hotいま読まれているエントリ

Arsenal, EPL, Ljungberg, Match, News

【マッチレビュー】19/20EPL ノリッチ・シティ vs アーセナル(1/Dec/2019)ユングバーグ初戦

試合の論点

ノリッチ vs アーセナルのトーキングポインツ。

新ヘッドコーチ、フレディ・ユングバーグの及第点

就任からたった数日で何ができるという観点もあるが、当然ながらアーセナルFCのマネージャーになるなら、どんな状況でも厳しく批評され評価されることは避けられない。

初戦となったこの試合、アウェイとはいえ降格圏内のボトムチーム相手にポインツを落としたことで、もちろん満点評価とは云えない。

それにチームの守備は相変わらずこれまでと同じような問題があることも露呈した。今回はチェンバースやムスタフィの個人クオリティを問題にもできるが、選手だけを責められないのはこのチームを選んだ責任はFLにあるからだ。当然選択した理由はあるにせよ、結果的に守備ではワークせず、首をひねらざるを得ないものとなった。

こういったこれまでのアーセナルからの引き続きの問題を抱えながらも、一方では明らかに改善していると思われたのはユングバーグも選手たちも話しているように前半のパフォーマンス。チームは、ボールを持ち試合を支配するというコンセプトを実現しようとしていた。

それがエメリのときよりももっとうまくやれているように見えたのは、エメリがやらなかった(伝達できなかった)インストラクションがあったからだろう。

短い時間で具体的な動きの指示までできたとは思えないが、「自信を持って全体を押し上げろ」とか「縦パスを怖がるな」とか「近い距離を保て」とか、ボールを持ち試合を支配するために必要なそういったことを選手に実際にやらせることができた。これまでにエメリが(指示が悪かったのか)やらせようとしてできなかったことだ。トランジションの場面では課題があったものの、全般的にそれがうまくできたのが前半だった。

これは明らかな改善のきざしで、大いに賞賛されるべきものだと思う。

ネガティヴポイントの多くがこれまでのチームのそれを引きずっていること、2-2の時点でチームが大胆になりきれなかったのは、むしろそこからの失点を恐れる気持ちが染み付いていたからに違いない。そして就任からこの日まで彼が影響を及ぼすことができたごくわずかの時間を考慮すれば、FLのポジティヴインパクトは十分あったと評価してもよいのではないかと思われる。

選手たちから厚く信頼・支持されていて、インストラクションやメッセージもちゃんと伝わっている。前任者の時代からは大きな進歩だ。

レノのおかげでなんとかギリギリで最悪の結果は免れたからでもあるが、ユングバーグの初戦は及第点だっと云えると、ぼくは思う。

チームセレクションに対するいくつかの疑問

及第点とはいえ、いくつかの疑問があるのはチームセレクションとサブスティチューション。これは試合後にも大きな議論になっていた。

まずムスタフィをCBで使ったこと。エメリは基本的に彼を信頼しておらず、今シーズンはもうカップ戦でしか起用しなくなっていた。ELではなかなかのパフォーマンスを見せていたが、彼はPLでスタートはおろかプレイするのも今シーズン初めてで、彼をこの試合でファースト11に入れることは大きな賭けだった。

ソクラティスよりもボール扱いがうまいために選ばれたという見方が多いようだが、その期待は裏目に出てしまった。たしかにポゼッションでは安定感を見せるものの、肝心の守備に関しては1失点目(ディフレクション)も2失点目も、あまりにイージーだった。

もちろんムスタフィはクラブがずっと売ろうとしている選手で(噂を信じるなら獲得した翌年からずっと笑)、本人も退団希望。それをFLが知らないはずもなく。なぜクラブがそういう評価をしているかはよく考えてほしかったところだ。

