。とくにチームをつくるときの早い段階では、あくまで自分のアイディアを浸透させるほうを優先させるべきだと。

彼がぜったいにやるべきじゃないことは自らを曲げて適応しようとすることだ。なぜなら選手たちは彼の後ろをついてくるのだから。

こうも云った。

まず初期の段階でやるべきでないことは、彼が選手たちに適応しようとしたり、彼の原則を捨てること、それによってドレッシングルームのコントロールを失うことだ。

いま選手たちはエメリに混乱し、ピッチ上で何をすればいいかわからなくなっているという。また、シニア選手たちからはすでに軽視されてしまっている。まさに就任当初に懸念されていたことが起きてしまった。



絶対に譲らないもの。それをわれわれはアイデンティティとかフィロソフィなどと呼んでいる。

どんな環境やどんな状況でも、自分の考えを貫き通すのは誰にとっても簡単ではない。

でもそれができる「強さ」を持ったマネージャーがチームを成功に導けるエリート・マネージャーなのだろうと。そう思わずにいられない。

 

おわる

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8 Comments on “エメリの評価でキャラガーとネヴィルがふたたび議論

  1. 今のクラブで失敗しているからグレイトじゃないとか、今のクラブでは上手くいってたからグレイトとか、そんなのどうでもいいんですよね。

    どんな輝かしい経歴を持っていて、将来も他のクラブで素晴らしいタイトルをもたらす監督であっても、今、アーセナルでダメなら、それは解任に値すると思いますね。

    モイーズだってエバートン時代は素晴らしい監督だったわけで、彼が無能かといわれてもそうは思わない。
    でも、明らかにマン・ユナイテッドでは上手くいっていなかったし、それ事実だけで解任に値するんですよね。

    エメリが他のクラブでどれほど優秀だろうが、現状アーセナルでうまくいっていないわけで、そしてその立て直しもできそうにない(選手からの信頼を失っている)。
    たとえサッカーの神様がエメリに憑依して、明日から突然すばらしい攻撃サッカーの戦術をエメリが思いついたとしても、選手からの信頼を失ったら聞いてもらえないんですよ。
    戦術とかプレー原則とかそれ以前の問題で、今のアーセナルは組織としてまとまってないです。

    1. 毎回、こちらのブログを楽しませてもらってますが、今回もまたいつも以上に納得させていただきました。
      それだけに、今のおれたちのアーセナルの現状が悲しすぎです。
      あれだけ夏にときめいたのに。
      チームのシニアたちが愛想をつかせて出ていく前に、出すべき人を出したほうがいいに決まってます。

  2. 問題は「どんなCBでもアーセナルではヘマをやらかす」」ように、どんな監督でもアーセナルではヘマをやらかすかもしれないこと
    ユナイテッドはそうだった
    モイーズもファンハールもモウリーニョも悪い監督ではない
    彼らの場合は偉大すぎるファーガソンと、栄光時代の口うるさいOB、補強の下手なディレクターと理由がはっきりしている
    アーセナルは表面上うまくいっているように見える
    フロントは協力的で、選手は監督を支えようとしている
    原因は何だろう

    素晴らしいCB個人ミスが少ないはずだ
    けれど、アーセナルでは素晴らしいCBもクズになるとファンが決めつけている
    ガブリエル、ムスタフィ、ジャカは確かにミスが多いが生贄にされた
    そしてミスの多いソクラテスやダビドルイスを起用している
    コシェルニーは果たしてクズだっただろうか

    監督の戦術はノーマルだ
    特別優れているとは思わないが、劣っているわけではない
    練習場やロッカーでどう思われているかは分からない
    もし選手が監督のアイデンティティを鼻で笑っているなら誰が来ても同じだ
    選手がガンの可能性はあり、監督が原因の可能性もあり、そして少しでも悪い状況になるとクライシスになるファンが原因の場合もある
    負けてしまえばいい、というファンは、ヴェンゲルの時に「このクラブはCLをなくして危機感を持たなければいけない」と言っていた近視眼的な意見と似ていると思う

  3. ハイプレスをやらないのは今いる選手と合わないからなんだなぁ

    というかハイプレスしてもコシェがいないCB陣じゃ縦ポンでどうにかなっちゃうしホールディングチェンバースは国籍が違えばここにいないレベルの選手なんよねぇ

    セインツ戦の後半見てるとライン上げたらさらに悲惨な守備になったしミドルは打たれるものとして引いて守る選択肢しかないんだなぁ

  4. 僕はポゼッションに関してだけは、エメリは最初からやる気はなかったんだと思ってる。
    要するにファン向けのリップサービスだったんだと思う。

    しかし2年目に念願かなって4-3-3の堅守速攻をやるにあたって、低い位置でボールを回すサッカーに選手が適応できなかった。
    外ではポゼッションだの主導権だのと景気のいいことを言う一方で、選手には低い位置からロングパスを供給するコンセプトを徹底するのはかなり難しかったと思う。
    しかも選手たちは、ベンゲルのもとで「本当に」ポゼッションを追求してきた選手ばかりだった!

    どんな仕事でも指示は明確に、間違いようがないくらいにしないと部下は混乱する。
    まして一瞬の判断を争うフットボールの試合で、カウンター狙いを「自分たちが主人公になるサッカー」なんて呼んだ日にはコンセプトが伝わるはずがない。

  5. ネヴィルは自分がゴミカスだったバレンシアでクラブ史に残る仕事をしたエメリを悪く言えないみたいなのがあるんじゃないかと思ってしまう(笑)
    選手とのコミュニケーションが・・って話も、スペイン語できなかった自分の嫌な記憶もあるでしょう。
    キャラガーの言う通り、毎試合20本近く打たれてるのはまずい戦術のせいなのは間違いなく、だったらせめてこっちは25本打つ!ってチームだったらこんなに批判されてはいない気がします。

  6. いつも良記事ありがとうございます。
    やっぱり、アイデンティティを保てず妥協・現実に迎合したこと、そのパーソナリティの弱さがすべての根源のような気がしてきました。彼は確かに最初はハイプレスをやろうとしてました。PL初戦のチェンさんの記事でも、アーセナルが全チームで一番走ったって書いてありますし。ただ、特にエジルやオーバらへんでプレスのかかりが悪かったような(違うかも)。プレスが嵌らなくて、裏を怖がって下がるラインを上げようと指示もしてたようですし。
    ハイプレスをやりたいなら、前線のシニア選手に「死ぬ気でプレスしないなら試合に出さんぞ」くらい言いながらコーチングしないとだめでした。マネやフィルミーノはどれだけプレスに走ることか。アグエロだって指揮官のもとで生まれ変わった。

    今年はシニアたちの前に屈したのか明らかにプレスを放棄し、中盤省略になっていて、まるでクロップからコンテになったようです。バックからのプレイもエジルの件もですが、マネジャーがアイデンティティを曲げるとドレッシングルームのコントロールを失うというのはネヴィルの言うとおりでしたね。
    改めて、チェンさんのPLデビュー戦vsシティのレビュー記事はいま見るととても味わい深いです。「バックからのプレイは早急に改善せねば」とあるのに1年以上進捗はなく、さらにポジティブだったプレスまで辞めちゃってるんですから、これまさに後退。

  7. エメリ氏は今季は勝つ為のサッカーではなくサンレヒに向けてのアプローチしかしなかったですね
    高値で買ったペペを無理やり使い、若手をクラブ方針で使わされ、エジルを意味もなく干し残った結果がこの有様です
    エメリ氏は恐らく残り数試合ですがサンレヒは残りオーナーも変わらない以上マンUの後を辿る確率は低くないでしょう

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