はっきり云ってノリッチはフランクファートよりも強かった。PLに求められる競争力は、いまアーセナルが戦っているカップ戦よりももっと上を行くと認識すべきなのだろう。

ルイスのCBやチェンバースのRB(あとコラシナツのLB)、このあたりもPLの高い要求に応えていないが、ほかに選択肢がない状況ではしょうがない。アーセナルのDFのクオリティが足りていないのはヘッドコーチのせいではない。

それと、今回トランジションから(深い位置から少人数でビルドアップされ)2失点ということで、DF同様MFのポジショニングも問題視されている。それもあるが、ぼくは個人的にもトレイラがスタートから起用されなかったことにはだいぶがっかりした。

ポゼッションで圧倒したいならCMにジャカとゲンドゥージを並べたくなる気持ちもわかるが、100%ボールを保持しない限りは、同時にいつでもMFのスペイスをケアできる選手が必要で、それをチームで一番上手にできるMFがまさにトレイラだ。アーセナルは70%ボールを持っても30%の相手に敗けるようなチームだということを忘れてはならないと思う。ジャカにもそういったセンスがあればまだマシだったろうが、残念ながら彼にはそのような試合の流れを読んでポジションを修正するような能力は期待できない。

ほかにもいくつかあるが、ぺぺで終わりにしよう。

この試合、78分のサブでサカが出てきたことでだいぶ界隈はざわついていた。当然だろう。クラブレコードの€80Mで買った超高級選手をベンチに置いたままで、18才になりたての選手を呼んだのだから。

FLがサカを使いたがる心理も理解できる。彼はU-23でもずっと成長を見てきたし、今シーズンはファーストチームでもずっと見ている。やりたい/やらせたいプレイをお互いによくわかっている。

しかしだ。

彼をスターティンに入れないこともそうだが、あの場面で自分より18才のアカデミーに片足突っ込んだ選手が選ばれることによる、ニコラス・ぺぺへの心理的な影響を考えてほしい。

彼が大変な高評価でイングランドにやってきて、なかなか成果が出ないなかで、どれだけプレッシャーを感じているかは想像に難くない。セインツ戦のチャンスなんかを思い出せば、彼の自信レヴェルがだだ下がりなのは明白で、そういったネガティヴマインドがプレイに影響し、またネガティヴに陥るという悪循環にハマっている。きっと本来の彼なら、GKと1 v 1になれるチャンスでシュートを打つか迷った挙げ句、パスに逃げるなんてことはしなかっただろう。

アンリやベルカンプだってアーセナルで得点するまでに10試合ほどかかったというが、ぺぺへのプレッシャーは日増しに高まっていて、もしチームとして彼の成功を望むのであればいかに彼に自信をつけさせるかがもっとも重要で、彼の自信を失わせるようなことは一切クラブやチームの利益にならない。

ユングバーグは、ぺぺの起用に関してプレスから問われ「トレイニングなどの様子を見て選んでいる」と回答したが、エジル同様トレイニンググラウンドでのアティチュード問題があるとでも云うのだろうか。

ぺぺを起用しなかったのはこの試合だけだと思いたいが、FLのなかでは数少ないよくない傾向のように思う。

よく知っている若い選手を重用するのはクラブの未来にとっては歓迎だが、ぺぺのような、いまもっとも成功させなければならない選手のことも同じように気にかけていただきたいと願ってやまない。

オバメヤンとラカゼットの共存問題ふたたび

この試合、チームシートが発表されてから2ストライカー&ダイヤモンドの予想もあったのだけど、結局4-2-3-1だったようで、2得点のオバメヤンがワイドでボールに触る時間も多く、中央でビッグチャンスを外すなどラカゼットがあまり調子がよろしくないことから、ふたりの共存問題がまた脚光を浴びている。

ラカゼットをCFに置きたいがために、オバメヤンがワイドに追いやられるのは非合理的というわけだ。

ちなみにオバメヤンは9月以来アーセナルのアウェイゴールをすべて取っているとかで、逆にラカゼットはホームでの得点にくらべアウェイでのゴールでの貢献が極端に少ないそう。

ラカゼットを取ったすぐあとに属性のよく似たオバメヤンを取ったことは、ぼくもあまりにプランがないと思ったもので、その後もうまくいったりいかなかったりしていた。そして結局また同じ問題がまたぞろ。

これはおそらくFLにとっても頭の痛い問題になるはず。

いまチームからオバメヤンを外すという選択肢はないので、ふたりの共存問題というのはつまりラカゼットをどうするかの問題ということになる。

オバメヤンをCFで使うために、少なくともアウェイではラカゼットをベンチに置くといったことは今後真剣に考えなければならなくなるかもしれない。

試合についてその他

気づいたことなど。

  • ペナルティのやり直しはVARのおかげ。去年もアレがあったらToTに勝ってトップ4だった可能性大
  • しかしバメやんはあんまりペナルティが好きに見えない。外しそうなときは表情でわかる
  • マルティネリをPLでも使うべきというファンの声多数
  • ジャカがいつの間にか復帰。このまま定着しそう
  • ノリッチ強すぎ
  • ノリッチのCantwell。もうCanwellでいいじゃないかと

試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

11 Comments on “【マッチレビュー】19/20EPL ノリッチ・シティ vs アーセナル(1/Dec/2019)ユングバーグ初戦

  1. 確かにオーバメヤンとラカゼットの問題は悩ましい限りですね…。
    もういっその事、ラカゼットを1列下げてトップ下、エジルを1列下げて横にトレイラなんて面白そうですけどね。(機能するしないは別として笑)

  2. 選手起用に関しては怪我やコンディションもあると思うので
    ジャカを起用した以外に誰を使うかはまだ細かく見ることではない気がします。
    当たり障りのないフォーメーション使ったわけだし。

    日本代表に似て起用されない選手の株が上がるのは悲しい状況ですね。
    スリートップ+エジルを出し惜しみしたり
    平日と週末で中途半端に戦い方の違う2チーム作ったり
    キャプテンが5人いたことなど
    エメリ解任が遅れた罰でポイントを落とすことはあると思います。

    それにしても上がポイントを落とす節にアーセナルも必ずポイントを落とすくせが
    ミラクルレスターにやられてから芽生えてるのが歯痒いです。

  3. 候補に挙がっているアルテタもそうですが、リュングベリも繋ぎの監督のイメージですねー。
    個人的にプレミアは世界一難しいリーグだと思ってるので、経験が無い監督が取れるとは到底思えません。

    試合については・・・
    段々とベンゲル時代のシステムになっていくのでしょうかね。

  4. ハイプレスのためにトップ下にウィロック入れてサイドにエジル、バックラインからのビルドアップのためにソクラティスではなくムスタフィの起用、サイドバックのボール保持時のポジショニングやプレイスタイルの自由度、一長一短あるかもしれないけどリュングベリのやりたいサッカーが観れた試合だったと思う。個人的にはいいことか悪いことかに関わらずチームの変化をみれるのはは試合を観る上で楽しみのひとつなのでこの試合は面白かった。
    残念だった点は、同ポジションの選手を交代せずにシステムを4231→433→4231と変化させたことと、監督としてサイドラインに全然立たなかったことでした
    次ぎこそは勝ってくれ COYG

  5. 方向性としては正しいと思った。
    格段にパスが回るようになってるし、クロスの質が高ければもっと決定機になったと思う。

    リュングベリが「修正は容易」と豪語してるのは、「リサイクルして攻撃し続ける以外に何がある?」という意味だと僕は解釈してる。
    今さらCBの質を嘆いても始まらないし、あくまでも前でリサイクルして攻撃を継続することが、一番守備の改善になると思う。

  6. ムスタフィの起用には驚きましたけど、彼が入ることで想定されるメリット(攻撃時の縦パス)がデメリットを上回ることはなかったですね。DAZNのコメンタリでも指摘されてましたけど、人が足りてるはずなのにズルズル下がって、ボールへのプレッシャーが弱すぎですね。

    まあバック4のセレクションについては、ホールディングもティアニーもベジェリンも長期の怪我からの復帰なので起用が慎重になるのか?という側面もありますけど。

    コラシナツやチェンバースをSBに据えるんであれば、守備時は3CBにして、攻撃時はルイスあたりが中盤の底に入る可変3バックみたいなシステムでもいいと思うんですけどねえ。

    ELから中2日、次のPLも中3日ということで、フレディの準備期間が短すぎることが彼にとって不運というか、フロントの失態に思えてならないですね。こうなるならサウサンプトン戦直後にエメリ解任した方がまだ良かったですね。結果論ですけど。。

    トップ4レースはレスターが強すぎるから、残る席は1つでしょうね。チェルシーはまだ若手も多いし、CLもあるので息切れして落ちる可能性もあると信じたい。そんなことよりまずは目先の1勝でしょうが。。

  7. 選手たちは勝とうとしてるんですかね
    勝つことへの意識がノリッチよりも低くて腹が立ちました

    ボールが無いところでの動き出しとかボールを貰おうとする動きがアーセナルは少なすぎるかと
    結果苦し紛れにロングボールを蹴り出してポゼッションを失うってまるでPLの下位チームみたい

    次のブライトンに勝てなかったら順位的に勝てるチームがなくなるので選手たちには危機感を持って欲しい

  8. オバラカの併用は個人的に無理かなと去年からずっと思います
    2人ともパス精度はイマイチのCFWですので
    どちらか売って中盤買う方がチームは強くなるからなぁと
    その決断が出来るかどうかですね
    ベンゲルもオーバ買った後はオーバのが明らかに序列上として使ってましたし

    1. 感じますね!

      発音とかそういうのもあるんでしょうが、語彙とかイディオム?

      エメリはなんというか、同じワードやフレイズを繰り返すところがあって、しかも不必要に早口でしゃべったりするのが逆に拙い印象で。うまくしゃべれないと思われたくなくて虚勢を張るみたいな。

      だからプレスの質問に対しても、回答というよりは自分の云いたいことを云ってまとめるときが多くて質問に応えていないように聞こえたり。

      でもFLは20年イングランドにいて、UEは1年かそこらですからね。スウェディッシュとスパニッシュでは子どものときから英語を学ぶ環境もだいぶ違うでしょうし。

      でもUEの英語の上達ぶりはほんとにすごかったと英語学習者のぼくは見ていて思いました。

  9. ユングベリは偏りなくボールを繋いで攻めようぜ、をやろうとした感じ。前半は選手間の距離感やアングル作りも良くてボールが回った。後半は疲れが出て中盤間延びサッカーになってしまった。
    比較的マシだった前半でも、戦略や意思統一にはかなり乏しくて、オバラカやエジル先輩の3人の間でもイメージの共有がされたシーンが少なかったし、3人目の動きなどはもっと少なかった。
    オバラカエジルを使うのならば彼らにも守備的なタスクを負わせる必要を感じました。もちろん、マルティネリやぺぺなど代替えで出てくる選手にも。(リバポでもフィルミーノやマネは守備頑張るし)

    あと、アーセナルや調子の悪くなってきたドルトムントなどハンパに強豪+ポゼッション志向だと、SBの上がりやCFのポストプレイなど、わかりやすい動きをシンプルに使わずに、「もっといい選択肢(そんなのないことが多い)」を探してだんだんフリーランや受けるための動き出しが減る印象。
    DAZNでアヤックスの試合を見ていると、結構シンプルに近くで走る選手を使うし、変化は動き出すタイミングでつけている感じ。チェルシーもそうなってきてるし。
    やはり周囲の動きがないとエジルやラカゼットたちでも孤立して突破は厳しいよね。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *